区分マンション経営を始める際、「どんな保険に入ればよいのだろう。」という疑問を持つ人もいることでしょう。共有部分は管理者組合が一括して保険に入ることが一般的ですが、自分が区分所有するマンションに関しては自分で加入する必要があります。
マンションを持つ場合、基本的には火災保険に加入することになりますが、ワンルームマンションをはじめとして、一棟マンション、アパートなど、物件の種類により入るべき火災保険が異なります。
そのため本記事では、区分マンション経営で加入すべき火災保険や付けるべき特約などについて解説しています。
区分マンション経営で入るべき火災保険
火災保険に加入すると、その名の通り火に関する災害があった際に補償を受けられます。また、火災保険という名称ではありますが、実際には水災や風災なども補償の対象です。豪雨や台風なども補償の対象であり、オプション(特約)を加えることで効果を発揮します。さまざまな自然災害に一つの保険で備えられるのは火災保険のメリットといえるでしょう。
ただし、一般的に火災保険は地震や噴火を対象外としています。必要に応じて地震保険などへの加入を検討しましょう。
補償範囲
損害保険の一種である火災保険がカバーするのは火災だけではありません。故意や重大な過失が認められる場合や地震・噴火を原因とする場合などを除き、自然災害を含むさまざまなリスクも火災保険で対応できます。
災害大国である日本では特に大きな役割を持つ保険といえるでしょう。ここでは火災保険の主な補償内容を5つに分けて紹介します。
火災・落雷・破裂・爆発
ほぼ全ての火災保険で補償範囲に含まれるのが火災や落雷、破裂、爆発による損害です。スプレー缶の破裂やカセットコンロのボンベの爆発などが破裂や爆発の例です。ガス漏れに気づかずコンロやタバコの火を付けたことによる爆発なども含まれます。
また、隣接する建物で起きた火災や爆発などによってマンションが被害を受けたときも保険金を請求できます。
風災・雹(ひょう)災・雪災
ほとんどの火災保険では強風やひょう、雪による損壊なども補償範囲に含みます。風災とは台風や暴風、竜巻などのことです。強風で飛ばされたものが当たって窓ガラスが割れたり、壊れた壁から雨が吹き込んできたりといったケースが想定されます。
また、ひょうにより外壁に傷がついたり、雪の重みで設備の一部が壊れたりといったケースも補償されます。
水災
台風や豪雨による河川の氾濫や高潮、土砂災害などをカバーできるのも火災保険です。基本の補償範囲に含まれている火災や風災などと異なり、不要な場合は補償をつけないことも可能です。
ただし、最近は河川の近くに限らず市街地でも床上浸水被害が起きることが増えています。補償の要不要は慎重に判断しましょう。
水漏れ
補償範囲に水漏れが含まれる場合、排水設備の不具合などによる漏水被害で保険金を受け取れます。水漏れの原因が台風や暴風雨などの自然災害であれば風災や水災で補償されるため、水漏れは建物の内部に問題がある場合が対象です。
不要であれば水濡れをオプションとして取り外し可能な保険会社もあります。
盗難
盗難とは、共用部の備品が盗まれたり、エントランスを壊されたりした際に被害を補償するものです。オプションとして追加可能な保険会社が多いでしょう。美術品のように一定の金額を超えるものはあらかじめ申告が必要な場合もあります。補償を受けられる条件を確認しておくことをおすすめします。
料金相場
区分マンションの火災保険料の相場は、年間およそ5万円程度となっています。保険料に関しては、補償の内容・物件の場所・建物の構造によって決まります。
火災保険では火災のみならずさまざまな補償を付けることができますが、当然その分保険料は高くなります。火災保険が5万を超えるようなら、何か余計に補償がついている可能性があるため見直しましょう。
物件の場所に関しては、沖縄や九州といった台風が多い場所や、川や海の多い地域などは災害リスクが高くなるため保険料は高くなります。また、構造に関しては火災リスクの高い木造の場合は保険料も高くなります
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区分マンション経営で付けるべき特約
火災保険はさまざまな災害によるダメージを補償しますが万能ではありません。
補償されない範囲は火災保険の有償特約を付加することで対応できる場合があるため、ここでは主な特約を紹介します。
地震保険
地震保険とは地震や噴火による火災や損壊・埋没を補償する保険です。火災保険とのセット加入が条件となっていることが一般的です。地震保険の保険料は建物の構造と所在地により一律に決まっており、保険会社による違いはありません。
火災保険の保険金額の3〜5割の範囲で任意に保険金額を決められますが、建物は5,000万円が上限です。もし地震でマンションが被害を受けた際は、損害の程度(全壊・半壊・一部損)によって保険金が支払われます。
施設賠償責任保険
施設賠償責任保険(特約)とは、マンションの設備の不備などにより他人にケガをさせてしまったときに使用できる保険です。マンションの外壁が剥がれて落ち、通行人がケガをしたときなどが対象です。特に古いマンションでは必要になる可能性があるでしょう。ただし、補償対象となる条件が細かく設定されており、いざ保険金を請求しようとしても受け取れないことがあります。加入前に補償内容をよく確認しておきましょう。
家賃補償特約
火災を始めとする災害でマンションがダメージを受けた場合、復旧できるまで一部または全部が空室になることが考えられます。空室期間は収入が得られないため、復旧するまでの家賃を補償するのが家賃保証特約です。
区分マンション経営において家賃収入が途絶えてしまうことは致命的です。収入がなくなる一方で、復旧のための費用がかかることも踏まえると、家賃保証特約は検討しておきたい特約の一つといえます。
家主費用特約
所有しているマンションの居室で死亡事故や孤独死などが発生すると次の入居者を見つけにくくなり、結果的に空室になってしまうことはリスクの一つです。家主費用特約とは、死亡事故を原因として空室になった場合に家賃を補償します。
家賃に加えて、清掃や遺品整理にかかる費用なども受け取れるため、もしものときの金銭的負担を軽減できます。高齢者の一人暮らしが増えている昨今、ニーズが増えている保険です。
電気的・機械的事故補償特約
保険の対象建物の付属のエアコン、浴室乾燥機、給湯器などが故障した場合、修理費用や交換費用を補償してくれるというのが電気的・機械的事故補償特約です。
例えば、交換するものや取り付け方法などによって費用は変わりますが、浴室乾燥機の交換には高くて20万円ほどすることもあります。区分マンション経営にとってこれは大きな負担となるため、この補償には加入しておくことをおすすめします。
ただし、経年劣化による故障は補償されないことが多いため注意が必要です。
区分マンション経営の火災保険の注意点
火災保険はマンション経営をさまざまなリスクから守ってくれるものですが、保険の仕組みを押さえた有効活用が求められます。ここでは特に火災保険の保険料について注意点を2つ解説します。
マンションの立地・構造次第では保険料が高くなる
火災保険はマンションの立地・構造によって保険料が異なります。保険金を払う可能性が高い物件ほど保険料を高くすることで、加入者間の公平性を保つのが目的です。
立地では災害リスクが高いほど高い保険料が設定されているのが一般的です。建物の構造ではコンクリート造が最も保険料が安く、木造は高い傾向にあります。これからマンション経営を始める場合は、火災保険料の傾向も考慮に入れて物件を選ぶのも方法の一つです。
火災保険料は値上がり傾向にある
最近、日本では台風や暴風雨、河川の氾濫といった自然災害が増える傾向にあります。地表がアスファルトで覆われることによって排水機能が下がったため都市型水害と呼ばれる、市街地での浸水被害も発生頻度が増えてきました。
災害の増加により保険金支払いが増えていることに対応するため、火災保険の保険料は年を追うごとに高くなる傾向にあります。マンション経営するのであれば、今後も保険料が値上がりする可能性を考慮しておきましょう。
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活用事例:Cortes


エリア | 愛知県 |
土地面積(㎡) | 243.14 |
延べ床面積(㎡) | 1030.41 |
工法 | 鉄筋コンクリート造7階建て(SIルネス工法) |
区分マンション経営をするなら火災保険に加入しよう
区分マンション経営を始めるのであれば火災保険に加入しましょう。火災保険とは火災に限らず、台風・洪水といった自然災害にも備えられる保険です。
また、区分マンション経営向けの保険としては地震による損害に備えられる地震保険や、災害や死亡事故により空室になった際の家賃保証もあります。さまざまな保険会社が火災保険を販売していますので複数の商品を比較して自分に合うものを選びましょう。
また、土地活用としてのマンション経営をお考えの方は、一括比較がおすすめです。