7階建てのマンションの建築にかかる費用は、3億6,000万~4億8,000万円が目安となります(延べ床面積400坪のマンションを想定)
7階建てのマンションは高さが31mを超えてくるものもあり、エレベーターの設置など建築費用がかさみます。
マンションを新築して経営することを考えていらっしゃる方は、是非この記事をご参考にしてください。
7階建てマンションの建築費用はいくら?
7階建てのマンションは、規模としては「中層マンション」に区分される建物です。一般的には、鉄筋コンクリート造(RC造)で建築されます。
7階建てマンションの建築費の目安
マンションの建設にかかる費用は、「建物の構造」によって相場が異なります。
構造とは、建物を支える骨組みのことです。どのような材質で骨組みを組み立てるかによって、構造の種類が変わります。
7階建てマンション本体の工事費は、重量鉄骨造(S造)、鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)それぞれで以下の金額が目安となります。
敷地面積 (延べ床面積) | 重量鉄骨造(S造) | 鉄筋コンクリート造(RC造) | 鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) |
---|---|---|---|
50坪 (200坪) | 1億8,000万~2億4,000万円 | 1億9,000万~2億5,000万円 | 2億2,000万~2億8,000万円 |
80坪 (320坪) | 2億8,800万~3億8,400万円 | 3億400万~4億円 | 3億5,200万~4億4,800万円 |
100坪 (400坪) | 3億6,000万~4億8,000万円 | 3億8,000万~5億円 | 4億4,000万~5億6,000万円 |
150坪 (600坪) | 5億4,000万~7億2,000万円 | 5億7,000万~7億5,000万円 | 6億6,000万~8億4,000万円 |
(※指定建ぺい率80%、指定容積率400%で試算しています。)
7階建てマンションではエレベーターの設置が必要になってきます。RC造の場合は壁式構造が採用できず、ラーメン構造での建築になるため、建築費用は高額になりやすいです。
構造別の坪単価相場
マンション本体の建築費を延べ床面積(マンションの床面積の合計値)で割り算して、1坪あたりの金額に直したものを「坪単価」といいます。坪単価は、工事費を比較する指標として用いられることが多いです。
マンションの建築費の坪単価の相場は、以下の通りです。(イエウール編集部調べ)
マンションの構造 | 坪単価相場 |
---|---|
重量鉄骨造(S造) | 90万~120万円/坪 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 95万~125万円/坪 |
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) | 110万~140万円/坪 |
なお、建築着工統計調査(2023年)によると、6~9階建ての2023年に着工した居住専用住宅(マンション等)のうち、SRC造のものは22棟、鉄骨造のものは58棟であるのに対して、RC造のものは1,008棟であり、圧倒的にRC造のマンションが多くなっています。これは分譲マンションと賃貸マンションを合わせた数ではありますが、7階建て以上のマンションの建築にはRC造が多く選ばれていることが分かります。
また、7階建てのRC造マンションはラーメン構造で建築するのが一般的です。
RCマンションの構造は、骨組みの組み立て方によって「壁式構造」と「ラーメン構造」の2つのタイプに分かれます。ラーメン構造は柱や梁で構造を組み立てるのに対して、壁式構造は柱や梁を使わずに壁面によって床と天井を支えます。
壁式構造の方が比較的低コストに建築できますが、建材の重量の関係で6階建て以上のマンションには不向きであるため、7階建てRC造マンションにはラーメン構造が用いられます。
マンション建築費用の見積もり方
冒頭でご紹介した建築費の目安は、坪単価に敷地面積から求めた最大延べ床面積をかけ合わせた金額です。設計によって延べ床面積は変わるため、個別に試算したい場合は以下の式で計算できます。
また、マンションの建築には、本体そのものの建築工事にかかる費用(本体工事費)以外にも「付帯工事費」と「諸費用」と呼ばれる費用がかかります。
付帯工事費(地盤改良工事費や外構工事費など)は本体工事費の約20~25%、税金や手数料などの諸費用は本体工事費の10%程度かかります。
したがって、土地にマンションを建築するときにかかる費用の総額は、以下の計算式で簡易的に見積もれます。
- 本体工事費=坪単価×延べ床面積
- 費用総額=本体工事費+付帯工事費+諸費用
=本体工事費の130%程度
ご自身の土地にいくらでマンションを建てられるか、より正確な金額を知りたい方は建築会社から見積もりを取り寄せてみましょう。「イエウール土地活用」の一括見積なら、一度にまとめて複数の大手ハウスメーカーに資料請求できます。
賃貸マンションを建築する上では情報収集が重要です。各社のプランを簡単に比較・検討して、マンション経営の成功を目指しましょう。
\建築費は?初期費用は?/
7階建てマンション建築時のポイント
7階建てのマンションの建築を検討している方は、マンションのフロアを増やして住戸数を多くすることで、家賃収入を増やしたいと考えている方も少なくないのではないでしょうか。
しかしながら建築予定地の状況によっては、7階建てでマンションを建てることがベストな選択ではないケースも多々あります。
この章では7階建てマンションの建築を検討する上で考えるべきポイントを詳しく解説します。
7階建てに適した土地か確認する
土地に建てられる建物の大きさは、主に土地の指定建ぺい率・容積率や前面道路の状況によって決まります。
建ぺい率とは敷地面積に対する建築面積(建坪)の割合、容積率とは敷地面積に対する延べ床面積の割合のことです。市街地の土地は自治体によって、建ぺい率と容積率の上限が指定されています。
延べ床面積とは、各階の床面積の合計値のことです。土地に建てるマンションの延べ床面積の最大値は指定容積率によって決まり、6階建てでも7階建てでも8階建てでも変わりません。
たとえば100坪の土地の指定容積率が400%だとすると、マンションを6階建てで建てる場合の建坪は約67坪、7階建てなら約57坪が上限となります。
一方、建坪は建ぺい率によっても制限されます。100坪の土地の容積率が60%だった場合、建坪の上限は60坪です。57坪7階建てなら容積率400%を最大限に消化できますが、60坪6階建てでは容積率が360%となり、40%分を活かすことができなくなってしまいます。こういったケースにおいては、7階建てでの建築が適しています。
ただし、容積率が低い土地の場合は階数を増しても建坪が狭くなるだけで、マンションの住戸数が増えない(=賃貸面積が増えない)ケースも多いです。建築物は高さが増すほど費用がかさむため、賃貸面積が増やせないのであれば階数を増やすことはおすすめしません。
建築可能な建物の規模には、指定容積率以外にも斜線制限や日影規制が影響します。物件の最大容積(ボリューム)の確認は、専門家に行ってもらいましょう。
エレベーターの設置が義務
階高にもよりますが、7階建てのマンションは高さが31mを超えることもあります。
建築基準法では、高さ31mを超えるマンションにはエレベーターを設置しなければならないと定められています。
あくまでも階数ではなく、高さが基準であるため、31m以下の建物であれば設置は義務ではありません。
ただし、賃貸経営上、7階建て規模のマンションであればエレベーターの設置はほぼ必要であるといえるでしょう。エレベーターがなければ入居者の居住性が下がるだけでなく、家具の運搬にエレベーターが使えないとなると引っ越し費用もかかるため、入居期間や客付けに影響を及ぼします。
エレベーターは1基あたり50戸が目安で、80戸以上なら2基あると入居者が快適に利用できるといわれています。
エレベーターの設置費用は1基につき1,000万円程度かかります。また、設置面積も割かなければならないことに注意が必要です。1基につき0.5坪~1坪くらいの面積が必要となると考えておきましょう。
2以上の直通階段の設置も必要
建築基準法上、6階建て以上のマンションには直通階段を2以上設けなければならないという規定があることにも留意しておかなければなりません。
直通階段とは、避難階または地上まで直通している階段のことです。
防災上の観点から6階以上の建物には、この直通階段を2つ以上設置しなければならないと定められているため、費用がかさむだけでなく、場合によっては確保できる住戸数にも影響するでしょう。
なお賃貸住宅の場合は、以下の緩和条件を3つ全て満たしていれば、直通階段の設置が1つでも構いません。
- 各階の居室の床面積の合計が100㎡以下(約30坪以下)
(主要構造部が準耐火構造または不燃材料でつくられている場合は200㎡以下) - 避難上有効なバルコニーや屋外通路が設けられている
- 屋外避難階段や特別避難階段が設けられている
緩和条件の適用を受ける場合であっても、バルコニーや避難器具、屋外階段の設置しなければなりません。マンション建築時のコストに影響するため、よく検討する必要があります。
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7階建てマンションの建築費用を抑える方法
マンションの建築費は、マンション経営における利回りに影響します。
できる限り建築費を抑えることができれば、利回りを高めて黒字化を早めることができます。
この章では、マンションの建築費を抑えるための4つのポイントをご紹介します。
複数社に建築プランを相談する
マンションの建築にかける費用を抑えるためには、複数の建築会社に見積もりを出してもらって比較することが重要です。
決してただ建築費の安い会社を選べばよいという訳ではありませんが、複数社から見積もりを取得することで、建設予定のマンションの規模に対する相場感を掴みやすくなります。
相場感を掴めれば建築会社への建築費の減額提案もしやすくなるため、建築プランを決定する前に、是非とも複数の会社に相談しましょう。
建築会社への見積もり依頼は「イエウール土地活用」の一括見積が便利でおすすめです。
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※工事請負契約を締結するまで、完全無料でご利用いただけます。
VE提案をしてもらう
VE提案とは、「バリューエンジニアリング(Value Engineering)提案」の略称で、品質を維持しながらコストダウンを図る提案のことです。
建築会社に提案してもらった建築プランに対して、必要な機能を維持しながらコストダウンが図れないか検討し直してもらいます。
たとえば、使用する建材や導入する設備を再検討してもらった結果、建築費を縮小できる可能性があります。
設計施工一貫方式で建てる
ハウスメーカーの施工一貫方式で建てることで、設計料を節減できます。
マンションの建設方法には、ハウスメーカーに設計から施工まで一貫して行ってもらう「設計施工一貫方式」と、設計は設計事務所、建設工事は工務店に依頼する「設計施工分離方式」の2つの方法があります。
設計施工分離方式の場合、設計料が建設費の10%程度かかりますが、設計施工一貫方式であれば、設計料を3%程度に抑えることができます。
他にも、マンション建築のプランニングから施工までの期間を短縮できます。また、同じ会社が建設工事を行うため、その会社の得意技術を活かした設計で建設できたり、建材の確保に融通を利かせやすいといったメリットもあります。
住宅設備のグレードを抑える
マンションの住戸に導入する住宅設備のグレードを上げ過ぎないようにすることも、建築費を抑える上で気をつけたいポイントです。
トイレや浴室・キッチンといった住宅設備は、グレードによって費用が大きく異なります。そして、住戸数が増えるほど設備設置にかかる費用がかさみます。
最新の設備は入居者から人気がありますが、費用が高く、また設置から時間が経てば「最新」という売りもなくなってしまいます。賃貸の場合、設備を修繕したり交換したりする機会も多いため、修繕費を抑える観点からも最新設備は避けた方がよいでしょう。
コンセプトを持ってマンションを設計するのでない限りは、コストパフォーマンスの良い必要最低限のグレードの住宅設備を導入して、コストダウンを図るのがおすすめです。
高収益のマンションを建築するコツ
せっかくマンションを建てても、入居率がふるわなければ収益に繋がりません。
この章では、高収益をもたらすマンションを建設するためのポイントを3つご紹介します。
- エリアのニーズにあった間取りで建てる
- 競合物件に合わせて導入設備・内装を決める
- 競合物件と差別化できるポイントを作る
エリアのニーズにあった間取りで建てる
マンションの間取りは、土地の賃貸需要に合わせて決めましょう。
一般的に、坪あたりの収益性が高いのは専有面積を抑えたワンルームマンションです。しかし、単身者の賃貸需要が低いエリアや、既にワンルームマンションが飽和しているエリアでは、新しくワンルームマンションを建てても入居は見込めません。そこで、事前に立地調査をしっかり行って、ニーズに合った設計でマンションを建てる必要があります。
たとえば学校や公園の近い土地であれば、ファミリー層向けの2LDK、3LDKの間取りの部屋を増やすことを検討してみましょう。
近隣でどんな物件が満室になっているか・空室ができているかを確認することでも、エリアのニーズを知ることができます。
競合物件に合わせて導入設備・内装を決める
マンションに導入する住宅設備や内装を検討する際は、競合物件を参考にするとよいでしょう。
前章で設備にかける費用を抑えた方がよいとご紹介しましたが、競合物件よりも導入している設備が著しく劣っていると入居者に避けられてしまいやすくなります。
周辺の競合物件ではどのような設備が導入されているかをチェックし、内装や導入する住宅設備の種類やグレードを決めましょう。- 昨今は無料のインターネット回線や宅配ボックスなどが特に人気です。
競合物件と差別化できるポイントを作る
入居率を高めたり、借主に長期的に入居してもらうためには、競合物件と差別化できるポイントを作れないかを検討してみましょう。
たとえば、女性向けにセキュリティー設備に力を入れたマンション、リモートワークや趣味のために防音性に力を入れたマンションなど、コンセプトを決めて特化させる方が、満遍なくお金をかけるよりも高い費用対効果を得られます。
まとめ
土地にマンションを建ててマンション経営を長期的に行うためには、収益性を確保することが重要です。
マンションの建設費を適切に抑えられれば融資の借入金額も抑えることができるため、収益を得やすくなります。
ご自身の土地にどのようなマンションを建てるのがベストなのか知るためには、まずは土地活用のプロに相談してみましょう。
提案されたプランを複数比較して検討し、マンション経営の成功を目指しましょう。