相続した実家に住む予定がない場合、売却したり賃貸に出したりする以外にも、空き家を更地にしてから土地活用を行う選択肢もあります。
駐車場経営は、中でも最もポピュラーな土地活用方法の一つです。
相続した空き家の土地に、アパートやマンションを建てるための初期費用が用意できないケースや、将来自分で家を建てて住む予定があるケースで選ばれることが多いのが、駐車場経営です。
本記事では、相続した空き家を駐車場にするメリット・デメリットと、駐車場経営にかかる費用・税金、また土地活用をする上での注意点について解説します。
どの土地活用を始めるかでお悩みの方は、以下の記事をご覧ください。
相続した空き家を駐車場にする際の基礎知識
相続した空き家を取り壊し、更地にしてから駐車場として利用者を募ることで、使用用途のなかった土地から収益を得ることが可能になります。
ただし駐車場経営には、月極駐車場とコインパーキングの2種類の契約方法があるほか、経営方式にも3つのスタイルがあります。
それぞれの違いについて把握しておきましょう。
「月極駐車場」と「コインパーキング」の違い
月極駐車場とコインパーキングは、駐車場の契約期間に違いがあります。
月極駐車場は1ヶ月単位、コインパーキングは1時間単位で貸し出す点が特徴です。
契約者との賃貸契約を結ぶ月極駐車場の方が月々の収益が安定しやすく、更地に線を引いただけの未舗装の土地でも始められるメリットがあります。
一方、コインパーキング経営は、専用の機械を設置する必要があるほか、機械のメンテナンスの手間が発生しますが、ニーズのある地域であれば高い収益性が期待できます。
3つの経営方式による収益性の違い
駐車場経営には、業者にどれだけ委託するかによって、次の3つの経営方式があります。
- 管理委託方式
- 一括借り上げ方式
- 自主経営方式
それぞれ簡単に解説します。
管理委託方式
管理委託方式は、駐車場の整備や機械の導入はオーナー自身で行い、駐車場の管理のみ業者に委託する経営方式です。
機械のメンテナンスやクレーム対応などを委託しながら、賃料収入が期待できます。
一括借り上げ方式(サブリース)
一括借り上げ方式(サブリース)とは、駐車場の運営会社に土地を貸し、駐車場経営を業者に一任する経営方式です。
駐車場の稼働状況によらず安定した賃料収入が期待できるほか、整地や設備の導入にかかる費用も運営会社の負担となる点が特徴です。
自主経営方式
自主経営方式は、駐車場の整備からメンテナンス、クレーム対応を含めてすべてオーナー自身が行う経営方式です。
委託費用や管理費用がかからないため最も高い収益性は期待できますが、管理の手間が膨大になりトラブル対処も自身で行う必要があるため、初めての駐車場経営には不向きです。
相続した空き家を駐車場にするメリット
住む予定がない実家を相続した場合に、空き家を取り壊して駐車場経営に活用することで、以下の3つのメリットが得られます。
- 初期費用・維持費用が抑えられる
- 他の土地活用に転用しやすい
- 安定収入が得られる
それぞれ紹介しましょう。
初期費用・維持費用が抑えられる
相続した空き家を駐車場経営に活用するメリットとしては、初期費用・ランニングコストが少ない点が挙げられます。
アパート・マンション経営や戸建て賃貸経営、太陽光発電などの土地活用では、高額な初期費用が必要となります。ローンを組んで初期費用を調達することも多く、万が一収益化に失敗した際のリスクが高まる点に注意が必要です。
一方で駐車場経営は、月極の青空駐車場であれば整地や設備の導入が不要で、ほとんど初期費用が発生しません。リフォーム費用や保険料なども不要で、メンテナンスの手間が最小限で済むためランニングコストも抑えられます。
他の土地活用に転用しやすい
駐車場経営では、更地のまま土地活用をスタートし、更地のまま返還してもらうことも可能なため、他の土地活用に転用しやすいメリットがあります。
借地権・借家権が発生せず、アパート・マンション経営のように立ち退きトラブルに発展するケースも稀です。
また、将来的に自分で家を建てて住みたいと思った場合にも、駐車場であれば家の建設を進めやすいでしょう。
土地活用のアイデアが欲しい方は以下の記事が参考になります。
安定収入が得られる
駐車場経営は、初期費用を抑えながら安定した収入を得られる点が魅力です。
空き家の場合は住む予定がなくても固定資産税が発生し、維持・管理の手間も必要となるため、所有しているだけでマイナスになるケースも少なくありません。
空き家を解体して駐車場として土地活用することにより、固定資産税の負担を解消できる可能性が高まるでしょう。
駐車場経営を検討するなら、駐車場の設計・施工会社から初期費用の見積もりをもらいましょう。初期費用の見積もりをもらうときは複数の施工会社に問い合わせて見積もりや収支計画を比較するのがポイントです。
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相続した空き家を駐車場にするデメリット
相続した空き家を駐車場として使う場合のデメリットとして考えられるのは、以下の3点です。
- 固定資産税が増加する
- 所得税・住民税の負担が増える
- ニーズが少なければ収益化が困難
それぞれの注意点を解説します。
固定資産税が増加する
住宅のある土地は、「住宅用地の特例」により固定資産税が1/3または1/6に減額される措置を受けられます。
しかし住宅を解体して更地にした場合、住宅用地の特例を受けられなくなるため、固定資産税の負担が大きくなる点に注意が必要です。
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所得税・住民税の負担が増える
駐車場経営は、他の土地活用と比較すると、経費に算入できる費用が少ないため、売上が大きくなると所得税・住民税の負担も大きくなる可能性があります。
賃貸物件の経営の場合、減価償却費や保険料、広告費などを経費として売上から差し引くことができるため、所得を抑え、支払う税負担を軽減することが可能です。
一方で駐車場経営には経費があまりかからないため、想定以上に所得税・住民税が増える可能性もあります。
ニーズが少なければ収益化が困難
駐車場経営の収益化では、土地の立地が最も重要な要素とされており、駐車場ニーズが少なければどれだけ広い土地を持っていたとしても意味がありません。
利用者が現れなければ、負担増となった税金や空き家の解体費用、設備の導入費用などを賄うことができず、赤字が続いてしまいます。
周辺の商業施設や、競合となる駐車場の利用状況など、駐車場に向く土地かどうかを十分に確認しましょう。
相続した空き家を駐車場にする費用相場は?
相続した空き家を駐車場として土地活用する場合、古い建物の解体が必要です。
また、アスファルトで舗装したり、コインパーキングの設備を導入したりすることで、初期費用が発生するケースもあります。
ここでは、空き家の解体費用と駐車場経営の初期費用について相場を紹介します。
相続した空き家の解体費用
空き家の解体費用には、仮設工事費用や整備費用、産業廃棄物処分にかかる費用などが含まれます。
建物の構造ごとに1坪あたりの解体費用をまとめると、下記の通りです。
建物のタイプ | 1坪あたり解体費用 |
---|---|
木造住宅 | 約40,000円 |
鉄骨住宅 | 約60,000円 |
鉄筋コンクリート住宅(RC造) | 約70,000円 |
▼解体費用の基礎知識について知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
駐車場経営の初期費用
駐車場経営をスタートするための初期費用には、以下のような項目が挙げられます。
費用 | 費用の相場 | |
---|---|---|
土地の整備費 | 残置物の撤去費 | 1~3万円 |
整地費用 | 1,500円/㎡ | |
舗装費用 | アスファルト舗装:3,000円/㎡~、コンクリート舗装:5,000円/㎡~ | |
ライン引き費用 | 5,000円/月~ | |
車止めのブロック | 6,000円/台 | |
看板の設置費用 | 料金案内 | 10万円 |
約定看板 | 2万円 | |
満室表示機 | 20万円 | |
誘導看板 | 1万円 | |
看板証明 | 10万円 | |
設備費用 | 料金精算機 | 65万円/台 |
精算機用の雨用テント | 9万円 | |
フラップ板 | 13万円/台 | |
外灯 | 約3万円/1基 | |
監視カメラ | 購入:1万円~、リース:5,000円/月 | |
フェンス | 2万円/m~ | |
工事費用 | 数万円 |
なお、これらの費用は必ず発生するものではなく、駐車場の経営方法によって初期費用は前後します。
月極の青空駐車場は、更地のままで経営を始めることも可能なため、初期費用なしで土地活用をスタートすることもできます。
駐車場経営は、アパートやマンションなど賃貸経営と比較すると、初期費用が低く転用性が高いのが魅力です。賃貸経営は一度始めたら簡単にやめることはできません。
賃貸経営と比較した駐車場経営のデメリットは、固定資産税の軽減措置が適用されないため、あまり節税効果が見込めないことです。
税対策を目的にするオーナーにとっては、この点がネックに感じるかもしれません。
まずは初期費用の見積もりを比較して他の土地活用方法と含めて検討してみましょう。
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相続した空き家を駐車場にする際の注意点
最後に、相続した空き家で駐車場経営を始める際の注意点について、以下の2つを紹介します。
- 青空駐車場では税負担が大きくなる
- 節税対策にはアスファルト舗装を行う
主に税負担や節税対策について解説していきます。
青空駐車場では税負担が大きくなる
更地のまま経営される青空駐車場では、所得税・住民税のほか、固定資産税、相続税の税負担が重くなる傾向にあります。
所得が増えれば所得税・住民税が増加します。
また、住宅を解体して平地にすることで、固定資産税も増加し、さらに土地評価額が80%減額される「小規模宅地等の特例」の対象からも外れるため相続税の負担も大きくなります。
現行の税制では、土地にかかる税金は住宅が建っているかどうかで大きく変動するため、節税対策を目的とするのであればアパート・マンション・戸建ての賃貸を検討するか、空き家をそのまま貸し出すなどの方法が選択肢になるでしょう。
節税対策にはアスファルト舗装を行う
前項で相続税の負担が大きくなることを解説しましたが、駐車場経営の場合でも「小規模宅地等の特例」を受け、相続税評価額を下げて節税効果を得られるケースもあります。
それはアスファルトやコンクリートで舗装した駐車場を経営する場合です。
アスファルトやコンクリートの舗装は、土地の建築物とみなされ、小規模宅地等の特例の対象となります。
このケースでは「貸付事業用宅地等」に当てはまり、200平米までの広さの土地評価額が50%減額されます。
たとえば、相続税の計算で1,000万円と評価された土地が500万円として計算されるため、相続税の負担を大きく抑制することが可能です。
ただし、アスファルトやコンクリートで舗装する場合、1平米あたり3,000円〜5,000円の費用がかかる点にも注意しましょう。
相続した空き家は複数プランを比較検討して土地活用を
相続した空き家の土地活用では、他の土地活用への転用のしやすさや安定収入が得られるメリットから、駐車場経営を検討する方も少なくありません。
ただし土地の上に立っている空き家を解体してしまうと、固定資産税や相続税の税負担が大きくなる可能性があるため、節税対策で土地活用を検討している方はご注意ください。
駐車場経営を含め、相続した空き家の土地活用を検討している方は、ぜひ「イエウール土地活用」もご活用ください。
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記事のおさらい
他にも土地活用方法を知りたい方は以下の記事をご覧ください。
また、お持ちの土地に合わせた活用方法を知りたい方は以下の記事も参考になります。
そして、土地活用のノウハウについては以下の記事をご確認ください。