マンション経営を始める方の中には、以下のような悩みや疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
- 共益費の相場はいくら?
- 家賃と共益費は別々にするべき?
この記事では、マンション経営の共益費について解説します。
共益費は、入居者が共同で使う設備の維持やメンテナンスに使われる費用で、エントランスや階段の清掃、エレベーターの点検、共用部の電気水道代などに使われる費用です。共益費は家賃に含まれていたり、管理費の名目で入居者が負担したりと様々ですが、共益費の一般的な相場は5,000円〜10,000円です。
また、共益費の相場や家賃と分けるべきか、共益費の決め方、会計処理、注意点について解説していますので、ぜひ参考にしてください。
マンション経営の節税について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
マンション経営の共益費とは
ここでは混同されることが多い共益費と管理費の違いや共益費の相場について解説します。
共益費とは
共益費は、入居者が共同で使う設備の維持やメンテナンスに使われる費用で、エントランスや階段の清掃、エレベーターの点検、共用部の電気水道代などに使われる費用です。共益費は家賃に含まれていたり、管理費の名目で入居者が負担したりと様々ですが、共益費の一般的な相場は5,000円〜10,000円です。
共用部に該当する箇所は以下の通りです。
- 入口
- エレベーター
- 廊下
- 階段
「不動産公正取引協議会連合会」は共益費と管理費を次のように定義しています。
管理費(マンションの事務を処理し、設備その他共用部分の維持及び管理をするために必要とされる費用をいい、共用部分の公租公課等を含み、修繕積立金を含まない)
共用部で修繕箇所が生じた場合、積み立てた共益費から支払うのが一般的です。電灯など備品の交換費用も維持管理費用に含まれます。エレベーター内への防犯カメラや常夜灯などの追加設備も通常は共益費から購入されます。
管理費との違い
共益費・管理費はいずれも物件のメンテナンスに使われるお金であり、明確な違いはありません。
上記の「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」にあるように、共益費よりも管理費の方がより広い範囲を指しているニュアンスとされています。
そのため、分譲マンションの所有者が管理組合に支払う費用が「管理費」、賃貸物件の入居者が大家さんに支払う共用部分の維持管理費が「共益費」と覚えておけば良いでしょう。
ただ、大家さんが管理会社に管理委託を依頼する際の手数料も「管理費」になってしまうため、混同しないように使い分けることが重要です。
共益費の相場
共益費の金額は建物のオーナーが自由に決めることができます。
共益費の基本相場は家賃の5〜10%とされていますが、共用部の設備や間取り、駅からの距離によって相場がかなり異なります。
そのため、周辺の同じような設備や間取りの物件の金額からかけ離れないように、設定することをおすすめします。
マンション経営は共益費と家賃を分けるべき?
マンション経営において共益費と家賃は分けて表示することがおすすめです。
多くの賃貸物件ポータルサイトでは、5,000円単位で家賃を絞り込むことができます。
たとえば、家賃上限7万円で物件を探しているAさんがいるとします。
このとき、家賃7万円・共益費5,000円と設定しておけば、Aさんの検索にヒットすることができます。一方で、共益費込みで家賃7.5万円と設定してしまうと、Aさんの検索にヒットされることはないでしょう。
特にマンション経営では、多くの人に見てもらうことが空室を発生させないカギになります。
そのため、見た目の家賃設定はできるだけ少なくして、できるだけ多くの人の検索にヒットできるようにすることをおすすめします。
マンション経営の共益費と家賃を分けるメリット・デメリット
ここでは、マンション経営で家賃と共益費を分けるメリットとデメリットを解説します。
マンション経営で家賃と共益費を分けるメリット
マンション経営で家賃と共益費を分けるメリットは「家賃を安く見せられること」「メンテナンス費用として管理しやすいこと」です。
それではひとつずつ確認していきましょう。
家賃を安く見せられる
共益費と家賃を分けて記載すると見かけ上の家賃が安く見えます。
具体的には、毎月の入居コストが10万5,000円の物件をイメージしてみましょう。この場合、家賃10万5,000円(共益費込み)と表記するよりも家賃10万円(共益費5,000円)と記載したほうが入居者に家賃の安さをアピールできます。
また、家賃と共益費を分けることでWeb検索でもヒットしやすく、入居者が見つかりやすくなります。物件を探す人は基本的に家賃を基準に検索します。先述したシミュレーション物件の場合、共益費5,000円と別表記にすることで家賃10万円以内の条件にあてはまるため、入居者がより集まりやすくなります。
メンテナンス費用として管理しやすい
共益費を家賃と分けることでメンテナンス費用がわかりやすく、積み立てた費用をスムーズに把握できます。
共益費と家賃を一緒に管理するとメンテナンス費用がわかりにくくなり、いざ修繕が必要な場合に余計な持ち出しが生じる可能性があります。共益費を別項目で記載すれば積立金額がすぐに把握できるため、メンテナンス予算を組みやすくなります。
家賃と共益費を別の口座に振り込んでもらうことも可能ですが、その場合は入居者側の手数料負担が増えてしまいます。振込口座が同じでも、家賃と共益費を別の帳簿で管理すれば紛れることはありません。
マンション経営で家賃と共益費を分けるデメリット
マンション経営で家賃と共益費を分けるデメリットは「敷金・礼金・仲介手数料・更新料の収入が減ること」です。
それでは確認していきましょう。
敷金・礼金・仲介手数料・更新料の収入が減る
家賃と共益費を一緒にすると礼金や更新料の収入が減少します。
礼金・更新料は家賃をベースに計算するため、家賃総額が少なくなるとその分だけ礼金・更新料も低くなってしまいます。
ここでは、家賃9万5,000円、共益費5,000円のマンションを例に考えましょう。
家賃と共益費を分けなかった場合、礼金・更新料ともに家賃の3カ月分とすると、具体的な金額は以下の通りです。
- 礼金・更新料:10万円(家賃9万5,000円 + 共益費5,000円)× 3カ月 = 30万円
- 礼金・更新料:家賃9万5,000円 × 3カ月 = 28万5,000円
所有する物件や入居人数により誤差が大きくなるため、礼金・更新料収入で損をしたくない場合は共益費込みにしたほうが良いでしょう。
共益費を家賃に含めることもできる
共益費や管理費は家賃に含めることもできます。
こうすることで、入居者募集時には「共益費・管理費なし」と表記することができます。
もし、共益費を家賃に含める際には、周辺の家賃相場よりも高くなりすぎないようにしましょう。
共益費を家賃に含める場合には、立地条件の良さをアピールしたり、設備の充実度を前面に打ち出したりと、家賃の高さをカバーする工夫が大切になります。
マンション経営を始める可能性が出てきたら、複数の企業にプランを提案してもらうのがおすすめです。
なぜなら、マンション経営は建築費の見積もりや賃料設定など経営プランによって収益が1,000万円以上変わることもあるからです。
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マンション経営における共益費の決め方
「マンション経営を始めたいけど、共益費の決め方がわからない」という人も多いのではないでしょうか。ここでは共益費の決め方について解説します。
共益費を決める要素
共益費は基本的にオーナーが自由に決められますが、周辺相場よりも高く設定した場合は競合物件に比べて不利になる可能性があります。参考までに、共益費の相場を決める要素は以下の通りです。
- 築年数
- 立地条件
- 共用設備の充実度
- 周辺の家賃相場
築浅で主要駅から徒歩圏内、共用設備が充実している物件は共益費の相場が高くなります。立地条件や設備の充実度は入居者にとって付加価値であり、入居者の利便性が高いほど共益費の相場も引き上げられます。
マンション経営では家賃相場の把握が重要です。家賃や立地条件が同じ物件なら、共益費が安いほうが有利です。周辺相場より高い共益費を設定すると、共用設備が充実していても入居率が下がってしまうかもしれません。
安いほうが有利になるからと相場よりも明らかに安い共益費を設定すれば礼金・更新料などの収入が下がり、メンテナンス費用が不足しやすくなります。
また、共益費の相場は時期によっても変わります。転勤や進学などで物件の需要が高まる2月~3月の間は多少共益費を高くしても入居者が集まります。
一方、引っ越し需要が下がる7月~8月の間は共益費を下げないと入居希望者が集まりにくいでしょう。共益費の周辺相場にあわせることで入居率上昇につながります。
決め方①:設備の維持・管理にかかる費用を戸数で割る
物件の1室あたりの共益費を算出する方法です。維持管理費用に含まれる項目は以下の通りです。
- 修繕費
- 水光熱費
- 消耗品費
- 委託手数料(管理会社つきの場合)
総戸数15戸のマンションで年間の維持管理費用が240万円の場合、下記の計算で毎月の共益費を割り出せます。
- 毎月の共益費:240万円 ÷ 25戸 = 9万6,000円
上記の9万6,000円を12カ月で割った8,000円が適切な相場です。ただ、あくまでも概算に基づく数字のため共益費は正確にシミュレーションしましょう。
決め方②:特別な設備がある場合は高くなる傾向にある
共用設備の数が多く、充実度が高いほど共益費の相場は上がります。
たとえば、コンシェルジュ常駐でフィットネスジムやラウンジが充実しているタワーマンションの場合、共益費は高くなります。
単身者用のマンションでもセキュリティが充実していれば共益費の比率は高まります。
マンション経営を始めようか考えたとき、どのようにアパートを設計すればいいのか見当がつかないのではないでしょうか。
例えば2階建てにするか3階建てにするか、間取りの設計をどうするかについては土地の条件やマンション経営の目的によって変わります。
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マンション経営における共益費の会計処理
ここでは、マンション経営における共益費の会計処理について解説します。
家賃と扱いは同じ
会計上の仕訳では、共益費は家賃と同じ勘定科目になります。
そのため、売り上げ・受け取り家賃・雑収入・不動産所得のどれかで仕訳を行います。
しかし、個人や法人によって扱いが変わるため、注意する必要があります。
勘定科目は個人と法人で異なる
共益費の勘定科目は、個人か法人事業かによって仕訳の項目が変わります。
個人の場合、共益費による収入は「不動産所得」になります。ただ、個人事業主としてマンション経営を行っている場合には「売上」になるため注意が必要です。
また、法人の場合、家賃を含めた共益費収入は会計上「売上」になります。ただし、不動産業以外の法人の場合、会計上の項目は「受取家賃」や「雑収入」になります。
仕訳の書き方
例えば、銀行振り込みで60,000円の家賃(共益費込み)を受け取った場合の仕訳は、以下のようになります。
・個人の場合
借方 | 貸方 | ||
勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
普通預金 | 60,000円 | 不動産所得 | 60,000円 |
・個人事業主の場合
借方 | 貸方 | ||
勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
普通預金 | 60,000円 | 売上 | 60,000円 |
・不動産業の法人の場合
借方 | 貸方 | ||
勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
普通預金 | 60,000円 | 売上 | 60,000円 |
・不動産業ではない法人
借方 | 貸方 | ||
勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
普通預金 | 60,000円 | 受け取り家賃 | 60,000円 |
マンション経営における共益費の注意点
ここでは、マンション経営における共益費の注意点について解説します。
共益費の値下げを交渉に応じる必要はない
共益費の値下げを行うかどうかもオーナーが自由に決定することができます。
共益費とは本来、建物の維持管理に必要な費用です。共益費をあまり下げすぎると、いざという時に維持管理費用が不足してしまう可能性があります。
そのため、入居者側からの共益費の値下げを交渉に応じる必要はなく、必要な費用と利益を確保したうえで値下げを判断しましょう。
共益費の内訳を答える必要はない
もし、入居者側から共益費の内訳を聞かれても開示する必要はありません。
共益費は、賃貸物件の共用設備を運営および維持していくための費用であり、空室対策のため便宜的に家賃と共益費を分けているだけなのが実態です。
そのため、契約書に大家側から収支の説明は行わない旨を含めておくことをおすすめします。
共益費は相場と設備のバランスを考えて決める
共益費は物件の維持管理費用と同時に、設備・施設の利用料でもあります。
毎月高い共益費を徴収し、設備を充実させないマンションは入居者のストレスが溜まり空室率が上がります。
タワーマンションの共益費が高いのは、コンシェルジュなどオプションが充実しているためです。
共益費が相場よりも多少高くても入居者にとって便利な設備・サービスが充実し、納得感があれば入居倍率は高まります。
提供できるサービスの質から逆算して共益費を決めるのもひとつの方法です。
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マンション経営の共益費は家賃に含めない方が良い!
よほど立地条件や設備に地震がある物件出ない限り、共益費は家賃に含めない方が良いといえます。
これまで解説してきたように、共益費と家賃を分けることで、表面上の家賃は安くなり、空室対策になります。
礼金や更新料の収入が減少してしまいますが、そもそも空室の状態では家賃収入が得られないため、共益費と家賃を分けるようにしましょう。
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エリア | 神奈川県 |
土地面積(㎡) | 1733.38 |
工法 | プレハブ工法 重量鉄骨ラーメン構造 |