マンション経営は節税ができると聞いたことがある人も多いと思います。
結論としてマンション経営では「固定資産税」の節税が可能です。本記事ではどうして固定資産税が節税になるのかその理由を詳しく説明します。
マンション経営の節税については以下の記事をご覧ください。
固定資産税とは何か
固定資産税は、土地や建物などの固定資産に対して課される税金です。土地は更地のままだと、毎年1.4%の固定資産税がかかります。所有者はその資産価値に応じて算定された税額を納めます。
定義
固定資産とは、住宅地や田んぼなどの土地、住宅やお店などの家屋、工場の機械や会社の備品などを総称して呼びます。
固定資産の種類
固定資産には、土地、家屋、償却資産の3つの種類があります。
土地には田んぼや畑、住宅地などが含まれ、家屋には住宅や店舗、工場などが含まれます。償却資産には、会社が所有する構築物や飛行機、船、車両などが含まれます。
固定資産税の節税ー軽減措置ー
この章では、固定資産税を節税できる、軽減措置について解説します。
マンションを建てることで固定資産税を節税できる人は、更地のまま土地を保有している人です。
固定資産税は建物や土地にかかる税金です。土地は更地のままだと、毎年1.4%の固定資産税がかかります。
所有する土地にマンションを建てることで、固定資産税を節税することができます。
マンション経営によって固定資産税が節税されるのは、マンションを建てることによって以下のような特例措置が適用されるからです。
軽減措置の種類 | 詳細 |
---|---|
新築住宅に係る税額の減額措置 | 新築住宅にかかる固定資産税を3年間(マンション等の場合は5年間)、1/2に減額 |
認定長期優良住宅に関する特例措置 | 新築住宅にかかる固定資産税を5年間(マンション等の場合は7年間)、1/2に減額 |
小規模住宅用地の特例 | 住宅やマンション等の敷地で200平方メートル以下の部分。固定資産税は価格×1/6 |
一般住宅用地の特例 | 住宅やアパート等の敷地で200平方メートルを超える部分。固定資産税は価格×1/3 |
宅地についてはその目的や用途によって、住宅用地特例が適用されます。また家屋については新築住宅の場合、特例措置によって減税することができます。
固定資産税の軽減措置は以下の種類があります。
新築住宅に係る税額の減額措置
新築住宅に係る税額の減額措置とは、良質な住宅の建設を促進し、居住水準の向上や良質な住宅ストックの形成を目的とした措置です。新築住宅にかかる固定資産税を3年間軽減することができ、マンション等の場合、この軽減期間は5年間となっています。
適用後の軽減率は2分の1です。適用期限は、2023年8月現在、令和6年3月31日までとなっています。
4年目(マンション等の場合は6年目)からは、固定資産税の額が元の額に戻ります。
また、新築の認定長期優良住宅については、固定資産税を5年間、マンション等の場合は7年間、2分の1に減額する特例措置が存在します。
認定長期優良住宅に関する特例措置
耐震性、耐久性、可変性などに優れ、適切な維持保全が確保される認定長期優良住宅の普及を目的としています。
固定資産税だけでなく、一定の認定長期優良住宅の新築または取得を行った場合、所得税、登録免許税、不動産取得税が軽減されます。
固定資産税の特例措置は5年間の措置であり、マンション等の場合は7年間となっています。
適用期限は、2023年8月現在、以下の通りとなっています。
- 所得税(ローン減税):令和7年12月31日まで
- 所得税(投資型減税):令和5年12月31日まで
- 登録免許税、不動産取得税、固定資産税:令和6年3月31日まで
小規模住宅用地の特例
小規模住宅用地とは、住宅1戸につき200㎡までの部分を指します。
固定資産税における小規模住宅用地の課税標準は、「価格 × 1/6」です。また、都市計画税における課税標準「価格 × 1/3」となります。
この特例措置を正しく適用するためには、「固定資産税の住宅用地等申告書」により申告が必要です。
一般住宅用地の特例
一般住宅用地(小規模住宅用地以外の住宅用地)の固定資産税の課税標準は価格 × 1/3、都市計画税の課税標準は「価格 × 2/3」となります。
小規模住宅用地の特例と同様に、特例措置を正しく適用するためには、「固定資産税の住宅用地等申告書」により申告が必要です。
(参考:東京都主税局HP 固定資産税・都市計画税(土地・家屋))
地震耐震改修およびリノベーションに関する控除 (耐震改修にかかる所得税額の特別控除)
固定資産税の節税ではありませんが、地震耐震改修にかかる所得額の特別控除も合わせてご紹介します。
1981年5月31日以前に建設された住宅を現行の耐震基準に合わせて改修するための控除であり、地震耐震改修に関しては、標準建設費の10%が控除対象となります。
特定のリノベーションプロジェクトに関しては、その費用の5%が控除対象となります。控除の対象となるのは、床、壁、窓などの特定部分の修理です。バリアフリーや断熱性を高くするためのリノベーションは対象外です。
(参考:国土交通省庁HP 長寿命住宅(200年住宅)税制の創設 (登録免許税・不動産取得税・固定資産税))
固定資産税の計算方法
固定資産税は、土地や建物などの固定資産の価値に基づいて課税される税金です。計算方法は以下のステップに分けられます。
評価額の算定
まず、土地や建物の評価額を算定します。この評価額は、市場価格や地価公示価格、建物の築年数や構造などを基に決定されます。
課税標準額の算定
次に、評価額に評価率を掛けて、課税標準額を算定します。評価率は、土地や建物の種類や利用目的によって異なります。例えば、住宅用の土地や建物の評価率は一般的に低く設定されています。
税率の適用
課税標準額に対して、固定資産税の税率を掛けることで、税額が算出されます。税率は、都道府県と市町村ごとに異なり、それぞれの自治体が定める条例に基づいて設定されます。
特例控除の適用
特定の条件を満たす場合、固定資産税から特例控除が受けられることがあります。例えば、新築の住宅を購入した場合や、エコフレンドリーな住宅を建設した場合などに、控除が適用されることがあります。
固定資産税の計算は、評価額の算定、課税標準額の算定、税率の適用、そして特例控除の適用というステップで行われます。具体的な税額を知りたい場合は、所在地の市町村の役所やホームページで、詳しい計算方法や税率を確認することができます。
固定資産税の節税策
固定資産税は、土地や建物の価値に基づいて課税される税金です。以下は、固定資産税を節約するための具体的な方法の一部です。
住宅用地の特例制度
一定の条件を満たす住宅用地について、固定資産税の課税標準額を軽減する制度があります。これを住宅用地の特例制度といいます。この制度を利用することで、固定資産税の負担を大幅に軽減することができます。
評価額の見直し
土地や建物の評価額が過大に設定されている場合、固定資産税が高額になる可能性があります。このような場合、評価額の見直しを申請することで、税額を軽減することができます。
旧家屋の取り壊し
築年数が古い家屋は、評価額が高くなる傾向があります。そのため、旧家屋を取り壊し、新しい家屋を建てることで、固定資産税の負担を軽減することができます。
農地転用の制限
都市計画区域内の農地を宅地に転用する場合、固定資産税が大幅に上昇することがあります。このような場合、農地転用の制限を利用して、税額の上昇を抑えることができます。
空き家対策特例制度
空き家として利用されていない家屋について、一定の条件を満たす場合、固定資産税の課税標準額を軽減する制度があります。これを空き家対策特例制度といいます。
固定資産税の節税シミュレーション
実際に、固定資産税はどのくらい節税されるのでしょうか?ここでは固定資産税の節税効果を簡単にシミュレーションします。
固定資産税は以下のように計算されます。
固定資産税評価額は公示価格の約70%であり、小規模宅地の特例で1/6となるため、大まかな目安は以下の式で計算することが可能です。
例えば、東京都八王子市にある土地の価格は、1㎡あたりおよそ50,000円~150,000円です。(参考:国土交通省HP 国土交通省地価公示・都道府県地価調査)
100,000円/㎡の土地を150㎡所有していた場合で、固定資産税がどれくらい節税されるのか、節税効果をシミュレーションしてみます。
固定資産税額 = 固定資産税評価額 × 税率(標準税率1.4%)
100,000円/㎡ × 150㎡ × 1.4% = 210,000 円
通常の固定資産税額 = 210,000 円
固定資産税額 = 土地の価格 × 70% × 1/6 × 税率(標準税率1.4%)
100,000円/㎡ × 150㎡ × 70% × 1/6 × 1.4% = 24,500 円
マンション経営をした場合の固定資産税額 = 24,500 円
通常であれば210,000 円であった所得税を24,500 円まで抑えることができました。つまり、185,500円の固定資産税の節税に成功しています。
\建築費は?初期費用は?/
まとめ
固定資産税は、マンション経営により節税が可能です。しかし、成功するためには、長期的な視点と税法の理解、正確な情報収集と専門家の意見が重要です。これらを踏まえ、効果的なマンション経営を行いましょう。