アパートローンの申し込み時には「事業計画書」を提出する必要があります。
事業計画書は、金融機関がアパートローンの融資の可否や融資額を審査する上での参考資料となります。そのため、好条件でアパートローンの融資を受けるためには、ポイントを押さえて事業計画書上手に作成することが重要です。
スムーズにアパートローンの融資を受けるためにも、事業計画書についての理解を深めていきましょう。
アパートローンの申込みには「事業計画書」が必要
賃貸経営をする上で、多くの方が「アパートローン」を利用します。
アパートローンの申し込みには、「事業計画書」という書類を亭主しなければなりませんが、本業がサラリーマンの方にはあまり馴染みのないものかもしれません。
この章では、アパートローンの申し込みに必要な事業計画書について、簡単に基礎知識を解説します。
事業計画書とは
アパートローンの申し込みに必要な「事業計画書」とは、賃貸経営に関する事業計画の概要を説明する資料のことです。
副業であっても、不動産投資は立派な事業として扱われるため、事業目的や経営方針、賃貸物件の購入・建築にかかる総費用や想定家賃収入に基づく具体的な収支シミュレーション、返済のロードマップを示すことで、金融機関に融資の可否や融資額を判断してもらいます。
賃貸アパートの建築費については、以下の記事で詳しく解説しています。
事業計画書が必要な理由
アパートローンを提供している金融機関は、融資の申し込みに対して、貸付した資金がきちんと返済してもらえるかどうかを審査します。
貸し倒れのリスクを防ぐため、融資を行う賃貸経営の事業計画が実現可能なものであるかを判断する材料として参考にするのが、事業計画書です。
したがって希望額の融資を受けたい場合は、事業計画書はただ形式的に提出するのではなく、申込者本人が長期にわたる返済能力を有していることや、賃貸経営事業の健全性・収益性をしっかりアピールできるような資料を作成しましょう。
新築アパート経営のプランは、複数の企業の見積もりを比較して決めましょう。
アパートの建築費用は設計や工法によって大きく異なり、企業によって収益が1,000万円以上変わることもあります。「建築費がいくらなら収益性の高いアパート経営ができるのか」など、疑問点や不安を建築会社に相談してみましょう。
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アパートローン融資のための事業計画書の作り方
事業計画書には、決まった様式はありません。しかしながら、一から自分で作成するのは大変ですよね。
そこで、初めて事業計画書を作成する方は、以下の方法をご参考にしてください。
- テンプレートをダウンロードして活用する
- 金融機関の用意したものを使用する
- エクセルやパワーポイントを活用する
テンプレートをダウンロードして活用する
インターネット上で公開されている、事業計画書のテンプレートを活用すると、比較的簡単に事業計画書を作成できます。
たとえば、日本政策金融公庫のホームページから、事業計画書のテンプレートをダウンロードできます。(参考:日本政策金融公庫)
テンプレートを使用することで、必要事項を漏れなく記載できるため、説得力のある計画書を作成できます。
ファイルの書式は、不動産投資で使用するならエクセルデータのものを利用するのがおすすめです。
金融機関の用意したものを使用する
金融機関によっては事業計画書のテンプレートを用意していることもあります。
融資を申し込む金融機関のテンプレートを利用すると、審査に必要な内容を確実に記入できるため、作成時に不安を感じる必要がありません。
アパートローンの申し込みの際に各種書類や仕様はもらえるため、事業計画書のテンプレートがないか確認してみましょう。
エクセルやパワーポイントを活用する
事業計画書は、ご自身で作成することも可能です。アピールしたい部分を自由に強調できるため、独自性を出したい方や、賃貸経営に慣れてきた方はご自身で作成するのがおすすめです。
資料の作成には、エクセルやパワーポイントを活用するのがおすすめです。
特に、収支計画など数字を入力した表の作成は、エクセルを利用することで、見やすい資料に仕上げられます。パソコンスキルのある人なら、自分で一から事業計画書を作成するのもおすすめです。
事業計画書に記載するべき内容
アパートローンの申し込む際に提出する事業計画書には、以下のような内容を記載します。
- 申込者のプロフィールや資産状況
- 物件の概要
- 建築する建物の概要
- 賃貸物件のコンセプト
- 総事業費
- 賃貸経営の収支シミュレーション
できる限り具体性の高い情報を記載して、融資の審査を有利に進めましょう。
申込者のプロフィールや資産状況
賃貸経営を行うローンの申込者のプロフィールや、資産の状況を記載します。
プロフィールには、職業・年齢や勤務先、勤続年数、年収など返済能力や経営能力を示せるような内容を記入します。過去に不動産投資の実績があれば、そちらも記載しましょう。
資産については、預貯金の残高や株式・債権などの金融資産、積立型生命保険の加入状況だけでなく、自宅を含めて所有している不動産の評価額も記載しておきましょう。
また、住宅ローンや車のローンなど、借入残高があれば漏れなく記載します。
特に債務に関しては記入漏れがあった場合、金融機関からの信用を棄損してしまう恐れがあるため、しっかり確認しましょう。
物件の概要
購入する物件や建築予定地について、以下の内容を記載しましょう。
- 住所
- 面積
- 評価額(土地の路線価、固定資産税評価額、売買価格)
- 法令上の制限
土地や建物は、融資の際に金融機関の担保となるため、資産価値がわかるような内容を記載します。
建築する建物の概要
賃貸アパートやマンションを新築する場合は、建築予定の物件について、以下のような内容をまとめて記載しましょう。
- 建物の構造・設計
- 総戸数
- 間取り図(平面図)
- 工期
- 建築費用の見積もり
建築計画について説明することで、融資する費用の妥当性を判断してもらいます。
この他にも、賃貸物件の売りとなるような特別な設備や仕様があれば、記載しておきましょう。
賃貸物件のコンセプト
賃貸物件のコンセプトや入居者として想定しているターゲット層、賃貸経営の方針について、まとめて記載します。
「他の物件とどのように差別化を図っているか」という戦略や、周辺地域の賃貸市場を調査・分析したデータがあれば添えておくことで、事業計画がよく練られたものであることをアピールできるでしょう。
総事業費
土地・建物の購入費用や建築・リフォーム費用、登記費用などの諸費用すべてを合算した見積もり金額を記載します。
賃貸経営の収支シミュレーション
賃貸経営の想定収入と支出の項目と金額、さらに収支の合計(収益)を年単位でまとめた「収支計画」を作成して添付します。
収支計画は、融資の申込者が返済計画をきちんと立てられているかどうかを判断するポイントになります。
実際にかかる経費は、賃貸経営を始めてみなければわかりませんが、相場をよく調査した上でシミュレーションを行いましょう。
家賃収入に関しては、空室率も考慮しておきましょう。また、家賃設定が適切であることを示すために周辺相場をまとめた資料を添えておくと、より効果的です。
アパート経営で高収益を上げるには、建築費を適切な価格に抑えることが重要です。
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事業計画書の書き方に困った場合の対処法
事業計画書の書き方に困った場合に備えて、対処法を知っておきましょう。
- 身近な経営者に相談する
- セミナーに参加する
- コンサルタントを利用する
対処法を把握していると、書き方がわからなくなった場合でもスムーズに対応できます。
身近な経営者に相談する
身近に経営者がいて、事業計画書の作成経験があるなら、その人に書き方を相談してみましょう。親類や友人など、個人で事業をしている人がいるなら、計画書の書き方に詳しい場合もあります。もし身近にいない場合は、友人や知人のつてをたどって、経営者を紹介してもらうこともおすすめです。
セミナーに参加する
経営者向けのセミナーは数多く開催されており、事業計画書の書き方についても教えてもらえます。地域ごとにセミナーの実施数は異なるため、住んでいるエリアでの開催情報を調べておきましょう。
また、商工会によっては新規開業者向けに講習会を開いていることもあるため、これを利用するのもおすすめです。
コンサルタントを利用する
事業の開拓をサポートしているコンサルタントに相談して、書き方のアドバイスをもらうこともおすすめです。専門家に相談することで、悩みをスムーズに解決できます。コンサルタントによって支払う報酬額は異なるため、複数で比較して条件のよいものを選ぶとよいでしょう。
アパートローンの融資を受けやすくするには
アパートローンの融資を受けやすくするには、覚えておきたいポイントがいくつかあります。
- 審査に通りやすい物件を選ぶ
- 金融機関ごとの特徴を把握する
- 収入が高く安定しているときに申し込む
ポイントを押さえて、少しでも有利な状態でアパートローンの審査に臨みましょう。
審査に通りやすい物件を選ぶ
物件によって審査に通りやすいかどうかは異なるため、できるだけ有利になる物件を選ぶことが大切です。審査に通りやすいのは、収益性と資産価値の高い物件です。
立地がよかったり、築年数が浅かったりするなら、収益性が高いと判断してもらいやすいでしょう。また、物件の資産価値が高いほど、担保となる不動産の評価も上がるため、審査に通りやすくなります。
金融機関ごとの特徴を把握する
アパートローンの審査の基準は画一ではなく、金融機関によって異なります。そのため、金融機関ごとにどのような審査の基準があるのか、特徴を事前に把握しておくことが大切です。
アパートローンの融資を受ける際には、複数の金融機関に相談しても構いません。融資の相談をしながら、その金融機関がどのような基準に重きを置いているのかを確認し、より有利な条件で申し込めるところを選びましょう。
ローン返済額シミュレーター
試算条件(お借入金額、ボーナス返金元金、金利、返済期間)を入力していただくことで毎月のご返済額を概算します。
試算条件を入力し、「この条件でシュミレーションする」をクリックしてください。月額返済額が、画面下部に表示されます。
借入金額
万円
内ボーナス返済額
万円
借入れ金利
%
返済期間
年
ヶ月
※1年以上35年以内
想定年数経過後の借入残高
年後
※入力される年数経過後の借入残高を計算いたします。返済期間内でご希望の年数を入力ください。
[参考]アパートローン金利例
金融機関 | 固定金利 | 変動金利 |
---|---|---|
みずほ銀行 | 2.8~4.7% | 1~2.5% |
三井住友銀行 | 3.3~4.5% | 2.5~3% |
日本政策金融公庫 | 1.2~3% | なし |
毎月返済額
万円○○年後借入残高
万円※ローン返済額のシミュレーションは元利均等法に基づいて行われています。
※計算結果は簡易計算による概算金額です。
- 本当にシミュレーション通りの借入金額で大丈夫かな?
実際の建築費用の見積もりは坪数やアパートの材質だけでなく、建築会社の工法や設備のグレードによって大きく変動します。
建築費用が変動すると最初に必要となる借入金額も異なります。
建築費用の見積もりをとる際は、複数の建築会社で相見積もりをおこなって比較・検討をしましょう。
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収入が高く安定しているときに申し込む
審査の際には個人の属性も見られているため、収入が高く安定しているときのほうが、審査に通りやすいです。勤続年数が長かったり、年収が高かったりするなら、そのタイミングで融資の申し込みをしましょう。
もし転職の予定がある場合は、審査に通り、融資が完了してから転職することがおすすめです。先に転職してしまうと、収入が下がったり、安定性が低いと判断されたりするため、注意しなければなりません。
アパートを建てようか考えたとき、どのようにアパートを設計すればいいのか見当がつかないのではないでしょうか。
例えば2階建てにするか3階建てにするか、間取りの設計をどうするかについては土地の条件やアパート経営の目的によって変わります。
イエウール土地活用なら土地所在地を入力するだけで複数の大手ハウスメーカーから提案を受けることができます。
\建築費は?初期費用は?/
活用事例:木造重層アパート「グレイスペア」

木造2階建て、1LDKと2LDKの混合タイプの重層アパートです。使い勝手の良い間取りと、充実の人気設備で完成前に満室となりました。
(川木建設株式会社の土地活用事例)
事業計画書を作成するときの注意点
アパートローンの申請のために事業計画書を作成するなら、知っておくべき注意点が3つあります。
- 楽観的すぎる内容はNG
- ページが多くなりすぎないようにする
- 定期的に見直しを行う
注意点も把握して、失敗なく事業計画書を作成しましょう。
楽観的過ぎる内容はNG
事業計画書は事実を正確に記載する必要があるため、楽観的すぎる内容で作成するのはNGです。ポジティブな内容であるほうが審査では有利になりますが、リスクをまったく記載していないと説得力は下がります。
記載内容は客観的であることを意識して、ポジティブな内容だけではなく、実際に起こりえるリスクも正直に書きましょう。
ぺージが多くなりすぎないようにする
事業計画書は綿密に作成することが大切ですが、読みやすさも重視しなければなりません。そのため、ページが多くなりすぎないように、簡潔に記載することを意識しましょう。
ページが多すぎると読み手が疲れてしまい、細部まで目を通してもらえなくなる可能性があります。量が増えすぎないように、8ページまでの分量に抑えて、事業計画書を作成しましょう。
定期的に見直しを行う
事業計画は定期的に見直すことが大切であり、3年から5年ごとに内容を改めましょう。金融機関によって異なりますが、アパートローンは金利が変動するものもあります。
変動金利の場合は、常に金利が低いとは限りません。金利が高くなった場合に備えて事業計画は定期的に見直し、無理のない範囲で返済できるかをチェックしておきましょう。
事業計画書を通じて金融機関にアピールしよう
アパートローンを利用するなら「事業計画書」を作成して提出する必要があります。
事業計画書は、金融機関に融資の可否や融資額を判断してもらうための重要な資料です。
事業計画書に記載する内容によって、融資を受けられるかどうかが変わる可能性もあります。説得力のある事業計画書を作成して、好条件なアパートローンを組みましょう。