アパート経営は、土地活用の代表的な方法の一つです。しかし、田舎では人口が少ないため、せっかくアパートを建てても入居者が集まらず、収益性が低下してしまう例もあります。田舎でのアパート経営で収益を見込むには、地方ならではの特性や注意点を押さえる必要があります。
本記事では、田舎でのアパート経営は需要はあるのかといったところから、田舎でアパート経営を始める際のメリット・デメリット、地方ならではの注意点と成功のポイントを解説します。
- 外国人やテレワーカーに需要がある
- 「競合物件が少ない」というメリットある一方で、「資産価値が低い」というデメリットもある
- 都市部でのアパート経営と田舎でのアパート経営は別物と捉えることが重要
田舎でもアパート経営は需要アリ!
アパート経営は、一般的には人口が少ない地方では難しいと言われます。しかし近年では、テレワークの普及に伴い、生活コストを低く抑えられる田舎住まいを選ぶ人が増えていることから、地方の賃貸ニーズも高まる傾向にあります。
2021年12月に公表された、NTTデータ経営研究所の調査「地方移住とワーケーションに関する意識調査」によれば、都市圏に居住・就業している人のうち、27.9%が「地方移住に関心がある」と回答しています。
このような事情を踏まえ、田舎でアパート経営を始める魅力について解説します。
外国人向けアパートに注目が集まる
田舎でのアパート経営は、これまで人口減少を理由に難しいとされてきましたが、近年は外国人労働者の増加により、賃貸住宅の需要が増加しているとされます。
厚生労働省が2022年1月に公表した『「外国人雇用状況」の届出状況』によれば、2021年10月末時点で、外国人労働者の対前年増加率が高い上位3県として「山梨県」(10.1%)、「茨城県」(9.8%)、「和歌山県」(8.8%)が挙げられます。
こうした地域で外国人向けにアパートを貸し出すことで、入居者が見つからないという地方ならではの課題が解消されやすくなります。外国人労働者の受け入れは、製造業や建設業、農業、福祉、サービス業界などで進んでおり、就労する外国人が増えれば住宅ニーズも増加します。
独自のネットワークで強い結びつきを持つ外国人労働者も多いため、口コミで入居者が集まり、安定したアパート経営が実現する可能性も高くなります。
アパート経営に向いている土地の特徴は?
アパート経営に向いている土地は、比較的地価の高い地域や、アパートの賃料相場が高い地域です。
駅周辺や、商業施設の集まる地域、外国人労働者を受け入れる企業や工場が集まる地域、大学が近いエリアなどが適しています。なお、アパートを建てる際には、都市計画法に基づく「用途地域」の制限で、高さや広さが定められていることに注意が必要です。
また田舎のアパート経営には100坪以上の土地の広さが望ましいとされており、特に田舎では、駐車場の確保も必須条件になることから、十分な広さがあるかを確認することも重要です。
田舎の土地活用について知りたい方は、こちらの記事がおすすめです。
アパートを建築する可能性が出てきたら、早い段階で施工会社から建築プランと建築費用の見積もりを取得しましょう。
施工会社に提案される建築プランには建築費用の見積もりだけでなく設計図面や収支計画が含まれています。複数の施工会社の建築プランを比較することで、客観的に利回りを算出することもできますし、自分の土地でどのようなアパートを建てられるかイメージが湧くようになります。
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田舎でアパート経営するメリット
田舎でアパート経営を始めることのメリットは、以下の3つです。
- 初期費用を抑えられる
- 競合物件が少ない
- 固定資産税対策・相続税対策になる
それぞれ詳しく解説します。
初期費用を抑えられる
都市部と比べて田舎では、土地や建物を安く購入できるため、初期費用を抑えられるメリットがあります。
銀行から融資を受けてアパートを建設する場合でも、ローンの借入額が少なく、毎月の返済金額を抑えられるようになります。
初期費用やランニングコストを低く抑えられることで、良好な経営を実現できた場合には利益を確保しやすくなります。
競合物件が少ない
田舎では、周辺にアパートやマンションがほとんど存在しない地域も多くあります。
そうした競合物件の少ない地域では、入居者を奪い合うことなく集客できる可能性があります。
また、仮に競合する既存のアパートがあったとしても、地方のアパート経営では高齢のオーナーが集客に力を入れていないケースもあるため、工夫次第で入居者を集められるでしょう。
固定資産税対策・相続税対策になる
地方のみならず、アパート経営の大きなメリットには、節税効果が挙げられます。
土地を所有していると発生する固定資産税・都市計画税は、土地にアパートを建てて「住宅用地」として活用することで、納付する税金がそれぞれ1/6、1/3になる特例措置を受けられます。
また、アパートが建つ土地を相続した際も「小規模宅地等の特例」の対象となり、200平方メートル以内の土地の相続税評価額が50%減額されます。
こうした特例は、戸建てやアパート・マンションを建てて土地活用をする場合にのみ受けられる優遇のため、更地のまま土地を保有したり、駐車場・太陽光発電・資材置き場として利用する場合に比べて高い節税効果が得られます。
田舎でアパートを経営するデメリット
田舎の土地でアパート経営を始めるデメリットに挙げられるのは、次の3点です。
- 空室リスクが高い
- 都市部と同じ修繕費がかかる
- 資産価値が低く出口戦略が難しい
アパート経営を始める前に、これらのデメリットもしっかり押さえておきましょう。
空室リスクが高い
田舎のアパート経営では、空室のリスクが最大のデメリットです。
地方都市を含む多くの田舎では、人口が減少傾向にあり、入居者が集まらずに経営が成り立たなくなるリスクは都市部よりも高くなります。
また、田舎の地域でも利便性が高いエリアでは、競合のアパートやマンションが増え、入居者の奪い合いになることも少なくありません。
空室を防ぐため、土地のニーズに合った設備や、入居者が快適に暮らせるためのサポートなど、オーナー側の経営努力も必要となります。
都市部と同じ修繕費がかかる
都市部と比べて田舎のアパートでは、家賃が低くなる傾向にありますが、建物の修繕費は地域によって大きな差はありません。
経年劣化によるクロスの張り替えや給湯器の取り替え、外壁塗装の工事費など、修繕のタイミングや費用相場も都市部と同様です。
その事実を踏まえた上で収益計算を行わなければ、10年〜15年ごとの大規模修繕のタイミングで赤字に転落してしまう可能性も考えられます。
資産価値が低く出口戦略が難しい
田舎の土地やアパートは、都市部に比べると資産価値が低いため、売却を検討する際に買い手が見つかりにくいこともデメリットです。
例えば、まとまった現金が必要になり売却したいと思った場合でも、購入希望者が現れず、大幅な値引きを余儀なくされるケースもあります。
アパートとして売却できない場合には、解体費用を払って土地を更地に戻してから売却したり、他の土地活用に転用するなどの選択肢も考慮しなければならなくなります。
土地の活用方法に迷ったときは土地活用プランの一括請求サービスを使うことをお勧めします。日本最大級の比較サイトイエウール土地活用なら、お持ちの土地に適した土地活用方法を探すことができます。
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田舎でアパート経営を始めるためにかかる費用
田舎でアパート経営を始める際には、主に以下の3つの費用が発生します。
- 本体工事費
- 付帯工事費
- 諸費用
3つのうち、最も大きな費用であるアパートの「本体工事費」は、地域の坪単価によって変動します。
一般的な目安として、木造アパートであれば坪単価50万円〜70万円程度とされるため、100坪の木造アパートを建てる場合には5,000万円〜7,000万円の費用が必要となります。
建築素材のグレードや間取り、建物の形状によっても費用は変動するため、実際の費用の目安は建築会社に問い合わせることをおすすめします。
「付帯工事費」は、地盤の改良や土地の造成、電気・空調設備の工事など、インフラの整備にかかる費用を指し、本体工事費の20%程度が目安です。
「諸費用」には、税金やローンの手数料、火災保険料などが含まれ、目安は本体工事費の10%程度となっています。
田舎ならではの注意点と成功のポイント
田舎でのアパート経営は、空室リスクが高く家賃が低めに設定されることから、儲からないと言われることがあります。
確かに、都市部でのアパート経営のやり方を田舎で再現すれば、収益化に失敗してしまう可能性は高くなるでしょう。
しかし地方ならではの特性に留意することにより、収益を上げることは十分に可能です。最後に、地方ならではのアパート経営の注意点と成功のポイントについて紹介します。
実質利回りをもとに収支を計算する
アパート経営を始める際には、将来的にいくらの家賃収入が見込めるか、「実質利回り」をもとにシミュレーションをすることが重要です。
不動産ポータルサイトでは、アパート経営にかかる費用や空室を考慮しない「表面利回り」が表示されますが、表面的な利回りはアパート経営の参考にはなりません。
アパート経営を始めた場合に、実際に手元に残る金額を計算するためには、毎月の費用や空室が発生するリスクを見込んだ実質的な利回りの数字を算出・確認する必要があります。
現地に赴いて集客・経営する
田舎のアパート経営を成功させるためには、現地に赴いて集客・経営をする努力が不可欠です。
物件は管理会社が管理してくれるとしても、物件の現状や周辺地域の競合物件・商業施設の状況は、実際に現地に足を運ばなければ把握できません。
ご自身が都市部にお住まいで、経営するアパートに行く時間が取れない場合は、管理会社や不動産会社と密なコミュニケーションを取り、信頼関係を構築することを心がけましょう。
地域を取り巻く状況を確認する
先述のように、外国人労働者や地方移住者の増加、再開発の計画などがある地域では、田舎の土地でも賃貸アパートの需要が高まる可能性があります。
逆に、現在はショッピングモールがあるエリアでも、商業施設の撤退や閉店によって、賃貸需要が大きく落ち込むケースもあります。
人口動態や再開発予定、周辺施設の状況など、地域を取り巻く状況は常にモニタリングして、経営判断をすることが重要です。
田舎でのアパート経営には集客と出口戦略が最重要
これまで解説したように、田舎でアパート経営を始めるメリットは、初期費用を抑えながら競合物件が少ない環境で土地活用ができる点です。
建物を建てることで節税効果も大きくなりますが、一方で空室リスクが高く、資産価値が低くなる点や、修繕費は都市部と同じ水準で発生することも注意する必要があります。
田舎では不利とされるアパート経営ですが、現地に赴いて集客・経営をしたり、地域を取り巻く状況をモニタリングすることによって、収益を上げることも十分可能です。
なお、土地の活用を考えられている方は「イエウール土地活用」もぜひご利用ください。「イエウール土地活用
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