アパート経営は地獄であるということを聞いた、もしくは目にしたことがある人も多いでしょう。それではなぜアパート経営が地獄と言われているかというと、借入金額の高さによって毎月の返済に苦しんでいる人が多いためです。
他にも、「地獄」と呼ばれることに関しての疑問があると思います。そのため本記事では以下のような内容について解説しています。
- アパート経営が地獄になる要因は?
- どうすれば地獄を回避できる?
- 地獄を見る人の特徴は?
- アパート経営がしないほうが良い?
アパート経営を始めてもいいか、リスクや現実を知ったうえで慎重に判断できるようにしましょう。
- 想定通りの家賃収入が得られない
- 売却してもローンを返済しきれない
- 家賃保証の減額で自己破産に至る
- 入居者対応で心身ともに休まらない
- 1. アパート経営が地獄となる要因
- 2. アパート経営を地獄にしないためには?
- 2.1. 立地調査により競争力の高いアパートを建築する
- 2.2. 余裕のある資金計画を行なう
- 2.3. 空室率を下げて家賃収入を上げる
- 2.4. ローンを見直す
- 2.5. 物件を売却する
- 2.6. 管理会社選びを慎重におこなう
- 2.7. サブリース契約のデメリットを学ぶ
- 2.8. 老朽化を見越しておく
- 2.9. 入居審査を厳しくする
- 2.10. 相談できる窓口をしっかり案内しておく
- 2.11. 自己資金をしっかりと準備する
- 2.12. 低コストでも高品質なアパート建築を
- 2.13. アパートローンを返済比率を事前にシミュレーションする
- 2.14. 土地やその周辺の調査を十分におこなう
- 2.15. アパートの設計はハウスメーカーに任せる
- 2.16. 施工会社からの売り込みにも自分で対策を立てる
- 3. アパート経営で地獄をみる人の特徴
- 4. アパート経営は「しないリスク」より「するリスク」の方が高い
- 5. まとめ
アパート経営が地獄となる要因
アパート経営の大きなメリットとして、収益性の高さがあげられるでしょう。そのため、最近ではFIREなど早期リタイアする方法としてアパート経営を考えている人も増えてきています。管理会社にアパートの管理を任せれば、自分は特に何もすることなく毎月数十万円の家賃収入が手に入るという不労所得に期待することも夢ではありません。実際に、アパート経営を始めて早期リタイアをされている方もたくさんいます。
しかし、アパート経営を始めれば誰でも不労所得が手に入るわけではありません。メリットがある一方で、地獄へと変化する要因がいくつもあります。安易にアパート経営を始めると、「こんなはずじゃなかった」と後悔をしてしまう可能性がとても高いでしょう。そのため本章では、アパート経営が地獄となる要因を紹介します。
以下はアパート経営が地獄となる要因10選です。
- ①賃貸需要がない土地にアパートを建てる
- ②物件を利回りだけを意識して選ぶ
- ③収入への期待から高額な借入金で始める
- ④サブリース契約の罠にはまる
- ⑤原状回復費用が高額になる
- ⑥家賃滞納や夜逃げをする入居者が出る
- ⑦建てた後のことを考えていない
- ⑧ニーズの調査不足のせいで設計を誤る
- ⑨軽率に追加投資をする
- ⑩管理会社を勧められるがまま選定している
要因①賃貸需要がない土地にアパートを建てる
アパート経営においてその土地に賃貸需要があるかどうかも大切です。
賃貸需要のない土地にアパートを建ててしまうと、入居者が増えず、空室が多くなってしまいます。空室が多くなると家賃収入が減ることはもちろん、ローンを組んでいた場合はそのローンを返済しなければならないためだんだんと経営が苦しくなっていきます。
また、空室対策のためにリフォームをすれば別途リフォーム費用がかかります。空室が増えるとアパートの売却価格も下がってしまい、返済が難しくなったとしても売却に逃げることもできなくなります。
要因②物件を利回りだけを意識して選ぶ
高利回りであることだけに注目してアパート経営を始めると、アパート経営が地獄となることがあります。すぐに修繕が必要な物件であったり、空室が発生しやすい物件は、収益性が十分ではないために高利回りで売り出されていることがあります。
また、建築時に安く建てることを意識しすぎると、入居者が見つからず、すぐに修繕が必要になるため、家賃収入よりも支出の方が多くなってしまいます。
利回りを意識することは大切ですが、そこだけに注意せずアパート経営を始める必要があります。
要因③収入への期待から高額な借入金で始める
アパート経営では、始める段階で高額な借り入れをしてしまい借金地獄となる例も多くみられます。では、なぜ収支バランスのとれない高額な借入をしてしまうのでしょうか。その理由は、相談の段階で確認するシミュレーションにあります。
アパート経営前に作成されるシミュレーションは、あくまでも予想です。リスクを考慮しない借入額で始めてしまうと、家賃収入が少なくなったときに返済するだけで苦労することになる可能性があります。
そのため、空室や修繕費がかかることを前提として、無理のない返済を継続できるような金額を借り入れることが大切です。
要因④サブリース契約の罠にはまる
サブリース契約は、管理会社にアパート経営を丸ごとまかせ、オーナーは毎月一定の家賃保証を得るというアパートの管理方法の一つです。アパート経営の手間が減ることに加え、空室率に関わらず一定の収入が入ることから人気な管理方法となっています。
しかし、注意すべき点は家賃保証は減額される可能性があるということです。定期的に保証額の見直しがあるため、家賃保証があるからといって常に一定の収入が入ってくることはないと考えておいた方がよいでしょう。
また、サブリース契約は手数料がかかるという点でも注意が必要です。保証額と手数料により、一気にアパート経営が苦しくなってしまう方もたくさんいらっしゃいます。後程紹介する体験談では、サブリース契約の罠にはまり自己破産をした方の事例を取り上げています。
要因⑤原状回復費用が高額になる
アパート経営では、維持管理費用のなかでも原状回/復にかかる費用は軽視されがちです。入居者が綺麗に使ってくれれば、費用はそこまでかからないでしょう。
しかし、なかには部屋がゴミ屋敷と化し高額な原状回復費を負担せざるを得ないケースも珍しくありません。このような場合は入居者に対して費用を請求することもできますが、話が通じず逃げられてしまうことも多いです。ゴミ屋敷を綺麗にするとなると、数か月間の純利益分が必要になってしまうでしょう。
入居者全員が綺麗に部屋を使ってくれるとは限りません、モラルのない入居者が借りないように対策を講じておかないと、維持管理費に圧迫され収支が狂ってしまいます。
要因⑥家賃滞納や夜逃げをする入居者が出る
前項では入居者のモラルに起因する地獄の原因について解説しました。これに関連して、家賃滞納や夜逃げをする入居者もアパート経営に隠された地獄への罠といえます。アパート経営では、こうした問題は身近で深刻な問題です。
家賃滞納や夜逃げが発生すると、数か月の間入ってくるはずの家賃収入が得られません。また、夜逃げとなれば入居者の捜索や家賃請求、残された家財の処分などに大きな費用がかかってしまいます。さらに、問題が片付くまでに各方面と連絡を取り合うなど労力もかかるでしょう。
このように、家賃滞納や夜逃げによって高額な費用が発生し借金地獄になることは珍しくないということも頭に入れておく必要があるでしょう。
要因⑦建てた後のことを考えていない
相続税を節税するための方法としてアパート経営を始めるのであれば、アパートを建てさえすれば目的は達成されることになります。そのため、管理については業者に任せっきりにする方も多いでしょう。
しかし、アパート経営で十分な収益が得られなければ、節税できた分以上の負債を抱え込んでしまう可能性が高いです。そのため、節税目的で始めるにしても、大切なことはアパート経営でどのように採算をとれるのかを常に考えることです。
アパートを建てっぱなしにするのであれば、それはむしろ負債をつくっていることに他なりません。
要因⑧ニーズの調査不足のせいで設計を誤る
アパート経営は、投資である前に入居者が安心して暮らしせる環境を提供する事業であるともいえます。そのため、住まい環境を大きく左右する設計を間違えると、入居率が悪くなり採算がとれなくなる可能性が高いでしょう。
特に、アパート経営で相続税対策のみを目的にしていると設計について考える時間をとることなく進めてしまうことになります。設計を間違えてしまう大きな要因としては、十分な立地調査ができていないことが上げられます。「アパートを建てさえすれば簡単に儲かる」ということはないのです。
また、建築会社のラインアップから建てるアパートを選ぶことも多いですが、ここでも注意が必要です。規格化されたアパートは、それぞれの地域にあるニーズに最適な設計であるとは限りません。自分がアパートを建てる地域にはどんなニーズがあるか、について考えないと十分な家賃収入を得ることは難しいでしょう。
要因⑨軽率に追加投資をする
軽率な追加投資がアパート経営の地獄化を助長させる可能性があります。
アパート経営は副収入としては魅力的な額ですが、それだけで生活となると資産規模を大きくする必要があります。そのため、1棟目建てた後にすぐに2棟目・3棟目の投資を行なってしまう人がいます。しかし、このような軽率な追加投資はアパート経営が地獄となる要因となりかねません。
一棟目は自己資金を用意しやすいため比較的安全に投資ができる人が多いですが、2棟目・3棟目を急いでしまうと自己資金が少なくなっているため借入金の割合が多くなってしまいます。借入金の割合が大きくなると、前述したように借金地獄となり返済に苦しむことになるのです。
要因⑩管理会社を勧められるがまま選定している
管理会社は賃貸経営を行なうオーナーのパートナーであるため、勧められるがままに決めてしまうと後悔することになります。
具体的には、空室ばかりが目立つ物件になってしまう、空室状態でも建設的な提案が生まれない、入居者対応や建物管理が杜撰で入居者が離れる、などといった地獄が巻き起こる可能性が高いです。
活用事例:地震への備えを考えた 木造3階建て賃貸住宅





エリア | 東京都 |
土地面積(㎡) | 256.2 |
延べ床面積(㎡) | 480.36 |
工法 | 木造 |
東京都練馬区。新宿まで電車で20分という都心エリアに木造3階建ての賃貸住宅が完成しました。以前この土地には築20年を超えるミサワホームで建てた賃貸併用住宅と二世帯住宅がありました。都市計画道路ができるということで賃貸住宅の建て替え計画がスタートしました。
「以前の賃貸住宅は権利者が5人もいて、さらに兄弟間の相続も絡み合い、どう整理すればよいか分かりませんでした」。
そんな中、賃貸管理をしていた縁で、ミサワホームに相談がありました。
「ミサワホームの岡村さんには大変お世話になりました。賃貸住宅の建替えを考える上で、権利関係の整理から相続、融資に至るまで、岡村さんは親身になって対応してくれました」。
計画道路ができることで、土地の面積が狭くなります。また、築年数も経っていたことから、オーナーさまは、「建て替えるなら、より収益性の高いものを建てたい」とお考えでした。(ミサワホーム株式会社の土地活用事例)
アパート経営を地獄にしないためには?
アパート経営が地獄になる要因がわかったところで、本章ではアパート経営を地獄にしないためにはどうしたらよいかについて解説します。
アパート経営を地獄にしないための対策は以下の通りです。
- 立地調査により競争力の高いアパートを建築する
- 余裕のある資金計画を行なう
- 空室率を下げて家賃収入を上げる
- ローンを見直す
- 物件を売却する
- 管理会社選びを慎重におこなう
- サブリース契約のデメリットを学ぶ
- 老朽化を見越しておく
- 入居審査を厳しくする
- 相談できる窓口をしっかり案内しておく
- 自己資金をしっかりと準備する
- 低コストでも高品質なアパート建築を
- アパートローンを返済比率を事前にシミュレーションする
- 土地やその周辺の調査を十分におこなう
- アパートの設計はハウスメーカーに任せる
- 施工会社からの売り込みにも自分で対策を立てる
それぞれ解説します。動画でも解説しているため合わせてご視聴ください。
立地調査により競争力の高いアパートを建築する
アパートを建てる場所の候補があれば、その土地がどのような立地で、アパート経営に適した立地なのかどうかなど、事前にしっかり調査をおこないましょう。
入居者のニーズを満たした間取りや設備、デザインなどを取り入れることで競争力の高いアパートであり、それを建築するためには立地調査が欠かせません。
余裕のある資金計画を行なう
借金地獄にならないために、余裕のある資金計画を立てることが重要です。アパート経営における自己資金割合は最低でも10%と言われていますが、余裕を持つのであれば30%は用意しておくことを推奨します。
借入金の割合が多いとローンの返済に行き詰まったり、急な出費が発生したときに苦しんだりする可能性があります。空室が発生した場合などを見越して余裕を持った資金計画を立てることが必要なのです。
空室率を下げて家賃収入を上げる
アパート経営が地獄になりかけている場合、空室率が高く思うように家賃収入を得られていないパターンが多いです。
この場合に空室率を下げて家賃収入を上げるには、「リフォーム・ハウスクリーニングを行なう」「入居者の金銭的負担を軽減する」「入居条件を緩める」といった方法があります。
リフォーム・ハウスクリーニング
老朽化が進んでいる場合、リフォームやハウスクリーニングといった対処法が有効になります。ただし、それに費用をかけ過ぎたら回収しきれない可能性があります。
そのため、壁紙や水回りなどの目立ちやすいところにピンポイントで対処することをおすすめします。
入居者の金銭的負担の軽減
入居者の金銭的負担を軽減する方法としては、敷金をなくしたりフリーレント期間を設けたりといったものがあります。
家賃を一度下げると再度上げることが困難になるため、最終手段に残しておいて他にできることを行ないましょう。
入居条件の緩和
高齢者や外国人、ペットの不可といった入居条件を緩和することで入居者の獲得につながります。
ただし、上記のような条件の緩和によって、元々いた入居者が退去してしまう可能性がある点に注意が必要です。
ローンを見直す
地獄になりかけている理由が金利の高さである場合、ローンの見直しが必要かもしれません。
金利は1%でも変更すれば返済額にとても大きな差が生まれます。そのため、金利の低い金融機関に借り換えをすることが出来れば、手数料はかかりますが返済は楽になるでしょう。
物件を売却する
アパート経営が悪化の一途をだどる一方だと感じた場合、早めに物件の売却を検討することが重要です。
粘って黒字になるパターンもありますが、余計に経営が悪化する可能性も高いです。赤字のまま投資を終えることに抵抗を覚えるかもしれませんが、取り返しのつかない額の赤字になるよりはマシだと考えるべきです。
また、早めに損きりをして手持ちを少しでも残しておけば、それによって新たな投資を始めることも可能でしょう。
管理会社選びを慎重におこなう
自主管理を行わず、管理を委託するのであれば管理会社選びを慎重に行なう必要があります。下記のことを参考にして管理会社を選びましょう。
こまめな報連相ができるか
管理会社はオーナーと入居者の間に立っているため、しっかりとその両者の意思疎通をはからなければなりません。
小さなことでもきちんと連絡し、対応してくれる管理会社を選びましょう。
入居者目線であるか
管理会社は入居者ニーズを捉え、入居者の募集を熱心に適切に行うことができるかが重要です。
細かいところまで気を使って、物件の管理や入居者の募集をしてくれる管理会社を選びましょう。
社員教育はできているか
扱っている物件周辺の情報を把握している社員が多く、社員の入れ替わりの少ない管理会社を選びましょう。
長い間、その物件を扱っていれば、見学者に対してさまざまな配慮のできた案内をすることができます。これができると、見学者によりよいイメージを持ってもらえ、自然と入居者も増えてくるでしょう。
自身に時間と余裕があるのであれば、自主管理を考えてもいいかもしれません。アパートの管理業務については、こちらを参考にしてみてください。
サブリース契約のデメリットを学ぶ
アパート経営が地獄といわれるのが、一括借り上げ(サブリース契約)の罠に引っかかってしまう人が多いためです。
家賃保証型のサブリースは、アパートを一棟ごとサブリース会社に転貸する管理方式です。賃料収入が保証されますが、オーナーが受け取れるのは満室想定時の80%~85%程度の金額なので家賃収入としては相場より低いものです。また、一定の期間で家賃の見直しを管理会社から提案されることにも注意が必要です。
さらに、サブリース契約にはオーナー都合の契約解除ができず、一方的に契約解除をするのであれば巨額のペナルティを科せられるケースがあります。サブリース契約には多くのメリットもありますが、リスクも存在します。サブリース契約を結ぶときは、契約内容をしっかり読み、自身が納得のいく形で契約を結びましょう。
老朽化を見越しておく
アパートは経年劣化により老朽化していくものなので、定期的に修繕費用がかかります。かかる費用と頻度については以下の通りです、
- 原状回復費:入居者の退去ごとに、数万円~20万円程度
- 老朽予防の修繕費:3年に1回程度、数万円~数十万円
- 大規模修繕費:15年に1回程度、数百万円~数千万円
- 破損個所の修繕費:破損や災害に応じて、数万円~数十万円
上記を見ればわかる通り修繕費には決して低くないコストが必要になり、これらはアパート経営を続けるうえで欠かせないものです。そのため、老朽化を見越して修繕費を計画に積み立てておく必要があるのです。
入居審査を厳しくする
家賃滞納や夜逃げによって理不尽な損失を被りたくないのであれば、入居審査を厳しくすることです。審査で安定した収入を得ている人、信用できる属性の人に絞って置けば家賃滞納や夜逃げをされるリスクを軽減できます。
もちろん厳しくし過ぎれば空室が埋まらない可能性がありますが、空室状態よりも家賃滞納者が住み着いている方が厄介とも言えるためバランスが大切です。賃貸契約時に勤務先や実家の連絡先を入手したり、日ごろから入居者と適切なコミュニケーションをとったりといったことも効果的です。
また、入居者がいざ支払いができないとなった時に相談すべき窓口がどこかを事前に示しておくことで、事前に夜逃げや家賃滞納を防ぐことができます。そもそも賃料の設定が相場よりも高く入居率が上がらないなんてこともあるため、その場合は賃料の設定を見直すタイミングかもしれません。
相談できる窓口をしっかり案内しておく
入居者がいざ支払いができないとなった時に相談すべき窓口がどこかを事前に示しておくことで、事前に夜逃げや家賃滞納を防ぎましょう。
そもそも賃料の設定が相場よりも高く入居率が上がらないなんてこともあります。督促は大変なことですが、賃料の設定を見直すタイミングかもしれません。
入居者にも様々な都合があります。毎朝挨拶するとまではいかなくても、オーナーと入居者の間では双方向のコミュニケーションが取られていることが理想的な状態でしょう。
自己資金をしっかりと準備する
急な出費に対応するためにもいくらか自己資金を準備してからアパート経営を始めましょう。一般的な準備する自己資金の目安は物件の1~3割だといわれています。
近年、不正融資が発覚したこともありローンを組む際の審査も厳しくなっています。しっかりと自己資金を準備しないと、融資を受けられない可能性もあるので注意が必要です。
また、アパート経営には空室や急な修繕などのリスクが付きまとうため、突然の費用に対応するために、自己資金を準備しておくことも必要です。
低コストでも高品質なアパート建築を
アパート経営を始めるときは、安く高品質なアパート建築をするよう心がけましょう。建築費を減らすことができれば利回りも高くなります。
安く高品質なアパート建築をするのであれば、ハウスメーカーに依頼することがおすすめです。工法や構造によって坪単価が異なり、ハウスメーカーによっても得意な工法や構造は異なるため、しっかり建築プランを比較しましょう。
アパートローンを返済比率を事前にシミュレーションする
アパートローンの返済比率は事前にシミュレーションをすることができます。返済比率は、
という計算式で求めることができます。家賃収入は満室時の金額を使用していることに注意しましょう。月々だけでなく、年間で計算することも可能です。
仮に、満室時で年間1,000万円の家賃収入があるオーナーが年間400万円を返済すると、
この場合の返済比率は、40%ということになります。
土地やその周辺の調査を十分におこなう
建てる、あるいは購入する物件の場所の候補があれば、その土地がどのような立地でアパート経営に適した立地なのかなど、事前にしっかり調査をおこないましょう。
- 周辺のアパートはどのような設計(階数・戸数・駐車場)か
- 周辺で入居率が高いアパートの特徴は何か
- その街の人口は増えているのか・減っているのか
- その街の人はどのような年代の人が住んでいるのか
調査不足で物件を探している人のニーズと合わないアパートを建ててしまうと、どんなに工夫をしても人気が出る物件にはならないリスクがあります。
アパートの設計はハウスメーカーに任せる
アパートの設計はハウスメーカーに任せましょう。施工会社にはハウスメーカー以外にもアトリエのような設計事務所や地場の工務店など種類があり、業者によって得意不得意があります。
そして、アパートやマンションのような大規模な建物を建てるのに慣れていて、入居者のニーズに合った設計や間取りを知っているのは大手ハウスメーカーです。
アパート経営は一度始めたら簡単にやめることはできません。あまり出し惜しみをせず、設計はハウスメーカーに任せましょう。
施工会社からの売り込みにも自分で対策を立てる
「かぼちゃの馬車」事件は、管理会社・銀行・投資家の誰が悪いという話ではなく、三者がそれぞれ少し欲を出して上手い話を信じてしまったことにより起こった事件です。
資産を所有していれば、その資産を使ってもらおうと周りの人はあなたにアパートを建てさせようと、アパート経営のメリットや投資の話を持ちかけてきます。
アパート経営は始める前に少し立ち止まって自分でその事業プランのシミュレーションをしたり第三者の提案を受ける勇気が必要です。
アパート経営が地獄になってしまう理由の一つには、事前の情報収集が足りていないことが関係していることが多いです。そのため、アパート経営を検討している方は始めるまでにあらゆる情報収集を行い十分な準備がとても大切です。
そこで、一度プロに相談に乗ってもらいアパート経営のプランを考えてもらうこともおすすめです。
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アパート経営で地獄をみる人の特徴
アパート経営は、誰でも始めることができます。しかし、安易に始めると先ほどご紹介した通り地獄への思わぬ罠があります。
そこで、本章ではアパート経営で地獄をみる人に共通してみられる特徴について解説しています。
手軽にFIREを達成したいと考えている人
アパート経営で不労所得が入ってくるとよく言われますが、放置しておいて良いわけではありません。安定して家賃収入を得ていくためには、外観から設備、サービスに至るまで、どんなアパートであれば多くの人が住みたいと思えるかを常に考えて実行し続ける必要があります。時には、実際に現地に足を運んで住民とコミュニケーションを取ったり、近隣の雰囲気や夜間の治安を確認したり、保有するアパートの状況を自分の目で確認しておくことも大切な大家の役割です。
アパート経営で成功している大家のなかには、自分で電気工事士の資格を取ったという事例もあります。家電の取付や修理を大家ができれば、業者が入るまで待たずともすぐに入居者に快適な暮らしを提供できるというサービス精神からくるものです。
アパート経営を地獄化させないためには、入居者のためになることは何か考え積極的に実行していく姿勢を持つことが大切です。管理会社に任せっきりにすることなく、自分の目でアパートの状況を確認する手間をかける必要があります。
すぐに収入を得たい人
先ほどご紹介したように、アパート経営を黒字化させるためには最低でも10年程の期間がかかります。1~2年目は赤字となると考えておく方がよいでしょう。
そのため、すぐに利益を出そうとすると判断を誤る可能性が高いです。アパート経営では数か月先の収支を考えるのではなく、数十年という期間なかで考えることがポイントとなります。時間軸が長いので、自分の人生と照らし合わせて考える必要もあるでしょう。
アパート経営で不労所得を得るためには、じっくりと腰を据えて経営に臨むことも大切です。
勉強や情報収集が苦手な人
アパート経営では、ほとんどの管理業務を管理会社に委託することができます。そのため、不動産投資の知識や経営の知識がなくても楽に儲けることができると考えている方も多いです。
しかし、繰り返すようですが、アパート経営は放置して家賃収入を得ることができるほど甘くはありません。今回ご紹介した体験談では、「もっとこうしておけばよかった」と後悔を感じられている方が目立ちます。
アパートの経営状況が常に一定であることはありません。ちょっとしたことで一気に収支が悪化し失敗してしまう可能性が常にあるため、始める前後問わず、積極的に不動産投資やそれに関連した情報を集めて日頃から勉強をしていく必要があります。
アパート経営は「しないリスク」より「するリスク」の方が高い
よく営業マンから、「アパート経営は相続税対策になる」や「不労所得を得ることができる」などといった甘言を聞くことがあると思います。
営業マンの口車に乗せられてアパート経営を始めた結果、地獄を見ることになる人はたくさんいます。アパート経営を考えている場合、「するリスク」と「しないリスク」のどちらのが高いのかを天秤にかけて考えるようにしましょう。
相続税が心配なら売却して現金化する
「土地をこのまま所有していも相続の際に多くの税金を取られるだけ」「バブル崩壊前のように不動産地価が上昇し続ける時代がもう一度来るかもしれない」といった考えでアパート経営を考えたり、土地を手放せなかったりする人もいるでしょう。
しかし前述した通り、アパート経営をするリスクとしないリスクはどちらの方が高いのか、という話です。相続税のことを気にしてアパート経営を考えているのであれば、土地を売却して現金化し、その現金を寿命が来る前に使い切ってしまうことが一番の相続税対策と言えます。
相続税対策のために借金をつくって不確定な家賃収入に期待するか、素早く現金化しリスクをなくして遺産相続をしやすくするか、どちらが良いかを考えてみましょう。
アパート経営は赤字経営になる
アパート経営は10年・15年と年数が経つにつれて入居率も家賃も下がっていくため、赤字経営になる可能性が高くなっていきます。
アパート経営を始めた当時は人気の物件だったとしても、次々に新築でグレードの高い、魅力的な物件が同じような家賃で生まれます。一方で自分の物件は老朽化が進行していくだけなので、人気は下がり、家賃も下げざるを得なくなります。
家賃はその時点での需要と供給で動くものであり、最初の額でずっとやっていけるわけではありません。10年後は入居率と家賃が下がることで、当初の家賃収入の半分になる可能性もあります。それでも土地やアパートの所有による固定資産税は同じようにかかり、家賃収入が減った状態での税負担は重くのしかかることになります。
都合の良い「一括借り上げシステム」
空室が多く出てしまったり入居者に家賃滞納されてしまったりしたときでも、家賃の1割ほどの管理料を支払うことで一定の賃料を保証してくれる一括借り上げというシステムがあります。
一見オーナーにとって親切な仕組みで、大手企業ならではのサポートと思う人もいるかもしれません。しかし、あまりにもオーナーにとって都合の良い話であるため警戒する必要があります。賃貸経営会社も慈善事業でやっているわけではありませんから、リスクを肩代わりしてくれる代わりに別のところで利益を得ていると考えるべきです。
例えば建築費について、工務店に直接頼んだ場合と賃貸経営会社を挟んだ場合とで、1.5倍ほどの差が生まれることもあります。これは一括借り上げ契約のリスクヘッジをするためです。賃貸経営会社からすると、一般の戸建て住宅などと比べると言い値で工事を請け負うことができるため、賃貸住宅は「おいしい仕事」という認識なのです。
営業マンにとってセミナーは新規顧客開拓の場
セミナーでは通常、税理士や公認会計士などの専門家から、土地活用に必要な税務知識だったり不動産相続の基礎知識だったりをテーマとした公演が行われます。
しかし、その後クライアントによる個別相談会が始まります。それまでの話を聞いて賃貸経営を前向きに検討するつもりである参加者と、会場で待機していたハウスメーカーの営業が詳しい話をするという流れです。
そこでは一括借り上げや過去の成功例など、ポジティブなことしか話にあがりません。営業マンにとってセミナーは新規顧客開拓の場であるため、オーナーは気を引き締めておく必要があります。
無条件で「儲かる」なら不動産業者は自分で行なう
アパート経営について不動産業者の営業マンは「良い物件がある」「儲かる」といった話を持ち掛けてきますが、それならなぜ自分たちで始めないのでしょうか。無条件で儲かるようなビジネスがあるならやって損はないはずです。
結論から言うと、事業としてやるには手間がかかりリスクが大きいにもかかわらず、それに見合ったリターンを得られないからです。それより、アパート経営を勧めて仲介手数料で収益をあげることの方が儲かるのに確実な手段となるのです。
ただし、「不動産業者の社員は条件面で融資を受けることができない」「そもそも物件を変えるほどの年収を営業マンが得ていない」「顧客と同じニーズを持っているわけではない」といった理由も存在します。つまり、「儲からないから自分ではやらない」と「やりたいけど費用の面でできない」の二つのパターンがあるため、どちらのパターンなのかの見極めができないと損をすることになるでしょう。
まとめ
アパート経営は確かにその収益性が魅力的ですが、本当に始めても大丈夫なのか慎重に検討しないと思わぬ地獄への罠を踏んでしまう可能性が高いです。
今回ご紹介したことはどれもアパート経営では珍しくないことです。収入を得ることが目的のアパート経営で自己破産してしまっては、本末転倒になってしまいます。
アパート経営のメリットだけをみて安易に始めるのではなく、デメリットやリスクについても把握して後悔の無い判断をするようにしましょう。