近年のキャンプブームを受け「キャンプ場経営をやってみたい!」と考える人は多いのではないでしょうか。
キャンプ場経営とは、自然に恵まれた土地をキャンプ場として貸し出し、区画利用料や売店の売り上げで収益をあげる土地活用を指します。
とはいえ、キャンプ場経営どころか、土地活用すら未経験でもキャンプ場経営を始めることはできるのでしょうか?
本記事ではキャンプ場経営の始め方や必要な資格、初期費用などキャンプ場経営についての基礎知識を詳しく説明します。
- キャンプ場経営の需要は上昇中
- 土地を持っていなくても「跡継ぎ」という形で始められる
- 「酒類販売業免許「林地開発許可」「旅館業許可」「飲食業許可」といった資格や許可が必要
- キャンプ場には「オートキャンプ場」「グランピング場」「野営のキャンプ場」の3つの種類がある
- オフシーズンは経営が難しい
キャンプ場経営は需要あり!
キャンプ場経営とは、自然に恵まれた土地をキャンプ場として貸し出し、区画利用料や売店の売り上げで収益をあげる土地活用を指します。
近年、キャンプブームということもあり、土地を購入してキャンプ場経営を始める人も増えています。
一般社団法人「日本オートキャンプ協会」の調査によると2019年時点でのキャンプ人口は7年連続で増加し、860万人超です。2020年はコロナ禍で落ち込むも2021年以降は再び増加傾向にあります。
参考:一般社団法人日本オートキャンプ協会「オートキャンプ白書2022」
ただし、冬場のオフシーズンや悪天候時の経営が難しく、収益化には専門的な経営ノウハウを必要とする点に注意が必要です。
キャンプ場利用料金の全国平均は 4,314 円(2018年 日本オートキャンプ協会調べ)になります。
例えば、10区画ほどの広さがあるオートキャンプ場経営の利用料金が5,000円だとすると「(5,000円×10区画)×365日×60%(稼働率)-600万円(人件費含む必要経費)=495万円」ほどの年収が見込まれます。
山地や遊休地、田舎の土地など、他の土地活用が難しい条件の土地でも、キャンプ場経営であれば、収益化を図ることができるでしょう。
その他の土地活用方法について詳しくは以下の記事もご覧ください。
キャンプ場経営の始め方
キャンプ場経営を始める方法は以下の3つです。
土地を購入して始める
キャンプ場経営を始めるためには土地が必要です。
適した土地を所有していない場合は土地の購入から始めます。キャンプ場経営に適した土地、山などを購入する方法は以下の通りです。
地元の不動産業者を訪ねる
住宅物件と同様、山も不動産業者と契約します。
希望する地域の不動産業者に直接足を運ぶことで、物件情報を仕入れることができます。
山林売買サイトから探す
(画像:森林.net 公式HP)
山を売却したい人と購入したい人をつなぐ、山林売買マッチングサイトがあります。
例えば「山林.net」や「山いちば」、「山林売買net」などです。
森林組合を訪ねる
森林組合は、森林所有者が組合員となって組織されている協同組合です。
森林組合では、山林購入の相談ができます。希望物件の最寄りの森林組合に聞いてみると良いでしょう。
各地域の森林組合は全森連のホームページ内の「都道府県森林組合連合会一覧」から調べられます。
後継人として引き継ぐ
ゼロからキャンプ場経営を始めるのではなく、既存施設を引き継いでキャンプ場を始める方法もあります。
既存施設を引き継いで始める方法は以下の通りです。
キャンプ系社団法人による仲介
(画像:一般社団法人 日本オートキャンプ協会 公式HP)
キャンプ系社団法人の「日本オートキャンプ協会」では、キャンプ場売買に関するマッチングが行われています。ホームページ上にもその案件が掲載されています。
キャンプ場運営のプロによる仲介のため、その後の運営など含めてアドバイスがもらえる可能性があります。
個人M&Aマッチングサイトによる仲介
個人M&Aによる、マッチングサイトを利用した既存施設を引き継ぐ方法です。有名どころではTRANBI、バトンズ、ビズマなどがあります。
サイトに登録し、キャンプ場に関する案件が出てきたら通知が来るように設定して最新情報を受け取れます。
オーナーに直接交渉する
個人オーナーとの直接交渉による売買です。
キャンプ場のオーナーも高齢化が進んでおり、「後継者がいない」といった後継者問題があります。自分のキャンプ場を後継に譲りたいと考えているけど、うまくいっていないキャンプ場が実はたくさん存在しています。
そのようなキャンプ場に勇気を出して、直接アプローチをしてみることでキャンプを譲っていただける可能性があるのです。もしくは、周りに後継者に悩んでいるキャンプ場オーナーがいないか聞いてみるのも手段の一つです。
今ある土地で始める
既にキャンプ場に適した土地がある場合、キャンプ場の種類によっては簡単な整地作業ですぐに始める事ができます。
キャンプ場に適した土地というのは、山地や遊休地、田舎の土地など、アパートなどの賃貸経営が難しい土地であることが多いです。こういった場所に土地をお持ちであれば、キャンプ場経営は有効な土地活用方法の一つになります。
既に土地をお持ちの場合は、キャンプ場経営はもちろんのこと、その他土地活用方法を検討してみてはいかがでしょうか。
土地の活用方法に迷ったときは土地活用プランの一括請求サービスを使うことをお勧めします。日本最大級の比較サイトイエウール土地活用なら、土地所在地を入力するだけでお持ちの土地に適した土地活用方法を探すことができます。
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キャンプ場経営に必要な資格や許可
キャンプ場経営の経営方法によっては以下のような資格や許可が必要になります。
主な許可の種類として、以下の4つが挙げられます。
- 酒類販売業免許:アルコール類を販売する場合
- 林地開発許可:1ha以上の森林を伐採・開発する場合
- 旅館業許可:ロッジやコテージを経営する場合
- 飲食業許可:料理・食材・バーベキュー施設を提供する場合
その他、キャンプ場に管理棟などの建物を建築する場合には、都市計画法における建築確認を取る必要があります。
また、サウナや浴場を設置する場合には公衆浴場法の許可、バーベキュー施設の設置には防火対象物仕様開始届けを消防署に提出しなければなりません。
開業するキャンプ場の設備に合わせて、これらの許可を事前に取得しておく必要があるため、場合によっては大きな手間が発生します。
キャンプ場経営には3つの種類がある
ひとくくりにキャンプ場といっても、いくつかの種類があります。ここではキャンプ場の種類について紹介します。
オートキャンプ場
オートキャンプ場とは敷地内に自動車の乗り入れができるキャンプ場のことを指します。
直接車が乗り入れることができるので、荷物を運ぶ手間が省けて気軽にキャンプを楽しめます。初心者や家族、友達同士など幅広い層の利用者が多いのが特徴です。
車の出入りが多くなるため、事故などには注意が必要です。また、車が出入りできるよう、最低限の土地の整備が必要になります。
グランピング場
グランピング場とは、テントが常設されたキャンプ場です。テントの中には寝具、外にも椅子やテーブルが用意されていることがほとんどです。
その他、バーベキューやアスレチックが用意されている施設も多く、キャンプ初心者から非常に人気があります。
グランピング場は、施設の設置や維持に費用や手間がかかりますが、収益性は高くなります。
野営のキャンプ場
野営のキャンプ場とは、管理が徹底されておらず、山地や原野をそのままの状態で利用者に貸し出しているキャンプ場です。
ワイルドキャンプともよばれ、キャンプ上級者やソロでの利用者が多いのが特徴です。野栄のキャンプ場は、火事や事故があった場合、基本的にキャンパーがすべて責任を負います。
経営者側は土地を貸し出すだけで時間や労力はかかりません。ですが、その分収益性は低い傾向にあります。
キャンプ場経営でかかる費用
キャンプ場経営では、経営スタイルや規模によって初期費用・ランニングコストが大きく変動します。
ここではキャンプ場経営でかかる費用を紹介します。
初期費用
キャンプ場経営を始めるための初期費用は、約850万円程度が相場です。
その内訳として、土地の取得代やロッジ・コテージの建築費、整地費用などが挙げられます。
ただしキャンプ場経営の初期費用は、土地の広さや状態、希望する経営スタイルによって大きく異なります。
土地に手を加えずにそのまま貸し出せる場合には、初期費用なしで開業できるケースもあるため、土地活用に詳しい不動産会社などに相談してみると良いでしょう。
ランニングコスト
キャンプ場経営を続けていくためのランニングコストとして計上されるのが、以下のような費用項目です。
- 人件費
- 水道光熱費
- 維持・修繕費
- 通信費
- 広告宣伝費
- 委託費用
- 保険料
キャンプ場経営をスタッフに任せる場合には、人件費が最も高額なランニングコストです。
その他、設備や備品などを維持・修繕するためのコストや、キャンプ場の予約を受け付けるためのシステム管理費用なども発生します。
ただし、顧客対応や予約受付、土地の整備などをご自身で行う場合には、キャンプ場経営を行う上でのランニングコストは少なくて済むケースもあります。
キャンプ場経営を始めるメリット・デメリット
キャンプ場経営を始めるメリットとデメリットを紹介します。
メリット
キャンプ場経営を始めるメリットは以下の2つです。
安価かつ整地なしで始めやすい
テントを設置するスペースと駐車場のみのシンプルなキャンプ場経営であれば、初期費用をほとんど掛けることなく始められます。ある程度の整地が行われていれば、整地費用も不要です。
そのため一定期間のみキャンプ場を経営したい場合や、相続した土地に手を加えることなく収益化したい方にも向いています。
事業承継する場合は収益化しやすい
現在経営中のキャンプ場の多くは、1990年台のキャンプブームの際に開業したケースが多く、後継者不足に悩まされている事業者も少なくありません。
後継者募集や事業承継募集を進めている事業者も多く、そうしたキャンプ場を継承して経営を始める場合には、安定した経営を実現しやすくなるメリットがあります。
前オーナーからの経営ノウハウを継承できるほか、固定客がついた状態からのスタートとなるため、収益化する難易度が下がります。
デメリット
キャンプ場を始めるデメリットは以下の2つです。
オフシーズンの経営が困難
キャンプ場経営では、主に12月〜3月のオフシーズンや、悪天候が続く梅雨の季節などは、集客が困難な時期となります。
ロッジやコテージなどの宿泊施設を併設しない場合には、キャンプ場の利用率が天候に大きく左右されることもあるでしょう。
そのため年間を通じて安定経営が難しく、オフシーズンの集客方法や土地の活用方法などを事前に考慮しておく必要があります。
差別化のための経営努力が必要
山地や遊休農地をキャンプ場として土地活用するケースは今後も増加すると考えられるため、競合との差別化を図るための経営努力を必要とする点もデメリットです。
手ぶらでキャンプができるグランピング設備を導入したり、地元の食材を使用した飲食店を開業したりと、キャンプ場以外の魅力で差別化を図ることが収益性を高めるポイントとなります。
ただし、そのためには高額な初期投資を必要とするため、収益化のためには事前のニーズ調査や集客・PR戦略が重要となります。
キャンプ場経営をお考えの際はイエウールに相談を!
昨今のキャンプブームや、初期費用の安さを反映し、山地や遊休地、田舎の土地などの土地活用方法としてキャンプ場経営は有力な選択肢となります。
既に土地をお持ちの場合は、土地の購入費をかけることなくキャンプ場経営を始めることができます。
ただし、各種許可を取得しなければならず、オフシーズンの経営努力を必要とするため、専門家と相談しながら開業・開発を進めることが大切です。
なお、キャンプ場経営を含めた土地活用について専門家に相談したい場合には、「イエウール土地活用」をご利用ください。
イエウール土地活用は、業界大手10社の建築会社からの土地活用プランを一括で取り寄せ、予算やご希望に合った土地活用を実現できるサービスです。土地活用診断は無料で利用できるため、お気軽にご利用ください。
その他、土地活用方法について詳しくは以下の記事もご覧ください。