所有する土地の隣の土地を手に入れることができれば、一筆の土地ではできない活用方法も検討することができるため、活用の幅が一気に広がります。
さらに、広い土地で土地活用を始めた方が将来の収益が大きくなる可能性が高まります。
一度は「隣の土地を買えたら…」と考えたことがあるのではないでしょうか。この記事では、隣地を購入するメリットから購入時の手順や注意点まで解説しています。土地活用を始める前に参考にしてみてください。
隣の土地(隣地)を購入するメリット
自宅の隣にある土地を購入することには、さまざまなメリットがあります。
- 土地の条件がよくなる
- 自宅を増築できる
- 相続税対策になることもある
自宅の隣地ならではの購入メリットを知り、自宅から離れた土地を買う場合とどのような違いがあるのかを知っておきましょう。
土地の条件がよくなる
隣の土地を買うことで、所有する土地の条件がよくなるケースがあります。例えば自身の所有する土地だけでは不整形地でも、隣地を購入することで整形地になり、使いやすくなることもあります。
他にも容積率が増え、土地の使い勝手がよくなるなら、条件面での向上は期待しやすいです。ただ土地が広がるだけではなく、利用できる土地の形が変わることで、条件がよくなるケースは多いです。
自宅を増築できる
隣地を購入することで、新たに増えたスペースを利用して自宅を増築できます。家の増築にはスペースの余裕が必要であり、隣地の購入以外では増築幅の余裕を持つことが難しいです。
所有する土地が隣地まで広がることで、大規模な増築が可能なこともあり、自身の思い通りの家づくりができる点は大きなメリットです。
相続税対策になることもある
現金のまま資産を所有していると相続税は高いですが、資産を土地に換えておくことで、課税対象の評価を抑えることができます。相続時には不動産は購入価格ではなく、評価額によって課税対象額が決まり、現金よりも評価額は低くなります。
つまり、所有する資産価値自体が同じでも、不動産を多く持つ人のほうが評価額が下がり、相続税の節税が可能です。土地を所有することで相続税の対策ができ、将来的な税コストの削減になることも、隣地を購入するメリットといえます。
隣の土地(隣地)を購入するための手順
自宅の隣の土地を買いたいなら、購入の手順を頭に入れておくことが大切です。
- 土地の状況確認を実施する
- 建築プランを立てる
- 土地の相場価格を調べる
- 隣地所有者に購入を打診する
- 購入手続きを行う
上記5つのステップを踏むことで、隣地を購入できます。
土地の状況確認を実施する
購入したい隣地が、どのような状況なのか確認しておきましょう。調べておきたいポイントは次の通りです。
- 地形
- 地番
- 所有者
- 抵当権設定の有無
地形や地番は、法務局にて公図を取得することで確認できます。地形に問題がないか確認した後は、地番の所有者が誰かを登記簿謄本を取得して確認しておきましょう。
所有者が誰かわかっていないと、誰に対して交渉をすべきかがわからず、購入手順は滞ってしまいます。また、抵当権が設定されている場合は、土地を担保に金融機関からお金を借りているため、所有者からすると売却のハードルは高いです。
しかし、売却価格でローンを完済できるなら、抵当権を抹消して売却ができるため、交渉次第ではローン返済途中でも売ってもらえる可能性はあります。
建築プランを立てる
購入前に、隣地を購入したら自宅をどのように増築する、あるいはどのような建物を建てるかなどの建築プランを立てておきましょう。建築プランは建築士に相談して決めることが大切であり、購入予定の土地の広さや形状などから、建築可能な建物を調べておく必要があります。
購入した土地を上手に活用するためにも、土地活用の方法は念入りに考えておき、専門家のアドバイスを受けながら詳細な活用プランを決めることが大切です。
土地の相場価格を調べる
隣の土地がいくらくらいで購入できるか、相場価格を調べておきましょう。相場価格は一括査定サイトを利用することで、調べられます。一括査定サイトに隣地の住所や広さを入力することで、不動産会社が査定額を提示してくれます。
査定額は不動産会社によって異なりますが、基本的には3ヶ月程度で売却できる価格の目安です。つまり、査定額が大まかな購入価格になると考えましょう。
ただし、査定額はあくまで参考価格であるため、実際の売買がその額通りに行われるわけではありません。最終的な売買価格は売主と買主の交渉によって決まります。そのため、隣地の購入価格が査定額以上になるケースはもちろん、査定額以下で購入できることもあります。
隣地所有者に購入を打診する
相場価格を調べたなら、隣地の所有者にいくらで買うかを提示して、購入を打診しましょう。隣地を購入する場合は、自分の土地と合わせた場合に発生する増分価値を購入価格にプラスすることが一般的です。
例えば現在所有する土地が不整形な150平方メートルの土地で、隣地を買うことで80平方メートルの整形地になるとします。この場合は整形地になることで資産価値が上昇するため、上昇分を増分価値と考え、購入価格に上乗せします。
増分価値を細かく算出することは難しいため、基本的には相場価格よりも少しだけ買い値を上乗せして提示し、相手の出方を見ながら交渉すると考えましょう。
購入手続きを行う
交渉を行い、隣地の所有者が売却に合意したなら、各種条件を確認して売買契約を締結します。土地の売買は個人間でも行えますが、契約内容や引き渡し後などに不備が発生し、トラブルになることも多いです。
そのため、契約は不動産会社に仲介をしてもらうことがおすすめです。不動産取引の専門家を間に入れることで、売買時のトラブルは防ぎやすくなります。
土地活用を考えているなら、隣の土地を購入することでその選択肢はかなり広がるでしょう。
さらに購入した後、所有する土地でどのような土地活用種別が良いのか迷ったときは複数の土地活用プランを一括請求・比較できるサービスを使うことをお勧めします。
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隣の土地(隣地)を購入するときの交渉のポイント
土地を購入する際には所有者との交渉が必要です。交渉の際にはいくつかポイントがあり、隣地を買う場合は特に次の点を意識することが大切です。
- 長期戦になるつもりで臨む
- 細かい条件は飲む
- 不動産会社にサポートしてもらう
- 良好な近所付き合いを心がける
隣地購入ならではの交渉のポイントを把握して、スムーズに契約の合意を得ましょう。
長期戦になるつもりで臨む
隣地の購入は時間がかかることも多く、長期戦になるつもりで土地購入に臨むようにしましょう。そもそも不動産売買は最低でも3ヶ月程度かかり、長いと半年や1年以上かかることも多いです。
土地を売るかどうかは所有者が決めることであり、そもそも売却の意思がないこともあります。売却の意思がない人に土地を売ってもらうよう頼み、説得するには時間がかかります。隣地の所有者が土地を売り出すつもりでいたなら話はスムーズにまとまりやすいですが、そうではない場合は長期戦は覚悟しておきましょう。
細かい条件は飲む
隣地を売ってもらえそうなら、相手が提示する細かい条件はできるだけ飲むことが大切です。細かい条件を提示するということは、契約する意思が強いことを示しています。
条件を飲むことでスムーズに契約が決まる可能性もあるため、細かい条件は可能な限り容認しましょう。条件を飲まないと売主の気が変わり、売却してもらえなくなるケースもあるため注意が必要です。購入のチャンスが向いてきたなら、その機会を逃さずに一気に契約の合意まで持ち込むことが大切です。
不動産会社にサポートしてもらう
土地の購入は個人間で行わず、不動産会社に仲介を依頼して、サポートしてもらいましょう。個人間での不動産取引はトラブルが発生しやすく、契約がうまくいかないことも多いです。仮に契約まで進めたとしても、契約内容で揉めることもあるため、問題を回避するためにも、プロに依頼することがおすすめです。
不動産会社に依頼すると、仲介手数料が発生しますが、費用を支払う分手続きはスムーズに進められます。取引時のトラブルも回避しやすく、損なく取引を行えます。
良好な近所付き合いを心がける
隣地に所有者が住んでいる場合は、普段から良好な近所付き合いを心がけましょう。隣地の所有者と良好な関係性を築けているなら、土地購入の交渉も進めやすく、好条件で売却してもらえることもあります。
隣地の所有者とトラブルがあり、普段から仲が悪いと、購入したいと申し出てもそもそも話すら聞いてもらえないこともあります。隣地購入の話に耳を傾けてもらい、スムーズに交渉をするためにも、良好な近所付き合いをしておくことが大切です。
隣の土地(隣地)を購入するときの注意点
自宅の隣の土地を買いたいなら、隣地購入ならではの注意点を知っておくことも大切です。
- 土地の購入価格は多少上がる
- 弁護士に依頼するのはNG
- 無理のない資金計画を立てる
- 売買がうまくいくとは限らない
隣地の購入ではどのような点に注意が必要なのかを知り、失敗なく交渉を進めるためにも各種ポイントは頭に入れておきましょう。
土地の購入価格は多少上がる
隣地を買うことによって所有する土地が整形地になったり、容積率が上がったりするなど、価値が上がる場合はその分を購入価格に上乗せします。増分価値が発生するなら、通常の土地購入の相場よりも価格は上がりやすく、購入価格が割高になる可能性があることは理解しておきましょう。
増分価値には相場がないため、どれくらいの金額までなら出せるかは事前に考えておく必要があります。上限額をあらかじめて決めておかないと、売主が提示するままの金額で応じてしまい、損をすることもあります。
増分価値があるなら相場よりは高値になりやすいですが、極端に購入価格が上がりすぎないように、自身で上限を決めておきましょう。
弁護士に依頼するのはNG
隣地の購入にあたっては、トラブルを防ぐために専門家にサポートを依頼することがおすすめです。しかし、専門家でも弁護士に交渉を依頼するのはNGです。弁護士を雇うと、相手が必要以上に身構えてしまい、交渉がスムーズに進まない可能性があります。
不動産取引のサポートを依頼するなら、不動産会社がおすすめです。不動産会社に仲介を依頼し、間に入ってもらって売買交渉を進めましょう。
無理のない資金計画を立てる
隣地の購入は通常の土地購入よりも価格が高くなりやすいため、無理のない資金計画を立てておくことが大切です。特に隣地の購入にあたってローンを組むなら、収支のバランスを計算して、無理なく返済できる計画を立てておきましょう。
返済計画に無理があると、せっかく取得した土地を手放し、売却価格でローンを返済することにもなりかねません。現時点だけではなく、老後資金や今後の収入の増減なども加味して、資金計画を立てておきましょう。
売買がうまくいくとは限らない
各種ポイントを押さえて交渉に臨んだとしても、必ずしも売買がうまくいくとは限りません。そもそも不動産売買は、所有者に売る意思があるかどうかが重要です。そのため、隣地の所有者に土地を手放す意思がない場合は、どれだけ好条件を提示しても土地を売ってもらえない可能性があります。
また、隣地の所有者が不明であったり、土地を第三者に貸し出していたりする場合でも、土地の購入は難しいです。
売買を成功させるには細かい点を意識して交渉に臨む必要がありますが、それ以上に買いたいときに隣地の所有者が土地を売ろうとしているかという、タイミングと運が重要であることは理解しておきましょう。
しっかりと計画を立てて隣地の買収を成功させよう
自宅の隣の土地を買いたいなら、資金計画や購入後の建築プランなどを念入りに立てておくことが大切です。土地が広がることで増改築が可能となり、土地活用の選択肢も増えます。
隣地の購入するメリットは大きいですが、買主にメリットが大きい分、売主としても売却価格を上げることが多いです。通常の土地売買よりも相場価格が上がることも多いため、隣地の購入には資金の余裕を持ち、無理のないプランを立ててから交渉に臨みましょう。
記事のおさらい