不動産投資としてマンション経営をする際には、個人のまま行うか会社を設立して行うのかの2つのパターンがあります。会社を設立して経営することにはさまざまなメリットがあり、場合によっては法人化したほうが利益が出ることもあります。
ただし、会社設立ならではのデメリットもあるため、この点には注意が必要です。メリットとデメリットの両方を知り、自分に合ったマンション経営の方法を見つけましょう。
- マンション経営を法人化するメリット・デメリット
- マンション経営を法人化する条件
- マンション経営を法人化する際の注意点
マンション経営で法人化するメリット

会社を設立してマンションを経営するメリットは、次の4つがあげられます。
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これらのメリットを把握して、法人化することでいかなるプラスが発生するのかを知っていきましょう。
所得税の負担が軽くなる
マンション経営で利益が出た場合は、利益に応じて所得税がかかりますが、これは法人化することで税率を引き下げられます。個人と法人では所得税の税率が異なり、法人のほうが低いため、利益が多い場合は法人化したほうが税負担が抑えられるでしょう。また、家族を役員にしたり、従業員を雇ったりして収入を分散すると、給与所得控除も活用できます。税率が下がるだけでなく、課税対象額そのものを縮小できるため、会社を設立すると節税効果は高くなります。
必要経費の範囲が広くなる
利益を抑えるためには経費の計上がポイントで、この範囲が広くなる点も会社を設立した場合のメリットです。個人でマンション経営をする場合は、例えば生命保険の控除ができますが、これは年間12万円までと上限が決まっています。対して法人の場合は制限がなく、経費にできる項目も増えるため、利益が同じなら課税対象額を引き下げやすいでしょう。
入居者から信用されるようになる
入居者の信用を得やすい点も、会社設立のメリットです。単に不動産を所有している大家よりも、会社の社長という肩書のほうがより説得力を持つため、信頼してもらいやすいです。入居者に信頼されることで退去のリスクが減ったり、新規の入居者を獲得しやすくなったりするでしょう。個人と法人で経営の実情が変わらないとしても、肩書が変わるだけで信頼度の効力は違ってくるため、法人化する大きなメリットといえます。
相続税の対策ができる
会社を設立してマンション経営をする場合は、相続税の対策もできます。将来の相続人に対して、役員報酬や給与などとしてお金を支払っておくことで、相続の際の遺産を減らすことができ、相続税の課税対象も縮小できます。また、生前贈与の場合は年間110万円以上だと贈与税がかかりますが、報酬として支払っているものについては、贈与の対象にはなりません。つまり、報酬の形式で支払うことで贈与税の発生も抑えられ、贈与と相続両方の節税効果が臨めるでしょう。
なお、マンション経営の節税効果について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
マンション経営はプランを取り寄せて始めよう
マンション経営を始める可能性が出てきたら、複数の企業にプランを提案してもらうことをおすすめします。
なぜなら、マンション経営は建築費の見積もりや賃料設定など経営のプランによって将来の利回りも変わってきます。
建築費がいくらなら収益性の高いマンション経営ができるのか、利回りはどのくらいが適切なのか、気になるところを建築会社に相談してみましょう。
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マンション経営で会社で法人化するデメリット

会社を設立してマンション経営をすることには、メリットだけではなくデメリットもあります。マンション経営を法人化して行うデメリットは、次の通りです。
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これら4つのポイントを把握して、どのような点で個人経営よりもマイナスが出やすいのかを知っておきましょう。
法人化するための初期費用がかかる
法人化するためには初期費用がかかり、最初にある程度の元手を用意しなければならない点がデメリットです。会社を設立する際にはさまざまな手続きがあり、次の費用がかかります。
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これらの費用は、最低でも20万円程度かかることが多いです。また、個人と法人に関係なくマンション経営をする際には、マンションの購入費や管理費、リフォームが必要な場合はその費用などがかかります。マンション経営はそもそも初期費用が高く、これに会社設立の費用も上乗せされるため、資金に余裕がない場合はおすすめできません。
経営していくための維持費がかかる
マンション経営は始めるまでの費用が高いですが、それだけではなく経営を続けるためのランニングコストもかかります。マンション経営のための維持費としては、次のものがあげられます。
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マンションを所有していると、自身が居住しているかどうかに関係なく、固定資産税や都市計画税がかかります。また、マンションの管理や修繕にも費用がかかり、管理を企業に委託する場合はさらに管理料がかかります。
また、利益に対して所得税がかかるだけでなく、法人の場合は赤字になっている場合でも住民税を支払わなければなりません。さらに、税務関係の処理を税理士に依頼する場合は、この費用もかかります。よって、個人よりも法人のほうが出費は多くなりやすいため、ランニングコストが増大しやすい点も、会社設立のデメリットでしょう。
税務調査が入る確率が上がる
個人の所得を調べるために、税務署から税務調査が入ることがあります。税務調査は個人でも法人でも実施されますが、法人のほうが確率が上がります。税務調査に入られたとしても、収支を正しく計上し、適切に帳簿をつけていれば問題ありません。しかし、帳簿に不備があったり、不明な費用が計上されていたりする場合は、詳細な内容を追及されることも多いです。このときに、税務署に対して正しく説明できなければ、追徴課税を課せられる可能性もあります。税務調査に入られると、その後の帳簿付けをより厳正に行わなければならないため、この点も法人化ならではのデメリットです。
社会保険への加入が必要になる
会社を設立して役員報酬を支払う場合は、社会保険への加入が必須です。これは強制加入ですが、役員報酬の約30%程度が社会保険料となります。法人化している場合は、会社が半分の費用を負担しなければならず、ここでもコストが増大する点がデメリットです。役員報酬をつけることで節税対策にはなりますが、保険料が増加するため、このバランス次第では損失が出てしまうこともあります。
マンション経営を始めようか考えたとき、どのようにマンションを設計すればいいのか見当がつかないのではないでしょうか。
例えば2階建てにするか3階建てにするか、間取りの設計をどうするかについては土地の条件やマンション経営の目的によって変わります。
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法人化したほうがいい人とすべきでない人

マンション経営を法人化したからと言って、必ず恩恵を受けられるわけではありません。正直、法人化したほうがいいケースとしないほうがいいケースは異なります。
ここでは、マンション経営をしている人のうち、会社を設立して法人化すべき人とそうでない人をそれぞれ紹介します。
法人化したほうがいい人
マンション経営にはメリットとデメリットがあるため、両方を把握したうえで、自分はどちらを選んだほうがよいのかを考えることが大切です。具体的にいえば、マンション経営で会社設立がおすすめなのは、次の特徴に当てはまる人です。
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これらのうち、いずれかひとつに当てはまる場合は、会社設立を検討するとよいでしょう。
不動産収入が年間1,000万円を超える人
年間の不動産所得が1,000万円を超える場合は、法人化することがおすすめです。法人と個人では所得税の税率が異なり、最高税率は法人のほうが安いです。所得税は累進課税であるため、所得が多いほど課税額も増えます。1,000万円以上だと所得税だけでも高額になるため、不動産所得だけで高額になる場合は会社の設立も考えましょう。
3棟以上のマンションを購入する予定の人
マンションを3棟以上など、大規模な投資を考えている場合は、会社を設立したほうが節税効果が高くなります。大規模な不動産投資だと収入が増えやすく、その分税金もかかります。個人の場合は税率が高いため、法人にして税率を下げたほうが、コストは削減できるでしょう。また、法人にすることで経費計上できる範囲が広がるため、経費を増やして帳簿上の利益の縮小も狙いやすくなります。3棟以上のマンションで管理しなければならない物件が増える場合は、家族に依頼したり、従業員を雇ったりすることもあります。この際も、法人なら給与所得控除が使えるため、税金コストの削減ができるでしょう。
法人化しないほうがいい人

マンション経営で会社を設立したほうがよい人がいる一方で、設立すべきではない人もいます。
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これらの特徴に当てはまる場合は、会社を設立せずに、個人のままマンション経営をしたほうがよいでしょう。
また、これらの条件に当てはまったまま法人化してしまうと逆に税金が増え、失敗してしまうリスクが高まります。
小規模な物件でマンション経営を行おうと考えている人
すでに経営しているか、これから経営しようとしているマンションが小規模である場合は、会社を設立する必要はありません。マンション1棟や複数部屋での賃貸経営なら、そもそも課税対象となる所得が少ないことが多いです。つまり、節税効果を期待できる法人化をしても、節税できる割合が少なくなり、それほど大きなメリットは得られないでしょう。また、法人化のためには費用や手間がかかるため、これらのコストがかかる分、損をする可能性もあります。
マンション経営で法人化したほうがよいのは、家賃収入がいくら入るかではなく、経費などを差し引いたうえでの課税所得が高くなる人と考えましょう。
築年数が古いマンションを経営している人
老朽化が進んだ築年数の古いマンションを経営している人も、会社設立は不要です。古いマンションだと修繕が必要な場合が多く、新築マンション経営よりも経費が多くかかりやすいです。つまり、課税対象の所得が減る、あるいは赤字になる可能性もあり、節税効果の高い法人化にはそれほどのメリットはないでしょう。
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マンション経営で法人化する際の注意点

マンション経営にて会社の設立を検討している場合は、次の2点に注意しましょう。
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これらの注意点を把握しておくことで、よりスムーズかつトラブルなくマンション経営を行いやすくなります。
会社員の場合は副業規定がないかを確認する
会社に勤めたままマンション経営をする場合は、副業既定の有無に注意しましょう。副業が禁止されている場合は、法人化も禁止されており、これを破ると企業で何らかの処罰を受けることがあります。また、法人化に関係なく、そもそもマンション経営で副収入を得ていることが、企業の規定違反となることもあるため、この点にも注意しましょう。副業規定は企業によってさまざまですが、副業が禁止されていても、不動産投資は認められているというケースもあります。法人化についても問題のない場合があるため、まずは勤めている企業の規定を確認して、わからない場合は人事部や総務部に相談してみるとよいでしょう。
ローンが残っている場合は金融機関に相談する
ローンの残債があっても法人化は可能ですが、ローンが残っている状態だと、法人化するにあたってさまざまな審査や手続きをしなければなりません。そのため、一度金融機関に相談して、どのような手続きが必要か、かかるコストはいくらかなどを聞いておきましょう。法人化する際には、所有している不動産を個人から法人へと売却する必要があります。つまり、この際には売買契約を結び、税金や手数料などが発生します。すると、ローンの支払いに加えて各種費用がかかってしまうため、法人化する際には金融機関に相談しながら、綿密な資金計画を練るようにしましょう。
マンションの管理は管理会社に依頼する
小規模のマンションの管理を自分ですることも可能ですが、大規模マンション経営や複数のマンションの経営を考えている人は管理会社に依頼するのがオススメです。しかし、管理会社をどこを選んで良いか調べるのは大変です。そこで一括比較情報サイトの「イエウール土地活用」の利用がおすすめです。イエウール土地活用では、マンションの経営で土地の有効活用を考えている場合に、経営プランを無料で相談できます。また、物件の情報を登録すると、一度に複数社からの査定を受けられるためプランの比較もしやすく、よりよい管理会社や不動産会社を見つけやすいでしょう。
マンション経営を始めるなら最初の情報収集が重要です。一括プラン比較サービスイエウール土地活用なら、土地所在地の入力だけでマンション経営のプランを取り寄せることができます。
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節税効果を見込むなら法人化してマンション経営

マンションを経営する際には、個人のまま行うのか、会社を設立するのかの2つのケースがあります。会社を設立する場合は、法人化の手続きで手間や費用がかかりますが、より高い節税効果が望めます。
そのため、課税対象となる所得の多い人に向いており、不動産所得がそれほど出ない人は、個人のままマンション経営をすることがおすすめです。会社設立を検討するなら事前準備を計画的に行い、無理のない資金計画を立ててマンション経営に乗り出しましょう。
記事のおさらい