6階建てのマンションの建築にかかる費用は、3億4,200万~4億5,000万円が目安となります(延べ床面積360坪のマンションを想定)
マンションを6階建てで建築する場合、5階建ての場合と比べて費用がかさむだけでなく、法令による建築規制が厳しくなります。
マンションを新築して経営することを考えていらっしゃる方は、是非この記事をご参考にしてください。
マンション建築費については以下の記事もご参考になります。
6階建てマンションの建築費用はいくら?
6階建てのマンションは、規模としては「中層マンション」に区分される建物です。一般的には鉄筋コンクリート造(RC造)で建築されるため、建築費用は高額になりやすいです。
6階建てマンションの建築費の目安
マンション建設にかかる費用は「マンションをどのような構造で建てるか」によって相場が異なります。構造とは「建物を支える骨組み」のことです。どのような材質で建物の骨組みを組み立てるかによって、構造の種類が分かれます。
6階建てマンション本体の工事費は、重量鉄骨造(S造)、鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)それぞれで以下の金額が目安となります。
敷地面積 (延べ床面積) | 重量鉄骨造(S造) | 鉄筋コンクリート造(RC造) | 鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) |
---|---|---|---|
50坪 (180坪) | 1億6,200万~2億1,600万円 | 1億7,100万~2億2,500万円 | 1億9,800万~2億5,200万円 |
80坪 (288坪) | 2億5,920万~3億6,000万円 | 2億7,360万~3億6,000万円 | 3億1,680万~4億320万円 |
100坪 (360坪) | 3億2,400万~4億5,000万円 | 3億4,200万~4億5,000万円 | 3億9,600万~5億400万円 |
150坪 (540坪) | 4億8,600万~6億4,800万円 | 5億1,300万~6億7,500万円 | 5億9,400万~7億5,600万円 |
(※指定建ぺい率60%、指定容積率400%で試算しています。)
6階建てのマンションの場合、建築基準法・消防法上の基準を満たすために直通階段を2つ設けたり、バルコニーや避難器具を設置するために、状況によっては試算よりも建築費が高額になることがあります。
構造別の坪単価相場
マンション本体の建築費を延べ床面積(マンションの床面積の合計値)で割り算して、1坪あたりの金額に直したものを「坪単価」といいます。坪単価は、工事費を比較する指標として用いられることが多いです。
マンションの建築費の坪単価の相場は、以下の通りです。(イエウール編集部調べ)
マンションの構造 | 坪単価相場 |
---|---|
重量鉄骨造(S造) | 90万~120万円/坪 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 95万~125万円/坪 |
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) | 110万~140万円/坪 |
なお、建築着工統計調査(2023年)によると、6~9階建ての2023年に着工した居住専用住宅(マンション等)のうち、SRC造のものは22棟、鉄骨造のものは58棟であるのに対して、RC造のものは1,008棟であり、圧倒的にRC造のマンションが多くなっています。分譲マンションと賃貸マンションを合わせた数ではありますが、6階建て以上のマンションの建築にはRC造が多く選ばれていることが分かります。
マンション建築費用の見積もり方
初めにご紹介した建築費の目安は、坪単価に敷地面積から求めた最大延べ床面積をかけ合わせた金額です。マンションの設計によって延べ床面積は変わるため、個別に試算したい場合は以下の式で計算できます。
また、マンションの建築には、本体そのものの建築工事にかかる費用(本体工事費)以外にも、付帯工事費、諸費用と呼ばれる費用がかかります。
付帯工事費(地盤改良工事費や外構工事費など)は本体工事費の約20~25%、税金や手数料などの諸費用は本体工事費の10%程度かかります。
したがって、土地にマンションを建築するときにかかる費用の総額は、以下の式で簡易的に計算できます。
- 本体工事費=坪単価×延べ床面積
- 費用総額=本体工事費+付帯工事費+諸費用
=本体工事費の130%程度
ご自身の土地にいくらでマンションを建てられるか、より正確な金額を知りたい方は建築会社から見積もりを取り寄せてみましょう。「イエウール土地活用」の一括見積なら、一度にまとめて複数の大手ハウスメーカーに資料請求できます。
賃貸マンションを建築する上では情報収集が重要です。各社のプランを簡単に比較・検討して、マンション経営の成功を目指しましょう。
\建築費は?初期費用は?/
6階建てマンション建築時のポイント
6階建てのマンションの建築を検討している方は、マンションのフロアを増やして住戸数を多くすることで、家賃収入を増やしたいと考えている方も少なくないでしょう。
しかしながら建築予定地の状況によっては、6階建てではなく5階建てでマンションを建てた方が収益性が高くなるケースもあります。
この章では6階建てマンションの建築を検討する上で、考えておくべきポイントについて詳しく解説します。
容積率を最大限に消化できる設計で建築する
収益性の高い賃貸マンションを建てるためには、「何階建てで建てるか」ではなく「容積率を最大限に消化できるか」を重視しましょう。
容積率とは、敷地面積に対する延べ床面積の割合です。一方、建ぺい率とは敷地面積に対する建築面積(建坪)の割合です。市街地の土地はすべて、自治体によって容積率と建ぺい率の最大値が指定されており、建てられる建物の高さと広さが制限されています。
容積率が低い土地の場合、建物を高く建てようとしても、延べ床面積の上限を満たすために建坪を狭くしなければならず、結局確保できる住戸数が増えない(=賃貸面積が増えない)ということもあります。建築物は高さが増すほど費用がかさみます。そのため、収益目的で1棟マンションを建築する場合、賃貸面積が増やせないのであれば階数を増やすことはおすすめしません。
土地に建てるマンションの賃貸面積をどれくらい確保できるかは、専門家による「ボリュームチェック」によって確認できます。
ボリュームチェックとは、土地にどれくらいまでの規模の建物を建てられるかを確認することです。ご自身でも敷地面積と指定建ぺい率・容積率に基づいて、延べ床面積の最大値を大まかに計算することはできますが、実際には斜線制限や日影規制によって別途建築に制限が発生するケースも多いため、マンション建築を具体的に検討していくにあたっては専門家によるボリュームチェックは欠かせません。
ボリュームチェックを設計士に依頼する場合は、有償となるケースが多いです。ただし、ハウスメーカーに施工を依頼するのであれば、基本設計の提案時に簡易的にボリュームチェックも行ってもらえます。
6階建て以上は設置が必要な階段が増える
6階建て以上の建物は、建築基準法第121条で「直通階段を2以上設けなければならない」と規定されています。
直通階段とは、避難階または地上まで直通している階段のことです。
防災上の観点から6階以上の建物には、この直通階段を2つ以上設置しなければならないと定められているため、費用がかさむだけでなく、場合によっては確保できる住戸数にも影響するでしょう。
なお賃貸住宅の場合は、以下の緩和条件を3つ全て満たしていれば、直通階段の設置が1つでも構いません。
- 各階の居室の床面積の合計が100㎡以下(約30坪以下)
(主要構造部が準耐火構造または不燃材料でつくられている場合は200㎡以下) - 避難上有効なバルコニーや屋外通路が設けられている
- 屋外避難階段や特別避難階段が設けられている
緩和条件の適用を受けるにもバルコニーや避難器具、屋外階段の設置が必要となります。
居室に確保できる床面積や建築コスト等を検討した上で、5階建てにするか、6階建てにするかを決めることをおすすめします。
エレベーターの設置義務はない
6階建てのマンションは、法令上ではエレベーターの設置義務はありません。
しかし、6階建て規模のマンションでエレベーターがないということは、居住性に大きく影響します。エレベーターを設置しない場合、よほど好立地であるか、あるいは家賃設定や住宅設備等で入居者にとって魅力的なポイントを作らなければ、客付けに苦戦する可能性が高いです。
マンションを設置する場合は、設備費と設置工事費を合わせて、1基1,000万円ほどかかります。
また、エレベーターを設置する面積を0.5坪~1坪程度確保する必要があることにも留意が必要です。
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6階建てマンションの建築費用を抑える方法
マンションの建築費は、マンション経営における利回りに影響します。
できる限り建築費を抑えることができれば、利回りを高めて黒字化を早めることができます。
この章では、マンションの建築費を抑えるための4つのポイントをご紹介します。
- 複数社に建築プランを相談する
- VE提案をする
- ハウスメーカーの設計施工一貫方式で建てる
- 設備のグレードを抑える
複数社に建築プランを相談する
マンションの建築にかける費用を抑えるためには、複数の建築会社に見積もりを出してもらって比較することが重要です。
ただ建築費の安い会社を選べばよいという訳ではありませんが、複数社から見積もりを取得することで、建設予定のマンションの規模に対する相場感を掴みやすくなります。
相場感を掴めれば建築会社への建築費の減額提案もしやすくなるため、工事契約を結ぶ前に是非とも複数社に相談しましょう。
建築会社への見積もり依頼は「イエウール土地活用」の一括見積が便利でおすすめです。
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VE提案をしてもらう
VE提案とは、「バリューエンジニアリング(Value Engineering)提案」の略称で、品質を維持しながらコストダウンを図る提案のことです。
建築会社に提案してもらった建築プランに対して、必要な機能を維持しながらコストダウンが図れないか検討し直してもらいます。
たとえば、使用する建材や導入する設備を再検討してもらった結果、建築費を縮小できる可能性があります。
設計施工一貫方式で建てる
ハウスメーカーの施工一貫方式で建てることで、設計料を節減できます。
マンションの建設方法には、ハウスメーカーに設計から施工まで一貫して行ってもらう「設計施工一貫方式」と、設計は設計事務所、建設工事は工務店に依頼する「設計施工分離方式」の2つの方法があります。
設計施工分離方式の場合、設計料が建設費の10%程度かかりますが、設計施工一貫方式であれば、設計料を3%程度に抑えることができます。
他にも、マンション建築のプランニングから施工までの期間を短縮できます。また、同じ会社が建設工事を行うため、その会社の得意技術を活かした設計で建設できたり、建材の確保に融通を利かせやすいといったメリットもあります。
住宅設備のグレードを抑える
マンションの住戸に導入する住宅設備のグレードを上げ過ぎないようにすることも、建築費を抑える上で気をつけたいポイントです。
トイレや浴室・キッチンといった住宅設備は、グレードによって費用が大きく異なります。そして、住戸数が増えるほど設備設置にかかる費用がかさみます。
最新の設備は入居者から人気がありますが、費用が高く、また設置から時間が経てば「最新」という売りもなくなってしまいます。賃貸の場合、設備を修繕したり交換したりする機会も多いため、修繕費を抑える観点からも最新設備は避けた方がよいでしょう。
コンセプトを持ってマンションを設計するのでない限りは、コストパフォーマンスの良い必要最低限のグレードの住宅設備を導入して、コストダウンを図るのがおすすめです。
高収益のマンションを建築するコツ
せっかくマンションを建設しても、入居率がふるわなければ収益に繋がりません。
この章では、高収益をもたらすマンションを建設するためのポイントを3つご紹介します。
- エリアのニーズにあった間取りで建てる
- 競合物件に合わせて導入設備・内装を決める
- 競合物件と差別化できるポイントを作る
エリアのニーズにあった間取りで建てる
マンションの間取りは、土地の賃貸需要に合わせて決めましょう。
一般的に、坪あたりの収益性が高いのは専有面積を抑えたワンルームマンションです。
しかし、単身者の賃貸需要が低いエリアや、既にワンルームマンションが飽和しているエリアでは、新しくワンルームマンションを建てても入居は見込めません。そこで、事前に立地調査をしっかり行って、ニーズに合った設計でマンションを建てる必要があります。
たとえば学校や公園の近い土地であれば、ファミリー層向けの2LDK、3LDKの間取りの部屋の多いマンションを建てることを検討してみましょう。
- 近隣でどんな物件が満室になっているか・空室ができているかを確認することでも、エリアのニーズを知ることができます。
競合物件に合わせて導入設備・内装を決める
マンションに導入する住宅設備や内装は、競合物件を参考にしましょう。
前章で設備にかける費用を抑えた方がよいとご紹介しましたが、競合物件よりも導入している設備が著しく劣っていると、入居者に避けられてしまいやすくなります。
周辺の競合物件ではどのような設備が導入されているかをチェックし、内装や導入する住宅設備の種類やグレードを決めましょう。- 昨今は無料のインターネット回線や宅配ボックスなどが人気です。
競合物件と差別化できるポイントを作る
入居率を高めて高収益を図るためには、競合物件と差別化できるポイントを作れないか検討してみましょう。
たとえば、女性向けにセキュリティー設備に力を入れたマンション、リモートワークや趣味のために防音性に力を入れたマンションなど、コンセプトを決めて特化させる方が、設備に満遍なくお金をかけるよりも高い費用対効果を得られます。
まとめ
土地にマンションを建ててマンション経営を長期的に行うためには、収益性を確保することが重要です。
マンションの建設費を適切に抑えられれば融資の借入金額も抑えることができるため、収益を得やすくなります。
ご自身の土地にどのようなマンションを建てるのがベストなのか知るためには、まずは土地活用のプロに相談してみましょう。
提案されたプランを複数比較して検討し、マンション経営の成功を目指しましょう。