相続などによって土地を所有しているものの、面積が狭く、どのように活用すればよいか頭を悩ませている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
面積が15~20坪以下の「狭小地」であっても、アパートを建てて賃貸経営することは可能です。
ただし、建築したアパートの経営がうまくいくかどうかは、土地の立地や、入居者のニーズを捉えたアパートづくりができるかどうかにかかっています。
この記事では、狭小地におけるアパート建築の事例やポイント、狭小地でのアパート経営のメリット・デメリット、狭小地のその他の活用方法について解説しています。お手持ちの土地を活かす方法を知りたい方は、是非最後までご覧ください。
狭小地・変形地でもアパートは建築できる
冒頭でもお伝えした通り、狭小地であってもアパートの建築自体は可能です。ただし、ただアパートを建てるだけでは、賃貸経営はうまくいきません。
20坪あればアパートを建築できる
土地の敷地面積が15~20坪程度あれば、アパートを建てることは十分に可能です。
土地の建築規制にもよりますが、総部屋数4戸の2階建てアパートが建てられるアパートの目安です。1戸あたりの専有面積は広くても4~6坪と限られるため、学生や新社会人などの単身者向けのアパートになります。
容積率の緩い土地であれば、3階・4階と高く建物を建てれば、総部屋数を増やして、土地の収益性をより高められます。
狭小地は土地の形状が三角形や台形のような変形地であるケースも多いですが、そのような場合であっても、間取りの設計を工夫すればアパートを建てられます。
ただし、旗竿地の場合はアパートを建てられるのは土地の「旗」の部分になることに注意が必要です。アパート建築を計画するにあたっては、まずは旗部分の敷地面積や、そもそも土地が「接道義務」を満たしているかどうかを事前に確認しましょう。
アパートの建築にかかる費用について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
狭小地でのアパート建築事例
実際に、20坪程度の土地にどのようなアパートが建てられるか、建築事例を見てみましょう。
【例1】木造2階建てのアパートの建築事例
- 土地面積:約20坪
- 構造:木造従来工法
- 用途:共同住宅
- 戸数:1棟4戸
- 間取り:1K(18㎡/戸)
約20坪(約65㎡)の狭い土地であっても、木造の従来工法を採用してアパートを建築できます。
従来工法は間取りや建築プランの自由度が高いため、狭小地であっても柔軟にアパートを建築しやすいという特徴があります。
【例2】木造3階建てのアパートの建築事例
- 土地面積:約15坪
- 構造:木造枠組壁工法(ツーバイフォー)
- 用途:共同住宅
- 戸数:1棟6戸
- 間取り:1R(14㎡/戸)
約15坪(約50㎡)の土地は、1戸あたりの専有面積の確保が難しいですが、3階建てにすることで土地の収益性を高めることができます。
ただし、3階建てのアパートが建てられるかどうかは、土地の建築規制が関わります。用途地域や防火地域の指定、建ぺい率・容積率の指定によっては3階建ての建物の建築に適さないため、事前に所有地の建築規制を確認しておきましょう。インターネットなどで簡単に調べることができます。
木造枠組工法(ツーバイフォー工法)は、規格化された2×4サイズの木材で枠組みを作り、そこに構造用の合板を釘打ちして、面で建物を支える工法です。費用が安く、工期が短いことが特徴です。複雑な設計デザインの建築はできませんが、シンプルな間取りの狭小アパートであれば対応可能です。
土地の面積・形状によって適した設計・工法は異なるため、ご自身の土地でアパートを建てるプランを知りたい方は、建築会社に相談してみましょう。
15~20坪の土地でアパート建築を検討している方は、以下の記事もご参考になります。
経営が上手くいく狭小地のアパートの特徴
狭小地でも経営を成功させているアパートには、以下のような特徴があります。
- 都心部・大都市部にあるアパート
- 周辺物件と差別化ができているアパート
都心部・大都市部にある
都心や大阪・名古屋・福岡などの大都市の主要駅から徒歩10分圏内のアパートや、繁華街やオフィス街近辺のアパートであれば、立地や利便性を重視する人の需要が高く、満室経営しやすいです。特に家の外で過ごす時間が長く、アパートの部屋には眠りに帰るだけというような人は、立地や利便性を最重視しています。部屋が多少手狭であったり、水回りやキッチンに不便さがあったとしても入居が決まりやすい傾向があります。
また都心部でなくても、近くに企業のオフィスや工場、大学・専門学校がある場合、そこに勤務・通学する人の入居が見込めます。
反対に、中心地を離れると、賃貸する住宅に部屋の広さや生活の利便性を求める人が増えるため、競合物件が多いと手狭なアパートは選ばれにくくなっていきます。
周辺物件と差別化ができている
周辺物件との差別化ポイントのあるアパートは、入居者を呼び込みやすく、経営が成功しやすいです。狭小地に建てるアパートは、建てられる建物の規模の都合上、入居者のターゲットが単身者に限られてきます。立地調査を行って更に詳細にターゲット層をイメージしましょう。
狭小地の場合は居住空間を広く設計するのには限界があるため、宅配ボックスや無料インターネット、浴室乾燥、IoTの導入など、住宅設備を充実させるのもおすすめです。
導入する住宅設備や機能を考える際には、アパートにコンセプトを設けることで、差別化ポイントを決めやすくなります。
具体的な差別化のポイントの例は、以下の通りです。
- 女性が安心して住めるアパート⇒セキュリティ設備を強化する、浴室乾燥や屋内物干し設備を導入する、外から1階部分のベランダが見えないようなデザインにする、など
- 楽器の演奏ができるアパート⇒防音機能のある床材・壁材を使用する、防音室を設置する、など
- ペットと住めるアパート⇒防音・防臭機能のある建材を使用する、耐久性の高い壁紙を使用する、屋外に洗い場を設ける、など
以上はあくまで一例です。立地や入居者像をしっかりとリサーチした上で、どのようなアパートを建てるか計画していきましょう。
以下の記事もご参考になります。
アパートを建築する可能性が出てきたら、複数の企業の建築費用の見積もりを比較しましょう。アパートの建築費用はどのような設計・工法で建てるかによっても異なるため、建築プラン次第では収益が1,000万円以上変わることもあります。
建築費がいくらまでなら収益性の高いアパート経営ができるのか、アパート経営以外に適した土地活用方法があるのか、気になる疑問点を土地活用のプロである建築会社に相談してみましょう。
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狭小地でのアパート建築のメリット
狭小地であってもアパートを建てて経営するメリットには、以下の4点が挙げられます。
- 初期費用を抑えられる
- 人気エリアでも土地代が安い
- 土地から得られる収益が大きい
- 土地にかかる税金が安い
初期費用を抑えられる
狭小地でのアパート建築は、建築工事にかかる費用が安くなる分、アパート経営にかかる初期費用が抑えられます。
賃貸住宅の建築費は一般的に、建築する建物の延床面積や総戸数によって決まります。狭小地にアパートを建てる場合、当然建物の規模は小さくなるため、アパート建築にかかる建築費用を比較的安く抑えることができます。
少ない自己資金でアパート経営を始めやすいだけでなく、自己資金割合を高めて経営のリスクを抑えることも可能です。
人気エリアでも土地代が安い
アパート経営を土地の購入から始める場合、狭小地は土地代が安いため、土地購入にかかる費用を抑えられるというメリットがあります。
土地の売買価格は、基本的に面積に比例します。さらに、狭小地や変形地は利用のしづらさもあいまって、同じエリアの整形地に比べると坪単価が割安に取引されるケースが多いです。
特に、都心部の土地は年々高騰していますが、狭小地であれば比較的安く入手できる可能性があるのは魅力的なポイントです。
土地にかかる税金が安い
狭小地は、同じエリアの他の土地に比べて、土地を所有していることで課せられる税金が安いというメリットがあります。
土地を所有していると、毎年固定資産税や都市計画税が課せられます。
固都税は、1㎡あたりの土地の評価額に面積をかけ合わせて算出された「固定資産税評価額」に基づいて課税されるため、土地面積が小さければ、その分課税額は抑えられます。
また、土地の相続時にかかる相続税も、課税ベースとなる相続税評価額が面積に応じて決まるため、税金が発生する場合、金額を比較的安く抑えられる可能性があります。
土地から得られる収益が大きい
アパートやマンションといった賃貸住宅の経営は、コインパーキングやトランクルームといった他の土地活用方法よりも高い賃料設定ができるため、多くの収益が得られます。
特に、賃貸需要の高いエリアなら、小さなアパートでも家賃を高く設定できます。アパートの賃料相場は周辺物件の家賃に大きく左右されます。入居者が見込めるのであれば、狭小地のアパートであるからといって、家賃を下げる必要はありません。
狭小地でのアパート経営は初期費用や税金などの維持費を抑えやすいというメリットもあるため、高利回りでのアパート経営を目指すことができます。
狭小地でのアパート建築のデメリット
狭小地でのアパート建築にはメリットがある一方で、デメリットもあります。
- 坪単価は高くなりやすい
- 規格化アパートを建てにくい
- 入居者の入れ替わりが起きやすい
メリットとデメリットを天秤にかけ、デメリットが重いと判断される場合には、アパート経営以外の土地活用方法を検討してみましょう。
坪単価は高くなりやすい
狭小地にアパートを建てる場合、費用の総額は安くなる一方で、建築費の坪単価は高くなりやすい傾向があります。
坪単価とは、実際アパートを建てるのにかかった費用を1坪あたりの金額に直したものです。主に、建築費の相場感の把握に用いられます。
狭小地でのアパート建築は、建築資材の調達や搬入にかかるコストが割高になります。大きな重機が進入できない土地であれば、残存家屋を手壊ししたり、作業員が直接資材を運び入れたりと作業にかかるコストも増えるため、これも建築費が割高となる要因です。
また、住宅がひしめいているような建築規制が厳しい土地では、各部屋の専有面積を広く設計できず、賃貸できる面積あたりの建築費坪単価が割高になってしまうという側面もあります。
規格化アパートを建てにくい
狭小地では、アパート建築の「規格化プラン」が適用できない可能性が高いです。
建築会社の多くは、アパートの間取りやデザイン・仕様をある程度規格化することで、廉価にアパート建築できるプランを用意しています。
しかし、10~20坪程度の土地や変形地には、規格化プランで予め用意されている設計が入りきらないケースが多いです。規格化プランが適用できなければ、アパートの設計がオーダーメイドになるため、建築にかかる費用がかさむ要因となります。
規格化プランが適用できたとしても、アレンジが必要となって追加費用がかかったり、重機の進入ができず建築費や工期がかさんだりと、規格化プランによる低コスト化のメリットを受けづらいことが多いです。
入居者の入れ替わりが起きやすい
狭小地に建てるアパートは、1戸あたりの専有面積も狭くなってしまいがちであるため、入居者の入れ替わりが起きやすい傾向があります。
各部屋の専有面積が6坪以下のような狭小アパートは、進学や就職のために引っ越しをする若者世代の単身者が入居者層の中心を占めます。卒業や収入の増加をきっかけに退去する人が多いため、平均的な入居期間は短めです。
また、立地を重視して部屋を貸借したものの「実際に生活してみると思ったよりも手狭で不便だった」と感じて、早期に退去してしまうケースもあります。
退去が発生する度に部屋の清掃や修繕の費用がかかるだけでなく、総戸数の少ないアパートは空室リスクが高いため、アパート経営を円満に続けるためには、単身者向けの住宅設備を導入するなどして1人あたりの入居期間をできる限り伸ばしたり、適宜適切に空室対策を取っていく必要があります。
狭小地でできる土地活用方法5選
所有している狭小地がアパート経営に向いていないのであれば他の活用法も検討する必要があるでしょう。
この章では、狭小地でも始めることができる以下の土地活用方法を紹介します。
- 戸建賃貸経営
- コインランドリー経営
- コインパーキング経営
- 自動販売機の設置
- 野立て看板の設置
戸建賃貸経営
戸建て賃貸経営とは、一戸建ての物件を賃貸物件として貸し出し、家賃収入を得るという、土地活用方法です。
戸建て賃貸経営は立地によって経営が左右されにくく、競合が少ないという特徴を持っています。
また、ターゲットが単身ではなく、ファミリー層になり、一度、借り手がつけば長い期間、収益が見込めます。借り手がその物件を気に入れば、売却も視野に入れることができます。
戸建賃貸については以下の記事で詳しく解説しています。是非、ご参考にしてみてください。
コインランドリー経営
コインランドリー経営はニーズのある土地であれば、狭い土地や、地形が変形した土地でも始めることができます。
コインランドリー経営を始めるためのランニングコストが低く、利回りがおおよそ8~10%となっており、他の活用方法と比べて高いことも特徴といえます。
ニーズのある土地で、一度、利用客を確保してしまえば一定の収入が入ってくるため、管理に手間をかけず、土地活用をしたい人に向いています。
コインランドリー経営について以下の記事で詳しく解説しています。是非、ご参考にしてみてください。
コインパーキング経営
コインパーキング経営とは、更地にコインパーキングを作って経営し、そのコインパーキングの利用料金が自分の収益になる土地活用方法です。
他の活用方法に比べて、初期費用がかなり少なく、地方でも需要があればコインパーキング経営ができることが特徴でしょう。
駐車スペースに1台あたりに2.5m×6.0mの広さを確保できれば経営を始めることができるので、狭小地にも向いている土地活用方法です。1台からでも始めることができるので本当に狭い土地を活用したい人も一度検討してみてもいいかもしれません。
コインパーキング経営について以下の記事で詳しく解説しています。是非、ご参考にしてみてください。
自動販売機の設置
駐車場のスペースも確保できない狭い土地は自動販売機を設置する土地活用方法がおすすめです。
自動販売機を設置する場合、業者に土地を貸して利益を得る方法と、自動販売機を買い取って自分で設置・管理する方法の2パターンがあります。どちらのパターンでも、自動販売機の設置で得られる利益は、多くて数万円~数千円となっているため、あまり多くの利益は見込めません。
また、一般的な自動販売機のサイズは高さ180㎝、奥行きが90㎝となっています。自動販売機も設置できない狭い土地であれば売却も視野に入れていいかもしれません。
野立て看板の設置
田舎の狭小地であれば野立て看板を設置する土地活用方法もあります。
野立て看板を始めるには、大きな道路沿いの土地や車の通りの多い地域であることが必要でしょう。
地面から看板を立てるため、安全に施工を始めることができます。しかし、通行する車や人に対して考慮した置き方をしなければならないことやいたずらされる可能性があることを念頭において設置を検討しましょう。
10坪程度の狭小地の土地活用については、以下の記事でも解説しています。
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活用事例:杉並の活用事例





エリア | 東京都 |
土地面積(㎡) | 140 |
延べ床面積(㎡) | 230 |
工法 | 木造2×4工法 |
建築費用(円) | 8,000万 |
狭小地での土地活用方法で悩んだらプロに相談
この記事では、狭小地でのアパート建築の事例やポイント、メリット・デメリットについて解説してきました。
狭小地であっても、15~20坪程度の敷地面積があれば、アパートを建てて経営することは十分に可能です。
特に、都心部や大都市の主要駅から徒歩10分圏内の土地、繫華街やオフィス街の近辺の土地は、狭小地の小さなアパートであっても入居者を呼び込みやすく、アパート経営に適しています。
アパート経営で十分な収益が望めなさそうな土地の場合は、他の土地活用法を検討してみましょう。アパート経営以外にも、様々な方法で、所有地を活用することが可能です。
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