区分マンション投資とは、一棟全体ではなく、マンションの一部(一室や数室)を所有し、それを賃貸することで収入を得る経営方法を指します。その区分マンション投資について、「儲からない」という噂を耳にしたことがある人もいるかもしれません。
そのため本記事では、区分マンション投資が儲からないと言われる理由や、メリット・デメリット、区分マンションを始めるまでの流れや物件の探し方・選び方などについて詳しく解説します。
区分マンション投資とは
区分マンション投資は、不動産投資の一種であり、一部の部屋を所有し、それを賃貸することで収入を得る方法です。
「区分マンション投資は儲からない」と言われることがありますが、その理由は不動産投資ローンを借りるときに、土地価格の分も含めた借入金を組んでしまっているためです。
区分マンション投資は家賃収入から土地の借入金を返済できるほどの収益は得られないため、手残りがほとんど無くなってしまうことが儲からないと言われる理由です。つまり、区分マンション投資を行うためには多くの自己資金が必要になります。
区分マンション投資のメリット
区分マンション投資のメリットは以下の通りです。
- 比較的にリスクが低い
- 立地の良い物件が多い
- 管理の手間があまりかからない
- 売却がしやすい
詳しく解説していきます。
比較的にリスクが低い
区分マンション投資は、一棟マンションと比べると投資金額が少なく済むため、失敗して大きな損失を被るリスクが低いです。投資金額が少なく済むということは、自己資金の割合を増やして借入額を減らすことができます。
区分マンション投資であれば物件の条件次第で全額を自己資金で賄えるため、比較的安全と言えるでしょう。
また、複数の区分マンションで投資を行えば、一つの部屋が空室になったとしても別の物件で家賃収入を得られるというリスク分散も行なえます。
立地の良い物件が多い
区分マンションは単身向けのワンルームタイプであることが多く、そういった物件は駅近だったり都心だったり、比較的空室の発生しにくい立地の良い物件です。
そのため、区分マンション投資の初心者でも物件選びに失敗しにくいのです。特に、東京23区内ではワンルームタイプの物件は需要が多いのでお勧めです。
管理の手間があまりかからない
区分マンション投資は、管理の手間があまりかからないところも魅力の一つです。
区分マンションには管理組合が存在し、オーナーは管理組合に管理費・修繕積立金の支払いを行なっているため、修繕の際は管理組合が計画・実行します。共用部分の管理も管理組合が行ないます。
それに対して一棟マンション経営の場合はオーナーがそういった仕事も行なわなければならないため、管理会社に委託しない限りはかなりの負担が強いられるでしょう。
売却がしやすい
区分マンションは他の不動産投資と比べて流動性が高いため、売却がしやすいのが特徴です。買い手からすると、投資用にせよ入居用にせよ、一棟丸ごとより1室を購入したいと考えるでしょう。
マンション1室であれば一定数購入したいというニーズが存在するため、区分マンション投資から手を引きやすいという点でも魅力的です。
区分マンション投資のデメリット
区分マンション投資のデメリットは以下の通りです。
- 空室リスクが高い
- 実質利回りが低い
- 管理・運営の自由度が低い
詳しく解説していきます。
空室リスクが高い
区分マンション投資の場合、入居者から需要の高い物件を選ばなければ空室の可能性が高まります。
そして、1部屋の所有であるため、家賃収入がゼロになるという空室による影響を強く受けてしまいます。そういった場合でも月々のローンの返済はしなければなりません。
ここでの注意点として、家賃を全額保証してもらえるというサブリース契約は安易に結ばないようにしましょう。後々契約内容を変更されたり、保証金額の減額をされたりする可能性もあるため、契約する場合も内容をよく確認することが大切です。
実質利回りが低い
区分マンション投資は所有する物件が1部屋のみの場合、家賃収入はゼロになってしまうため、常に入居希望者から人気を集めることのできる物件を購入しなければなりません。
ただし、そういった賃貸需要の高い物件は購入金額が高くなります。ローンの返済のために家賃を高めに設定しても入居者は入りづらくなってしまいますし、とはいえ極端に家賃を下げると維持費や税金などを差し引いたときにキャッシュフローがほとんど残らなくなります。
表面利回りでは高く見えても、経費などを含めた実質利回りで考えると高利回りを狙いにくいのが区分マンション投資のデメリットの一つです。
管理・運営の自由度が低い
区分マンションは一棟と違い、マンション全体が自分の持ち物ではないため、共用部分の管理や運営を行なうことができません。
例えば、空室対策で外壁の塗装を行ないたい、などの考えがあったとしても、他の部屋のオーナーが全員同意しない限り工事をすることは困難です。
また、工事をしなくとも内装リフォームをしたりペットを可にしたりなど、自分の部屋だけ特殊な条件にして人気が出ると、他のオーナーから異議を唱えられる可能性もあります。
区分マンション投資を始めるまでの流れ
区分マンション投資を始めることを考えている場合、始めるまでの流れは理解しておきたいところです。
以下が区分マンション投資を始めるまでの流れです。
- 情報収集をする
- 物件を探す
- 物件購入の申し込みをする
- 融資の仮審査を受ける
- 重要事項説明を受ける
- 売買契約をを締結する
- 本審査に通って金銭消費貸借契約を結ぶ
- 残金の決済・物件の引きわたしを行なう
情報収集をする
まずは地域別の人口動向やおすすめの不動産会社はどこかなど、区分マンション投資を始めるための情報収集を行う必要があります。
区分マンション投資自体の全体像を掴みたい場合は書籍やインターネットを活用します。おすすめの不動産会社などを知りたい場合は不動産会社やオーナー、金融機関などとの地道なコミュニケーションで情報を得ることができます。
区分マンション投資に関する情報収集方法でおすすめなのは、不動産投資セミナーに参加することです。セミナーに参加することで、区分マンション投資に必要な知識を全体的にカバーできる可能性があります。
物件を探す
物件を探す際は、不動産会社のポータルサイトや広告、地域に根差した情報誌などで探すことができます。
区分マンションの場合、新築・中古のどちらを選択するかが重要になります。どちらにもメリット・デメリットがあるため良く調べてから判断するようにしましょう。
場所に関しては、東京23区内や全国の政令指定都市・県庁所在地にあるターミナル駅周辺の物件をおすすめします。
物件購入の申し込みをする
気に入った物件を見つけ、物件を内覧して問題がなければ物件購入の申し込みを行ないます。
買い付けの際は不動産会社に買付証明書を提出する必要があります。しかし、買付証明書を提出したとしても必ずしも購入できるとは限りません。
誰に売るかの決定権は当然売主にあるため購入希望者が複数いる場合、売主が重要視しているポイントや条件によって購入できる人が決まります。
融資の仮審査を受ける
区分マンションを購入する場合、金融機関から融資を受ける人が多いでしょう。その際、本審査は売買契約後にしか行えないため、契約前にローンを組むことができるのかを仮審査で確認します。
不動産投資ローンの仮審査の申し込みに必要な書類は、「本人に関するもの」と「物件に関するもの」の二つに分けられます。それぞれローンの返済能力、収益物件の収益性などを確認するために使用される書類です。
金融機関によっては仮審査の段階で本審査と同等の書類が必要となる場合もあります。また、仮審査で通って本審査で落ちるという可能性もあるため気を付けましょう。
重要事項説明を受ける
不動産売買をする前に、必ず買主に対して物件情報の説明をしなければなりません。これを重要事項説明と呼びます。
重要事項説明は国家資格を保有した宅地建物取引士が行わなければならず、口頭・書面にて説明することが法律で定められています。
発生しやすいトラブルを書類にまとめて買主に十分説明することにより、買主が物件情報を確認し物件の購入ができるようにする目的があります。
売買契約を締結する
重要事項説明に問題がなければ、買主と売主で不動産売買契約書を締結します。この際所有権はまだ引き渡されていないため、買主は売主に手付金のみを支払います。手付金の金額は決まっていませんが、売買価格の10%以内が相場です。
売買契約を結ぶ際は、融資特約が契約の中に含まれているかを必ず確認しましょう。融資特約とは金融機関から融資を受けられなかった場合に、買主が契約を白紙にできるものです。
この特約を結んでいないと、本審査に落ちて物件をあきらめることになったときに、手付金を売主から返してもらえないことになります。
本審査に通って金銭消費貸借契約を結ぶ
売買契約と同じタイミングで、金融機関に融資の本審査を申し込むことになります。本審査では仮審査時とは別に必要な書類があるため確認しておきましょう。
本審査に通過したら、借入額と同額の金銭を返済することを約束するという金銭消費貸借契約を金融機関と結びます。団体信用生命保険の加入や抵当権設定契約も一緒に行ないましょう。
ちなみに、融資の本審査は、審査の申し込みから契約まで早くて8日~15日程度かかります。
残金の決済・物件の引き渡しを行なう
金銭消費貸借契約を結んだら残金の決済と物件の引き渡しを行ないます。引き渡し日に手付金を除く残金を支払うことで物件が引き渡されます。
売主から所有権移転に必要な書類を渡されるため、登記手続きを行なえるようになります。
区分マンション投資の物件の探し方
区分マンション投資で物件を探す流れは以下の通りです。
- 不動産業者から候補を紹介してもらう
- 候補の中から避けたい物件を除く
- 残った物件の中から購入する物件を決める
不動産業者から候補を紹介してもらう
多くの場合、物件の情報は不動産業者からの紹介で得ます。
ポータルサイトから情報を得ることも可能ですが、初心者には困難なことでしょう。なぜなら本当に良い物件はサイトには掲載されず、もし掲載されてもすぐに売り止めになってしまうためです。
そのため、物件の情報を得るには不動産業者に候補を紹介してもらうのが良いのです。物件の情報を得る流れとしては以下の通りです。
- ①不動産業者を探す
- ②その中から信頼できる不動産業者を選ぶ
- ③選んだ不動産業者を訪問して物件を紹介してもらう
①では、書籍で探す・WEBで探す・口コミや紹介で探す・勤務先や自宅の近くで探すといった、4つの探し方があります。
不動産業者の中には質の低い業者も存在するため、②で信頼できる不動産業者を選別する必要があります。業歴が長い・事業所がグレードの高いビルにある・金融機関との取引が多数存在するなどの特徴がある業者を選ぶと良いでしょう。
信頼できる不動産業者見つけたら、③では不動産業社に購入の意思があることと自分の目的を伝えましょう。そうすることで不動産業者の印象に残り、物件情報を紹介してくれるようになります。
候補の中から避けたい物件を除く
不動産業者から物件の情報を得ることが出来たら、まずは避けるべき物件を見つけて候補から外していきましょう。
避けるべき物件の特徴としては以下の3つが挙げれらます。
- 政令指定都市の周辺以外のエリア
- 確認済証がないなどの違法建築物
- 事故物件
物件のあるエリアに賃貸需要がなければ不動産投資は成り立ちません。そのため、政令指定都市周辺の賃貸需要のあるエリア以外の物件はあまりおすすめしません。
確認済証とは物件の建築前に、その建築計画が建築基準法に準拠しているかどうかを示しているものです。これがなければ違法建築物になり、銀行の融資が付きづらくついても高金利となってしまいます。
事故物件は新たに入居する人に告知する義務があるため、入居付け・売却の難易度が跳ね上がってしまいます。
残った物件の中から購入する物件を決める
避けるべ物件を除いて購入する物件を決める際は、自分の投資の目的確認します。
副収入を得るという目的は大体の人にあると思いますが、その他に所得税や住民税の節税が目的だったり、相続税の節税が目的だったりと、人によって投資の目的は異なります。
そのため、自分がどのような目的を持っているかによって物件の選び方を考えましょう。区分マンションの選び方について、詳しくは次の章で解説しています。
区分マンション投資の物件の選び方
区分マンション投資が成功するかどうかは、物件の選び方で変わります。以下が物件の選び方です。
- 割安だからといって購入するのは危険
- 目的に合わせて決める
- 立地で選ぶ
- 築年数で選ぶ
目的に合わせて決める
区分マンションを選ぶ際は、投資の目的を明確にしておく必要があります。短期間でまとまった利益が欲しい・長期的に安定した利益を得たい・節税がしたいなどの目的によって選び方が変わります。
短期で転売して売却益を得たい場合、競売物件を購入すること・再開発が見込めるエリアの物件を購入することをおすすめします。長期的に安定した利益を得たい人は、多少利回りが低くても耐久性が優れていて都市部へのアクセスが良い場所にある物件が良いです。
所得税の節税が目的の場合は利回りよりも節税効果を重視する必要があり、建物を減価償却で経費にすることができるので、価格の低下が起きにくい都心部のマンションにしましょう。また、相続税の説得税が目的の場合も同じで、都心部へのアクセスが良く値下がりしにくエリアを選びましょう。
割安だからといって購入するのは危険
割安だからという理由で物件を購入するのは危険で、資産価値が下落したり入居者が入らなかったり、利回りが低かったりなどのリスクが拭えません。
また、一見理想的な物件でも、自分の投資目的に合っていない物件では意味がありません。また、利回りが高いからといった理由だけで決めるのもやめましょう。利回りが高くても実際の収益が低いことはよくあります。
投資用のマンションは、費用や利回りだけで判断するのではなく、投資目的やマンションの特徴などを考慮して選びましょう。
立地で選ぶ
地方や首都圏といった立地で選択することも重要です。
長く安定した収益を得たい、相続税対策をしたい人は価格が下がりにくい首都圏のマンションがおすすめです。需要の安定性と空室リスクの低さから、投資初心者や管理に時間のさけない人にもおすすめです。
売却を合わせて高いリターンを得たい人には地方が向いています。ただし、経営努力や知識が必要になるため、ある程度不動産投資の経験があり管理に時間をさける人でないと厳しいでしょう。
築年数で選ぶ
同じエリアでも築年数によって初期費用や維持費用、空室のリスクなどが異なります。そのため、築年数によるメリット・デメリットの違いを理解しておく必要があります。
銀行の融資を受けやすい・修繕費用が不要といった点が新築の良いところです。空室リスクが低いこともメリットですが、一度退去者が出ると新築の価値がなくなり中古物件になってしまうので家賃を下げなければならない可能性があります。
中古物件は新築よりも比較的安く購入できます。それによって利回りが高いことが特徴です。ただし、銀行からの融資が受けづらく、ある程度自己資金の用意が必要です。
まとめ
区分マンション投資は、不動産投資の一つであり、適切な知識と理解を持つことで、成功の可能性を高めることができます。
しかし、その一方で、リスクも存在します。そのため、投資を始める前には、十分な情報収集と準備が必要です。