土地にアパートを建てることを考えたときに、一番イメージしやすいのが2階建てのアパートではないでしょうか。
この記事では土地に2階建てのアパートを建てるときの費用の相場やシミュレーション、実際のアパートの建築事例、建築費を抑える方法について解説します。
2階建てアパート建築を検討している方は、ぜひご参考にしてください。
2階建てアパート建築費はいくら?
50坪の土地に2階建ての木造アパートを建てる費用の目安は、5,772万円~8,190万円ほどです。
この章では、2階建てのアパートを建築するときの坪単価や建築費用のシミュレーションをわかりやすく解説します。
アパートの建築には、以下の記事もご参考にしてください。
アパートの構造で建築費の相場が変わる
アパート建築にかかる費用を考える上でまず知っておきたいのは、アパートは建物の構造によって相場が変わるということです。
2階建てのアパートに用いられる構造は、木造または軽量鉄骨造が主流です。
主な建物の構造の特徴について以下にまとめました。
建物の構造 | 特徴 |
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木造(W造) |
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鉄骨造(S造) |
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鉄筋コンクリート造(RC造) |
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鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造) |
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木造は安価で建設にかかる期間も短いため、2階建ての賃貸アパートに最もよく使われる構造です。また、間取りを広く取れる鉄骨造(軽量鉄骨造)もよく用いられます。
構造別の坪単価相場
建物の建築費を坪数ごとに表したものを「坪単価」といい、建築費の相場を見るときによく用いられます。
建物の構造別の坪単価相場は以下の通りです。
建物の構造 | 坪単価相場 |
---|---|
木造 | 74万円~105万円/坪 |
軽量鉄骨造 | 80万円~105万円/坪 |
重量鉄骨造 | 90万円~120万円/坪 |
鉄筋コンクリート造 | 95万円~125万円/坪 |
(※イエウール編集部調べ)
坪単価相場は、他にも建築を施工する地域によっても細かな差がありますが、構造によって以上のような違いがあります。
アパート建築にかかる費用の内訳
アパートの建築には、建物そのものの工事にかかる費用(本体工事費)以外にも付帯工事費や諸費用がかかります。
アパート建築に関するそれぞれの費用について、以下に概要をまとめました。
建築にかかる費用の内訳 | 概要 |
---|---|
本体工事費 | 建物そのものの工事にかかる費用。建物の基礎部分や外壁、内装、浴室・トイレなどの設備の工事費用。 |
付帯工事費 | 建物の建築に付随して必要となる工事の費用。給排水管や電気・ガス管の引き込み工事や庭や駐車場などの外構工事、整地や地盤改良工事等にかかる費用。 |
諸費用 | 税金や登記費用、ローン手数料、保険料等。 |
アパート建築の予算にを考えるときは、本体工事費以外にも費用がかかることを念頭に置いておく必要があります。
先ほど紹介した「建築費の坪単価」は、一般的には本体工事費の坪単価を表しますが、建築会社によっては付帯工事費を含んでいたり、工事費用の内訳が異なる場合があるため、見積もりを見る際は必ず明細を確認しましょう。
なお、付帯工事費は本体工事費の20%、諸費用は本体工事費の10%程度かかると言われています。
アパートの建築費について、より詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。
【構造別】初期費用シミュレーション
アパートの建築費を試算するには、「坪単価×延べ床面積」で計算します。
たとえば、延べ床面積が60坪の2階建てアパートの建築費(本体工事費)と初期費用の総額の目安は以下のようになります。
アパートの構造 | 費用 |
---|---|
木造 (坪単価:75万円) |
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軽量鉄骨造 (坪単価:80万円) |
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鉄筋コンクリート造(参考) (坪単価:120万円) |
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延べ床面積は、建物の各階ごとの床面積を合算した数値のことです。2階建てアパートの場合は、1階と2階の床面積を合算したものになります。
ただし、土地には建ぺい率の上限が指定されているため、敷地面積いっぱいにアパートを建てることはできません。
たとえば指定建ぺい率が60%の場合、敷地面積が50坪の土地なら建坪30坪・延べ床面積60坪のアパートを、敷地面積が100坪の土地なら建坪60坪・延べ床面積120坪のアパートまで建築可能です。
- 建ぺい率ついては、後の章で詳しく解説します。
なお、実際に2階建てのアパートを建築したユーザーへのアンケートによると、おおよそ8,150万円かかった(※)というデータがあります。
建てるアパートの構造によって建築費も大きく異なりますが、2階建てのアパートを建築するときの建築費の目安として、ご参考にしてみてください。
土地の坪数ごとにかかるアパート建築費について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
活用事例:SCENA Palazzo(シエーナ・パラッツォ)

間取り・内装はオーナー様のご希望から収納を沢山設け、ウォークインクローゼットもつけました。またキッチンにはワークトップが人工大理石で奥行90cmのフルフラット対面キッチンを設置しました。
(大和財託株式会社の土地活用事例)
2階建てアパートの建築事例と体験談
この章では、実際に2階建てアパートを建築した事例と体験談をご紹介します。
例①:木造2階建てアパート
- 性別:男性
- 年齢:20代
- 坪数:100坪
- 建築費:5,000万円
- 構造:木造
- 部屋数:8部屋
- 目的:収益性の高い事業として魅力的だったから
- こだわりのポイント:できるだけ駅から近い立地にすることで、入居者を確保しようとした
施主のこだわりとして、入居者確保のしやすさを第一に考え、できるだけ駅から近い立地を選んだそうです。
投資目的でアパート経営を始めるのであれば、初期費用を抑え、できるだけ空室を減らして収益性を高めることが望ましいです。
この事例では、アパート本体の建築費を抑えるために坪単価の安い木造建築を選び、空室のリスクの少ない駅から近い立地を選んでいて、適切な手法で不動産投資を行えていると言えます。
新築アパートへの投資に関しては、以下の記事もご参考になります。
例②:鉄骨造2階建てアパート
- 性別:男性
- 年齢:30代
- 坪数:120坪
- 建築費:1億2,000万円
- 構造:鉄骨造
- 部屋数:12部屋
- 目的:使っていない土地を活用するため
- こだわりのポイント:1Kと1LDKの間取りを組み合わせることで、幅広いニーズに対応した
施主のこだわりとしては、幅広いニーズに応えたいという想いから、1Kや1LDKの間取りを組み合わせたそうです。
たとえばワンルームや1Kの間取りのアパートの多いエリアであれば1LDKの間取りの部屋を設けてみることで、エリア内で「もう少し広い部屋に住みたい」というニーズに応えられるようになり、周辺物件と差別化できます。
周辺物件にはない特色があるアパートは築年数が経ってからもアピールポイントが残るため、退去があった後も再び入居者を見つけやすくなります。また、部屋を12戸設けることも、空室リスクの分散と安定した家賃収入に繋がっています。
部屋数を増やすと、その分建築費は増えてしまいますが、満室時の家賃収入も増えるだけでなく、空室が出た際に減収する割合を抑えられるため、アパート経営を始めるときは、できる限り部屋数を確保することを意識してアパートを建てるのがおすすめです。
アパートを建てる構造を迷っている方は、以下の記事もご参考にしてください。
例③:RC造2階建てアパート
- 性別:女性
- 年齢:20代
- 坪数:100坪
- 建築費:1億円
- 構造:鉄筋コンクリート造
- 部屋数:6部屋
- 目的:相続税対策として有効な手段だったから
- こだわりのポイント:ペットと一緒に暮らしたいという需要に応えるような間取りや入居条件を設定した
相続税対策のために、100坪の土地に約1億円の建築費をかけて、鉄筋コンクリート造の6部屋2階建てアパートを建築した事例です。
施主のこだわりとして、ペットと一緒に暮らしたいという需要に応えたいという想いから、入居条件を緩和し、ペットと暮らせる間取りを作ったそうです。
土地に賃貸住宅を建てると、土地の相続税評価額が減額されたり、現金を不動産に換えられるため、相続税の節税効果があります。さらに、建てたアパートから家賃収入を得ることで、本業とは異なる収入源を持つことができます。
ただし、アパートの空室が多ければ土地の評価減の効果が薄くなるだけでなく、家賃収入が十分に得られなければローンの返済をし続ける難しくなります。
今回のケースのアパートがペットオーナー向けの住宅として設計されているように、入居者をきちんと呼び込めるようなアパートづくりを心がけましょう。
また、今回のケースではRC造で2階建てアパートを建築していますが、初期費用をかけすぎてしまっても、ローンの返済が立ち行かなくなることがあります。
アパートの建築を計画する際は、必ず長期的な収益のバランスも考慮に入れて検討しましょう。
アパート建築費の相談はイエウール土地活用
アパートの建築を考え始めたら、複数社の建築費用の見積もりを比較しましょう。
アパートの建築にかかる費用は、設計や工法によって大きく異なります。依頼する企業によって、収益が1,000万円以上変わることもあります。
建築費がいくらまでなら収益性の高いアパート経営ができるのか、気になる疑問点があれば、建築会社に相談してみましょう。
イエウール土地活用なら土地の所在地を簡単に入力するだけで、複数の大手ハウスメーカーの見積もりをまとめて取り寄せできます。
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3階建てのアパートは建てられる?
アパート経営は、住戸の数が増えるほど家賃収入を増やすことができます。
また、住戸の数を増やすことで空室リスクの軽減も可能です。たとえば住戸数が4戸のアパートで1戸が空室になると、全体の25%が空室の状態になってしまいますが、10戸のうちの1戸であれば空室割合は10%まで抑えられます。
土地の面積には限りがあるため設けられる住戸の数には限りがありますが、アパートの階数を増やすことで、更に多くのお部屋を確保できる可能性があります。ただし、3階建てのアパートを建てられるかどうかは土地の建築規制等が関係します。
この章では、3階建てアパートを建てられるか、また3階建てのアパートをで建てるべきかといった事柄について解説していきます。
そもそも建てられない土地がある
土地によっては、そもそも3階建て規模のアパートを建てることが現実的ではない場合があります。
土地には無秩序な開発が行われないように、様々な建築規制がかけられています。
たとえば、戸建て住宅が多く立ち並ぶエリアは、一帯の住環境を守るために、「第一種低層住居専用地域」「第二種低層住居専用地域」という用途地域が指定されていることが多いです。
第一種・二種低層住居専用地域の土地は、高さ10mまたは12mまでの建物しか建てられません。建ぺい率・容積率の制限も厳しく、3階建てのアパートを建てるのが難しいケースが多いです。
その他にも、隣地や道路と境界に応じて、斜線制限など、建築物の設計に規制を受けます。
高さ規制 | 内容 |
---|---|
絶対高さ制限 | 地域の住環境を確保するための制限。第一種・第二種低層住居専用地域では、10mまたは12mまでの建物しか建てられない。 |
道路斜線制限 | 土地の前面道路の日照を確保するための制限。 |
隣地斜線制限 | 隣地の日照や住環境を確保するための制限。 |
北側斜線制限 | 土地の北側の建物の日照を確保するための制限。 |
日影規制 | 周辺地域の日照環境を守るための制限。冬至の日を基準に、建物によってできる日影が一定時間以上周辺の土地にかからないように高さを制限する。 |
2階建てアパートを建てる場合は高さ制限には該当しない可能性が高いですが、3階建て以上の建築を検討する場合は考慮する必要があります。
実際にご自身の土地に建てられるアパートを検討したい方は、複数の建築会社に相談して、簡単な建築プランを提示してもらうのがおすすめです。企業によってアパートのデザインは様々なので、比較することで、よりイメージしやすくなるでしょう。
建ぺい率・容積率
市街地の土地は、指定建ぺい率・容積率によって建てられる建物の規模に制限が設けられています。
建ぺい率 | 敷地に対して建物が建っている割合のこと。 敷地面積100坪の土地に建築面積(1階の床面積)60坪の建物が建っている場合の建ぺい率は「60坪÷100坪×100=60%」です。 |
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容積率 | 敷地に対する建物高さの割合のこと。 敷地面積100坪の土地に延べ床面積200坪の建物が建っている場合の容積率は「200坪÷100坪×100=200%」です。 |
2階建てのアパートの場合は、指定容積率を消化しきれないケースも多いですが、3階建て以上の建物を建てる場合には、建ぺい率と容積率の両方の制限を満たす設計になるように気をつける必要があります。
たとえば、建ぺい率の上限が60%・容積率200%のエリアの50坪の土地の建築面積の上限は「50坪×60%=30坪」、延べ床面積の上限は「50坪×200%=100坪」です。
建築面積の上限いっぱいに2階建てのアパートを建てる場合の延べ床面積は「30坪×2階=60坪」、3階建てのアパートを建てる場合の延べ床面積は「30坪×3階=90坪」で、延べ床面積の上限内に収まります。
しかし、同じ建築面積で4階建てのアパートを建築しようとすると「30坪×4階=120坪」で、延べ床面積の上限を上回ってしまいます。
そのため、3階建てまでのアパートを建築するか、建築面積を抑えて4階建てのアパートを建てるかを選ぶことになります。
防火地域の場合はコストが上がる
市街地の土地には、用途地域とは別に「防火地域」に指定されているエリアもあります。
防火地域や準防火地域に建てる建物は、規模に応じて、耐火建築物または準耐火建築物として建築する必要があります。
地域 | 建築基準 |
---|---|
防火地域 | 3階建て以上または延べ床面積が100㎡(約30坪)を超える建物は耐火建築物、その他の建物は準耐火建築物以上にしなければならない。 |
準防火地域 | 3階建て以上または延べ床面積500㎡(約151坪)を超える建物は耐火建築物または準耐火建築物以上にしなければならない。 |
耐火建築物とは、主に鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の建物を指します。しかしながら、木造や鉄骨造であっても、主要構造部分の「耐火被覆」などを行えば、耐火建築物として建築できます。
ただし、建築費は延べ床面積からのシミュレーションよりも割高になる可能性があります。
コストを抑えて高利回りのアパート経営を行いたい方は、2階建てアパートに留めておくのがおすすめです。
収益性を上げたいなら3階建てを検討する価値あり
最適なアパートの設計は、所有している土地の条件やアパートの経営目的によって異なります。アパート建築についてお悩みのある方は、まずは建築会社に相談してみましょう。
イエウール土地活用なら土地の所在地を入力するだけで、複数の大手ハウスメーカーから、建築プランの提案を受けられます。
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2階建てアパートの建築費を抑える方法
アパート経営を成功させるコツは、建築費を抑えてアパートの収益性を高めることです。
この章では、2階建てアパートの建築費を抑える方法を解説します。
- 規格化されたプランで建てる
- 設計施工一貫方式で建てる
- 設備や内装をシンプルにする
- 複数社のプランを比較する
規格化された設計プランで建てる
賃貸アパートの建築を請け負うハウスメーカーは、規格化されたアパートの設計プランを用意していることが多いです。
予め用意されているプランを利用すると、一から設計を依頼する場合に比べて安くアパートを建てられます。これは、ハウスメーカーが設計プランの規格化によって建材をまとめて確保できるようになり、コストを削減できるからです。
また、一から設計を依頼するよりも短い期間でアパートを建てて賃貸経営を始めることもできます。
ただし、標準的な仕様に変更を加えようとすると、費用がかさんでしまうことには注意しましょう。
設計施工一貫方式で建てる
土地の形状などの関係で用意されている設計プランを利用できない場合でも、ハウスメーカーに設計から施工までを一貫して任せる「設計施工一貫方式」でアパート建築を発注すると、設計料を抑えてアパートを建築できます。
アパートの設計は設計事務所に、建築工事は工務店等に依頼する「設計施工分離方式」の建築費の5~15%程度かかる一方で、設計施工一貫方式なら設計料を1~5%程度に抑えられます。
設備や内装をシンプルにする
建てるアパートの住宅設備や内装はできる限りシンプルにすることを意識しましょう。住宅設備は戸数の分だけ設置しなければならないため、グレードの高いものを導入しようとすると費用がかかります。まずは、必要最低限のものを備え付けるようにするのがおすすめです。入居者に対して売りになるような設備の導入は、予算にゆとりが出た場合に検討しましょう。
シンプルな内装にすることで、費用を抑えられるだけでなく、どんな入居者にも利用してもらいやすい部屋に仕上げられるというメリットもあります。
複数社のプランを比較する
建築プランを複数の会社に請求して見積もりを取得することも、アパートの建築費を抑える上で重要です。1社のみにしか相談していないと、出してもらった見積もりが高すぎたり安すぎたりしても気づくことができません。
複数社の見積もりを比較することで相場感をつかめれば、減額提案もしやすくなります。
複数社に見積もりを依頼するときは、「イエウール土地活用」の一括見積を利用するのが便利でおすすめです。以下のフォームよりご利用いただけます。
\建築費は?初期費用は?/
アパート建築を依頼できる会社については、以下の記事もご参照ください。
2階建てアパート建築はイエウール土地活用にご相談を!
2階建てのアパートの建築費は、アパートの構造と規模によって異なります。
イエウール土地活用のアンケートによると、実際にかかった建築費の平均はおおよそ8,150万円でした。
アパートは構造によって、坪単価や収益性、耐久性などが異なります。2階建てのアパートの場合は、木造や軽量鉄骨造で建築されるのが一般的です。
また、同じような構造・規模のアパートを建てる場合でも、建築を依頼する施工会社によって建築費は異なってきます。そのため、複数社の建築プランを比較することが重要です。
建築プランを比較するならイエウール土地活用の利用がおすすめです。イエウール土地活用では簡単な情報を一度入力するだけで、複数の会社に見積もりを一括で依頼できます。
是非イエウール土地活用を利用して、2階建てのアパートを建築しましょう。