【FP監修】更地にすると固定資産税は高くなる!理由と抑えるコツを解説

【FP監修】更地にすると固定資産税は高くなる!理由と抑えるコツを解説

空き家を維持管理するのは労力や手間がかかるので、いっそのこと更地にしたいと考える方は多いでしょう。

しかし、そこで出てくるのは固定資産税の問題です。更地にすると一般的には固定資産税は高くなってしまうので、税金面での負担は大きくなってしまいます。

本記事はFP(ファイナンシャルプランナー)岩永真理氏の監修のもと、更地にすると固定資産税が高くなり理由と、どれだけ高くなるか、それをおさえる方法をわかりやすく解説しています。

お手持ちの空き家の解体をご検討中の方は、解体費用がいくらかかるかも気になるでしょう。以下のツールでは、ご自宅の解体費用をシミュレーションできます。ぜひご活用ください。

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FP(ファイナンシャルプランナー)岩永 真理
監修者:FP(ファイナンシャルプランナー) 岩永 真理
ファイナンシャル・プランナー(一級FP技能士・CFP®)、住宅ローンアドバイザー。大手金融機関に入行後、10年超勤務。ファイナンシャル・プランナーとして独立後は、幅広い世代のライフプランに基づく資産運用、リタイアメントプランなどの個別相談・セミナー講師・執筆などを行っている。
岩永 真理 公式ホームページ

▼家の解体費用の関する基礎知識はこちらの記事を参照ください。

家の解体費用の相場はいくら?金額の決まり方まで解説

更地にすると固定資産税は高くなる

冒頭で触れたとおり、更地にすると一般的に固定資産税は高くなってしまいます。

固定資産税が高くなる理由は、家が建っている土地に適用される軽減措置(住宅用地の特例)が適用対象外となってしまうためです。
家が建っている土地には、「住宅用地の特例が税の特例が適用されており、通常の固定資産税率1.4%に対し、1/6~1/3となる軽減措置が適用されています。しかし、解体して更地にするとこの適用が外れてしまい、軽減措置がなくなり、そのぶん税負担が高くなってしまうのです。
(※)軽減税率とは、例えば、消費税では基本は10%ですが、特例対象の場合8%となり、この特定対象の場合の税率のことです。また、軽減措置とは控除の場合や掛け率の場合があり、本文の場合は掛け率です。本来は税率をかけて算出しますが、それに一定割合をかけることで減税となります。具体的には、「固定資産税額=固定資産税評価額×1.4%」ですが、住宅の場合軽減措置のため、それ(この算出した額)に、1/6や1/3をかけた額が税額となります。

更地にすると軽減措置(住宅用地の特例)が外れる

住宅用地の特例」と呼ばれる軽減措置は、家付きの土地(=住宅用地)のみ適用されているものです。

固定資産税の計算式(家付き土地の場合)

家付き土地の場合、固定資産税は次の計算式で概算がわかります。

住宅用地の特例が適用されるため、固定資産税評価額に軽減分割合を掛けた金額が、土地の課税標準額となっています。

▼固定資産税の計算式(家付きの場合)

固定資産税額=土地の課税標準額(固定資産税評価額 × 負担調整率×軽減掛率×税率1.4%
(※)負担調整率は、負担水準の均衡化を進め、評価替え(固定資産税評価額の見直し)で急増しないことを目的に自治体ごとで設定されています。

固定資産税の計算式(更地の場合)

しかし、更地にしてしまうと、軽減措置が外れてしまい、計算式は以下のように変わります。

▼固定資産税の計算式(更地の場合)

固定資産税額=土地の課税標準額(固定資産税評価額 × 負担調整率)×税率1.4%

軽減措置が外れると固定資産税は高くなる

軽減割合の掛け率は土地の面積に応じて決まり、200㎡以下なら1/6200㎡超えると1/3となっています。

▼固定資産税の軽減措置(住宅用地の特例)

対象種類軽減率
200㎡以下の土地部分小規模宅地の特例1/6
200㎡超えの土地部分一般住宅用地の特例1/3
例えば、250㎡で評価額が3,000万円の家付き土地の場合、200㎡(2,400万円分)には1/6、50㎡(600万円分)には1/3の軽減掛け率が適用されます。
例)250㎡で3,000万円の【家付き土地の場合】
  • 200㎡(2,400万円分)に1/6
    • 固定資産税 = 2,400万円 × 1/6 × 1.4% = 5.6万円
  • 50㎡(600万円分)に1/3
    • 固定資産税 = 600万円 × 1/3 × 1.4% = 2.8万円
  • 合計で8.4万円

同じ例で、土地のみの場合で計算すると次のようになります。

例)250㎡で3,000万円の【更地の場合】
  • 3,000万円×1.4% = 42万円
  • 合計で42万円
更地にすると、軽減措置がなくなってしまうから、同じ土地でも税額が高くなってしまうよ!
更地にすることをご検討されている方は、解体費用からも予算を把握しておきましょう。以下のツールでシミュレーションができますので、ぜひご活用ください。

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更地の固定資産税はどれだけ高くなる?

軽減措置(住宅用地の特例)は1/6~1/3なので、適用外になると3倍~6倍まで跳ね上がるってこと?

高くなるのは概ね3倍~4倍程度

軽減税率が外れるからといって、急に6倍まで上昇するわけではありません!
固定資産税は土地だけでなく、家屋(建物)にも課せられています。
更地にすると土地の固定資産税は上昇しますが、家屋分の固定資産税がなくなりますので、結果的に高くなるのは概ね3倍~4倍程度となります。
空き家の解体をご検討中の方は、解体費用の相場も更地にすべきかどうかの判断材料となります。以下のツールでは、ご自宅の解体費用シミュレーションできます。ぜひご活用ください。

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更地前後の固定資産税をシミュレーション

実際に、更地にすることで固定資産税はどれだけ変わるのでしょうか?
例えば、次のシミュレーションだと、更地にすることで固定資産税が2.9倍 になります。
▼シミュレーション例
  • 家の評価額:500万円
  • 土地の評価額:3,000万円
  • 土地面積:350㎡

■家つき土地の場合(軽減措置が適用)

土地面積が350㎡なので、200㎡までは1/6、残りの150㎡には1/3の軽減割合が適用されます。

①家の固定資産税
=500万×1.4%=7万円

②土地の固定資産税
=3,000万×1.4%×{(200/350×1/6)+(150/350×1/3)}=10万円

合計の固定資産税
=①7万+②10万17万

■更地の場合(軽減措置の適用外)

軽減措置の適用が外されるので、1.4%の税率のままです。

①建物の固定資産税
=建物がないため、0円

②土地の固定資産税
=3,000万×1.4%=42万円

合計の固定資産税
=①0万+②42万42万円

42万円 ÷ 17万円 = 2.4倍 になるよ!

都市計画税の増税にも注意しよう

更地にする場合、都市計画税の増税にも注意しましょう。

都市計画税は、市街化区域内の土地や建物に課される税金で、固定資産税評価額を基準にして0.3%を上限として計算します(市区町村で異なります)。

都市計画税にも住宅用地には軽減措置(住宅用地の特例)が適用されており、200㎡以下で1/3となり(小規模宅地の特例)、200㎡を超えると2/3となります。

▼都市計画税の軽減措置(住宅用地の特例)

対象種類軽減率
200㎡以下の土地部分小規模宅地の特例1/3
200㎡超えの土地部分一般住宅用地の特例2/3
シミュレーションの仕方は固定資産税と同様で、概ね2倍~3倍になります。
▼シミュレーション例
  • 建物の評価額:500万円
  • 土地の評価額:3,000万円
  • 土地面積:350㎡

■家つき土地の場合(軽減措置が適用)

土地面積が350㎡なので、200㎡までは税額が1/3に、残りの150㎡には税額が2/3になります。

①建物の都市計画税
=500万×0.3%=1.5万円

②土地の都市計画税
=3,000万×0.3%×{(200/350×1/3)+(150/350×2/3)}=4.3万円

合計の都市計画税
=①1.5万+②4.3万5.8万円

■更地の場合(軽減税率が適用外)

軽減税率の適用はないので、0.3%の税率がそのまま掛かります。

①家の都市計画税
=建物がないため、0円

②土地の都市計画税
=3,000万×0.3%=9万円

合計の都市計画税
=①0万+②9万9万円

9万円 ÷ 5.8万円 = 1.55倍 になるよ!
空き家を更地にすることをご検討中の方は、解体費用も目安として把握しておくことがおススメです。以下のツールからシミュレーションできますので、ぜひご活用ください。

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更地にせず放置しても固定資産税は高くなる

更地にしない場合でも、管理が行き届いていない空き家は特定空き家に指定される可能性があります。指定されると、更地と同様の基準で固定資産税が増加するリスクが…。

固定資産税を増加してしまうのを防ぐために、空き家をそのままにしておくことはおススメできません。本章では、空き家を放置するデメリットを解説しています。

特定空き家に指定されると固定資産税は高くなる

特定空き家」とは、周囲の環境や安全に悪影響を及ぼす可能性があると、自治体が認定した空き家のことを指します。
特定空き家は「空き家対策の推進に関する特別措置法」に基づき、周辺地域の生活環境や景観の保護を目的として適切な管理が求められます。

特定空き家に指定されると、通常の住宅用地特例が適用されなくなり、固定資産税の優遇措置が外れるため、更地と同様の負担が発生します。

具体的には、通常の住宅用地の評価額がそのまま適用されるため、固定資産税が最大で6倍にまで増加することもあります。

固定資産税が増加するからといって空き家を放置することは、特定空き家に指定されるリスクを高め、逆に増税につながりかねません。

特定空き家に指定される状態とは

では、どのような状態が特定空き家になるのでしょうか?

「空き家対策の推進に関する特別措置法」では、以下に該当すると、特定空き家とされています。

▼特定空き家の要件

  • 倒壊の危険がある:放置すると、保安上危険になる恐れがある場合
  • 衛生上有害:ゴミや廃棄物の放置など、衛生環境が悪化している場合
  • 景観を損なっている:適切な管理がされていないことで周囲の景観に悪影響を与えている場合
  • 周辺の生活環境保全のために放置が不適切:不審者等が侵入しやすく、防犯上で問題がある場合。

参照|国土交通省「特定空き家ガイドライン」

これらの状態が見られると、自治体から改善や修繕を求める通知が届くことがあります。自治体によって上記要件を点数化するなど特定空き家の認定基準はさまざまですので、行政のホームページで確認しましょう。

改善せずに放置すると、最終的に特定空き家として措置がとられ、、固定資産税の優遇措置がなくなります。

特定空き家に対する措置

▼空き家法第14条に基づく特定空き家に対する措置の流れ

  1. 自治体の立入調査: 外見上危険と認められる空き家等について、必要に応じて自治体が内部に立ち入って調査確認
  2. 所有者への告知: 空き家の問題点を知らせ、改善を促す告知除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置)の送付
  3. 所有者への勧告: 所有者が改善しない場合、必要な措置をとることを勧告
  4. 所有者への命令: 勧告に従わない場合、その措置をとることを命じます
  5. 行政の代執行: 所有者がなお改善しない場合、行政が代執行します。

特定空き家を放置しても、すぐに特定空き家に対する措置がとられるわけではありません。措置がとられるまでには、自治体による告知、勧告、命令があります。

放置し続けるといずれは自治体から代執行の措置がとられてしまうので、早めに対策することをおススメします!
空き家を更地にすることをご検討中の方は、以下のフォームから解体費用をシミュレーションできます。ぜひご活用ください。

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更地の固定資産税を払わないとどうなる?

更地にしても空き家を放置しても、固定資産税が高くなることをお伝えしました。

しかし、納税を行わない場合、以下のような段階的な措置が取られます。

▼更地の固定資産税を払わないとどうなる?

  1. 督促状の送付
  2. 財産の差押え
  3. 差押えた財産の公売
  4. 新しい不動産取引や契約で不利に

1. 督促状の送付

固定資産税の支払い期限を過ぎると、市区町村から督促状が送られてきます。

督促状には、指定された期日までに納税するよう指示が記載されます。

この段階で、延滞金(通常は年率2.6~14.6%程度)が加算されます。

2. 財産の差押え

督促状の期日までに納税しない場合、財産の差押えが行われることがあります。

▼差押えの対象となる財産は以下のようなものです

  • 銀行口座の預金
  • 自宅などの不動産(更地そのものが含まれる場合も)
  • 自動車などの動産

差押えの前に再度通知(納税の催促)が行われても滞納を続けると、最終的に差押えが実行されます。

3. 差押えた財産の公売

差押え後も納税しない場合、差押えた財産が公売(競売)にかけられます。

公売による収益で固定資産税の未納分が補填されます。

4. 新しい不動産取引や契約で不利に

固定資産税の滞納は信用情報に直接影響されないようです。

ただし、地方自治体とのトラブル記録が残る可能性や、新たな不動産取引や契約で不動産担保ローンを借りる場合は固定資産税の納税証明が必要となり審査に不利になる可能性があります。

更地にすべきか迷ったら、イエウール解体にご相談ください。固定資産税等のご事情を踏まえたうえで、専任のオペレーターがご案内いたします。以下のフォームからぜひご相談ください。

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更地の固定資産税を抑える方法

本章では、更地の固定資産税の負担を減らすにはどうしたらよいのかについて説明します。

▼更地の固定資産税の負担を減らす方法

  1. 土地活用をする
  2. 土地を売却する
  3. 農地に転用する
  4. 建物の解体は1月1日以降に行う

土地活用をする

土地活用をすることで固定資産税の負担を減らすことができます。

特に、アパート経営やマンション経営などの賃貸住宅経営を行うことで、住宅用地の特例で固定資産税の軽減措置が適用され、固定資産税の軽減措置が適用されることに加えて、家賃収入も得ることができます。

しかし、更地に建物を建てることで土地の固定資産税は安くなっても、新たに建物の固定資産税が課されることになります。また、賃貸経営には管理費や修繕費などの恒常的にかかる費用もあるため、まずは自分で調べたり、ハウスメーカーなどに相談したりすることが大切です。

駐車場経営は固定資産税対策にならない?

駐車場経営は、結論から言うと固定資産税対策にはなりません

なぜなら、住宅用地の特例が適用されるのは居住を目的とした建物が建っている場合であり、駐車場経営は居住を目的としてはいないため更地扱いになるからです。

そのため、もともと建っていた住宅を解体して駐車場にした場合などは、固定資産税の負担が増える可能性があります。

ただし、駐車場経営は初期費用やランニングコストがあまりかからないため、状況によっては固定資産税分の出費を利益によって賄うことができます

駐車場経営は機器設備の設置をするだけなので、短期間で始められます。また、比較的スムーズにやめられるので、更地にした後の暫定的な土地活用として行なうのは良いでしょう。

土地を売却する

更地をどう活用したらよいのか分からなかったり、そもそも活用する気が無かったりする場合、売却してしまうのも一つの方法です。

固定資産税は土地を所有しているだけでかかるため、使い道がないのであれば早めに売却を検討することをおススメします。

更地を売却することで、税負担を減らすだけでなくまとまったお金を得られる場合もあります。

農地に転用する

更地を農地に転用することで、固定資産税を安くすることができます。

農地の区分により、計算方法は異なりますが、固定資産税の評価額は一般的には更地のときより下がります。

ただし、農地に地目変更するためにはいくつかの必要な届け出があることと、少し野菜を植えるだけでは農地としてみなされず、耕作の目的に供される土地でなければならないことには注意しましょう。

建物の解体は年が明けてから行う

建物の解体は年明けまで待つのが節税のポイントです。

土地の固定資産税は1月1日時点の状態で決まります。よって、12月中に建物を解体して更地にすると、翌年の固定資産税が高くなります。

一方、1月1日を過ぎてから解体すれば、その年は住宅地として評価され、固定資産税の軽減措置が適用されます。

年内に解体を急がず、年を越してからの解体が節税につながります。
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【完全無料】うちの価格いくら?