アパートの建築費として1億円の予算を用意できる場合、建てられるアパートの幅は大きく広がります。
ただしアパートローンを利用する場合には、利回りや収支シミュレーションを考慮して、収益性を見据えたアパート経営を始める必要があります。
そこで本記事では、建築費1億円で建てられるアパートの目安と、アパートを建築する際の注意点、建築を依頼するハウスメーカーの選び方などをご紹介します。
建築費1億円で建てられるアパートの目安
建築費1億円で建てられるアパートの規模として、木造の場合は100坪以上、鉄骨造では70〜80坪、鉄骨鉄筋コンクリート造では60坪〜70坪が目安になります。
建ぺい率60%・容積率200%の土地に80坪の鉄骨造アパートを建てる場合、ワンフロア48坪で最大3階建ての物件を建てられる計算です。
1部屋7坪のワンルームアパートの場合には、ワンフロア6戸、総戸数18戸の物件が建築可能です。
アパートの建築費から建てられるアパートを逆算する場合、国土交通省が実施している「建築着工統計調査」が参考になります。
建ぺい率60%・容積率200%の場合に、坪数・構造別の平均的な建築費をまとめると、以下の表の通りです。
木造 | 鉄骨造 | 鉄骨鉄筋コンクリート造 | |
10坪 | 880万円 | 1290万円 | 1500万円 |
20坪 | 1760万円 | 2580万円 | 2990万円 |
30坪 | 2630万円 | 3870万円 | 4490万円 |
40坪 | 3510万円 | 5160万円 | 5990万円 |
50坪 | 4390万円 | 6450万円 | 7490万円 |
60坪 | 5270万円 | 7750万円 | 8980万円 |
70坪 | 6140万円 | 9040万円 | 1億480万円 |
80坪 | 7020万円 | 1億330万円 | 1億1980万円 |
90坪 | 7900万円 | 1億1620万円 | 1億3480万円 |
100坪 | 8780万円 | 1億2910万円 | 1億4970万円 |
<参考>国土交通省:建築着工統計調査 住宅着工統計 第34表(2021年度)
1億円の建築費を用意できる場合には、木造の場合には100坪以上、鉄骨造や鉄骨鉄筋コンクリート造の場合にも60〜70坪以上の規模のアパートを建てられることがわかります。
あくまでも平均的な建築費のため条件によって変動しますが、大まかな目安として理解しておくと良いでしょう。
アパートの建築費の内訳は坪単価×延べ床面積
一般的にアパートの建築費は、「坪単価 × 延べ床面積」の計算式で見積もることができます。
たとえば坪単価100万円、延べ床面積100坪の場合には、建築費が1億円となる計算です。
アパートの建築費を決める坪単価は、木造や鉄骨造などの構造によって変動するほか、地域、設備のグレードなどによっても変動します。構造ごとの坪単価と地域別の坪単価については後述します。
なお、その土地で建築できるアパートの規模は、「建ぺい率」「容積率」によって上限が決まる点にもご注意ください。
建ぺい率とはアパートの建築面積の上限、容積率はアパートの延べ床面積の上限を指します。たとえば100坪の土地にアパートを建てる場合、建ぺい率60%・容積率200%の条件では、建築面積が60坪、すべての階の面積を合わせた延べ床面積は200坪が上限となる計算です。
構造別のアパート建築費の坪単価
アパートの構造別の坪単価の目安として、前述の国土交通省のデータでは以下の通りとなっています。
- 木造:56万円~75万円
- 鉄骨造:83万円~110万円
- 鉄筋コンクリート造:83万円~110万円
- 鉄骨鉄筋コンクリート造:96万円~125万円
<参考>国土交通省:建築着工統計調査 住宅着工統計 第34表(2021年度)
坪単価が最も安価なのは木造アパートですが、木造アパートには法定耐用年数が短く遮音性が低いデメリットがある点に注意が必要です。鉄骨造や鉄骨鉄筋コンクリート造の場合は坪単価は高額になりますが、断熱性や防音性に優れ、法定耐用年数が長く家賃を高めに設定できるメリットがあります。それぞれの構造ごとの相場や、同じエリア内の競合物件の構造なども確認しながら、建築するアパートを決定しましょう。
地域別のアパート建築費の坪単価
アパートの建築費の坪単価は、アパートを建てる地域によっても変動します。
以下の表にあるように、東京都では木造・鉄骨造・鉄骨鉄筋コンクリート造いずれの構造でも坪単価が高額となっており、愛知県や福岡県などでは割安になる傾向があります。
地域 | 木造 | 鉄骨造 | 鉄骨鉄筋コンクリート造 |
東京都 | 59万円 | 124万円 | 117万円 |
神奈川県 | 55万円 | 91万円 | 100万円 |
大阪府 | 53万円 | 79万円 | 85万円 |
京都府 | 58万円 | 91万円 | 93万円 |
愛知県 | 58万円 | 67万円 | 83万円 |
福岡県 | 54万円 | 69万円 | 77万円 |
北海道 | 57万円 | 72万円 | 89万円 |
<参考>国土交通省:建築着工統計調査 住宅着工統計 第34表(2021年度)
また、同じ都道府県内でも県庁所在地や大学・企業が集まる地域ほど賃貸ニーズが高く、坪単価が割高になる傾向にあります。
最終的な金額はハウスメーカーの建築プランや見積もりで確認すると安心です。
アパート建築費シュミレーター
アパート建築費の試算が手軽にできる「アパート建築費シュミレーター」は、過去の建築事例をもとに、建築費の試算が瞬時にできて便利です。
イエウールの下記記事の後半にあり、坪数や建ぺい率、土地所在地や構造などの試算条件を入力するだけで、すぐに算出されるので、ぜひご活用ください。
内部リンク:https://ieul.jp/column/articles/386/
たとえば、試算条件を次のように入力します。
- 坪数:75坪
- 建ぺい率:60%
- 容積率:200%
- 土地所在地:東京都渋谷区
- 構造:鉄筋コンクリート造
上記の条件の試算結果は、「予想建築費 9,720 万円」となります。
アパートを建築する可能性が出てきたら、複数の企業の建築費用の見積もりを比較しましょう。
アパートの建築費用は設計や工法によって大きく異なり、建築のプランによって将来の利回りも変わります。
建築費がいくらなら収益性の高いアパート経営ができるのか、気になるところを建築会社に相談してみましょう。
イエウール土地活用なら複数の大手ハウスメーカーの見積もりを一括請求することができます。
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活用事例:SCENA Palazzo(シエーナ・パラッツォ)

間取り・内装はオーナー様のご希望から収納を沢山設け、ウォークインクローゼットもつけました。またキッチンにはワークトップが人工大理石で奥行90cmのフルフラット対面キッチンを設置しました。(大和財託株式会社の土地活用事例)
アパート建築費1億円の内訳と費用相場
建築費1億円でアパートを建てる場合、費用の内訳として以下のような割合になることが一般的です。
- 本体工事費:7,000万円(70%)
- 別途工事費:2,000万円(20%)
- 設計費・諸費用:1,000万円(10%)
それぞれの費用項目について詳しく解説しましょう。
本体工事費
本体工事費はアパートの建物自体を建築するための費用を指し、前述した坪単価を使った計算で求めることが可能です。
本体工事費の内訳として、躯体工事・仕上げ工事・設備工事の3種類があり、それぞれ40%・40%・20%の割合で費用が発生します。躯体工事は仮設工事・基礎工事を含めたアパートの骨組みを造る作業を指し、仕上げ工事は内装・外装や塗装などの作業を指します。
設備工事とは、電気・水道や消防設備を設置するための作業です。
別途工事費・付帯工事費
別途工事費・付帯工事費は、アパートの建物以外の工事費用を指します。
別途工事費の内訳には、建て替えに伴う解体工事費や地盤改良のための費用、駐車場や塀などの外構工事などが含まれます。別途工事費にどのような費用項目が含まれるかは、建築会社によっても異なるため、事前の見積もりで内訳について問い合わせておくと安心です。
諸費用
諸費用には、アパートの建築費以外に発生する費用が含まれます。
不動産取得税や登録免許税、火災・地震保険料、アパートローンを組む場合にはローン手数料や保証料なども発生します。
なお、アパートローンを組む場合にも諸費用は原則として現金での支払いが必要なため、少なくとも建築費の10%程度の自己資金を用意しておきましょう。
設計費
アパートの設計を依頼するための費用として、設計費が発生するケースもあります。
設計費の相場は発注先によって異なり、大手ハウスメーカーに依頼する場合には工事費の1%〜3%、専門の設計事務所に依頼する場合には工事費の7%〜8%が目安です。
アパートを建てようか考えたとき、どのようにアパートを設計すればいいのか見当がつかないのではないでしょうか。
例えば2階建てにするか3階建てにするか、間取りの設計をどうするかについては土地の条件やアパート経営の目的によって変わります。
イエウール土地活用なら複数の大手ハウスメーカーから提案を受けることができます。
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アパート建築費1億円で物件を建てる際の注意点
1億円のアパートを新築してアパート経営を始める場合には、中古物件を購入する場合や低予算で始める場合と比較して、注意すべきポイントがあります。
主な注意点は以下の3つです。
- 地域の競合物件を確認しておく
- 実質利回りやランニングコストを計算する
- 自己資金は建築費の10%〜30%が目安
それぞれ解説します。
地域の競合物件を確認しておく
新築するアパートの建築プランを建てる際には、周辺地域の競合物件を参考にしながら、差別化を図れる設計を行うと良いでしょう。
満室経営を続けているアパートが周辺地域に存在するのであれば、その物件の間取りや家賃設定を参考にすると、建築プランを立てやすくなるでしょう。ただし、ご自身のアパートならではの差別化ポイントを設け、入居者が集まりやすい物件を目指すことも大切です。
実質利回りやランニングコストを計算する
アパート経営の際には、「表面利回り」と「実質利回り」という2種類の数字で収益性を計算します。
それぞれの計算方法は、以下の通りです。
- 表面利回り = 年間の家賃収入 ÷ 建築費
- 実質利回り = (年間の家賃収入 – 諸経費) ÷ 建築費
表面利回りは簡易的な収益性の計算に使われますが、実態に即した収支計画を立てる際には実質利回りを考慮することが必要です。
アパート経営における諸経費には、固定資産税や大規模修繕費、管理委託料などが含まれるため、これらのランニングコストを踏まえた経営計画を作成しましょう。自己資金は建築費の10%〜30%が目安
アパートローンを組んで1億円のアパートを建築する場合、1,000万円〜3,000万円程度の自己資金を用意することが望ましいとされます。
自己資金を多めに準備しておくことにより、金利負担が減少し、月々の返済金額を抑えることが可能です。
また、ローンの審査でも有利に働くため、可能な限り自己資金を増やして借入金額を抑えると良いでしょう。
建設費1億円ではアパートの設備投資も可能
1億円の建築費を用意できる場合には、アパート建築の予算としては余裕があると言えます。
そのためグレードの高いキッチンやユニットバスを導入するなど、競合物件との差別化を図れるアパートを建てる選択肢もあります。
また、1棟ではなく2棟のアパートを建築したり、より規模の大きなマンション経営を検討しても良いでしょう。
1億円の予算では幅広いアパート経営プランを選ぶことが可能なため、高い収益性を実現するアパート建築をハウスメーカーと相談しながら決めることをおすすめします。
建築費1億円でアパート建築を依頼するハウスメーカーの選び方
アパート建築を依頼するハウスメーカーを選ぶ際には、複数の会社の建築プランを取り寄せ、比較・検討しながらパートナー選びを進めることが大切です。
1社のみのプランでアパート建築を進めた場合、割高な費用を請求されてしまうと、収益性が悪化する原因となります。
複数の建築プランを取得しておくことで、地域における相場を把握するのに役立つほか、価格交渉の際の判断材料にもなります。
ただし、見積もり金額の安さだけで決めるのではなく、リスクを考慮した誠実な収支計画書を提示してくれたり、問い合わせの際に気持ちよく対応してくれたりするなど、信頼性を確認しながらパートナー選びを進めましょう。
アパートを建てるなら最初の情報収集が重要です。一括見積もり請求サービスイエウール土地活用なら、土地所在地の入力だけで建築費の見積もりを取り寄せることができます。
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建築費1億円では大規模・高強度のアパートを建設可能
1億円の建築費を費やしたアパート経営は、高強度で規模の大きめの建物を建築できるため、高い収益性を実現することも可能です。
ただしアパートの建築費は、地域や構造ごとの坪単価・延べ床面積によって決まるため、最終的な金額は建築会社の見積もりを参考にしてください。
また、アパート経営を始める際には、競合物件を確認して差別化を図る点や、実質利回りを踏まえて収支シミュレーションを作成することも大切です。
信頼できるパートナーを選ぶ際には、必ず複数の会社からプランの提示を受けましょう。
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