数ある賃貸アパートの中でもどのような構造のアパートが防音性が高く住み心地が良いのでしょうか。賃貸とはいってもしばらく住む部屋はしっかり選びたいですよね。
アパートの近隣トラブルで多いのが騒音問題になります。掃除機や洗濯機の音、足音、極端に大きな話し声など騒音トラブルの原因はさまざまです。
不特定多数の生活スタイルが異なる人が集合して生活している以上、多少の我慢は必要かもしれません。ただ、度を過ぎた迷惑をかける人もなかにはいるため騒音トラブルに対する対策は事前にしっかりととっておくことも大切です。
この記事ではアパートの構造別の特徴やその選び方について解説します。複数の種類があるアパートの構造のなかからどれを選択すればよいか迷っている人はぜひ参考にしてください。
なお、アパートを建てるつもりでどのような構造にするべきか悩んでいる人は、まずはアパート建築費の記事を参考にしてください。構造別の建築費について説明しています。
防音性の高いアパートの選び方
アパートではなく分譲賃貸を選べば防音性や耐震性が高い建物である場合が多いですが、できるだけ安く静かなところに住みたいですよね。アパートの構造を選ぶ際に注意しておきたいポイントを解説します。
- ポイント1:周辺の道路状況を体感する
- ポイント2:ハザードマップで土地の耐震性を確認する
- ポイント3:周辺での過去のトラブル事例を聞く
- ポイント4:アパートの住民の属性を確かめる
- ポイント5:部屋の真ん中で手を叩いてみる
- ポイント6:四方の壁を軽く叩いてみる
ポイント1:周辺の道路状況を体感する
アパートの周辺が線路沿いや幹線道路沿いの道路の場合、地図で確認しただけではその騒音の程度が予想できないことが多くあります。
可能であれば実際に現地に足を運び、現地の交通量や音の程度を体感して自分の生活に与える影響の程度を確認しておきましょう。
ポイント2:ハザードマップで土地の耐震性を確認する
防音性に加えて重要なのが災害に関する情報です。国土交通省の提供しているハザードマップを確認して地震が多いエリアかどうかを調べておきましょう。地盤が緩いエリアであれば耐震性の高い構造を選択する必要があります。
耐震性は建築基準法で定められているため最低限の数値はすべての建物でクリアしています。より耐震性の高い構造を選択したいのであればRC造やSRC造がおすすめです。アパートの場合はマンションのように高層になることは少ないですが3階建てなどにする場合にはとくに耐震性を意識しておきましょう。
ポイント3:周辺での過去のトラブル事例を聞く
物件を紹介する不動産管理会社に、過去にそのアパートで騒音トラブルが起きていないかを聞いてしまうのも手です。
ここ数年でトラブルが起こっている物件は、必ずと言っていいほど建物内あるいは周辺施設に騒音の原因となるものがあります。あるいは、元凶となる住民が長く住んでいるのかもしれません。
不動産管理会社には、騒音や悪臭を出す施設(嫌悪施設)がある場合は事前に住民に伝える義務があるので、しっかり答えてくれるはずです。
ポイント4:アパートの住民の属性を確かめる
アパートの住民の属性を確かめましょう。
住みやすさは人それぞれですが、ファミリー層が多いのか単身層が多いのか、あるいは大学が近くにある学生アパートなのかによって住み心地は変わるでしょう。
ポイント5:部屋の真ん中で手を叩いてみる
アパートの内見では、部屋の真ん中で手を叩いてみましょう。
部屋の中で音が響く感じがない場合、壁を伝って外部に音が抜けており防音がしっかりされていない危険性があります。
ポイント6:四方の壁を軽く叩いてみる
隣人に迷惑をかけない範囲内で、四方の壁を軽く叩いてみてもいいでしょう。
壁を叩いてみて、叩いた感じが軽く裏側に響くような高い音が鳴ったら、コンクリート壁ではなく石膏ボードで簡易的に造られた壁なのかもしれません。防音性が低い壁である可能性があります。
- なるほど、アパートの防音性や耐震性はそうやって確かめるんだね!
同様に、アパートを建てる側の土地のオーナーの方は上記で解説した観点に注意して構造を選んだり設計をおこなったりすると良いでしょう。防音性の高いアパートの方が、長期的に収益性の高い賃貸経営が実現できます。
アパート建築を考えている方は、まずは施工会社から建設予定の土地ではどのようなアパートが建てられるかという建築プランの見積もりを受け取りましょう。
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アパートの構造の種類と特徴
アパートの構造にはどのような種類があり、どのような特徴があるのかについて解説します。建築に使用される構造は複数あるため一見複雑に思えますが、ひとつずつ整理してみていくとそれぞれのよさや特徴が理解できるでしょう。自分の理想のアパートを思い描きながらみていくことをおすすめします。
アパートの構造には、RC造(鉄筋コンクリート)、SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート)、S造(鉄骨)、木造の4種類があります。
- RC造(鉄筋コンクリート)
- SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート)
- S造(鉄骨)
- 木造
厳密にはこの4種類以外の構造(PC造と呼ばれるプレキャストコンクリートを使用した建築構造など)もありますが、まずはこの4種類のメリット・デメリットを理解しておくと良いでしょう。
アパート・マンションの構造として最も防音性が高いのはSRC造です。構造を防音性・耐火性・耐震性で比較するとこのようになります。
防音性 | 耐火性 | 耐震性 | |
---|---|---|---|
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート) | ◎ | ◎ | ◎ |
RC造(鉄筋コンクリート) | ○ | ◎ | ○ |
S造(鉄骨) | △ | ○ | ○ |
木造 | △ | △ | △ |
構造とは建築の際に使われた材質のことを指しています。アパートの構造によって防音性が左右されるので、生活の質に影響を与える重要な要素です。
レオパレス事件でその壁の薄さが問題になったように近隣トラブルに発展する可能性もあるため、楽観的に捉えずに物件選びの際にアパートの構造はよく吟味しましょう。
RC造(鉄筋コンクリート)アパートの特徴
コンクリートを鉄筋で補強した部材を骨組みとした構造をReinforced Concreteの略でRC造(鉄筋コンクリート)です。
RC造のアパートの特徴として、コンクリート打ちっぱなしや吹付塗装といった素材そのままを活かしたおしゃれな物件が多いことも挙げられるでしょう。
RC造(鉄筋コンクリート)アパートのメリット
鉄筋は火災に弱く、サビで腐食しやすいという欠点がありますが、耐久性に優れたコンクリートで保護することで、耐火性・耐久性に優れた構造とすることができます。
また、法定耐用年数も47年と木造や鉄骨造りと比べても耐用年数はかなり長くなっています。長期間にわたり、頑丈な建物で安心して暮らせるというのも大きなメリットです。
RC造(鉄筋コンクリート)アパートのデメリット
木造・S造のアパートと比較すると少し工期が長く、材料費がかかります。その分少し家賃設定が高くなるのがRC造(鉄筋コンクリート)アパートのデメリットです。
- とはいえ、一般的なアパートではRC造の物件が多いから、家賃が高いと感じることも少ないかな
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート)アパートの特徴
鉄骨(S)と鉄筋コンクリート(RC)を組み合わせたものです。イメージとしては鉄筋コンクリート造の中心に鉄骨が入っていると考えるとわかりやすいでしょう。RC造の耐久性にプラスして鉄骨のしなやかさがあるため柱や梁が細くても耐震性が高くキープできる点が魅力です。
H形鋼などの頑丈な鉄骨の柱の周りに、鉄筋を組んでコンクリートを施工するため、RC造よりも細い柱や梁で、強度の高い構造物を造ることが可能です。大型ビルなどの建築で多く用いられます。
SRC造のアパートは、柱や梁を鉄筋コンクリート造では鉄筋を配置した型枠にコンクリートを流し込んだ素材で造り上げていきます。
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート)アパートのメリット
あらゆる構造の中で、最も頑強でトップクラスの防音性・耐震性・耐火性を誇るのがSRC造です。
強度が高いので、柱と柱の間隔(スパン)を広く取ることができ、RC造より柱や梁を小さく細くできるので、少ない本数の柱で部屋の面積を広く取ることができます。
防音性が高いことから、静かなで騒音に悩まされることのない落ち着いた生活を叶えることができるでしょう。
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート)アパートのデメリット
建設費がかかるため、家賃設定が高くなってしまうのが唯一ともいえるデメリットです。
鉄骨と鉄筋コンクリートを使用するため、材料費だけでなく工期が長期化しやすいことがその理由です。
また、鉄骨を使うため設計上の制約があり、RC造と比較すると設計の自由度は下がります。加えて、コンクリートの養生は向上でなく現場でおこなうので施工品質が安定しにくいリスクがあります。そのため、一部を工場で生産する工業化(プレハブ方式)の手法が採用されるケースもあります。
S造(鉄骨)アパートの特徴
柱や梁を建物の骨組みとして鉄骨のみを使用するのがS造(鉄骨)です。鉄骨造は文字通り、骨組みに鉄を使用している点が特徴です。鋼材の厚みが6ミリメートル未満のものを軽量鉄骨、6ミリメートル以上のものを重量鉄骨と呼びます。
軽量鉄骨造は戸建て住宅や2階建てアパートの建築に多く採用されており、重量鉄骨造はマンションや大型施設などの建築に多く採用されています。
S造(鉄骨)アパートのメリット
S造(鉄骨)アパートは、軽くて強いという特徴を生かして自由な間取り空間を構成することができる点が最大のメリットです。柱などの部材自体を細くすることができるので、広々とした空間や、開放的な大きな窓を採用することも可能です。その特徴から、タワーマンションに採用されることがあるのがS造(鉄骨)なのです。
また、鉄骨造のアパートはプレハブ工法で建築されることが多く、ある程度のところまでを工場で組み立てて現場に運ぶため短期間の工事で安定した品質の建物を建築することができる点がメリットとされています。
コストを安く抑えることができるため、SRC造(鉄筋コンクリート)やRC造(鉄骨鉄筋コンクリート)のアパートと比較すると家賃が安いことが多い点はメリットといえるでしょう。
S造(鉄骨)アパートのデメリット
鉄は軽い材料であるためRC造やSRC造と比較すると振動が伝わりやすいという点が挙げられます。間仕切り壁の性能が良くなければ、防音性としては低くなるのがS造(鉄骨)のデメリットでしょう。
ほかの構造と比べて耐震性が多少低いですが、建築基準法に定められている耐震強度は必ずクリアする必要があるため品質が劣るということはありません。
木造アパートの特徴
二階建てのアパートで多く採用されているのが木造です。W造と呼ばれることもあります。木造は職人の技術を存分に生かしてた在来工法であることが多いため外観や内装にこだわりがある人に向いている構造ともいえます。
木造アパートのメリット
木造の特徴は建築コストが低い点にあります。その分、家賃設定も平均して低いことが多いです。
木造アパートのデメリット
ほかの構造と比較すると耐久性や遮音性が低いため、隣の部屋の洗濯機が回る音や話し声・足音などの生活音が響くこともあります。
とはいえ、最近では防音設備などが充実しているため、ひとくちに木造アパートといっても必ず騒音トラブルが起こるというわけではありません。
活用事例:ペットも安心して暮らせる賃貸住宅に



エリア | 神奈川県 |
土地面積(㎡) | 181.81 |
延べ床面積(㎡) | 295.5 |
工法 | 木造2×4工法 |
(大東建託株式会社の土地活用事例)
- なるほど、4種類のメリットデメリットを理解できました!
アパートを建てようか考えたとき、どのようにアパートを設計すればいいのか見当がつかないのではないでしょうか。
例えば2階建てにするか3階建てにするか、間取りの設計をどうするかについては土地の条件やアパート経営の目的によって変わります。
イエウール土地活用なら複数の大手ハウスメーカーから提案を受けることができます。
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防音性が低いアパートでの騒音トラブル対策
一般的に、S造(鉄骨造)や木造のアパートは防音性が低くなる傾向にありますが、対策方法はあります。
音には団体音と空気音の2つの音があり、それぞれ壁や床の設計によって異なりますが、音の性質から考えてできる対策はあります。
床に防音マットや敷物を敷く
床に防音マットやカーペットなどの厚めの敷物を敷くことは対策のひとつです。
特に、お子さんをお持ちの家庭では子供の走る音などが気になることもあるでしょう。団体音の足音などはよく響きます。
洗濯機や冷蔵庫は防振マットを付ける
洗濯機や冷蔵庫には防振マットを付けましょう。
夜間の洗濯機を回すのはトラブルになりがちなポイントです。また、冷蔵庫のモーター音が気になる方も多くはないですがいらっしゃるでしょう。洗濯機の生活音と一緒に対策しておくとより静かな暮らしを追及できます。
テーブルや椅子の脚にフェルトを貼る
テーブルや椅子の引きずり音が響くこともあります。脚にフェルトなど滑りやすい素材を貼るのがおすすめです。椅子を引くときは意外と大きな音・振動がして下の階の住人にも響いてしまうので、気にしていなかった方も注意してみてください。
アパートとマンションの違いとは?
アパートの構造について説明する前に、賃貸物件を探す中で一度は気になるであろうアパートとマンションの違いについて言及しておきます。
ポータルサイトで物件を探していると、物件の概要で「アパート」と「マンション」が使い分けられていることに気づく方は多いのではないでしょうか。
- アパートとマンションって何が違うの?
一般的な構造的な差とは
アパートは、木造・軽量鉄骨造の物件が分類され、マンションには重量鉄骨造・RC造(鉄筋コンクリート)・SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート)の物件が分類されることが多いです。
「マンション」の方が高級感を感じさせるイメージの通り、比較的簡単な構造の物件はアパートと表現され、しっかりとした頑丈な造りの物件はマンションと表現されるのです。
一般的な階層の差とは
階層に明確な定義はありませんが2階建て・3階建て物件はアパート、4階建て以上の階数の物件はマンションと分類されることが多いです。
設備としてエレベーターが付くような物件はマンションと呼ばれ、管理人がいたり共益費が高かったりするのも特徴のひとつです。
高い建物が建てられるのは都市部や駅前が多いので、結果的にマンションは都市部に多く、郊外にはアパートが多いということにもなります。
アパートとマンションに法律な違いはない
しかし、これは法的に定められた厳密な表記規定があるわけではありません。その管理会社の感覚やオーナーの意向によって決められている主観的な表現であり、不動産業界の慣習的に決められているものなので注意が必要です。
これはつまり、仮に鉄骨造の物件であっても高級感のある外構で、そのデザイン性を宣伝材料にしたい場合は「マンション」と説明されることがあるということです。
賃貸物件を探す際はアパートかマンションかという条件ではなく、アパートの構造の特徴を知った上で自分のニーズに合った物件を選択するようにしましょう。
アパートの構造別の特徴を知って後悔のないアパート選びを
アパートの建築ではさまざまな構造を選択できることを解説してきました。それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで予算や自分の理想条件なども加味してどの構造を選択するか慎重に検討しましょう。
アパートのどこに注力するのかによって選択する構造も変わってきます。コスト重視、構造重視、どこに注力するのかで選択する構造も変わるでしょう。それぞれの構造で異なる性質があるためすべてをかなえるというのは難しいかもしれません。
もちろんコストをかければそれだけ機能を付与することは可能です。その場合には利回りをしっかりと計算して初期投資にどの程度まで費用をかけられるかを算出することも大切になってきます。初期投資に費用をかけても回収できなければアパート経営が行き詰まってしまう可能性は高くなります。
そこでアパート経営では計画段階から専門的な知識を持つ人に相談しながら進めていくことをおすすめします。構造選択の際にも初期投資の金額からそれにみあう構造を選択するというのもひとつの方法です。
利回りも加味しながらどの構造で建築するのかを考えるという方法が経営をスムーズに進めていくためには効率的かつ有効的ともいえるでしょう。
専門家を探す場合にはイエウール土地活用がおすすめです。全国の優良な不動産業者とのみ提携しているため安心して利用することが可能です。専門家としっかり相談しながら自分の理想のアパート経営を実現しましょう。
記事のおさらい