老朽化が進み、空室率・維持コストが高まってきたアパートは、解体して新築に建て替えるか、もしくは別の土地活用に転用することで収益が改善される場合もあります。
しかしアパートの解体では数百万円単位の解体費用がかかるケースも多く、入居者がいる場合には立ち退き交渉も必要となります。
そのため、解体ではなくスケルトンリフォーム・リノベーションを検討する方も少なくありません。
本記事では、50坪のアパートの解体工事を決める際の判断材料として、解体費用の相場・内訳、解体費用を安く抑えるコツなどをご紹介します。
▼解体費用の基礎知識について知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
50坪アパートの解体費用の相場
50坪のアパートの解体費用は、約200万円〜450万円が相場です。
アパートの解体費用は、構造ごとの「坪単価」×「延べ床面積」によって計算することが可能です。
たとえば木造アパートで解体費用の坪単価が5万円、延べ床面積が50坪の場合は、「5万円 × 50坪 = 250万円」が目安となります。
ただし建築面積(建坪)が50坪のアパートの場合、延べ床面積は2階建てでは100坪、3階建てでは150坪となるため、計算方法にご注意ください(各階の床面積が同一として計算)。
なお、解体費用の坪単価はアパートの構造によって決まり、解体に手間がかからず廃材の量も少ない木造が最も安く解体ができます。
一方でRC造のアパートでは、特殊な重機や大量の廃材の処分を必要とするため、坪単価は最も高額となります。
アパートの構造ごとの坪単価と50坪の解体費用は、下記の通りです。
アパートの構造 | 解体費用の坪単価 | 50坪の解体費用 |
木造 | 約4万円〜6万円 | 約200万円〜300万円 |
鉄骨造 | 約7万円〜8万円 | 約350万円〜400万円 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 約8万円〜9万円 | 約400万円〜450万円 |
活用事例:La Clarte


エリア | 愛知県 |
土地面積(㎡) | 559.9 |
延べ床面積(㎡) | 578.38 |
工法 | 鉄筋工ンクリート造5階建て |
50坪アパートの解体費用の内訳
50坪のアパートの解体工事では、建物の解体費用だけではなく、足場の設置費用や廃材の処分費用なども請求されます。
ここではアパートの解体費用の内訳として、以下の4つのタイミングごとにご紹介しましょう。
- 解体工事前にかかる費用
- 解体工事でかかる費用
- 解体工事後にかかる費用
- その他の解体費用
それぞれ詳しく解説します。
解体工事前にかかる費用
アパートの解体工事に進む前に、近隣への影響を抑え工事の安全性を保つ仮設工事を行います。仮設工事には、防音・防塵シートの設置や足場の組み立て、仮設トイレ・水道・電気設備を設置する作業などが含まれます。
また、事故を防ぐために敷地全体をフェンスで囲うケースもあり、その際には仮設工事費用は高額になります。
解体工事でかかる費用
アパートの解体費用は、主に人件費と重機費用で占められています。
アパートの解体工事は、内装や屋根を手作業で解体後、重機を使用して躯体の解体を行う流れが一般的です。アパートの戸数が多い場合などは内装解体に長い期間を要することもあり、工期が延びるほど人件費は高額となります。
また、重機が使用できないケースでは、職人の手作業による解体作業(手壊し解体)となるため、人件費が増加し、解体費用が割高になることもあります。
なお、外階段や駐車場など、アパートの建物以外で撤去が必要な外構がある場合には、アパートの解体費用とは別に付帯工事費用が発生するため注意が必要です。
敷地内にブロック塀や樹木などが多く残っている場合には、付帯工事費用が高額になりやすい傾向にあります。
解体工事後にかかる費用
アパートの解体工事が完了すると、廃棄物の処分費用と整地費用が発生します。
廃棄物の処分費用は、総工費の約4割〜5割を占めることもあり、種類ごとに分別・運搬し、処分するまでの費用を負担する必要があります。なお、見積もりを取得した際に、廃棄物の処分費用が安すぎる場合には、廃材を不法投棄する疑いも出てくるため注意してください。
整地費用は、解体後の土地を平らにならし、土の入れ替えを行うほか、地中埋設物・瓦礫の有無などを確認するために必要な費用です。
解体後の土地をどのように使用するかによって、コンクリート舗装など整地の方法も異なります。
その他の解体費用
ここまでご紹介した解体費用に加え、「諸経費」が見積もりに含まれることがあります。
諸経費には、役所への届出・申請の代行依頼料や、敷地内に駐車スペースがない場合のコインパーキング代などを含みます。
総工費の約1割が相場ですが、見積もりの際に詳細な内訳を確認しておくと安心です。
また、建て替えを検討している方は、解体費用と合わせて建築費用についても含めて資金計画を立てる必要があります。入念な資金計画を立てないと、失敗してしまうでしょう。
アパート経営を始める可能性が出てきたら、複数の企業にプランを提案してもらうことをおすすめします。なぜなら、アパート経営は建築費の見積もりや賃料設定など経営のプランによって将来の利回りも変わってくるからです。
建築費がいくらなら収益性の高いアパート経営ができるのか、利回りはどのくらいが適切なのか、気になるところを建築会社に相談してみましょう。
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50坪アパートの解体費用を決める要素と高額になるケース
50坪のアパートの解体費用は、家の構造と延べ床面積によって概算されますが、地域や築年数によって費用相場は変動します。
ここではアパートの解体費用を左右する4つの要素をご紹介しましょう。
- 立ち退きが必要な入居者
- アパートの地域・立地条件
- 付帯工事の有無
- アパートの築年数
上記5つについて、解体費用が高額になるケースとともに解説します。
立ち退きが必要な入居者
解体するアパートに入居者がいる場合には、入居者に支払う立ち退き料が解体費用を引き上げる要因となります。
立ち退き料は、一般的に家賃の6ヶ月分が相場とされており、立ち退き交渉が難航する場合には引越し費用などを上乗せして支払うケースもあります。
立ち退き料は入居者の人数によって変動するため、可能な限り空室率が高いタイミングで解体を進めると費用削減につながります。
なお、立ち退きの依頼は借地借家法26条に準拠し、遅くとも6ヶ月前〜1年前までに行わなければなりません。
そのため、アパート解体が決まり、入居者がいる場合には速やかに伝えましょう。
アパートの地域・立地条件
地方ではなく都市部に建ち、隣家との距離が近い立地条件のアパートでは、解体費用が高額になる傾向にあります。
都市部では人件費や重機費用が高額になるため、地方と比較して解体費用は割高となります。
さらに住宅が密集しており、慎重な養生や重機操作を要する現場ほど、工期が延びて解体費用が増加しやすい点に注意が必要です。
付帯工事の有無
敷地内にアパート以外の構造物がある場合、その撤去工事費として付帯工事費用が上乗せされます。
アパートの付帯工事費用は、撤去が必要な構造物ごとに決まります。
そのため事前の見積もりで現地調査を依頼することで、詳細な金額を確認することが可能です。
工事箇所が多い場合、多少の値引きに応じてもらえる解体業者も存在するため、事前に問い合わせてみると良いでしょう。
アパートの築年数
アパートの築年数が経過し、老朽化が進んで倒壊の危険性がある解体工事では、慎重な作業を必要とするため相場よりも費用が高額になるケースがあります。
なお、昭和56年5月31日以前に建てられた、新耐震基準を満たさない物件や耐震診断を受けて耐震性不足が指摘される物件では、自治体からの補助金を受けられる可能性もあります。
補助金の支給要件は自治体によって異なるため、地元の解体業者や役所の窓口・ホームページで問い合わせてみると良いでしょう。
アパート経営を始めようか考えたとき、どのようにアパートを設計すればいいのか見当がつかないのではないでしょうか。
例えば2階建てにするか3階建てにするか、間取りの設計をどうするかについては土地の条件やアパート経営の目的によって変わります。
50坪アパートの解体費用を相場より安く抑えるコツ
50坪アパートの解体費用は、前述の通り、約200万円〜450万円が目安となります。
付帯工事費用や立ち退き料などが発生すると、500万円以上の解体費用になることも少なくありません。
ここからは高額な解体費用を削減するため、相場よりも安く解体工事を依頼するコツを4つご紹介します。
- 相見積もりを取り寄せる
- 解体工事の時期に配慮する
- 残置物や植物を撤去しておく
- 自治体の補助金・助成金を申請する
それぞれ詳しく解説しましょう。
解体検討されている方であれば、一度アパートのプロに相談してみることもおすすめです。
相見積もりを取り寄せる
解体費用の見積もりを取る際には、必ず複数の業者からの相見積もりを取り寄せましょう。
1社の見積もりで解体業者を選んだ場合、相場よりも割高な費用を支払ってしまう可能性が高まります。
また、他社の見積もり金額を把握しておくことで、所有するアパートの解体費用相場を確認できるほか、価格交渉でも有利に働きます。また、見積もりの際には現地調査を依頼し、詳細な見積もりを確認しながら解体業者選びを進めることも大切です。
解体工事の時期に配慮する
毎年、年末〜年度末にかけて、解体業者が繁忙期を迎えます。
12月〜翌3月ごろは公共工事などが集中し、どの解体業者も多忙な時期に入るため、解体費用が相場よりも割高になるケースがあります。また、梅雨や真冬など、悪天候で工期が延期する可能性が高い季節も、解体費用が高額になりやすい時期です。
そのため解体業者の閑散期、かつ天候が安定する5月前後や9月前後を選ぶことで、解体費用が割安になったり価格交渉に応じてもらえたりする可能性が高まります。
残置物や植物を撤去しておく
アパートの各部屋の不要な残り物(残置物)や庭木など、ご自身で処分できるものは撤去しておくと、解体費用を削減できるケースがあります。
解体工事に伴う廃棄物は、家庭ごみよりも処分費用が高額となる「産業廃棄物」として処理しなければなりません。
そのためアパートに家財道具などが多く残っていると、処分費用が高額となります。
可能な範囲で残置物は処分しておき、各部屋が空の状態で解体工事を進めることが、解体費用を安く抑えるコツです。
自治体の補助金・助成金を申請する
前述の通り、築年数が経過している老朽化したアパートの解体では、自治体の補助金が受けられる可能性があります。
基本的には木造戸建てが支給対象のケースが多区なっていますが、自治体の中には、共同住宅でもブロック塀の解体費用のみ補助金を受けられるケースなどがあります。
予算の上限や申請期限が決まっていることも多いため、解体工事を計画する際には速やかに自治体のホームページや窓口に問い合わせましょう。
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50坪アパートの解体費用は約200万円〜450万円が相場
50坪のアパートの解体では、約200万円〜450万円の解体費用が必要となります。
解体費用の目安は、アパートの構造ごとの坪単価と延べ床面積で概算できるため、事前に計算しておくと資金計画が立てやすくなるでしょう。
また、高額な解体費用は、相見積もりを取り寄せたり、解体工事の時期を調整したりすることで安く抑えることも可能です。
事前に残置物をご自身で処分しておくことも効果的で、支給要件を満たす補助金も積極的に利用すると良いでしょう。
なお、アパートの跡地を別の土地活用へ転用することを考えている場合には、「イエウール土地活用」をご利用ください。イエウール土地活用は、大手ハウスメーカーや建築会社からの土地活用プランを一括請求できるサービスです。土地活用診断は無料で利用できるため、お気軽にお試しください。