アパートなどの賃貸物件を購入・建築する際には「アパートローン」を利用して資金調達するのが一般的です。
賃貸経営の収支計画を立てるには、アパートローンの返済額をシミュレーションして考慮する必要があります。
無理なく返済していけるかどうか判断するためにも、まずはアパートローンの返済額をシミュレーションしてみましょう。
この記事では、月々のローン支払い額が簡単にシミュレーションできるシミュレーターをご紹介しています。また、返済額にかかわる返済期間や金利、返済方法や、アパートローンの借り入れ基準・返済のポイントについても分かりやすく解説しています。
アパートローンの基礎を学んで、賃貸経営の収支計画に活かしましょう。
アパートローンの返済シミュレーション
以下の「ローン返済額シミュレーター」を用いると、月々のローン返済額を簡易的にシミュレーションできます。サイト側に情報は一切保存されないため、お気軽にご利用ください。
ローン返済額シミュレーター
試算条件(お借入金額、ボーナス返金元金、金利、返済期間)を入力していただくことで毎月のご返済額を概算します。
試算条件を入力し、「この条件でシュミレーションする」をクリックしてください。月額返済額が、画面下部に表示されます。
借入金額
万円
内ボーナス返済額
万円
借入れ金利
%
返済期間
年
ヶ月
※1年以上35年以内
想定年数経過後の借入残高
年後
※入力される年数経過後の借入残高を計算いたします。返済期間内でご希望の年数を入力ください。
[参考]アパートローン金利例
金融機関 | 固定金利 | 変動金利 |
---|---|---|
みずほ銀行 | 2.8~4.7% | 1~2.5% |
三井住友銀行 | 3.3~4.5% | 2.5~3% |
日本政策金融公庫 | 1.2~3% | なし |
毎月返済額
万円○○年後借入残高
万円※ローン返済額のシミュレーションは元利均等法に基づいて行われています。
※計算結果は簡易計算による概算金額です。
- 本当にシミュレーション通りの借入金額で大丈夫かな?
実際の建築費用の見積もりは坪数やアパートの材質だけでなく、建築会社の工法や設備のグレードによって大きく変動します。
建築費用が変動すると最初に必要となる借入金額も異なります。
建築費用の見積もりをとる際は、複数の建築会社で相見積もりをおこなって比較・検討をしましょう。
イエウール土地活用なら、 最大で10社の建築費の見積もりを一括請求 することができます。
アパートローンの月々の返済額は、借入金額だけではなく、返済期間や金利によっても変動します。
たとえば、以下の条件でシミュレーションを行ってみましょう。
- 借り入れ金額:8,000万円
- 返済期間:20年
- 金利:3.675%
また、最終的な返済額は113,086,560円となります。
実際にアパートローンを利用する場合、融資の条件や金利などは金融機関によって異なるため、複数の商品を比較して自分に合ったものを選びましょう。
そもそもアパートローンとは
そもそも「アパートローン」とはどのようなローンなのでしょうか。この章では、アパートローンについて簡単に説明します。
融資の対象となるもの
「アパートローン」は事業用のローンの一種で、主に投資用のアパートやマンションなどの収益用不動産の建築・購入に利用されます。
アパートローンという名称ですが、アパートだけではなく、貸し店舗や戸建て賃貸にも利用できます。
アパートローンで借り入れた資金は、不動産の購入・建築費用以外にも、修繕費やリフォーム費用、保険料など様々な使途に用いることができます。
借り入れ限度額
アパートローンの借り入れ限度額は、一般的には年収の10倍程度までが目安といわれています。
ただし、申し込みをする金融機関によって異なります。また、保有資産の状況によっては、年収の30倍まで借入可能なケースもあります。反対に、年収が高かったとしても貯蓄が少ない場合は、希望額の融資が下りないこともあります。
アパートローンの融資はオーナーの年収以外にも、アパートの土地や建物(新築の場合は建築予定の建物)の資産性も評価の対象となります。
不動産としての単純な資産価値だけではなく、アパート経営による収益性も審査でチェックされます。収益性の高い物件ほど高額な融資を組みやすくなります。
さらに、既にアパート経営の実績のある方は、希望額の融資を通してもらいやすくなります。
住宅ローンとの違い
住宅ローンは、マイホームを建築・購入を目的として借り入れることができる不動産ローンです。
アパートローンよりも低金利で、長期間借り入れできるローンですが、使途がマイホーム購入に限定されているため、収益目的での不動産の購入・建築には利用できません。
自宅の購入であると偽って住宅ローンを借り入れると、発覚した際に一括返済を求められます。賃貸アパート・マンションの購入・建築には「アパートローン」を利用しましょう。
アパート経営を始める可能性が出てきたら、複数の企業にプランを提案してもらうことをおすすめします。なぜなら、アパート経営は建築費の見積もりや賃料設定など経営のプランによって将来の利回りも変わってくるからです。
建築費がいくらなら収益性の高いアパート経営ができるのか、利回りはどのくらいが適切なのか、気になるところを建築会社に相談してみましょう。
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アパートローンの返済計画を決めるもの
ここでは、アパートローンの返済計画に大きく関係する返済期間・金利・返済方法について解説します。
アパートローンの返済期間
アパートローンの返済期間は、以下の要素で決まります。
- 建物の法定耐用年数
- ローン完済時の年齢
法定耐用年数によって決まる
アパートローンの返済期間は、建築するアパートの法定耐用年数によって決められます。
アパートの法定耐用年数は、構造ごとに決まっており、構造ごとの法定耐用年数は以下の通りです。
建物構造 | 法定耐用年数 |
---|---|
木造 | 22年 |
骨格材の厚みが3mm以下の鉄骨造 | 19年 |
骨格材の厚みが3mm超4mm以下の鉄骨造 | 27年 |
骨格材の厚みが4mm超の鉄骨造 | 34年 |
鉄筋コンクリート造 | 47年 |
たとえば、木造のアパートを建築する場合、22年以内が返済期間の目安になります。
完済時の年齢が考慮されることも
アパートローンの返済期間は、完済時の年齢も考慮されることもあります。
特に団体信用生命保険に加入する場合、金融機関によって異なりますが、最終返済時の年齢が75歳~82歳になるように返済期間が設定されます。
また、団体信用生命保険(団信)とは、ローンの契約者が死亡した場合に保険金が支払われ、これによってローンの残債を返済することができる生命保険のことです。
団信に加入しておくことで、さまざまなメリットがあるため、アパートローンを組む前に加入条件などを確認しておくとよいでしょう。
アパートローンの返済期間について更に詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
アパートローンの金利
アパートローンの金利には、大まかに分けて固定金利と変動金利の2種類があります。
固定金利は、借り入れ期間中に適用される金利が固定されている金利タイプです。対して、変動金利は、借り入れ期間中に適用される金利が変動する金利タイプです。
それぞれの金利タイプも特徴が異なるため、契約時にはどの金利タイプなのかを確認しておくことが重要になります。
固定金利タイプ
ローンの完済まで金利の変動がないことが固定金利タイプの特徴ですが、固定金利には2つの種類があります。
- 全期間固定金利型
- 固定金利期間選択型(当初固定金利型)
固定金利タイプでも、固定金利期間選択型の場合は、一定期間は金利の変動がないものの、期間を過ぎると変動金利に切り替わります。
たとえば、契約から5年間は固定金利で、5年目以降は金融情勢に応じて金利が変動するものは、固定金利期間選択型です。
変動金利タイプ
契約から金利が一定ではなく、金融情勢によって金利が変動するものが変動金利タイプの特徴です。
市場金利が下がると、アパートローンの金利も下がり、返済総額が少なくなる点は大きなメリットでしょう。
ただし、市場金利が上がると返済総額も増えるため、場合によっては返済が苦しくなることもあります。
変動金利は完済額が少なくなる可能性がある一方で、金利の上昇による返済総額の増加や、最終的な返済額の見込みが立てづらいことに注意が必要です。
アパートローンの金利相場
アパートローンの金利は、多くの金融機関で正確な数字が公表されておらず、実態を把握することは難しくなっています。
変動金利は、短期プライムレートに連動して決められることが多いです。短期プライムレートに、各行が数%の金利を上乗せした値が変動金利となります。(なお、2024年5月時点での短期プライムレートの最頻値は1.475%です。)
一方で、固定金利は、長期金利または長期プライムレートに連動します。短期プライムレートは日銀の金融政策に依存するため維持の傾向が続いていますが、長期金利は国内外の経済情勢を反映して上下します。
そのため、実際に店頭を訪れて利率を提示されるまでは、正確な金利がわからないのが実情です。
2024年5月時点で、各行のホームページに公開されている金利をいくつか名称とともにまとめたものが以下の表となります。
金融機関:商品名 | 変動金利 | 固定金利 |
---|---|---|
みずほ銀行:アパートローン | 店頭にて提示 | 店頭にて提示 |
三井住友銀行:アパートローン | 店頭にて提示 | 店頭にて提示 |
三井住友信託銀行:アパートローン | 年2.575% | 年3.94% (10年固定) 年5.03% (20年固定) |
東北銀行:とうぎんアパートローン | 年1.975%~3.025% | 年2.424%~2.900% (10年固定) |
広島銀行:ビル・アパートローン | 年2.975% | 年3.55 % (10年固定) |
オリックス銀行:不動産投資ローン | 年2.675%~3.675% | 年2.700%~3.700% (5年固定) |
※金利は経済状況によって変動します。必ず各行にお問い合わせください。
また、金利は都市銀行(メガバンク)、地方銀行、信用金庫、ノンバンクの順に高くなっていくのが一般的です。
金融機関 | 金利 |
---|---|
都市銀行(メガバンク) | 1.5%~1.8% |
日本政策金融公庫 | 1.2%~2% |
信用金庫 | 2% |
信用組合 | 2% |
ノンバンク | 2.9%~4.5% |
地方銀行 | 1.5%~3% |
※2021年秋時点のものを参考にしています。
どこから融資を受けるのかは、金利や返済方法などを確認して慎重に決めることが大切です。
アパートローンの返済方法
アパートローンの返済方法には、元利均等返済と元金均等返済の2種類があります。
それぞれに特徴がありますので、よく確認して、自分に合った返済方法を選びましょう。
元利均等返済方式
元利均等返済方式は、初年度から完済まで、毎月一定の返済額になることが特徴の返済方法です。
月々の返済額が一定であることから、無理のない返済計画を立てることができます。
また、一定の返済額を支払い続けるため、修繕費などの貯蓄にまわす金額も考えやすくなります。
ただ、元利均等返済方式では、元金と利息を組み合わせて毎月均等に返済していくことから、返済当初は利息が返済の大部分を占め、元金部分の減りが遅いことも特徴です。
そのため、先に元金部分を多く返済する元金均等返済方式よりも返済総額が増えてしまいます。
元金均等返済方式
元金均等返済方式は、毎月一定額の元金と、残高に対応して発生する利息を支払う返済方式です。
元金部分、つまりローンの残高が減ると利息も減少する点が大きな特徴です。
ローンを返済していくほど、利息も減っていくため、元利均等返済方式よりも最終的な返済額を減らすことができます。
ただ、元金均等返済方式では、返済開始後すぐだと、元金が多く残っているため、返済額が大きくなってしまいます。
また、スタート時の返済負担が大きいことから、審査基準は元利均等返済方式よりも厳しくなっています。
アパートローンの審査基準
アパートローンの融資の可否や借入可能額はどのような基準で決まるのでしょうか。借入限度額について、2章で簡単に説明しましたが、この章ではアパートローンの審査基準について、より詳しく解説します。
物件の収益性
アパートローンの審査では、建築・購入するアパートの収益性を審査基準としています。
アパートローンの返済は、毎月の家賃収入から行われることため、その物件がしっかりと利益を上げられるのかが重要になります。
また、アパートの収益性を審査するときに見られるのが、建物の概要や建築費、初期費用、家賃収入から算出される収益が記された事業計画書です。
事業計画書では、計画地や建物の概要・投資物件のコンセプト・家賃の想定表・事業にかかる総費用・資金計画や収支計画などを事細かに記入します。
これがないとアパートローンの審査に通過するのが難しいため、しっかりと事業計画書を作成しましょう。
詳しい事業計画書の作成方法については、以下の記事をご覧ください。
本人の属性
アパートローンの審査でも住宅ローンと同様に借主本人の属性も審査基準になります。
特に見られるポイントは以下のようになっています。
- 資産(預貯金・有価証券・不動産など)
- 職業
- 勤務先
- 勤続年数
- 年収
- 家族構成
- 現在の住まいの種類(持家か借家かなど)
- 経歴
- 年間の各種税金支払額、支払い状況
融資を行う金融機関としても、全く経験がない方よりも経験がある方の方が融資する相手として信頼できるため、審査に通りやすくなります。
物件の担保価値
アパートローンの審査では、担保物件の資産価値も審査基準になります。
これは、万が一アパートローンの返済が滞ったときに、金融機関がその物件を売却してローン残高の返済を行います。
そのため、担保物件に価値がないとローンの審査に通ることが難しくなっています。
また、机上での計算では収益性が高くても、立地や地域ニーズにそわないなどの理由から資産価値や担保価値が低いと判断されると融資を受けることができない場合もあります。
アパートローンの返済を無理なく続けるポイント
アパートローンを無理なく返済し続けるためには、覚えておくべきポイントが3つあります。
- 長期的な返済シミュレーションをする
- 返済比率は低め・期間は長めにする
- 入居率の高いアパートにする
長期的な返済シミュレーションをする
アパートローンの借入をする前には、返済を長期的に考えてシミュレーションしておくことが大切です。
長期的なシミュレーションをしておくことで、無理なく完済できるかどうかが判断しやすくなります。
シミュレーションは金融機関のサイトで提供されているシミュレーターを利用するほか、金融機関の担当者やファイナンシャルプランナーに相談して、シミュレーションをしてもらうことがおすすめです。
返済比率は低め・期間は長めにする
滞納なく完済を目指すには、ローンの返済比率を低めに設定し、かつ返済期間を長めにしておくことがおすすめです。
返済比率は年収に対してのローン返済額の割合であり、アパートローンの場合は次の式で計算しましょう。
- 返済比率=毎月の返済額÷満室時の家賃収入
余裕があるなら、30から40%など、さらに低めに設定しておくと、無理なく返済しやすくなります。
返済期間は長く設定すると金利も高くなりますが、その分毎月の返済額は減らせます。
短期間で完済するほうが金利が安く、返済総額の負担は少ないですが、毎月の返済負担は多いです。
そのため、毎月の出費を少しでも減らすには、長めの返済期間で契約しているほうが、滞納のリスクは減らせるでしょう。
入居率の高いアパートにする
アパートローンを完済するには、いかにアパート経営で利益を出すかが重要です。
利益を多く獲得するには、入居率を高めて、毎月の家賃収入を増やす必要があります。
入居率を上げるには、部屋の設備を充実させたり、建物の修繕や清掃などを念入りに行ったりすることが大切です。
また、立地条件も重要なポイントであるため、スムーズに満室にするためにも、駅から近いアクセスのよい場所で、周辺に生活利便施設の多いエリアにアパートを建築しましょう。
アパートの収益性は、設計などにも大きく左右されます。
アパート経営を始めるなら最初の情報収集が重要です。日本最大級の土地活用プラン比較サイトイエウール土地活用なら、土地所在地の入力だけでアパート経営のプランを取り寄せることができます。
\建築費は?初期費用は?/
活用事例:「ユアメゾン 高須北」

アパートローンは慎重に返済計画を立てて利用しよう
賃貸経営を始めるにあたってアパートローンを利用するなら、無理のない返済計画を立てることが大切です。
アパートローンは高額な融資も可能であるため、借り入れる金額によっては、月々の返済が苦しくなることもあります。
融資を受ける金額はもちろん、無理なく返済できるように金利タイプや返済方式を確認しておくことも重要です。
返済計画は慎重に考え、滞納せず完済できるプランを考えてから、アパートローンを利用しましょう
記事のおさらい