アパート経営を始めとする不動産投資は、物件購入費用が高額になることから、ローンを組んで投資を始める方が多いでしょう。ローンの中には、頭金を含めて物件取得費用のすべてをローンで賄う「フルローン」があります。
元手にかかる負担が少なくなるため、フルローンは魅力的なアパート経営方法の一つです。しかし、月々の返済額が大きくなるフルローンでのアパート経営は本当に現実的と言えるのでしょうか。今回の記事では、フルローンのアパート経営は現実的なのか、初期費用や利回り、成功させるための条件についてまとめました。フルローンでのアパート経営を考えている方はぜひ参考にしてください。
アパート経営のための準備資金については以下の記事をご覧ください。
フルローンアパート経営は現実的なのか
フルローンのアパート経営は、少ない初期負担で大きな収益を得ることができます。さらに、減った初期負担分を広告宣伝費や他の資産形成に活用できる非常に魅力的な経営方法と言われています。
一見、非常に魅力的なフルローンのアパート経営ですが、実際には現実的とは言えません。フルローンのアパート経営が現実的でない理由としては、資金繰りを含む経営の難しさが挙げられます。
まずは、フルローンのアパート経営が難しいと言われる理由について一つずつ確認していきましょう。
フルローンのアパート経営は、返済額が多くなってしまう分かなり難易度が高くなってしまいます。
ただ、立地条件や土地の広さによっては十分利回りを高く保つことも可能です。
自分の土地でフルローンのアパート経営ができるかを知りたい方は、専門家や企業に相談してみることがおすすめです。
土地活用比較サイトを活用して専門家の企業に相談すると、フルローンでアパート経営をした場合の収支表を受け取ることができ、赤字経営になるかどうかを把握することが可能です。
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活用事例:住民の暮らしを豊かにする 賃貸住宅のまちなみ





エリア | 千葉県 |
土地面積(㎡) | 1909 |
延べ床面積(㎡) | 1323.79 |
千葉県船橋市。駅から10分ほどの場所に15世帯のファミリー向け賃貸住宅のまちなみが完成しました。ヨーロッパの邸宅を感じさせる佇まいに、思わず目を奪われます。
オーナーさまはローマで暮らしていた経験があり、大いに影響を受けたそうです。
「ローマではテニスコートやプールが家の側にあり、休みの日はテニスをしたり、泳いだり、余暇を楽しむ風習がありました。広い敷地を活用して、そのような住民の憩の場となるコミュニティをつくりたいと考えました」。
そうしてプールとテニスコートを併設させた賃貸住宅をすでに30年以上前に実現させたオーナーさま。老朽化から相続対策を兼ね、今回の建替計画は後を継ぐご子息に任されました。ご子息は前職でテーマパークの企画を担当していたこともあり、その手腕が大いに発揮されました。
「京都のイギリス村のような雰囲気のある賃貸住宅の構想がありました。そこでスケッチブックに完成予想図を描き、イメージを具現化していきました」。
賃貸住宅に入居する住民はもちろん、近隣の住人にとっても好印象を与えるような、地域のランドマークとなる賃貸住宅づくりを目指しました。そこでハウスメーカー3社に相談をすることに。(ミサワホーム株式会社の土地活用事例)
フルローンアパート経営が現実的ではない理由
ローンを引くことに成功しても、フルローンアパート経営の難しさは資金繰りなどの経営面にあります。フルローンのアパート経営が現実的ではない理由は、主に以下の3つです。
- 金利上昇リスクが高い
- 月々のキャッシュフローが悪化しやすい
- 減価償却期間とローン返済期間の調整が難しい
フルローンのアパート経営の実態について、正確に把握するために一つずつ確認しておきましょう。
金利上昇リスクが高い
フルローンの多くは、年によって金利が変動する変動金利制が採用されています。変動金利制は固定金利制に比べても、金利が低いことが多いため、多くの投資家の方が変動金利制でローンを借りています。
借入額が小さい場合には、金利の変動はあまり問題はありません。しかし、フルローンのアパート経営では借り入れ額が大きい分、金利上昇時には返済額の増え幅も大きくなります。実際にどの程度の変化があるのかについて下の表でまとめているので参考にしてください。
- 頭金:800万
- 借り入れ額:4200万
- 返済期間:20年
- 借入時の金利:1.5%
アパート経営Bのフルローンプラン
- 頭金:0
- 借り入れ額:5000万
- 返済期間:20年
- 借入時の金利:1.5%
Aのローン返済総額 | Bのローン返済総額 | |
---|---|---|
金利変動なし | 48,640,560 | 57,905,280 |
10年後に金利1%上昇 | 49,853,400 | 59,349,360 |
金利が10年後に1%上昇した際には、Aの返済額は120万増えますが、Bの返済額は140万ほど増加します。また返済総額全体では、800万円の頭金を支払っているBと、支払っていないAでは、約1000万円ほど返済総額が変わります。
アパート経営という長期的な事業において、金利は正確に予測できない上に経営を左右する要素です。1%金利が上がっただけでも返済負担が大幅に増えてしまうフルローンアパート経営は、現実的ではないといえます。
キャッシュフローとは
キャッシュフローとは、帳簿上ではなく、実際のお金の流れを表したもののことです。キャッシュフローが良い状態とは、実際に入っている現金より、支出の現金が小さい状態です。
一方でキャッシュフローが悪い状態とは、実際に入っている現金より、支出の現金が大きい状態を指します。キャッシュフローが悪いと、帳簿上では黒字なのに実際には現金がないという、いわゆる黒字倒産になってしまいます。
フルローンのアパート経営の場合、このキャッシュフローは悪化しやすくなります。
キャッシュフローが悪化してしまう理由
そもそも、アパート経営の利益は、以下の計算式で算出されます。
- 利益=家賃収入-経費(管理手数料など)
利益に税金が課税され、税金を差し引いた額から、修繕費積立金、手取りの賃料収入、そしてローン返済費用を捻出します。
- 利益ー税金=ローン返済費用+修繕費用積立金+手取りの賃料収入
月々のローン返済額は、経費に換算せず利益から捻出します。そのため、収入が十分ではない場合には、帳簿上では利益が出ていて黒字なのに、修繕積立金や返済額を利益分から支払いきれず、手持ちの資金から返済するということが起こります。
その結果、フルローンのアパート経営は、キャッシュフローが悪化しやすくなり、資金繰りの難易度が高くなってしまいます。キャッシュフローのコントロールが難しいことから、フルローンのアパート経営は現実的ではないと言われています。
減価償却期間とローン返済期間の調整が難しい
減価償却とは、アパートなどの固定資産を使用可能期間にしたがって、少しずつ費用を計上することです。減価償却費は経費として計上することができ、課税対象の利益を圧縮してくれます。
例えば、4000万円の木造アパートを建設した場合には、初年度に4,000万円の費用として計上するのではなく、250万円ずつに分けて22年で費用として計上します。そして22年間は、毎年250万円分を経費として計上することができ、その分課税対象額を少なくすることができます。
この減価償却費が大きさこそが、アパート経営が所得税の節税になる仕組みなのです。減価償却期間中の所得税負担が少ないうちにローンを返済しきることで、償却期間後に課税対象額が増えても、対応することができます。
減価償却費は、減価償却期間中に均等な減価償却率ではなく徐々に小さくなります。そのため、所得納税額は徐々に大きくなってしまいます。一方でローンの返済額は、元本比率が年々上がるため、額そのものは、あまり変わりません。ローン返済期間を長く設定すると、税負担が増えたタイミングでも、ローンを返済しなくてはいけません。
一方で、ローン返済期間を減価償却期間に合わせて短くした場合、借入額が大きいため月々の返済負担は多くなります。フルローンのアパート経営では、ローン返済期間を長くしても、短くしても返済負担が大きくなってしまいます。借入額が大きく、減価償却期間とローン返済期間のバランスを取るのが難しいことは、フルローンのアパート経営が現実的ではないと言われる理由です。
アパートを建てようか考えたとき、どのようにアパートを設計すればいいのか見当がつかないのではないでしょうか。
例えば2階建てにするか3階建てにするか、間取りの設計をどうするかについては土地の条件やアパート経営の目的によって変わります。
イエウール土地活用なら複数の大手ハウスメーカーから提案を受けることができます。
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フルローンアパート経営にかかる初期費用
フルローンのアパート経営といっても、全ての初期費用の負担をなくせるわけではありません。フルローンのアパート経営では、以下の費用が必要になります。
- 仲介手数料
- 印紙税
- 登録免許税
- 不動産取得税
- 司法書士手数料
- 融資保証料
- 融資事務手数料
- 各種保険料
- 固定資産税清算金
これらの費用は、ローンの適用範囲外の費用として支払う必要があります。相場感としては、およそ物件購入価格の7~10%前後になります。ローンの中には、オーバーローンという全ての初期費用が適用範囲内のローンもありますが、返済額の大きさや金利の大きさなどを考えると、おすすめできません。
アパート経営を行うにあたって、ローン以外の初期費用を把握しておくことは重要です。必ずローンの適用範囲外の初期費用については事前に試算しておきましょう。
フルローンアパート経営の利回り計算
フルローンのアパート経営の利回りを計算する際には、「返済後利回り」という金利とローン返済額をふまえた利回りを計算しましょう。返済後利回りの計算は以下の計算式で行います。
- 返済後利回り={(家賃収入-ランニングコスト-ローン返済額)×12ヶ月}/(物件購入価格+初期費用)×100
- 利回りシミュレーションの条件
- 家賃:5万
- 戸数:8戸
- 物件価格:5000万
- 自己資本:0円
- 初期費用(物件価格の10%):500万
- 返済期間:30年
- 借り入れ金利:2.5%
- 満室時の家賃収入:40万
- 月々のローン返済額:19.7万(参考)
- ランニングコスト総額(家賃収入の15%):6万
参考|住宅ローン返済シミュレーション|三井トラスト・ローン&ファイナンス株式会社
上の条件のアパートの場合、返済後利回りは、(40万-6万-24.3万)×12ヶ月/(5000万+500万)=3.11%と計算できます。返済後利回りは3%以上、表面利回りでは9%以上の利回りが出るものが安心と言われています。また、同じ条件での、表面利回り、実質利回りも以下の表にまとめてあります。
表面利回り | 実質利回り | 返済後利回り |
---|---|---|
8.72% | 7.41% | 3.11% |
利回りの計算方法によって、数字は全く異なります。実際には、空室率や金利上昇分も踏まえて計算する必要があるため、さらに実際の利回りはそれぞれ下がります。
また、物件購入価格の5000万のうち、頭金を20%の1000万円入れたと仮定して計算してみましょう。この場合月々のローン返済額は約15.8万円です。よって返済後利回りは、約4.01%となります。頭金の違いで利回りも大きく変わるため、ローンを決める際には複数のプランを検討しましょう。
返済後利回りは、実質利回りより現実的なキャッシュフローをイメージしやすいため、ローンのプランを考える際には必ず試算しておきたい利回りです。
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フルローンアパート経営を始めるまでのポイント
成功するのが難しいと言われるフルローンのアパート経営ですが、始めるまでのポイントが2つあります。
- 返済比率を50%以内に抑える
- 完済までの財務シミュレーションをする
フルローンでもアパート経営を成功させるために、一つずつ確認しておきましょう。
返済比率を50%以内に抑える
返済比率とは、「年間収入に占める年間返済額の割合」のことを指します。返済比率を50%に抑えるということは、例えば年間収入400万円の場合には、年間のローン返済額を200万円以下に抑えるということです。返済比率が重要と言われる理由は、返済比率がアパート経営の健全性を表しているからです。
アパート経営では、年間収入のうち15%~30%程を経費として使用します。残りの85%をローンの返済額や修繕積立金、手取り収益にあてます。
収入の中で経費を20%、返済比率を50%とすると、残りの30%から修繕積立金と手取り収益を捻出しなければなりません。この場合、もし空室率が30%の場合には、アパート経営の儲けは0になってしまいます。
返済比率が大きいと、儲けがないだけではなく、修繕積立金なども貯めることができないため、健全なアパート経営が困難になります。ローンの返済額はなかなか簡単に減らすことができません。そのため、計画段階では、空室率も見越して返済比率を多くとも50%以下に抑えるようにしましょう。
完済までの財務シミュレーションをする
アパート経営は、20年以上の経営が必要な長期的な事業です。金利上昇や空室の発生など様々な場合を加味して計画をたてる必要があります。
ローンの返済額が大きく、返済期間が長いフルローンのアパート経営の場合には、完済までの財務シミュレーションが必要不可欠です。財務シミュレーションをたてる際には、「税金を支払う際に、現金がどの程度残っているのか」「アパート経営の手取りがいくらなのか」など懸念すべき点はいくつもあります。
特に初心者の方の場合は、アパート経営のキャッシュフローや金利の上昇リスクを踏まえた財務シミュレーションをたてることは難しいです。ファイナンシャルプランナーや税理士などの専門家と一緒に、より現実的な財務シミュレーションを構築しましょう。
融資を引き出すときに見られるポイント
フルローンのアパート経営では、そもそもローンを引き出すことが難しいと言われています。金融機関からローンを引き出したい際のポイントは以下の3点です。
- 属性
- 物件に問題はないか
- 収益シミュレーションは現実的か
ローンを引き出すためのポイントについて、一つずつ確認しておきましょう。
属性
金融機関がローンを承認するか判断する際には、まずは属性を見られます。特に明記されているわけではないですが、以下のような項目が属性として挙げられます。
- 年収
- 勤続年数
- 所属している会社
- 勤務形態
- 年齢
- 家族構成など
あまり勤続年数が長くない場合や、年収に自信がない場合には、世帯年収を提示したり、既にアパート経営を行っていれば実績を見せることで属性を上げることができます。
属性はローンを引き出す上で、金融機関が信用を測るための重要な要素です。まずは、自身の今の属性や、どうしたら属性を上げることができるのかを、アパート経営経験者や金融機関の方と相談しましょう。
物件に問題がないか
アパート経営では、そもそも融資しても問題ない物件かどうかも確認されます。特に再建築不可と言われている物件は、ほとんどの場合ローンはおりません。
接道条件や建ぺい率などを個人で計算し、建築法規に適しているかを判断するのは非常に難易度が高いです。自身の物件が建築法規に適しているか不安な場合には、建築士や住宅診断士などの専門家に相談してみましょう。
ローンの審査をする前に、自身の土地や物件の状態を把握しておくことで、より確実にローンを引き出すことができます。
収益シミュレーションは現実的か
収益シミュレーションが現実的かどうかが、最後に審査時に見られるポイントです。利回りだけではなく、税金、空室率や返済比率、返済後利回りなども含めて総合的に審査されます。
場合によっては、空室が発生した際の対応をどう考えているか、家賃相場が下がった際にはどうするかなど、経営時の対応についても聞かれます。
ローン審査前には、ファイナンシャルプランナーなどの専門家とともに、より現実的なアパート経営のシミュレーションを練っておきましょう。
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アパート経営には、フルローンだけではなく、少しの頭金から始めることができるプランなど、業者によって様々なプランが用意されています。アパート経営では、信頼できるパートナーを見つけることが重要です。しかし、「ローンの引き出しに強い会社」や、「土地なしからのアパート経営に強い会社」など、様々な特徴の業者を個人で全て調べるのはほとんど不可能です。
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