「施設に入った親の家を解体していいのだろうか。」
自分の親が施設に入って実家が空き家になってしまった場合、家を解体すべきか悩むひとは少なくありません。
空き家の維持管理には手間や時間がかかりますが、解体には数百万の費用がかかります。
まだ、親が生きているのに解体するのは気持ち的な面でどうかなと感じる方も多いでしょう。
本記事では、施設に入った親の家を解体してよいのかを迷っている方に向けて、解体を決める前に知っておきたい注意点や解体以外の対処方法について解説しています。
私の家の解体費用はいくら?
▼家の解体費用についての基礎知識はこちら
施設に入った親の家を解体する際の注意点
まずは、施設に入った親の家を解体する際の注意点をおさえておきましょう。
▼施設に入った親の家を解体する際の注意点
【注意点①】解体費用は100万円から300万円で一括払いが原則
解体費用は100万円から300万円と高額です。例えば、一般的な30坪の木造住宅の解体費用は90万円~150万円となります。
くわえて、解体費用は施工完了後の現金一括払いが一般的です。
なお、資金が不足している場合は、解体補助金や解体ローンがおススメです。
昨今、地域の景観や治安を守るために、各自治体で補助金制度や、地元の金融機関と連携したローン商品を設ける動きが活発になっています。制度や商品の有無は自治体ごとで異なりますが、補助金は上限100万円、解体ローンは年利2.5%~3.5%で返済期間1年以内が一般的な目安です。
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【注意点②】解体後の翌年から固定資産税が高くなる
解体後の翌年には固定資産税が高くなります。
建物を解体すると、建物があることで適用されていた固定資産税の軽減税率(=住宅用地の特例)が適用対象外となるためです。
住宅用地の特例では、建物つき土地の敷地で200㎡以下の部分は1/6、200㎡を超える部分は1/3まで、固定資産税率が軽減されています。固定資産税率は毎年1月1日時点の土地の状態によって決まるため、解体した翌年より適用が外れ、税額が3倍~6倍まで跳ね上がります。
解体後も継続して土地を所有しつづける場合は、解体したぶん上昇した固定資産税を支払い続ける点に注意してください。
【注意点③】解体後に新築できない土地の場合がある
「再建築不可」とされる土地の場合、解体後に新しい建物を建てるのが難しく、更地にすることで扱いづらい土地になってしまうケースがあります。
再建築不可とは新しく建物を建てることを禁止されている土地のことです。都市計画区域と準都市計画区域内だけに存在し、建築基準法で定められた接道義務(幅4m以上の道路に2m以上接していないといけない)を果たしておらず、建物を建て替えることができない場合に該当します。
建築基準法が定められる昭和25年以前に建てられた家は、基準を満たしていないケースが多いため、解体する場合は不動産会社に相談する等して、事前に確認をとるようにしましょう。
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施設に入った親の家は解体せず売却するのがよい?
- 解体せずに手放す方法ってないのかな…?
解体には税金や施工費用など、金銭的な負担が大きくかかります。どうしても難しい場合は、解体せずに売りに出すというのもひとつです。
本章では、解体せずに売却する際に知っておきたい3つの注意点を解説します。
▼解体せずに売却する際に知っておきたい3つの注意点
- 売却代金を親の施設費用にあてられる
- 売れるまで数年かかる可能性も
- なかなか売れないなら更地渡しか買取での売却も検討
【注意点①】売却代金を親の施設費用にあてられる
解体せずに売却できれば、解体費用がかからない他、売却代金を親の施設費用にあてることができます。
介護施設の入居費用の平均相場は100万円、中央値は10万円といわれています。古家の売却代金の相場は、土地や建物にもよりますが数十万から数百万円程度です。解体せずに売却することは、資金的に余裕がない方にとって、金銭面での負担を減らすことに役立ちます。
- 施設の入居にはお金がかかるから、売却して少しでも支払いにあてられたらありがたいよね
【注意点②】売れるまで数年かかる可能性も
ただし、どんな家でもすぐに売却できるとは限りません。
家売却にかかる期間は平均3カ月ですが、売れない場合は3年以上かかることも珍しくありません。
ご実家の場合は、築年数が20年超の古い家であることが一般的です。築20年超えの建物の資産価値はゼロに等しいため、売り出す場合は土地の値段がつくことになります。
利便性が高い土地(例えば、都心部に位置して交通の便がよい、カタチが整形で多様な用途に対応できる等)であれば、早く売れる可能性があります。一方で、田舎に位置していたり、不整形で扱いづらい土地の場合は、なかなか買い手が見つからないリスクも…。
ご実家の土地が売れるまでどれくらいかかりそうは、売りたいエリアに拠点がある不動産会社に相談してみましょう。不動産会社は土地売却のプロなので、ご実家の土地や建物の評価を客観的にふまえたうえでの売却プランを、一緒に考えてくれるはずです。
【注意点③】なかなか売れないなら更地渡しか買取での売却も検討
売れる自信がない土地の場合は、更地渡しか買取での売却も検討しましょう。
更地渡しの場合、売主負担で購入後に更地にすることを約束しているので、建物つき土地よりも買い手がつきやすくなります。さらに、売却後に解体するため、売却益を解体費用にあてることが可能です。
ただし、解体費用分を売却価格に上乗せできるわけではありません。売却価格が解体費用を下回る場合に、赤字リスクがある点に注意してください。
買取とは、不動産会社に直接土地を売る売却方法です。市場で買い手を見つけるわけではないので、不動産会社が提示した買取価格に合意ができれば売却を完了させることができます。査定を依頼してから最短1週間で売ることができるのも、スグ手放したい方にとっては魅力でしょう。
ただし、買取価格は市場の約8割まで安くなってしまいます。よって、できるだけ高く売りたい方にはあまりおススメできません。
私の家の解体費用はいくら?
施設に入った親の家の解体を検討するならイエウール
本記事では「施設に入った親の家を解体する上での注意点」や、「家を解体せずに売却する際の注意点」を解説しました。
実家が生まれ育った生家であるなら、費用面だけでなく、精神的にも、解体工事を決めるのに負担を感じるひとも多いでしょう。
解体したほうがよいか決める際は、解体工事の費用がいくらかかるのか、解体せずに売りに出す場合はいくらになるのか、解体業者や不動産会社に適切に相談して、状況を整理することが大切です。
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