ここ数年、日常品を含め電気やガス、私たちの身の回りの多くのものが値上がりしています。これからアパートを建築しようと考えている人は「アパート建築費も高騰しているの?」「今アパートを建築すると損?」などと感じている人も多いのではないでしょうか。ここではアパート建築費の高騰について説明します。本記事を最後まで読めばアパートを建築するのに適したタイミングを知ることができるでしょう。
アパート建築費についての基礎知識を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
アパート建築費の高騰
アパート建築費はここ数年で高騰しています。国土交通省の「建設工事費デフレーター(2015年度基準)」によると、建設工事費関連の価格は2021年の春ごろから大幅に上昇し続けています。
また、建築費用が上がっても家賃は入居人のニーズによって変動することから、家賃は変わりません。よって利回りは悪くなり、建築費が高騰している今はアパートを新築するのに適した時期とはいいにくいです。
アパート建築費が高騰した理由
どうしてアパート建築費が高騰しているのか。建築費が高騰した理由を考えてみましょう。
建築資材の高騰
アパート建築費が高騰した大きな要因は建築資材の高騰です。一般財団法人経済調査会が公開している建設資材価格指数によると建築資材価格が2021年から2022年で40%ほど値上がりしています。
参照:【臨時特集】2022年度の資材価格動向を振り返る けんせつPlaza
建築資材の高騰は、世界的に木材価格が上昇した2021年の「ウッドショック」の影響を受けています。ウッドショックとは、アメリカで新型コロナウイルスによって郊外に住宅を建てて移転する人が増えたことがきっかけで起こりました。また、同時期に中国でも住宅需要が増えたことが原因とされています。こうした建築資材の高騰は建築費の値上げを避けられません。
職人の人材不足
建築費が上がり続けている要因に職人の慢性的な人材不足があります。職人の高齢化による退職、それを引き継ぐ若い世代が育たないため、建築業界では人手不足が大きな問題となっています。職人が少ない分、人件費も高騰し、建築費の上昇が収まりません。
電気代・ガソリン代の高騰
電気、ガソリン代の高騰も建築費が高くなる要因の1つです。工事現場には資材を運搬するため、運送費(ガソリン代)が高くなれば建築費も高くなります。また、資材や設備を加工する過程で電気を利用するため、電気代が高くなれば建築費も高くなります。
ウクライナ情勢
ウクライナ情勢を背景とした、ロシアとの友好関係の披裂も建築費高騰の要因といえます。2022年3月にロシアは日本を含む「非友好国」に対して一部の木材を輸出禁止を発表。もちろん、ロシア以外の国から輸入はできますが、世界各国がロシア以外の国から資源を輸入すれば、必然的に世界の資源価格は高騰していきます。資源の高騰は建築費に大きく影響します。
円安
ここ数年続く円安も、建築費の値上がりに拍車をかけています。円安は輸出には有利に働きますが、輸入には不利になります。多くの建築資材を輸入に頼っている日本にとって円安の影響は避けられません。
今後のアパート建築費は安くなる?
現在アパートの建築費は高騰中ですが、今後は安くなるのでしょうか。建築費が高騰した理由から、今後の建築費はどうなっていくのか考えていきます。
木造の建築費値上げは落ち着く見込み
アパートの建築費といっても構造(建築資材)によって変わってきます。例えば木造のアパートでは主に木材の建築資材を使用するため木材の価格で建築費は大きく変動します。
一般財団法人経済調査会の建設資材価格指数によると2022年2月の時点では、高騰が続いた型枠用合板は31カ月振りに下落、建築用木材はおおむね横ばいで推移しています。
参照:【臨時特集】2022年度の資材価格動向を振り返る けんせつPlaza
さらには、アメリカの利上げによる住宅ローンの金利が上昇したことにより、アメリカの住宅着工戸数が減少したことで木材の需要が減りました。木材の需要が減ったことで今後、木材の値段が上がるとは考えにくいです。建築費が高騰した要因は建築資材の高騰だけではないので、木材が値下がりしたからといって建築費が劇的に下がるわけではありませんが、木造アパートの建築費値上げは今後落ち着いてくるでしょう。
円安の解消で建築費高騰が止まる
円安が解消されれば、輸入に有利に働き建築資材が安くなると考えられます。日本が現在行っている低金利政策を転換し、利上げに踏み切れば円安は解消されていくでしょう。
政策金利が上がれば、住宅ローンの金利も上がり住宅需要も減退して、円高となります。住宅需要が減ることで建築資材も相対的に下がっていくでしょう。現在の日銀総裁の任期は2023年の4月、総裁が変わることで建築費が高騰する状況も一変すると予想されます。
アパートを建てようか考えたとき、どのようにアパートを設計すればいいのか見当がつかないのではないでしょうか。
例えば2階建てにするか3階建てにするか、間取りの設計をどうするかについては土地の条件やアパート経営の目的によって変わります。
イエウール土地活用なら土地所在地を入力するだけで複数の大手ハウスメーカーから提案を受けることができます。
\建築費は?初期費用は?/
アパート建築費を抑える方法
アパート建築費が高騰する中、少しでも建築費用を抑えたいと思う人は多いはずです。ここでは少しでも建築費を抑える方法を紹介します。
複数の業者から見積比較する
アパート建築を考える際、建築会社やハウスメーカーに依頼することが多いと思います。業者によって値段は異なるので1社だけに見積を依頼するのではなく複数の業者に建築費の見積もりを依頼し、比較しましょう。
A社とB社を比較して同じ価格であるなら、どちらかにもう一方の見積書を持っていき値下げ交渉をする手もあります。会社としてはなんとしても自分のところで契約してもらいたいので前向きに検討してくれるでしょう。
設計施工一括方式で建てる
設計施工一括方式で建てると建築費が抑えられます。「設計施工一括方式」とは、同じ会社に設計と施行を発注する方式のことを指します。それに対し、「設計施工分離方式」とは別々の会社に設計と施行を発注する方式です。設計施工一括方式だと、設計料は工事費の1~3%程度です。それに対して、設計施工分離方式だと設計料は工事費の5~8%程度となります。ハウスメーカーのように社内に一級建築士が在籍している施工会社は基本的に設計施工一括方式です。一方で、小さな工務店などは一級建築士が在籍していないことが多く、設計施工分離方式となります。
設備スペックや仕上げの仕様を落とす
一般的なアパートは躯体が4割、仕上げが4割、設備が2割程度で構成されています。躯体は木造や鉄骨造等の柱や梁の他、屋根や壁の部分にあたります。躯体工事は建物の骨組みを造る最も重要な工事のため、費用を抑えることは難しいです。
仕上げは、外装や内装の仕上げ材のこと。例えば、光触媒のような高価な外壁材を使うのではなく他の素材に変更することで費用を抑えることができます。
また、照明やトイレ、エアコン等が設備になります。有名なメーカーのもので設備を揃えると費用がかさみますが、こだわりがないのであれば同じ効果で価格帯が安いジェネリック家電を採用するといいでしょう。
プロパンガスの採用
都市ガスではなく、プロパンガスを採用するのも建築費を抑える有効な方法です。
プロパンガスは、都市ガスに対抗するために様々なサービスを提供しています。アパートの場合、プロパンガスを採用すると無料でエアコンを設置してくれることが多いです。エアコンは戸数分必要になり、それなりに費用がかかりますがプロパンガスを採用することで設備部分の費用を抑えることができます。