アパートローン審査で落ちる人と通る人の差は何か?借入可能額も徹底解説

東京都世田谷区(郊外)在住の50代・男性(2026年4月)

「年収は1,500万円ありますし、土地は自己所有です。なのに銀行に相談に行ったら『審査基準に届かない』と言われました。何がダメだったのか、正直よくわかりません。アパートローンって、年収が高ければ通るわけじゃないんですね……」

アパートローンの審査に「自信を持って申し込んだのに否決された」という相談は、後を絶ちません。年収1,500万円・土地持ち・信用情報クリーンという申込者が、なぜ審査に落ちるのでしょうか。

その答えはシンプルです。アパートローンは「本人がお金を持っているか」ではなく、「物件が稼いでローンを返せるか」を中心に審査されます。ここを知らずに申し込むと、属性が優れていても通りません。

この記事では、アパートローンの審査で実際に起きている落とし穴を3つ解説し、「自分の属性・物件で審査が通るか」をその場で確認できるチェックリストと、「いくら借りられるか」の目安を具体的な数字でお伝えします。年収別・物件利回り別の借入可能額早見表と、DSCR(債務返済比率)の計算例も掲載しています。読み終えるころには、「次に何をすべきか」が明確になります。

なお、記事内の数値・事例はイエウール土地活用への直近3年間の相談・実績データ(累計約4.2万件)および不動産エコノミスト・吉崎誠二氏の監修に基づいています。

目次
この記事を監修した人
吉崎誠二
監修 吉崎 誠二(よしざき せいじ)

不動産エコノミスト/社団法人住宅・不動産総合研究所 理事長

不動産エコノミスト 宅地建物取引士 早稲田大学大学院 修了
30回+/年
講演実績
10冊+
著書
1997年〜
業界経験
専門領域
不動産市場予測 市場サイクル理論 賃貸住宅経営・収益分析 CRE(企業不動産)戦略 データ分析・メディア監修 企業・団体向け研修

不動産エコノミストとして市場予測・データ分析・企業コンサルを手がける第一人者。テレビ東京「WBS」やラジオNIKKEI出演、著書10冊以上、年間30回以上の講演実績を持つ。不動産市場を数字と理論で読み解き、実践的な視点で解説します。

私のアパートローン審査、通る?5分でわかるセルフチェック

まず、読み進める前に以下の8項目を確認してください。チェックの数で「今の自分に何が足りないか」が一目でわかります。

📋 アパートローン審査 セルフチェック
チェック項目 本人属性 物件条件
年収500万円以上ある(会社員・公務員はとくに有利)
過去5年以内に延滞・金融事故の記録がない
カードローン・自動車ローン等の残債が少ない
土地・金融資産などの資産を保有している
物件の表面利回りが6%以上ある
DSCR(年間純収益÷年間返済額)が1.2以上になる見込み
木造なら築20年以内、RC造なら築35年以内
頭金として物件価格の10〜20%を用意できる
判定の目安: 8項目中7〜8項目 → 審査通過の可能性が高い(複数行への相談を進めるステップへ)
8項目中5〜6項目 → 準備を整えてから申込む(不足項目を後の章で確認)
8項目中4項目以下 → 専門家に状況を相談してから判断する(NG項目が複数ある場合、申込前に解消できるものがある)

このチェックリストは、アパートローンの審査が「本人属性」と「物件条件」の両軸で評価されることを前提に設計しています。なぜ両方の評価が必要なのか、住宅ローンとの根本的な違いから説明します。

アパートローン審査で住宅ローンとは違う”3つの落とし穴”

住宅ローンで審査に通った方が、アパートローンで初めてつまずくのは「同じ感覚で申し込んでしまうから」です。実際、直近3年間のイエウール土地活用への相談(累計約4.2万件)の中で、「住宅ローンは問題なく通ったのにアパートローンが通らない」という相談が全体の約34%を占めています。この落差は、審査の仕組みが根本から違うことを知らないまま申し込んでいることが原因です。

落とし穴①:アパートローン審査の軸が「本人の年収」だけではない

住宅ローンは「この人が毎月返済できるか」を中心に審査します。年収・勤続年数・他の借入の有無が主な判断材料です。ところが、アパートローンの審査では、返済の原資として「物件自体が毎月稼げるか」が加わります。つまり、申込者の属性と物件の収益性の両方がそろっていなければ融資が通らないのです。

これは感覚的に理解しにくいのですが、金融機関の立場から考えると当然の話です。住宅ローンは「あなたが働いて返す」ローンですが、アパートローンは「物件が家賃を稼いで返す」ローンでもあります。物件が稼げない設計になっていれば、申込者がどれだけ高年収でも「物件リスク」は消えません。

住宅ローン vs アパートローン|審査の根本的な違い
比較項目 住宅ローン アパートローン
返済の原資申込者の給与・収入物件の家賃収入 + 申込者の収入
主な審査軸年収・勤続年数・既存借入物件収益性(DSCR)・担保評価・本人属性
頭金の目安0〜10%(フルローン可)新築10〜20%、中古20〜30%が目安
金利の目安変動0.4〜1.8%程度変動1.5〜4.5%程度(属性・物件による)
融資期間の上限最長35年建物の残存耐用年数に連動(木造築古は短くなる)

この違いを知らずに申し込んだ場合、「年収は高いし信用情報もきれいなのに審査が通らない」という状況が起きます。これは申込者の問題ではなく、物件の収益性が審査基準に届いていないことが原因のほとんどです。

以下の事例は、まさにその典型です。

相談事例①|年収1,500万円・土地持ちでも審査否決になったケース
申込者の状況東京都世田谷区・50代男性・会社役員・年収1,500万円・信用情報クリーン
物件の概要自己所有地に建築予定の木造アパート(新築)、物件価格6,800万円、表面利回り4.8%
審査の結果メガバンク2行で審査否決
否決の主な理由物件の表面利回り4.8%から管理費・固定資産税・空室リスクを差し引いた実質利回りが約3.2%となり、金融機関が算出したDSCRが0.88だった(基準値1.2未満)
この事例から読み取れること:
年収・信用情報は最高水準でも、物件のDSCRが基準を下回れば審査は通りません。この方は後日、土地活用会社を通じて「物件の間取り変更で賃料単価を10%引き上げる設計に変更」し、DSCRを1.28まで改善したうえで同じ金融機関に再申込、承認されました。物件の設計段階でDSCRを意識することが、審査を通すための最初のステップです。

この事例が示すように、アパートローンの審査は「物件設計の段階」から始まっています。金融機関に申し込む前に、専門家とともに物件の収益性をDSCRで確認しておくことが不可欠です。

根拠として補足すると、国土交通省「民間住宅ローンの実態に関する調査(令和4年度)」では、アパートローン(事業用不動産向け融資)の審査において物件の収益性を評価基準に含めている金融機関は87%以上に達しています。一方、住宅ローンで「物件の収益性」を審査基準とする金融機関はほぼ存在しません。この数字が、両者の審査構造の違いを如実に示しています。

吉崎誠二
専門家
アドバイス

吉崎 誠二(不動産エコノミスト・社団法人住宅・不動産総合研究所 理事長・宅地建物取引士)

「私が金融機関の審査担当者と話して一番印象に残っているのは、『年収よりも物件の収益見通しのほうが否決の主因になっている』という言葉です。年収1,000万円以上の方でも、物件のDSCRが0.9台だと難しい。逆に年収600万円でも、DSCRが1.4以上あれば地銀や信用金庫はしっかり融資してくれます。申込前に必ずDSCRを確認してください。」

落とし穴②:アパートローン審査で「投資用不動産」というだけで審査が段違いに厳しくなる

「住宅ローンと同じ銀行でアパートローンを申し込んだのに、扱いが全然違った」という声をよく聞きます。これは銀行の担当者が意地悪なのではなく、金融規制と内部リスク管理の仕組みが根本から違うからです。

住宅ローンは居住用不動産への融資であり、借主が「住む場所を失うリスク」から最後まで返済しようとする強いモチベーションがある、という前提で設計されています。ところが投資用不動産ローンは、「収益が出なければ保有し続ける意味がない」という性格があります。空室が増えたり賃料が下落したりすると、借主が物件を手放す判断をする可能性がある。金融機関はそのリスクを織り込んで、より厳しい基準で審査します。

この厳格化が顕著になったのは2018年以降です。金融庁が「金融システムレポート(2018年4月版)」において、投資用不動産向け融資の急速な拡大がシステミックリスクになりうると指摘して以来、主要金融機関は軒並み審査基準を強化しました。メガバンクでは新規のアパートローン融資を実質的に絞り込む動きがあり、現在は「年収1,000万円以上・DSCR1.3以上・都市部物件」という厳しい条件をクリアしないと申込自体を受け付けない行も存在します。

⚠️ 見落としがちな罠:住宅ローンと投資ローンの「二重申込」

賃貸に出す予定のアパートに住宅ローンを使うことは、金融機関との契約違反になります。住宅ローンは「申込者が居住する物件」に限定されているため、居住実態がないと判明した時点で一括返済を求められる場合があります。「住宅ローンのほうが金利が安いから」という理由でこの使い分けをする方がいますが、発覚した場合のリスクは非常に大きいです。

また、「投資用不動産」として申し込む場合、審査書類の量と質も住宅ローンとは段違いです。個人の源泉徴収票・確定申告書・資産一覧だけでなく、物件の収支計画書・家賃相場の根拠資料・管理委託契約書案・周辺の空室率データなどの提出を求める金融機関が多くなっています。これらを自分で用意するのは難しく、土地活用会社や不動産会社のサポートを受けながら準備するのが現実的です。

吉崎誠二
専門家
アドバイス

吉崎 誠二(不動産エコノミスト)

「2018年以降、投資用不動産ローンの審査が厳しくなったのは確かです。ただ、これは悲観する話ではありません。審査基準が厳しくなったのは『収益性が見込めない物件への融資を絞った』ということ。裏を返せば、しっかり収益が見込める物件には融資がつきやすくなっています。審査の基準に合わせて物件を選ぶ、という発想の転換が大切です。」

落とし穴③:アパートローン審査で「物件の担保評価」が融資額の上限を決める

「物件価格と融資可能額が全然違う」という驚きは、初めてアパートローンを検討した方のほとんどが経験します。物件価格は市場での売買価格ですが、金融機関が担保として評価する価格は独自の計算式(積算評価)で算出されます。この2つの価格がずれるほど、必要な頭金が増えます。

積算評価の計算式はシンプルです。「土地の価値(路線価×面積)+建物の再調達費用(建築費の相場×残存耐用年数/法定耐用年数)」が積算評価額です。新築・RC造の物件は土地価値も建物価値も高く、担保評価が物件価格に近くなりやすいです。一方、築古・木造の物件は建物価値が大きく目減りし、積算評価が物件価格の半分以下になることがあります

法定耐用年数は国税庁の規定により、木造22年・軽量鉄骨(3mm以下)19年・軽量鉄骨(4mm超)27年・RC造47年と定められています。耐用年数を超過した木造建物は、金融機関の計算上「建物の価値ゼロ」として扱われます。

相談事例②|積算評価の低さで頭金2,940万円が必要になったケース
所在地神奈川県川崎市
物件概要木造アパート・築28年・8室・購入価格4,200万円
市場評価額4,200万円(購入希望価格)
積算評価額1,800万円(土地のみ。木造築28年=耐用年数22年超過のため建物価値ゼロと判定)
融資可能額の上限積算評価額の70%=1,260万円
必要な頭金4,200万円 − 1,260万円 = 2,940万円(購入価格の約70%!)
なぜこうなるのか:
木造アパートの法定耐用年数は22年です。築28年はすでに耐用年数を超過しており、金融機関の積算評価では「建物の価値ゼロ」と計算されます。土地のみの担保価値が1,800万円しかなければ、融資可能額の上限は1,260万円前後にとどまります。「利回り8%の築古アパートを安く買おう」という判断は、頭金が大量に必要になるという盲点と表裏一体です。

ただし、積算評価だけがすべてではありません。「収益還元評価」(実際の家賃収入から物件価値を算出する方法)を重視する金融機関では、築古でも安定した稼働実績があれば高い評価をつけることがあります。信用金庫やノンバンクはこの収益還元評価を積極的に活用するため、「銀行で断られたけれど信用金庫では通った」というケースが珍しくありません。

吉崎誠二
専門家
アドバイス

吉崎 誠二(不動産エコノミスト)

「積算評価と収益還元評価、どちらを重視するかは金融機関によって大きく異なります。銀行系は積算評価重視、信用金庫・ノンバンクは収益還元評価重視の傾向があります。物件を選んだ後に金融機関を探すのではなく、どの金融機関を使うかを先に絞ってから、その金融機関の評価基準に合う物件を選ぶという逆算の発想が、審査通過の近道です。」

アパートローン審査に通る人の属性・物件条件チェックリスト

前の章で解説した「3つの落とし穴」を踏まえると、審査通過のためには「本人属性」と「物件条件」の両方をクリアする必要があります。とはいえ、どの条件が特に重要で、どこを改善すれば審査通過に近づくのかは、なかなかわかりにくいものです。

ここでは、イエウール土地活用への相談データをもとに、「審査を通過した方に共通していた属性・物件条件」と「直前に改善したことで審査に通ったケース」を整理します。チェックリストとして確認しながら読み進めてください。

アパートローン審査における本人属性チェック(信用・収入・資産)

本人属性の評価は6つのポイントに集約されます。ただし注意が必要なのは、「6項目すべてが平均的に良い状態」よりも「1項目でも大きな問題がある状態」のほうが審査に与える影響が大きいという点です。特に信用情報の延滞記録は、年収や資産がどれだけ優れていてもほぼ確実に審査を通過させません。

評価ポイント 通過しやすい基準 注意が必要な状態
年収・収入の安定性 年収500万円以上(会社員・公務員は特に有利) 自営業・フリーランスで3年間の申告所得が不安定
信用情報 過去5年以内の延滞・事故記録なし 30日以上の延滞が1件でもあると銀行系は否決
既存の借入状況 残債が年収の1倍以内が目安 カードローン・キャッシング枠の限度額が大きい(使っていなくても影響あり)
保有資産 土地・金融資産など返済余力の裏付けがある 頭金が調達できない(物件価格の10%未満)
年齢 申込時70歳以下・完済時80歳以下 65歳以上は融資期間が短くなり月返済額が増大
雇用形態・職業 正社員・公務員・医師・弁護士等の士業 契約社員・派遣社員は勤続年数・収入の安定性を厳しく見られる

このなかで「申込前に改善できる項目」と「改善できない項目」があります。信用情報の延滞記録は5〜7年間は消えません。一方、カードローンの残債・キャッシング枠の縮小・頭金の追加積み立ては申込前の準備で改善できます。特にキャッシング枠は「使っていなくても審査に影響する」という事実を知らない方が多く、改善の余地があるケースが多いです。

実際、直近3年間のイエウール土地活用への相談データによると、「審査申込前の準備段階でカードローンを完済・キャッシング枠を削減した結果、3〜6ヵ月後の再申込で承認された」という事例が全体の約18%にのぼっています。申込のタイミングを少し遅らせてでも、事前の信用情報整理が有効です。

💡 申込前にやっておくべき信用情報の整理手順:
①CICまたはJICCに開示請求(オンラインで1,000円前後)を行い、自分の信用情報を確認する
②不要なカードローン・キャッシング枠は限度額の引き下げまたは解約(金融機関へ電話1本で可能)
③残高が少額なローンは完済して完済証明書を取得しておく
④これらの対応後、3〜6ヵ月待ってから申込む(信用情報の更新タイミングに合わせるため)
吉崎誠二
専門家
アドバイス

吉崎 誠二(不動産エコノミスト)

「自営業の方によくあるのが、節税目的で経費を最大限に計上した結果、確定申告の所得が非常に低くなっているケース。年収1,000万円の収入があっても、申告所得が300万円なら金融機関の年収評価は300万円です。アパートローンを検討しているなら、申込む2〜3年前から申告所得をある程度維持しておくことを考えてほしいです。節税と融資は、残念ながら両立しにくい部分があります。」

💬 専門家に聞いてみました:「自営業でも審査に通れますか?」
専門家
専門家

自営業でも審査に通ることはできます。条件は「直近3年間の確定申告書で所得が安定していること」と「3期分の申告所得が金融機関の基準(概ね年収500万円以上)を満たしていること」の2点です。

相談者
相談者

実は節税のために経費を多く計上していて、申告所得が実際の売上の3分の1ほどになっています。それでも大丈夫でしょうか?

専門家
専門家

それは正直、難しい状況です。金融機関は「売上」ではなく「申告所得」で収入を判断します。申告所得が300万円なら、年収300万円として審査されます。借入可能額がかなり制限されるか、銀行系では否決になる可能性が高いです。もしアパートローンを2〜3年後に検討しているなら、今から申告所得の調整(過剰な経費計上の見直し)を考えることをおすすめします。

相談者
相談者

すぐに申込みたいのですが、今の状態で申込んでも審査が通る金融機関はありますか?

専門家
専門家

申告所得が低くても、土地を自己保有しているか、金融資産が豊富であれば、信用金庫やノンバンクが審査してくれることがあります。また、土地活用会社が提携している金融機関では、個人の審査と物件評価を合わせて見てくれる「事業性評価型」の審査をしているところもあります。まず専門家に現状を相談して、どの金融機関が現実的かを整理するところから始めましょう。

相談者
相談者

自分で銀行を探して申込むのではなく、まず土地活用会社に相談して金融機関を紹介してもらうほうが近道なんですね。それなら動けそうです。ありがとうございました。

アパートローン審査における物件条件チェック(収益性・担保評価)

本人属性と並んで重要なのが物件条件です。多くの方が「利回りが高ければよい物件だ」と考えますが、金融機関の評価はもう少し複雑です。利回りだけでなく、空室リスク・将来の賃料下落・建物の残存価値・法的リスク(接道義務・違法建築)まで総合的に評価されます。

以下の5つの確認ポイントをすべてクリアしている物件は、金融機関からの評価が高くなります。1つでも問題があれば、事前に解消策を検討してください。

物件条件チェックリスト(5項目)

✅ チェック①:DSCR(債務返済比率)が1.2以上になる見込みか

計算式:年間純収益(家賃収入−管理費−修繕費−固定資産税等)÷ 年間ローン返済額。直近3年間のイエウール土地活用への相談データでは、DSCR1.2以上の物件の審査通過率は約71%。DSCR1.0未満では5%未満でした。

✅ チェック②:表面利回りが6%以上あるか(都市部は5%前後でも可)

表面利回りはあくまで目安です。管理費・空室率・修繕コストを差し引いた「実質利回り」がDSCR計算の基礎になります。表面利回り8%でも空室率が20%ある物件は、実質利回りが5%台に下がることがあります。

✅ チェック③:法定耐用年数の残存年数が十分あるか

木造(22年)・軽量鉄骨(27〜34年)・RC(47年)の残存耐用年数が融資期間の上限になります。築15年の木造アパートは残存耐用年数7年=融資期間最長7年となり、短期返済で月返済額が跳ね上がります。

✅ チェック④:積算評価が物件価格の60%以上あるか

「路線価×土地面積+再調達費用×残存耐用年数÷法定耐用年数」で計算した積算評価が物件価格の60%を下回ると、頭金が大きく必要になります。購入前に土地の路線価(国税庁のウェブサービスで確認可)と建物の築年数から概算できます。

✅ チェック⑤:法的リスクがないか(接道・違法建築・境界確認)

接道義務違反(建築基準法第43条:道路に2m以上接していない)・未登記増築・借地権未解決などの法的問題がある物件は、ほぼすべての金融機関で融資が通りません。売買契約前に必ず確認してください。

このチェックリストを使うとき、注意してほしいのが「複数の条件の組み合わせ」です。たとえば利回りが高くてもDSCRが低い物件(管理費が高い・空室が多い)、積算評価が高くても利回りが低い物件(価格が高騰しすぎている)など、1つの指標だけを見て判断すると落とし穴にはまります。

特に初めてアパートローンを検討する方は、業者から提案された物件を「提示された利回りだけ」で評価してしまうケースが多いです。物件価格・想定賃料・管理費・固定資産税・修繕積立金をすべて入力したうえでDSCRを計算し、1.2以上になるかを自分で確認する習慣をつけてください。

吉崎誠二
専門家
アドバイス

吉崎 誠二(不動産エコノミスト)

「物件選びで私が最も重視してほしいのが、空室率の将来見通しです。人口減少が進む地方エリアでは、現在の空室率が低くても5〜10年後に大きく悪化することがあります。国土交通省の都市構造可視化計画(出典:https://mieruka.city.go.jp/)で、検討エリアの将来人口・世帯数の推計を事前に確認することを強くおすすめします。金融機関の審査より、自分の長期的な収益計画のためにやっておくべき作業です。」

本人属性・物件条件の両方を確認できたところで、「自分はいくら借りられるか」という具体的な数字を確認しましょう。次の章では年収別・利回り別の借入可能額早見表と、DSCRの実際の計算例をお伝えします。

「アパートローン 審査」で自分はいくら借りられる?年収別・物件収益性別の目安

「自分はいくら借りられるのか」は、アパートローンを検討するすべての方が最初に知りたいことです。ただし、正直に言うと「年収の何倍まで借りられる」という単純な答えはありません。物件の収益性・頭金の割合・金融機関の方針・申込者の信用状況が組み合わさって決まります。

ここではまず「年収と物件利回りの組み合わせで見る借入可能額の目安」を一覧表でお伝えします。そのうえで、実際に金融機関が重視するDSCRを自分で計算して試算する方法を解説します。表の数字を確認した後、自分の検討物件で実際に計算してみてください。

年収別・物件利回り別のアパートローン借入可能額目安

以下の目安表は、イエウール土地活用への相談・承認事例データ(直近3年間・累計約4.2万件)をもとに、「年収帯ごとの承認事例の中央値」として算出したものです。金融機関の年収評価倍率(7〜10倍)だけでなく、物件の収益性(DSCR1.2以上)との整合性を条件に絞り込んでいます。

集計条件:会社員・公務員・信用情報クリア・頭金15%準備済み・既存ローン年収の0.5倍以内を前提としています。自営業・既存ローン多額・頭金少額の場合は下限に近い数字になります。

年収 利回り5%以下 利回り6〜8% 利回り9%以上 特記事項
500万円 審査通過困難 2,000〜3,000万円 2,500〜3,500万円 地銀・信金が中心。銀行系は難しい
700万円 2,000〜3,500万円 3,500〜5,500万円 4,500〜6,500万円 地銀・メガバンク両方で選択肢あり
1,000万円 3,000〜5,500万円 5,500〜8,500万円 7,000〜1億円 メガバンクも選択肢に入る水準
1,500万円 5,000〜8,000万円 8,000〜1億2,000万円 1億〜1億5,000万円 大規模物件・複数棟も視野に
2,000万円以上 7,000万〜1億円 1億〜1億8,000万円 1億5,000万〜2億円以上 物件担保評価が上限を左右しやすい

※直近3年間のイエウール土地活用への相談・承認事例(累計約4.2万件)をもとに、会社員・信用情報クリア・頭金15%・既存ローン残債が年収の0.5倍以内という条件で算出した参考値です。外れ値(上位・下位5%)は除外しています。自営業・属性不安定・頭金少額の場合は下限に近い数字になります。必ず金融機関または土地活用会社で個別試算を確認してください。

この表を見て気づいてほしいのは、同じ年収700万円でも、物件利回りによって借入可能額が2,000万円〜6,500万円と3倍以上変わるという点です。年収を増やすことは短期では難しいですが、物件の利回りを上げる(または収益性の高い物件を選ぶ)ことは、今から動けば現実的に変えられます。

もう一つ重要なのが、「利回り5%以下の物件は年収500万円では審査通過困難」という現実です。都市部の人気エリアで表面利回り4〜5%の物件が多いですが、これは都市部在住の会社員が自己資金なしでアパートローンを組む場合、審査に通らないことが多いことを意味します。「立地がよければ多少利回りが低くても大丈夫」という考えは、審査という観点では成立しないケースが多いです。

吉崎誠二
専門家
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吉崎 誠二(不動産エコノミスト)

「この目安表の”ゾーン”を意識した物件選びが大切です。年収700万円の方が利回り7%の物件を選ぶと借入可能額が3,500〜5,500万円のゾーンに入り、選択肢がぐっと広がります。逆に同じ年収で利回り4%の物件を選んでしまうと、そもそも融資が下りない状況になる。借入可能額を増やしたいなら、年収を上げるよりも物件の利回りを上げるほうが現実的に早いことがほとんどです。」

DSCRの実際の計算例:アパートローン審査で「この物件でいくら借りられるか」を自分で試算する方法

借入可能額の目安表はあくまで参考値です。より正確に自分の状況を把握するには、金融機関が実際に使うDSCR(債務返済比率)を自分で計算してみることが有効です。計算式はシンプルで、慣れれば5分でできます。

DSCR = 年間純収益(NOI) ÷ 年間ローン返済額(ADS)

年間純収益(NOI)とは、年間家賃収入から管理費・修繕積立金・固定資産税・保険料などを差し引いた「実際に手元に残る収益」です。表面利回りから算出される家賃収入そのままではなく、現実的な経費を引いた数字を使うことが重要です。

DSCR計算例①|審査通過ケース(埼玉県さいたま市・木造新築8室)
項目金額(年額)
年間家賃収入(8室×6.5万円×12ヵ月・空室率5%考慮)593万円
管理費(家賃収入の10%)−59万円
修繕積立金(新築・月2万円×12ヵ月)−24万円
固定資産税・都市計画税−18万円
火災・損害保険料−6万円
年間純収益(NOI)486万円
融資額:6,000万円 / 金利2.8% / 期間25年(元利均等返済)参考
年間ローン返済額(ADS)約339万円
DSCR = 486万円 ÷ 339万円= 1.43 ✅ 審査通過水準
このケースのポイント:表面利回り7.8%(593万÷8,000万円の物件を6,000万円頭金15%で取得)の物件で、管理費・修繕・税金を引いたNOIが486万円。返済額339万円に対してDSCR1.43と十分な余裕があり、地方銀行・メガバンクとも審査通過。申込者は年収820万円・会社員40代男性。
DSCR計算例②|審査否決ケース(千葉県船橋市・軽量鉄骨中古6室)
項目金額(年額)
年間家賃収入(6室×7.2万円×12ヵ月・空室率12%考慮)456万円
管理費(10%)−46万円
修繕費(中古・築15年・月4万円想定)−48万円
固定資産税・都市計画税−22万円
保険料・その他−8万円
年間純収益(NOI)332万円
融資額:4,000万円 / 金利3.5% / 期間15年(残存耐用年数による制限)参考
年間ローン返済額(ADS)約346万円
DSCR = 332万円 ÷ 346万円= 0.96 ❌ 審査否決
否決の構造:表面利回り8.4%に見えた物件でも、軽量鉄骨築15年のため残存耐用年数が短く、融資期間が15年に制限されました。期間が短いほど年間返済額が増え、DSCRが下がります。申込者(年収900万円・会社員)の属性は問題なくても、融資期間の制限がDSCRを1.0未満にしてしまったことが否決の原因です。これは築年数・構造の確認を怠った結果で、事前に計算していれば防げました。

この2つの事例で見えるのは、「属性が同じ・利回りが近い物件でも、築年数・構造・融資期間の違いでDSCRが大きく変わる」という事実です。特に中古物件を検討する際は、まず構造と築年数から残存耐用年数を計算し、融資期間の上限を確認してからDSCRを試算することが不可欠です。この手順を省くと、事例②のように「属性・利回り・価格がすべて基準内なのに審査が通らない」という結果になります。

DSCR計算に必要な数字(年間家賃収入・管理費・修繕費・固定資産税)と、物件ごとの概算融資条件(金利・期間)の試算は、土地活用会社や不動産会社に相談することで無料でサポートしてもらえます。自分での計算が難しければ、複数社に収益シミュレーションを依頼して比較するのが現実的な方法です。

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吉崎 誠二(不動産エコノミスト)

「修繕費は甘く見積もりすぎる方が非常に多いです。新築ならまだよいのですが、中古物件は屋根・外壁・設備の更新費用が5〜10年以内に集中してかかることが多く、年間100〜200万円の修繕費を想定しておく必要がある物件もあります。DSCRの試算では、修繕費を『今かかっていない費用』ではなく『将来かかる費用を月割りした金額』で計算してください。そうしないと、5年後に突然キャッシュフローがマイナスになる事態を招きます。」

「自分の年収と検討物件の条件でいくら借りられるか」の目安は把握できましたか。より正確な数字は、物件の詳細条件と申込者の属性を合わせて専門家が個別に試算することで初めてわかります。複数の土地活用会社に相談して試算を比較することを強くおすすめします。

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アパートローン審査に通るためにしてはいけない3つのこと

ここまでで「審査の仕組み」と「自分の状況の確認方法」を解説しました。次に重要なのは「知らないうちにやってしまう行動」を防ぐことです。アパートローンの審査は1度の失敗が信用情報に記録されることがあり、その後の審査に影響する場合があります。また、審査申込のタイミングや申込先の選び方でも、審査結果が変わります。

以下の3つは、相談事例の中で「しなければよかった」という声が特に多かった行動です。

してはいけないこと①:複数の金融機関に同時申込(多重申込)をする

「複数行に申し込んで、通ったところから選べばよい」と考える方がいますが、これはアパートローンでは逆効果になります。理由は2つあります。

まず、複数行への審査申込は信用情報機関(CIC・JICC)に「照会記録」として残ります。金融機関は審査の際にこの照会記録を確認しており、「短期間に複数行に申し込んでいる人物=資金繰りに困っている、または各行で断られている」というネガティブな評価につながることがあります。2社以上への同時申込は、申込翌月の信用情報に記録が残るため、最初の申込から3〜6ヵ月以内に複数行に申し込むのは避けるのが賢明です。

次に、否決の記録も残ります。一部の信用情報機関では、「審査を申し込んで照会されたが結果が出なかった」という事実から、審査で落ちたことを推察できる情報が蓄積されます。立て続けに審査を受けることでこの記録が積み上がり、次の審査で不利になることがあります。

💡 正しい申込の進め方:
①まず土地活用会社や不動産会社に「提携金融機関への事前審査(仮審査)」を相談する
②事前審査は本申込より信用情報への影響が小さい場合が多い(金融機関により異なる)
③事前審査を1行に絞って通ったことを確認してから、条件の良い機関に本申込する
④1行で否決になった場合は、理由を確認してから次の申込先を考える(無闇に次々と申し込まない)
吉崎誠二
専門家
アドバイス

吉崎 誠二(不動産エコノミスト)

「土地活用会社が複数の提携金融機関を持っている場合、『どの機関が今この属性・物件で最も通りやすいか』を判断したうえで申込先を選んでくれることが多いです。個人で複数行に飛び込み申込するより、専門家経由で1行に絞って申込むほうが審査通過率が高く、信用情報への影響も最小限に抑えられます。」

してはいけないこと②:物件を購入契約してから金融機関に相談する

「物件が決まってから銀行に相談すればよい」という考えは、取り返しのつかない失敗につながることがあります。不動産売買契約を締結した後に融資が下りなかった場合、手付金(物件価格の5〜10%が多い)を放棄するか、違約金を支払って契約解除することになります。5,000万円の物件なら手付金250〜500万円を失うリスクです。

アパートローンの融資審査には、一般的に2〜4週間(メガバンクでは6〜8週間かかる場合も)の時間が必要です。この期間を見越して、「ローンの融資承認を条件とする停止条件特約(住宅ローン特約に相当する融資特約)」を売買契約に盛り込むことが重要です。ただし、投資用不動産の売買では買主が融資特約を付けることを売主が拒否するケースもあるため、契約前に事前審査(仮審査)を通過させてから売買契約を結ぶ流れが理想です。

相談事例③|購入契約後に融資が下りず手付金250万円を失ったケース
状況大阪府大阪市・40代男性・年収850万円・会社員
物件概要中古マンション型一棟(RC造・築22年・10室)購入価格5,000万円
問題の経緯業者に勧められるまま売買契約を締結。手付金250万円を支払った後にメガバンクに相談したところ、「RC築22年は積算評価が大幅に下がっており融資額が最大2,800万円」と判定された
結果追加で2,200万円の頭金準備が困難なため契約解除。手付金250万円を放棄することに
防ぎ方:売買契約の前に「この物件でいくら融資が下りるか」を金融機関または土地活用会社に相談しておけば防げた事例です。RC造築22年は耐用年数47年の残存が25年。積算評価が市場価格を大きく下回ることは事前計算で判明できました。「物件を気に入った→契約した→融資を相談した」という順番が命取りになります。

してはいけないこと③:直近でクレジットカードや消費者金融を新規契約する

アパートローンの申込を予定している方は、申込の半年前から新規のクレジットカード・カードローン・消費者金融の契約を避けてください。新規契約は信用情報に「審査照会」として記録され、「新しい借入を増やそうとしている人」という印象を与えることがあります。

また、ポイント還元率が高い新しいカードを作りたい気持ちはわかりますが、申込前6ヵ月以内の新規カード申込は「申込ブラック」と呼ばれる状態を作ることがあるため、アパートローンの審査が終わるまで待つことを強くおすすめします。手持ちのカードの利用残高も、申込時点でできるだけ低い状態(理想はゼロ)にしておくことが有効です。

審査通過率を上げるために事前に整えるべき状態と、避けるべき行動を把握したうえで、次のステップは「どの金融機関に相談するか」の選択です。

アパートローン審査の通過率を上げる金融機関の選び方

「どの金融機関に申し込むか」は、審査通過率を大きく左右します。同じ申込者・同じ物件でも、申し込む金融機関の種類によって審査結果が逆転することがあります。直近3年間のイエウール土地活用への相談データでは、銀行系で否決になった後に信用金庫または提携ローンで承認されたケースが全相談の約19%に達しています。「銀行に断られたから諦める」のは、選択肢を大きく狭めることになります。

アパートローン審査の通過率と金融機関タイプ(銀行系・信用金庫・ノンバンク)の使い分け

アパートローンを扱う金融機関は大きく3タイプに分かれ、それぞれ審査基準・金利・得意とする物件が異なります。自分の属性と物件条件に合ったタイプを最初から選ぶことが、無駄な審査照会を防ぎ、審査通過率を上げる最短ルートです。

金融機関タイプ 審査の
厳しさ
金利の目安 向いている申込者・物件 注意点
メガバンク
(三菱UFJ・三井住友・みずほ等)
最高水準 1.5〜2.8% 年収1,000万円以上・会社員/公務員・RC造新築・都市部・DSCR1.3以上 審査期間6〜8週間。否決率が高く、多重申込リスクが大きい
地方銀行
(横浜銀行・千葉銀行等)
やや厳しい 2.0〜3.5% 年収700万円以上・地元エリア物件・積算評価が高い物件・DSCR1.2以上 エリア制約あり。居住地または物件が営業エリア内であることが条件
信用金庫
(各地域の信金)
中程度 2.5〜4.0% 年収500万円以上・地域密着・築古物件・小規模物件・収益還元評価を重視 金利はやや高め。ただし地域の実情を考慮した柔軟な審査が魅力
ノンバンク
(オリックス・セゾン等)
比較的緩やか 3.5〜5.5% 銀行系で断られた方・自営業・外国籍・築古・地方物件・年収400万円台も可 金利が高く総返済額が増大。DSCR試算を金利を上げた条件で必ず再確認

この表で最も重要なのが「ノンバンクを使う場合の注意点」です。ノンバンクは審査が通りやすい分、金利が高いため、同じ物件でも総返済額が銀行系の1.5〜2倍になることがあります。DSCR計算で金利3.5〜5%という条件に変えて再試算したとき、DSCRが1.2を下回るようなら、ノンバンクでの借入はキャッシュフローを圧迫するリスクがあります。

ノンバンクを使う正しいタイミングは「今の物件条件・自分の属性では銀行系は難しいが、物件の収益性は十分あり、ノンバンク金利でもDSCR1.2以上を確保できる」という場合です。「審査が通ることが最優先で、金利・返済額の確認が後回し」という判断は危険です。

吉崎誠二
専門家
アドバイス

吉崎 誠二(不動産エコノミスト)

「信用金庫を見直してほしいです。地銀より審査は柔軟で、ノンバンクより金利は低い。地方の中規模都市で築古物件への投資を考えているなら、地元の信用金庫が最良の選択肢になることがあります。その地域のデータを最もよく知っているのが信用金庫だからです。『地元の賃貸需要はまだある。物件は古いが収益は安定している』という評価をしてくれる信用金庫担当者に当たれば、メガバンクで弾かれた案件でも通ることがあります。」

アパートローン審査で提携ローンを使うメリットと注意点

土地活用会社・建築会社・不動産会社が「提携金融機関」を持っている場合、その会社を通じて申し込む「提携ローン」を使えることがあります。提携ローンには、通常の窓口申込にはないメリットがあります。

具体的には3つのメリットがあります。①申込者の属性や物件評価をあらかじめ専門家がまとめた書類を添えて申し込むため、金融機関側の審査工数が減り、審査が通りやすくなることがある。②金融機関との継続的な取引実績がある会社の紹介案件として扱われ、通常窓口より優遇金利が適用されることがある(0.1〜0.5%程度の差が出る場合も)。③書類準備・申込手続きのサポートを受けられるため、初めてでもスムーズに進められる。

ただし、提携ローンには注意点もあります。提携ローンの金利優遇分が、建築費や管理費の上乗せで帳消しになっている場合があります。「提携だから安心」ではなく、提携ローンの金利条件と、その会社の建築費・管理費を合わせてトータルコストで比較することが必要です。

📌 提携ローンを正しく活用するための比較ポイント:
①提携ローンの金利(変動・固定、期間)
②その会社の建築費・物件価格は他社と比べて妥当か
③提携ローン込みの総返済額と、別会社+独自ローンの総コストを比較
④管理費・サブリース料率が長期的に収益を圧迫しないか
⑤提携ローンを使った場合と使わない場合で、DSCRがどう変わるかを試算する

以下の会話は、提携ローンについて実際にあった疑問を整理したものです。

💬 専門家に聞いてみました:「提携ローンと自分で探したローン、どちらが得ですか?」
専門家
専門家

一概にどちらが得とは言えません。提携ローンは審査通過のしやすさと金利優遇が魅力ですが、その会社の建築費や管理費が高ければ、トータルコストでは損をする場合があります。まず「その会社の建築費・物件価格は市場相場と比べて妥当か」を確認することが先です。

相談者
相談者

A社の提携ローンは金利2.3%と言われましたが、建築費が近隣の相場より坪単価で3万円ほど高い気がしています。それでも提携ローンを使うべきでしょうか。

専門家
専門家

坪3万円高いとのことですが、延床面積が仮に80坪なら240万円の差額です。一方、金利2.3%と市場平均3.0%の差で5,000万円を25年借りた場合の返済総額の差は約480万円です。この場合、提携ローンのほうがトータルで240万円お得です。ただしこれは「他の条件が同じなら」の話。管理費率や修繕費の想定など他の費用も比較してください。

相談者
相談者

なるほど、金利差を金額に換算して建築費の差と比較すればよいんですね。では複数社に相見積もりを取ってから比較するのが正しいやり方ですか?

専門家
専門家

まさにその通りです。建築費・提携ローン金利・管理費率・修繕費の想定をすべて含めた「30年間のトータルキャッシュフロー」で複数社を比較することが最善です。1社だけの提案を鵜呑みにするのが一番危険で、3社以上から提案を受けて数字を見比べるのが基本です。一括比較サービスを使うと、同じ条件で複数社の提案を同時に取り寄せられるので便利です。

相談者
相談者

提携ローン単体で見るのではなく、建築費・管理費も含めたトータルで比較するんですね。複数社に相見積もりを取ってから判断します。モヤモヤしていた部分がすっきりしました。

アパートローン審査についてよくある質問

❓ よくある質問

Q1. アパートローンは何歳まで借りられますか?

多くの金融機関では「申込時年齢70歳以下・完済時年齢80歳以下」を条件としています。ただし65歳以上の申込では融資期間が短くなるため、同じ借入額でも月々の返済額が増大し、DSCRが基準値を下回るケースが増えます。60代での申込を検討している場合は、融資期間の制限を織り込んだうえでDSCRを再計算してください。ノンバンクでは65歳以上の申込を受け付けている機関もありますが、金利が高くなります。

Q2. 自営業・フリーランスでもアパートローンは借りられますか?

借りられます。ただし直近3年分の確定申告書の提出が必須で、申告所得(経費控除後の金額)が3年間安定していることが条件になります。節税目的で経費を多く計上して申告所得を低く抑えている方は、その申告所得で審査されるため、借入可能額が大幅に制限されます。アパートローンを2〜3年後に検討しているなら、今から申告所得の水準を意識しておくことが重要です。申告所得が低い状態でも、土地や金融資産が豊富な場合は信用金庫やノンバンクで評価される可能性があります。

Q3. 住宅ローンが残っていてもアパートローンは組めますか?

組むことはできますが、住宅ローンの残債は「既存の借入負債」として審査に加算されます。残債が多いほどアパートローンの借入可能額が下がります。一方、住宅ローンをきちんと返済し続けている実績は「信用の裏付け」として評価されるため、一概に不利とは言えません。既存の住宅ローンがある方は、金融機関に「住宅ローン残債○万円・月返済額○万円・あと○年」という情報をあらかじめ整理して伝えることで、審査のスムーズな進行につながります。

まとめ:アパートローン審査で「通る人」になるための5つのステップ

この記事では、アパートローンの審査が住宅ローンとどう違うのか、どの条件が審査に影響するのか、そして「自分の場合いくら借りられるか」の試算方法をお伝えしてきました。最後に、記事全体を通じて一番伝えたかったことを5つにまとめます。

✅ 審査通過に向けた5つのステップ

STEP 1:審査の軸が「物件の収益性×本人属性」であることを理解する

年収だけで審査されると思い込んで申し込む前に、物件のDSCRを計算する習慣をつけましょう。

STEP 2:申込前に信用情報を自分で確認・整理する

CICに開示請求して延滞記録・キャッシング枠を確認。不要な借入枠を削減してから申込む。

STEP 3:物件を契約する前に事前審査(仮審査)を通過させる

売買契約の前に金融機関の内諾を得る。手付金を払ってから融資が下りないリスクを排除する。

STEP 4:自分の属性と物件条件に合った金融機関タイプを最初から選ぶ

高属性×都市部新築ならメガバンク。それ以外は地銀・信用金庫・ノンバンクを状況に応じて選択。多重申込は避ける。

STEP 5:複数社に相談して、ローン・建築費・管理費のトータルコストで比較する

1社だけの提案を鵜呑みにしない。提携ローンの金利優遇と建築費の差額を計算してから判断する。

アパートローンの審査は、準備と知識で大きく変わります。「年収が足りないから諦めた」「銀行に断られたから終わり」という状況でも、物件・金融機関・申込タイミングの見直しで状況が変わることが多いです。

まず「自分の場合、いくら借りられるのか」「どの金融機関が自分の条件に合っているか」を専門家に確認するところから始めてください。複数の土地活用会社に相談することで、提携ローンの条件比較・収益シミュレーション・物件選びのアドバイスを無料で受けられます。

私の場合、アパートローンはいくら借りれる?
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\ この記事の編集者 /

イエウール土地活用編集部

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