土地活用でマンションを建てるなら、まずは建築会社に見積もりを依頼することになります。
建築会社に問い合わせると、あなたの土地に建てられる大まかなマンションの設計や概算見積もり等のプランを提案してもらえます。
建築会社は、オーナーの土地における法規制や立地条件を踏まえた上で建築計画の提案を行いますが、マンション経営を成功させるには、オーナーご自身の目で提案された内容を精査することが重要です。
- 建築会社への相談時は、見積もり・費用の内訳・間取り・設備の仕様・収益プラン・管理方式の提案をチェック!
- マンションの建築費は、鉄筋コンクリート造なら95万~125万円/坪、重量鉄骨造なら90万~120万円/坪
- 建築費は抑えるだけでなく、かけるべきところにかけて入居者を呼び込もう
マンションの建築費について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
マンションを建築する方法
土地にマンションを建てるときは、まずはハウスメーカーや工務店・建設会社に相談し、マンションの建築プランや見積もりの提案を受けます。
土地のオーナーは、提案されたマンションの建築プランや建築費、竣工後の経営プランを検討し、施工を依頼する会社を決めます。
マンションを建築する費用は、アパートローンによって資金調達できます。アパートローンの借入にはマンション経営の事業計画書が必要です。そのため、先にマンションを依頼する会社を決めて、具体的な設計をしてもらう必要があります。
ご自身で1社1社に問い合わせをして、建築プランや見積もりを取得するのは時間と手間がかかります。
「イエウール土地活用」の一括見積を利用すると、活用したい土地の所在地などを簡単に入力するだけで、複数の企業からまとめて建築プランを取り寄せられます。- 全国で実績のある大手ハウスメーカーに見積もりを依頼できるので、安心して利用できます!
初めての土地活用で不安のある方も、マンションの設計や経営方針について相談できるため、まずは以下のフォームから問い合わせてみましょう。
\建築費は?初期費用は?/
マンション建築を成功させるための5つのポイント
マンションを建築するために企業に問い合わせをしても、どのようなポイントをチェックして検討すればよいかわからない方も多くいらっしゃるでしょう。
建築会社に提案されたプランを検討するときは、特に以下の5つのポイントを重点的にチェックしましょう。
- 建築費の概算見積もり
- マンションの間取り・住戸の配置
- 建物・設備の仕様
- 収支計画
- マンションの管理方式
建築費の概算見積もり
マンションの建築に費用がいくらかかるかは、多くのオーナーが気になるポイントでしょう。
ただし、単純に見積もりの総額を比較するだけでは、マンション建築の依頼先を決めることは難しいです。なぜなら、賃貸経営は物件の建築後に、入居率を確保・維持していくことが重要だからです。
費用の安さだけを重視してマンションを建ててしまうと、入居希望者から選ばれず、空室割合が高くなってしまいます。十分な家賃収入が得られなければ、最終的にローンの返済のために土地ごとマンションを手放す事態に陥りかねません。
しかし一方で、利回りを良くするためには、入居率を高めるだけでなく、初期費用である建築費をかけ過ぎないことも重要です。
そこで、費用の総額だけでなく、どの工事や設備にいくらかかっているか内訳をきちんと教えてもらうことで、複数社の提案を見比べやすくなります。
マンションの建築工事にかかる費用は、まず大まかに「本体工事費」と「付帯工事費」の2種類に分けられます。
本体工事費は、マンションの建物そのものの工事にかかる費用です。付帯工事費は、土地にマンションを建てるのに付随して必要となる工事にかかる費用が該当します。
以下は、一般的な工事費用の内訳です。
費用 | 費用割合 | 内訳の詳細 |
---|---|---|
本体工事費 | 80~85% | 躯体工事(本体工事費の約4割) 建物の仮設工事、土工事、基礎工事、鉄骨工事、鉄筋工事、型枠工事、コンクリート打設工事etc. |
仕上げ工事(本体工事費の約4割) 外装工事、内装工事、建具工事、塗装工事etc. | ||
設備工事(本体工事費の約2割) 電気設備工事、給排水衛生設備工事(キッチン・トイレ等の設置工事)etc. | ||
付帯工事費 | 15~20% | 残存家屋の解体工事、地盤改良工事、屋外給排水管工事、外構工事、空調設備・照明器具の設置工事etc. |
ただし、たとえばA社では本体工事費に含まれている仮設工事費が、B社では付帯工事費に含まれていたり、そもそも基本の見積もりに照明器具や空調設備の費用が含まれていないということもあります。
このように、会社によって費用の内訳が異なっているケースはよくあるため、見積もりを比較検討する際は内訳を詳細に確認しましょう。
なお、マンションの建築にあたっては、工事に必要な費用とは別途、税金や登記費用などの「諸費用」もかかります。マンション経営の資金計画を立てる上では、諸費用も重要な項目です。詳しくは後の章で解説します。
マンションの間取り・住戸の配置
設計プランを見るときは、マンションの間取りがエリアのニーズに合ったものであるかどうかをチェックしましょう。
もちろん、建築会社側でも立地調査を行った上で入居者のターゲットを選定し、間取りを提案してくれます。しかし建築したマンションについて、最終的な責任を負うのはオーナーです。自分でもエリアのニーズを調査しておいて、入居者のターゲット設定や間取りの設計が適切かどうか判断しましょう。
- 土地のオーナーだからこそわかる地域のニーズもあるかもしれません。
また、入居率を高めるためには住戸の配置にも気をつけましょう。
一般的に、南向きにバルコニーのある部屋が入居者から喜ばれやすいです。全ての住戸を南向きに配置できるとは限りませんが、各部屋が採光や通風を確保できる配置になっているかどうかを確認してみましょう。
設計によって条件のよい部屋を多数配置できれば、家賃も高く設定しやすくなります。
建物・設備の仕様
建物の仕様が建築予定のマンションの規模に合っているか、導入を提案された住宅設備やそのグレードが適切かどうかをチェックしましょう。マンションは、建築に用いられる構造によって工事費の相場が大きく変わります。以下は、建物の構造ごとの主な特徴です。
建物の構造 | 特徴 |
---|---|
木造(W造) |
|
鉄骨造(S造) |
|
鉄筋コンクリート造(RC造) |
|
鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造) |
|
なお、鉄骨鉄筋コンクリート造は頑丈な構造ですが、コストが高く、個人が建てる中低層規模の賃貸マンションにはあまり使われません。
- 提案された構造・工法が、自分の建てたい規模のマンションに合っているかチェックしてみましょう!
また、使用される資材や導入する住宅設備のグレードが必要以上に高いものになっていないかどうかも確認しましょう。
建築会社はできる限り高額な建築費で受注したいと考えるものです。複数社のプランや設備のカタログを見比べて、見積もりよりもグレードダウンできそうなところが見つかったら、仕様を変更して減額できないかどうか打診してみましょう。
収支計画
相談先の企業から、マンション建築後の経営プランについても提案してもらえる場合、収支計画が妥当なものになっているかを確認しましょう。
賃貸物件の賃料は、周辺の相場を無視して設定することはできません。家賃設定が高すぎないか、近隣で類似物件の賃料を調べてチェックしましょう。
またマンションも、常に満室で経営できるとは限りません。収支の計画を立てるときは、空室リスクも考慮した上でシミュレーションを行いましょう。
管理方式
マンションを建てた後の賃貸管理についても、マンション建築を計画する段階で決めておきましょう。
マンションの賃貸管理を業者に委託する場合、管理形態には「管理委託方式」と「サブリース方式」があります。サブリース方式は賃料の受け取り方によって、さらに「家賃保証型サブリース」と「実績賃料連動型(パススルー型)サブリース」に分かれます。
管理形態 | 特徴 |
管理委託方式 | 管理会社にマンションの管理のみ委託契約する方式。入居者とは、オーナーが直接賃貸借契約を結ぶ。 空室の分の賃料は得られない。 |
家賃保証型サブリース | 管理会社にマンション1棟を一括借り上げしてもらい、管理してもらう方式。入居率にかかわらず毎月一定の賃料を受け取れる。 ただし、賃料保証に免責期間が設けられていたり、一定期間ごとに賃料が見直しされる可能性がある。 |
実績賃料連動型サブリース (パススルー型サブリース) | 管理会社にマンション1棟を一括借り上げしてもらい、管理してもらう方式。毎月、実際の入居割合に応じた賃料を受け取る。 管理委託同様に空室リスクがあるが、入退去時や契約更新時の手間は省ける。 |
家賃保証型サブリースは、家賃収入から差し引かれる管理料が他の方式に比べて高いため、収益性がやや低くなります。一方で、家賃保証型サブリースは毎月の収入を安定させることができます。
管理方式と実績賃料連動型サブリースに、収益性の差はありません。
会社によって提案を受けられる管理方式は異なります。マンション経営を長く続けていくためには、収益性を確保し続けられるかどうかが重要です。ご自身に合ったプランを提案してくれるか、納得のいく説明をしてくれるかどうかも、建築会社選びの判断材料になるでしょう。
管理方式の違いについては、以下の記事でも解説しています。
「イエウール土地活用」の一括見積を利用すると、活用したい土地の所在地などを簡単に入力するだけで、複数の企業からまとめて建築プランを取り寄せられます。
- 全国で実績のある大手ハウスメーカーに見積もりを依頼できるので、安心して利用できます!
初めての土地活用で不安のある方も、マンションの設計や経営方針について相談できるため、まずは以下のフォームから問い合わせてみましょう。
\建築費は?初期費用は?/
マンションを建築する流れ
マンションの建築は、おおまかに以下の流れで進みます。
マンション建築の流れ | かかる期間 |
---|---|
建築会社へ相談・プランや見積もりの取得 | ‐ |
建築会社の選定・契約 | 1~3ヶ月 |
具体的な設計・費用の最終見積もり | 2~3ヶ月 |
建築確認申請 | 1~2ヶ月 |
着工~竣工 | マンションの階数+3~5ヶ月 |
着工までにかかる期間はオーナーそれぞれですが、6~7か月ほどの期間をかけてプランを詰めていく方が多いです。
着工から竣工(完成)までには、建築するマンションの階数+3~5ヶ月かかるのが一般的です。たとえば5階建てノマンションを建てるときの工期は、8ヶ月から10ヶ月が目安です。
工事請負契約後、アパートローンの本審査が下りたらアパート建築が着工します。
着工から竣工までの流れの詳細は以下の通りです。
天候によって工事が進められない時期がある場合は期間が延びやすくなります。
入居者の募集はマンションの建築工事中に始めます。竣工後、スムーズに入居してもらえるように準備しておきましょう。
マンションが完成し、借主の入居後から晴れてマンション経営が開始します。入居者から毎月受け取る家賃が、オーナーの収入となります。
活用事例:「イル デュ ノール」 ホテルテイストの併用マンション




エリア | 神奈川県 |
土地面積(㎡) | 250 |
延べ床面積(㎡) | 894.51 |
工法 | プレハブ工法 重量鉄骨ラーメン構造 |
マンション建築にかかる費用
この章では、マンションの建築にかかる費用について解説します。
建築費の坪単価と計算方法
マンションの建築工事にかかる費用のうち、本体工事費を坪あたりの金額に直したものを「坪単価」といいます。建築費用の相場は、坪単価をベースに語られることが多いです。
以下は、マンションの建築費(本体工事費)の坪単価の相場を構造別にまとめた表です。
マンションの構造 | 坪単価相場 |
---|---|
鉄骨造(S造) | 90万~120万円 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 95万~125万円 |
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) | 110万~140万円 |
(※イエウール編集部調べ)
坪単価に建築するマンションの延べ床面積をかけ合わせると、本体工事費を試算できます。また、付帯工事費は本体工事費の約2割の金額が目安です。
したがって、建築工事にかかる費用は、以下のように試算できます。
- 本体工事費=坪単価×延べ床面積(坪)
- 付帯工事費=本体工事費×20%
- 建築工事費=本体工事費+付帯工事費=本体工事費×120%
なお、費用の相場は地域による違いもあり、都市部ほど建築費の坪単価高くなる傾向があります。
マンションの建築費について詳しく知りたい方は以下の記事もご参考にしてください。
建築費以外にかかる諸費用
マンション建築時には、建築工事には直接関係のない出費もあります。これらをまとめて「諸費用」といいます。
【諸費用の一覧】
- 測量費用
- 地盤調査費用
- 設計料
- ローン借入時の事務手数料
- 各種保険料
- 水道分担金
- 契約書の印紙代
- 登記費用
- 不動産取得税
諸費用はローンの融資が下りる前に払う必要があるものが多く、自己資金で賄わなければなりません。
本体工事費の約10%程度の金額が目安です。
- 諸費用=本体工事費×10%
なお、土地を購入してマンションを建てる場合は、土地代や仲介手数料が別途かかります。
収益性の高いマンションを建築するコツ
マンション経営を成功させるためには、ただ建築費を抑えるだけではなく、かけるべき部分にはしっかり建築費をかけて入居者に選ばれるマンションづくりをすることが重要です。
この章では、建築費をかけるべきポイントと建築費を抑えられるポイントを解説します。
建築費をかけるべきポイント
外観やエントランスの内装はマンションの印象を大きく左右するため、入居希望者を集めるためにコストをかけてよい部分です。
また、入居者に人気の住宅設備・機能を導入することも有効です。ただし、設備を増やすことは建築費の増額とトレードオフの関係にあるため、費用対効果の高いものを選んで導入しましょう。
たとえば、以下の設備や仕様は、近年人気が高まっています。
- 耐震性能の高い構造
- 防音性の高い部屋
- 宅配ボックス
- オートロックや防犯カメラ等のセキュリティ設備
- 無料インターネット回線
- 2口以上のコンロ
- ウォークインクローゼット
- 脱衣スペース
- 衣類乾燥機、浴室乾燥機
住宅設備の導入やグレードアップは、想定している入居者のターゲット層に合わせて検討しましょう。ほかにも、ターゲット層ごとに人気の高い設備は以下のようなものがあります。
ターゲット層 | あるとよい設備・機能 |
---|---|
女性 | オートロックや防犯カメラ等の防犯設備など |
子育てファミリー層 | 広めの玄関、対面キッチン、汚れに強い内装など |
ペット連れ | 共用部の足洗い場、滑らない床材など |
ターゲット層によって、優先的に求める設備は異なります。マンション建築を検討しているエリアの賃貸需要を事前にしっかり調査して、入居者のニーズを満たせる設備を導入しましょう。
また、まだまだ普及途中のZEH住宅として設計することで、建築コストはかかりますが、アピールポイントにしつつ高めの賃料設定で入居者を募集するという手段もあります。
建築費を抑えられるポイント
提案されたマンションの構造が、建てたいマンションの規模に対してオーバースペックの場合は、より安価な構造・工法で建てられないか検討してみましょう。
たとえば、5階建て以下のマンションであれば、ラーメン構造よりも安価な壁式構造の鉄筋コンクリート造でも建築できます。また、鉄骨鉄筋コンクリート造は、個人が経営する規模のマンションにはコストに見合わないことがほとんどです。
またコンセプトがない限り、専有部分のデザインや内装は、シンプルなものの方がかえって喜ばれることが多いです。入居者の利便性を確保した上で、より一般的に好まれやすい仕上げを選択しましょう。
マンションの建築費を抑えたい場合は、プランの提案を受けた後に「VE提案」をしてみましょう。
VE提案とは、Value Engineering提案の略で、元の品質や機能を落とさずにコストを削減することです。代替品の導入や、資材のグレードの見直し、工期の短縮などによって、建築費の値引きをしてもらいます。
- VE提案を受ける時も、費用の内訳をしっかりチェックしましょう!
\建築費は?初期費用は?/
マンション建築に関するQ&A
この章では、マンション建築に関する以下のよくある質問についてお答えします。
- 建築費用はどうやって捻出するべき?
- マンションとアパートの違いは?
建築費用はどうやって捻出するべき?
マンションを建てる際、多くの方が「アパートローン」を借り入れて資金を調達します。
アパートローンとは、不動産投資を対象としたローン商品で、アパートやマンションなどの賃貸物件の購入・建築に利用できます。
アパートローン借入のための審査には、金融機関にマンション経営の「事業計画書」を提出します。事業計画書を作成するためには、マンション経営の収入や返済期間等を想定した資金計画を立てる必要があります。
余裕を持ってローンの返済を続けていくためには、建築費用の10~30%程度の自己資金を用意した上で、融資を受けるのがおすすめです。
マンションとアパートの違いは?
建築基準法では、マンションとアパートの明確な違いは定められていません。
アパートとマンションは不動産業界内での分類の違いであり、主に2~3階建ての物件が「アパート」、それ以上の階数の物件が「マンション」として入居者の募集がされていることが一般的です。
また、構造によって分類されていることもあります。「アパート」と呼ばれている物件は、木造やプレハブ造、軽量鉄骨造のものが一般的です。これに対して、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造の物件が「マンション」と呼称されていることが多いです。
事前準備を徹底して理想のマンションを建築しよう
理想のマンションを建築するには、事前準備を徹底しておくことが大切です。マンション建築にかかる費用の把握やエリアごとのニーズの確認、建築可能な規模などは、事前にチェックしておく必要があります。
事前の準備が正しくできていないと、マンション建築で損をするだけではなく、経営開始後に収益が生み出せず、損失が出てしまうこともあります。収益化を図って資産形成をするためにも、マンション建築は念入りな準備をしてから臨みましょう。