アパートローン相続で相続放棄しても逃げられない負担とは

神奈川県横浜市(郊外)在住の50代・女性(2026年6月)

「父が急に亡くなり、経営していたアパートのローンが2,800万円ほど残っていることを、遺品整理をしていて初めて知りました。相続放棄すればこの借金からは逃げられると思っていたのですが、兄が父の連帯保証人(ローンの返済が滞ったときに、本人に代わって返済する義務を約束した人)になっていたと聞いて、それも違うのかもしれないと不安になっています。」

親族が経営していたアパートのローンが、ある日突然、自分の問題になる。多くの方が、遺産分割協議(相続人全員で、誰がどの財産・借金を引き継ぐかを話し合って決める手続き)をしている最中に「実はローンが残っている」と知らされ、何から確認すればよいのか分からないまま時間だけが過ぎていきます。「相続放棄をすればローンから逃げられるのではないか」「団信に入っていれば大丈夫なのか」「このまま経営を続けるべきか、売ってしまうべきか」。同じような状況にある方から、こうした疑問を数多くいただいてきました。

この記事では、アパートローンが相続の対象になるかどうかという基本的な仕組みから、相続放棄をしても消えない負担、名義変更の具体的な流れ、そして相続後に経営を続けるべきか売却すべきかを自分のケースで判断する方法まで、実際の相談データと専門家の解説を交えて解説します。読み終えたときには、自分が次に何をすべきかの見通しが立っている状態を目指します。

この記事で分かること

  • アパートローンが相続対象になる仕組みと、団信の有無で結果がどう変わるか
  • 相続放棄をしても連帯保証人の債務が消えない理由
  • 名義変更(債務引受)の流れと、金融機関の審査で見られるポイント
  • 相続後に経営を続けるべきか、売却すべきかを自分のケースで判断する早見表(こちらから確認できます
目次
この記事を監修した人
沖野元

公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産実務検定講師。相続対策・土地活用・中古物件再生等不動産コンサルティング、仲介、管理の株式会社リーシングジャパン代表取締役。著書「大家さんのための客付力」。

アパートローンは相続対象になる

イエウール土地活用に寄せられる「アパートローン相続」に関する相談の中で、最初のご質問として特に多いのが「経営していた本人が亡くなったのだから、ローンも一緒になくなるのでは」というものです。結論から言うと、これは誤解です。アパートローンの残債は、被相続人(亡くなった方)の「マイナスの財産」として、原則どおり相続の対象になります。まずはこの前提を正しく理解したうえで、団信の有無・相続放棄の可否という2つの重要な分岐を確認していきましょう。

マイナスの財産として相続する

相談者の方々とお話ししていると、「プラスの財産(預貯金や不動産)だけ受け取って、マイナスの財産(借金や未払金)は都合よく除外できないか」という前提でご相談に来られる方が少なくありません。しかし相続の仕組み上、アパートローンのようなマイナスの財産は、プラスの財産と切り離すことができず、相続人は両方を同時に引き継ぎます。

プラスの財産(例) マイナスの財産(例)
預貯金、有価証券、アパート(建物・土地)、自動車など アパートローンの残債、未払いの固定資産税、葬式費用の未払分など

相続税の計算上は、プラスの財産からマイナスの財産(アパートローン残債を含む)を差し引いた金額が課税対象になります。つまり、ローンが残っていること自体は、相続税の観点では負担を軽くする要素にもなります。ただし、これはあくまで税金の計算上の話であり、「返済義務そのものがなくなる」という意味ではない点に注意が必要です。

ここで見落とされがちなのが、相続したアパートそのものの評価額(プラスの財産としての価値)は、その後どの土地活用会社のプランを選ぶかによっても変わってくるという点です。イエウール土地活用に寄せられる相談の中では、同じ築年数・同じ間取りのアパートでも、修繕範囲や設備更新の提案内容が会社によって大きく異なり、結果として将来の収益見込み(ひいては資産としての評価)に差が出るケースを数多く見てきました。相続税の申告自体は税理士の領域ですが、「相続したアパートを今後どう活かすか」という判断は、1社の提案だけで決めてしまうと選択肢を狭めてしまいます。

監修:沖野元氏(公認不動産コンサルティングマスター)「相続財産がアパート1棟だけであれば判断はまだシンプルですが、実務では自宅や他の収益物件と合わせて複数の財産・債務が絡むケースが大半です。まずはアパートローン単体ではなく、財産・債務の全体像を一覧化することを最初にお勧めしています」

団信に加入していればローンを相続しない

相談を受けていて最も明暗が分かれると感じるのが、「団体信用生命保険(団信)」の有無です。団信は、債務者が死亡した際に保険金でローン残債が完済される仕組みで、団信が有効であれば、ローンそのものは相続の対象から外れます。ただし、団信が完済してくれるのはあくまで「ローンの残債」であり、ローンが完済されて負債のなくなったアパート自体は、通常どおりプラスの財産として相続の対象になります。

相続の相談窓口という立場上、住宅ローンの相続相談と見比べる機会が多いのですが、住宅ローンでは団信加入が事実上必須であるのに対し、アパートローン(事業性の融資)は住宅ローンと異なり団信への加入が任意になっている金融機関が多いという違いがあります。「ローンを組んだのだから当然団信も付いているはず」と思い込んでしまうと、実際には団信未加入で残債がそのまま相続されるケースに直面し、想定外の負担になることがあります。

42% が団信未加入 団信完済 35% 未加入継承 42% 有無不明 16% その他 7%

【調査結果】親族のアパートローンを相続した方の団信加入状況

イエウール土地活用が外部調査会社に委託して実施した「アパートローン相続に関する意識調査」(以下、本調査)によると、「団信に加入していたためローンが完済された」と回答した方は35%にとどまり、「団信に未加入で残債をそのまま引き継いだ」と回答した方が42%と最も多い結果になりました。

※本調査の対象:親族が経営していたアパートローンを相続した経験がある40〜60代の男女110人(インターネットアンケート・調査期間2026年6月1日〜6月10日)。アパートローン相続という条件は該当者が少なく、イエウール土地活用の相談記録のみでは十分なサンプル数を確保できないため、本調査で補完しています。以下、本記事内の「本調査」は同一の110人パネルに複数の設問を尋ねたものです。回答の内訳は、団信で完済された35%、団信未加入で残債を引き継いだ42%、団信の有無を把握していなかった16%、その他7%(小数点以下の四捨五入により合計が100%にならない場合があります)。

団信の有無を知らなかった方が16%もいるのは驚きです。なぜ把握していない方が多いのか、そして相続後どう確認すればよいのか教えてください。
沖野元
専門家
アドバイス

沖野 元(公認不動産コンサルティングマスター)

「団信は住宅ローンと違って『加入して当然』のものではなく、金利を抑えるためにあえて団信なしを選んだ経営者も少なくありません。契約時の書類の細部まで覚えていないご本人も多いのが実情です。確認方法はシンプルで、ローンを借り入れている金融機関の窓口に死亡の事実を伝え、団信の加入状況を照会すること。通帳や返済予定表、契約書の控えがあれば数営業日で回答が得られますし、契約書が見つからなくても相続人であることを伝えれば照会は可能です。私が相談を受ける際は、この照会を最初の一歩としてお伝えしています。」

実際に、団信の有無を早い段階で確認したことで、その後の判断がスムーズに進んだ方の例を見てみましょう。

体験談|千葉県船橋市(郊外)・50代・女性

【相続発生時の状況】父が一人で経営していた木造アパート(8戸)を、一人娘として相続することになった。ローン残債は約1,900万円。父の存命中は経営に一切関与しておらず、団信に加入しているかどうかも聞いたことがなかった。

【抱えていた不安】「もし団信に入っていなければ、自分の給与収入だけで1,900万円のローンを引き継げるのか」という不安が大きく、通夜・葬儀の対応に追われながらも頭から離れなかった。周囲に相談できる相手もおらず、「悪いほうの結果(団信未加入)を前提に動くべきか、良いほうの結果(団信加入)を期待して待つべきか」判断がつかず、しばらく何も手をつけられずにいた。

【判断のプロセス】「分からないまま抱え込むより、まず事実を確認しよう」と考え、死亡から2週間以内に、ローンを借り入れていた金融機関の窓口に相続人として連絡。団信の加入状況を照会したいと伝えたところ、通帳の写しと死亡診断書のコピーの提出を求められ、提出から5営業日ほどで回答が得られた。この間、並行して遺産分割協議に必要な戸籍謄本の収集も進めていたため、待ち時間を無駄にしなかった。

結果
団信に加入していたことが判明し、残債約1,900万円は保険金で完済。負債のないアパートのみを相続することができ、その後の名義変更手続きも滞りなく進んだ。「結果的に団信ありだったが、なしだった場合の資金計画も同時に調べていたので、どちらの結果でも動ける状態にしていたのが良かった」と振り返っている。

この事例から読み取れるのは、団信の有無という1つの事実を早期に確認できるかどうかで、その後の資金計画・遺産分割協議の進め方が大きく変わるという点です。逆に確認が遅れると、団信の有無が分からないまま遺産分割の話し合いを進めることになり、無用な混乱を招きます。

※インタビュー実施時期 / 2026年5月・対象ユーザー層 / アパートローンの相続を経験した一般の個人オーナー様・接点獲得方法 / 当メディア独自のアンケート調査およびオーナーコミュニティを通じた一般公募により、利害関係のない第三者のオーナー様と直接接点を構築・取材方法 / Web会議システムを用いた編集部による約40分間の1対1オンライン口頭インタビュー

アパートローンだけ相続放棄はできない

「ローンだけ相続放棄して、アパートなどのプラスの財産は受け取りたい」という都合の良い選択はできません。相続放棄は、プラスの財産とマイナスの財産のすべてを放棄する手続きであり、一部だけを選んで放棄することは認められていません。

さらに注意したいのが、亡くなった方のローンについて、相続人の誰かが「連帯保証人」になっていたケースです。連帯保証人自身が相続放棄をしても、その方が自分自身の意思で引き受けた連帯保証人としての返済義務は消えません。これは、連帯保証債務が相続財産そのものではなく、保証契約という別の法律関係に基づく義務だからです。

ここが最も誤解されやすいポイントです
「相続放棄をした」=「亡くなった方に関する金銭的な責任は一切なくなった」ではありません。連帯保証人になっていた場合、相続放棄という手続きとは別の理由で、返済義務が残り続けます。
58% が誤解していた 消滅と誤解 58% 保証未認識 24% 残存と理解 12% その他 6%

【調査結果】相続放棄を検討した方が抱いていた誤解

本調査の回答者110人のうち、「相続放棄を検討したことがある」と回答した66人に絞って質問したところ、58%が「相続放棄をすればローンの返済義務から完全に逃れられると思っていた」と回答しました。

※本調査の回答者110人のうち、アパートローンを相続した経験があり、かつ相続放棄を検討したことがある40〜60代の男女66人に絞った設問(同一調査内の別設問)。回答の内訳は、相続放棄で返済義務から完全に逃れられると思っていた58%、自分が連帯保証人になっていることを把握していなかった24%、連帯保証人の分は残ると最初から理解していた12%、その他6%。

6割近くの方が誤解していたというのは驚きです。なぜこれほど多くの方が「相続放棄すれば逃げられる」と思い込んでしまうのでしょうか。
沖野元
専門家
アドバイス

「相続放棄」という言葉自体が、一般的には「すべての関わりを断ち切る手続き」という強いイメージで語られがちだからだと感じています。実際、相続放棄はプラス・マイナス双方の相続財産を放棄する手続きであり、その言葉のイメージ通りに機能します。ただし、連帯保証債務は「相続財産」ではなく、保証人ご本人が生前に個別に結んだ「保証契約」に基づく別の法律関係です。相続放棄という1つの手続きが、性質の異なる2つの債務(相続財産としてのローンと、個人の保証契約)の両方を消してくれると誤解してしまう、という構造だと理解しています。

この誤解が実際にどのような不安につながるのか、専門家と相談者のやり取りを見てみましょう。

💬 専門家に聞いてみました
専門家
専門家

相続放棄については、連帯保証人になっているかどうかで結論が変わります。まず確認いただきたいのは、ご自身、あるいはご家族の誰かが連帯保証人として契約書にサインしているかどうかです。

相談者
相談者

正直に言うと、兄が連帯保証人になっていることは分かったのですが、私自身は関係ないと思っていました。連帯保証人本人以外の相続人にも、何か影響はあるのでしょうか。

専門家
専門家

良い質問です。連帯保証人としての義務は、あくまでその契約にサインしたご本人にのみ生じます。お兄様以外の方が連帯保証人になっていなければ、あなた自身が保証債務を負うことはありません。ただし、お兄様が相続放棄をした場合、ローン本体の返済義務は他の相続人に移りますので、そこは分けて考える必要があります。なお、お兄様が「保証人としての義務からも逃れたい」という場合は、相続放棄では外れませんが、金融機関との交渉で保証人を交代する、あるいは新しい名義人の信用力次第で保証契約自体を見直してもらえる可能性はあります。自己判断で放置せず、早い段階で金融機関に相談することが何より重要です。

相談者
相談者

連帯保証人になっていない私には影響がないこと、そして兄についても交渉の余地があることが分かって、少し肩の荷が下りました。まずは兄と一緒に金融機関に確認してみます。

日々多くの方からご相談をいただく中でも、「連帯保証人になっているかどうか」を家族間で共有できていないケースが本当に多いと感じています。相続が発生してから慌てて確認するのではなく、家族の誰が保証人になっているかを日頃から把握しておくことが、いざというときの安心につながります。

実際に、相続放棄と連帯保証人の関係に不安を抱えながら相談に来られた方が、どのような経緯で不安を解消されたのか、実例を見てみましょう。

体験談|埼玉県さいたま市(郊外)・40代・女性

【相続発生時の状況】父が経営していた木造アパート(4戸)を、姉と2人で相続することになった。ローン残債は約1,500万円。遺品整理の際に、姉が過去に父の連帯保証人になっていたことを示す書類が見つかった。

【抱えていた不安】「相続放棄をすれば、姉も自分もローンから完全に解放される」と思い込んでおり、当初は2人とも相続放棄を検討していた。しかし、姉が連帯保証人になっているという事実を知り、「相続放棄をしても、姉の保証人としての義務は本当に消えないのか」「もし消えないなら、姉が一人で多額の債務を背負うことになるのではないか」という強い不安を抱えた。姉妹関係がこじれることも心配していた。

【判断のプロセス】まず金融機関に連絡し、姉の連帯保証契約の内容を正式に確認したところ、想定していた通り、相続放棄をしても保証人としての義務は残ることが判明。次に、姉が保証人であることを前提に、①姉がアパートの名義を単独で相続して経営を継続する案、②姉妹で共同相続してローンも共同で引き継ぐ案、③売却して残債を精算し姉の保証債務も解消する案の3つを比較検討した。姉自身に経営を続ける意思がなかったため、金融機関に相談のうえ、複数の土地活用会社と不動産会社に売却額の目安を確認。売却額がローン残債を上回る見込みが立ったことで、③の売却案に決定した。

【結果】アパートを売却し、売却額でローン残債を完済。姉の連帯保証債務も同時に消滅し、残った金額を姉妹で分割した。「最初から相続放棄という一つの選択肢しか考えていなかったら、姉が一人で保証債務を抱えたまま身動きが取れなくなっていたかもしれない」と振り返っている。

このケースで注目したいのは、「相続放棄をするかどうか」という二択で考えるのではなく、連帯保証人の存在を前提に、経営継続・共同相続・売却という複数の選択肢を並べて比較した点です。最初の思い込み(相続放棄で解決する)のまま突き進んでいたら、より不利な結果になっていた可能性があります。

※インタビュー実施時期 / 2026年5月・対象ユーザー層 / アパートローンの相続と連帯保証人の問題に直面した一般の個人オーナー様・接点獲得方法 / 当メディア独自のアンケート調査およびオーナーコミュニティを通じた一般公募により、利害関係のない第三者のオーナー様と直接接点を構築・取材方法 / Web会議システムを用いた編集部による約45分間の1対1オンライン口頭インタビュー

なお、「アパートローンは相続税対策になる」と言われることがありますが、これは借入金によって相続税評価額を圧縮できる仕組みを指しています。ただし、アパート経営そのものは投資であり、入居率が下がれば節税効果以上に返済負担が重くのしかかります。節税目的だけでローンを組む・組ませることには慎重な判断が必要です。より詳しい仕組みは、アパートの相続で必要な6つの基礎知識で解説しています。

アパートローンを相続(名義変更)する方法

団信でローンが完済されなかった場合、相続人がローンの名義(債務者の地位)を引き継ぐには、金融機関の承諾を得た正式な手続きが必要です。名義変更は、大きく分けて3つのステップで進みます。

アパートローンの連帯保証人を確認する

まず、既存のローンに連帯保証人が付いているかどうかを確認します。連帯保証人がいる場合、原則としてその方がローンの名義(債務)を相続するのが自然な流れです。遺産分割協議の際には、ローン付きのアパートも含めて、誰がどの財産と債務を引き継ぐかを明確に取り決めておく必要があります。

金融機関の審査を受けて債務の引継ぎをする

金融機関の承諾なしに、勝手にローンの名義を変更することはできません。相続人が名義変更を申し出ると、金融機関は改めて審査を行います。ここで見られるのは、大きく分けて「アパート自体の収益性」と「相続人(新しい債務者)の返済能力」の2点です。

51% が一度で承認 一度で承認 51% 条件付承認 32% 否認等 12% その他 5%

【調査結果】アパートローンの名義変更審査の結果

イエウール土地活用に寄せられた相談のうち、アパートローンの相続に関連して名義変更を金融機関に申請した相談者86件を分析したところ、一度の申請でそのまま承認されたケースは51%にとどまり、追加の収支資料や連帯保証人の追加などの条件付きで承認されたケースが32%ありました。

※対象:直近2年間にイエウール土地活用へ相談があり、アパートローンの名義変更(債務引受)を金融機関に申請したことが確認できた相談者86件(相談記録分析)。回答の内訳は、一度で承認51%、追加書類提出や連帯保証人追加等の条件付きで承認32%、否認・借り換え等の再構築が必要になった12%、その他5%。

約半数近くが一度では通っていないというのは、思ったより厳しい印象です。何が審査を分けているのでしょうか。
沖野元
専門家
アドバイス

沖野 元(公認不動産コンサルティングマスター)

「私が支援する際は、審査前に必ず直近3期分の確定申告書と家賃入金明細を整理してもらいます。金融機関はアパートの空室率と相続人自身の年収の両方を見ているため、収支が赤字気味であれば、審査前に管理会社を見直すだけで印象が変わることもあります。感覚で臨むのではなく、数字を整えてから申請することが、条件付き承認と一発承認を分ける差になります。」

審査が条件付き承認・否認になった場合でも、それだけで手詰まりになるわけではありません。イエウール土地活用では、名義変更の審査状況に応じて、既存プランのリフォームによる収益改善(リフォスム経由での比較)と、売却による負担軽減の両方を同じ窓口で並行して比較できます。金融機関の窓口だけで話を進めると、その金融機関の融資基準の範囲でしか選択肢が見えませんが、複数の土地活用会社・売却・リフォームを横断して比較できる立場だからこそ、審査が思うように進まない場合の代替案まで含めてご案内できます。

前述の相談記録86件をもう一歩踏み込んで見ると、「一度で承認」された相談者と「条件付き承認・否認」だった相談者の間には、相談時点での行動に傾向差がありました。

一度で承認された相談者(44件) 条件付き承認・否認だった相談者(42件)
審査申請前に収支資料を整理していたか 約7割が事前に整理済み 約3割にとどまる
複数の土地活用会社に相談していたか 約6割が複数社比較を経ていた 約2割にとどまる

※相談記録86件(前述の名義変更審査86件と同一母集団)を、審査結果別に分類して集計した参考値。相談時の状況ヒアリング内容に基づく社内集計であり、外部監査は受けていません。

この傾向が示しているのは、「審査に通るかどうか」は金融機関側の基準だけで決まるものではなく、申請する側がどれだけ事前準備をしていたかにも大きく左右されるという点です。1社だけに相談していると、その会社の視点でしか収支の整え方を教わる機会がありませんが、複数社を比較する過程で、収支の見せ方や優先すべき修繕箇所についての助言を複数得られること自体が、結果的に審査準備の質を上げているのではないかと考えています。

債務者変更登記申請を行う

金融機関の承諾が得られたら、司法書士を通じて管轄の法務局に「債務者変更登記」を申請します。この手続きは、不動産の名義そのものを相続人に変更する「相続登記」が完了していることが前提になるため、相続登記と債務者変更登記をあわせて司法書士に依頼すると、手続きがスムーズです。親のアパートを相続する流れも、あわせて確認しておくとよいでしょう。

名義変更ができない・返済が滞った場合はどうなるか

ここまで手順を説明してきましたが、「もし名義変更の審査に通らなかったら」「遺産分割協議が長引いて返済が止まってしまったら」という不安を持つ方も少なくありません。結論から言うと、名義変更が決まらない間も、ローンの返済自体は待ってくれません。返済が滞ると、金融機関からの督促、それでも解消されない場合は残債の一括返済請求、さらに進むと任意売却や競売という段階に至る可能性があります。

「遺産分割協議が長引いたら、その間の返済はどうしていたのか」という点も気になるところだと思います。前述の相談記録86件のうち、遺産分割協議が3ヶ月以上長引いたケースは23件ありました。その間の返済対応の内訳を見ると、相続人の一人が一時的に立て替えていたケースが13件、被相続人名義の口座が凍結される前に引き出した資金で対応していたケースが6件、金融機関に相談し一定期間の返済猶予を受けられたケースが4件でした。「協議が長引く=即座に滞納する」というわけではなく、多くの場合は相続人間または金融機関との調整によって、返済自体は継続できているというのが実態です。ただし、口座凍結前の資金確保や、早い段階での金融機関への相談が、これらの対応を可能にしている前提でもあるため、事前準備の章で触れた口座の一本化・金融機関への早期相談が、ここでも活きてきます。

連帯保証人になれる人がいない場合
連帯保証人を立てられず名義変更の審査が通らない場合でも、必ずしも即座に一括返済を求められるわけではありません。まずは金融機関に状況を伝え、返済計画の見直しや、後述する売却という選択肢も含めて早めに相談することが、最も悪い事態を避ける近道です。「相談すると不利になるのでは」と連絡を先延ばしにすることが、結果的に選べる選択肢を狭めてしまいます。監修の沖野元氏も「返済の目処が立たないまま連絡もせずに滞納が続くケースを最も避けてほしい。督促の段階であれば返済条件の見直しや任意売却などまだ選べる手段が複数残っているが、競売まで進むと選択の幅が一気に狭まる」と指摘しています。

「連帯保証人になれる人が身内にいない」という状況は珍しいことではありません。前述の相談記録86件のうち、連帯保証人を新たに立てられなかったケースは12件ありました。その後の経過を見ると、金融機関との交渉により単独名義のまま承認されたケースが3件、親族以外の第三者に保証人を依頼して承認に至ったケースが5件、承認に至らず売却へ方針転換したケースが4件という内訳でした。件数としては多くありませんが、「連帯保証人がいない=即座に行き詰まる」わけではなく、実際には7割強のケースで名義変更か売却かのどちらかの形で解決に至っている、というのが実態です。

アパートローン相続で事前にやっておくべき準備

ここまでは相続が発生した後の対応を中心に説明してきましたが、まだ相続が発生していない、あるいはこれから起こりうるという段階であれば、事前にできる準備があります。

遺言状を作成してもらう

誰がアパート(とローン)を相続するかを、生前に遺言で明確にしておくことで、相続発生後の話し合いが格段にスムーズになります。遺言状がない場合、遺産分割協議がまとまるまでローンの返済も宙に浮いた状態になりやすく、これが相続人間のトラブルの火種になりがちです。遺言状の準備を含めた相続全体の基礎知識は、アパートの相続で必要な6つの基礎知識で詳しく解説しています。

家賃収入が入る口座とローン返済口座をまとめる

アパートの所有者が亡くなると、その方名義の口座は一時的に凍結されます。家賃の入金口座とローンの返済口座が別々になっていると、口座凍結中に返済が滞ってしまうリスクがあります。生前のうちに口座を一本化しておく、あるいは家族に口座情報を共有しておくだけでも、いざというときの混乱を大きく減らせます。

あらかじめ金融機関に相談する

相続が発生する前の段階で金融機関に相談しておくと、現在の経営状況について評価を受けられるほか、実際に相続が発生した際の名義変更もスムーズに進みやすくなります。「まだ相続していないから相談できない」と考えず、早めに動くことが結果的に家族の負担を減らします。

沖野元
専門家
アドバイス

沖野 元(公認不動産コンサルティングマスター)

「実際に相談を受けた際は、まず現経営者ご本人と後継予定者に同席してもらい、金融機関の担当者を交えた三者面談を勧めています。生前にこの場を一度でも設けておくと、相続発生後の手続きが驚くほどスムーズになったケースを何度も見てきました。」

なお、事前準備の段階では「このままアパートを引き継ぐ前提」で考えがちですが、経営を続けるか売却するかは、実際に相続した後の状態(団信の有無・空室率・築年数など)を踏まえて判断すべき事柄です。次の章で、その判断基準を具体的に整理します。

まずは無料でプランを知りたい方へ
経営を続ける前提で準備を進めたい方は、複数の土地活用会社が作成したプランを比較して、将来の相続に備えることができます(売却も視野に入れたい方は、後述の判断早見表もあわせてご確認ください)。

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アパートローン相続後、続けるか売るか判断する早見表

ここまでで、団信・連帯保証人・名義変更という手続き面の疑問は解消できたはずです。ただ、多くの方が本当に知りたいのは、その先にある「自分はこのアパートの経営を続けるべきか、それとも手放すべきか」という判断ではないでしょうか。ここからは、そのための考え方を整理します。

続ける/売る 判断早見表
チェック項目 継続向きのサイン 売却検討向きのサイン
団信の有無 団信でローンが完済され、負債のない状態で相続できた 団信未加入で、まとまった残債をそのまま引き継ぐ
連帯保証人 連帯保証人を確保でき、名義変更審査の見通しが立っている 連帯保証人になれる人がおらず、審査通過に不安がある
現在の空室率 空室率が低く、家賃収入で返済を十分にまかなえている 空室率が高く、固定費(税金・保険・管理費)が家賃収入を圧迫している
築年数 築年数が浅く、当面大規模修繕の予定がない 木造で築30年前後、鉄骨造・RC造で築35〜40年前後にさしかかり、大規模修繕や建て替えの検討時期が近い
目安の見方
4項目のうち「継続向きのサイン」に3つ以上当てはまる場合は、経営継続に向いている可能性が高いといえます。逆に「売却検討向きのサイン」に2つ以上当てはまる場合は、無理に継続するより売却を含めて検討したほうが、結果的に負担が少なくなるケースが多く見られます。判断に迷う場合は、どちらか一方に決め打ちせず、両方の選択肢を並行して情報収集することをおすすめします。

なお、この早見表は木造・鉄骨造・RC造のいずれにも共通する考え方です。構造ごとに法定耐用年数(木造22年、鉄骨造27〜34年、RC造47年など)が異なるため、大規模修繕の検討時期は構造に応じて読み替えてください。また、複数棟をまとめて相続した場合は、1棟ずつこの早見表に当てはめて判断することをおすすめします。棟によって団信の有無や築年数が異なることが多く、まとめて一つの結論を出そうとすると判断を誤りやすいためです。

この判断が難しいのは、あなただけではありません。イエウール土地活用は、土地活用会社と不動産売却の両方の選択肢を横断してご案内できる立場にあります。ハウスメーカー1社に相談すると、その会社が扱う建築プランの範囲でしか話が進まないことが多いのですが、活用と売却のどちらも選択肢として並べて考えられる相談窓口は限られています。実際、土地活用に関するご相談をいただく中でも、最終的に売却も含めて比較検討したいという声を数多くいただいています。

また、イエウールは土地活用・売却の比較だけでなく、リフォーム比較の「リフォスム」、不動産売却の情報サイトなど、同じグループ内で住まいに関する複数のサービスを展開しています。たとえば「経営は続けたいが、大規模修繕までは踏み切れない」というケースでは、建て替えではなくリフォームでの延命という選択肢を同じグループ内の情報と合わせて検討できるのも、単独の建築会社や不動産売却サイトにはない強みです。土地活用の比較サイトの中には、活用プランの比較にとどまり、売却やリフォームまで含めた横断的な提案ができないところも少なくありません。相続後の選択肢を1か所で幅広く比較したい場合は、こうした複数サービス連携の有無も確認してみるとよいでしょう。

「複数社を比較すると具体的にどれくらい違うのか」を実感しにくいという声もよくいただくため、実際にイエウール土地活用を通じて3社のプランを比較検討した相談者(築22年・木造アパート8戸・空室率約2割を相続したケース)の提案内容を、個人が特定できない範囲で整理したものを紹介します。

提案会社 提案内容 概算費用 想定家賃収入への影響
A社 建て替え(新築木造アパートへ) 約6,800万円 家賃収入 約1.4倍見込み
B社 水回り・外壁を中心とした大規模修繕 約950万円 空室率2割→1割程度に改善見込み
C社(売却査定) オーナーチェンジ物件として売却 売却額目安 約4,200万円 (該当なし)

※提案内容・金額は、イエウール土地活用に寄せられた複数の相談事例をもとに、個人・企業が特定できないよう加工して再構成した参考例です。実際の提案内容・金額は物件の状態や地域、時期によって異なります。

このケースでは、建て替え(A社)・修繕による延命(B社)・売却(C社)という3つの方向性が、費用も効果もまったく異なる形で並びました。1社にしか相談しなかった場合、最初に話を聞いた会社の提案(たとえば建て替え)だけを前提に検討を進めてしまい、実際にはより費用対効果の高い選択肢(この例では修繕による延命)があることに気づけない、というケースが少なくありません。複数の提案を横並びで比較できることそのものが、ポータルを経由する意味だと考えています。

48% が継続を選択 経営継続 48% 売却 37% 未定 15%

【調査結果】相続後にアパートをどうしたか

本調査の回答者110人に、相続後の対応を尋ねたところ、「そのまま経営を継続した」が48%と最も多く、「売却した」が37%、「まだ結論を出せていない」が15%という結果になりました。決して、継続一択・売却一択と決めつけられるテーマではないことがうかがえます。

※本調査の回答者110人(同一調査内の別設問)。回答の内訳は、そのまま経営を継続した48%、売却した37%、まだ結論を出せていない15%。

継続と売却がほぼ半々というのは意外でした。この判断が分かれる決め手は、結局どこにあるのでしょうか。
沖野元
専門家
アドバイス

沖野 元(公認不動産コンサルティングマスター)

「私が相談を受けていて感じるのは、決め手になっているのは団信の有無よりも、実は空室率と築年数の組み合わせだということです。負債がなくても老朽化が進んでいれば継続の負担は重くなりますし、逆に残債があっても収益が安定していれば継続を選ぶ方は多いです。1つの数字だけで判断せず、早見表の4項目を総合的に見ることをお勧めしています。」

💬 専門家に聞いてみました
相談者
相談者

正直に言うと、築28年で空室が3割ほどある状態です。私のようなケースは、続けるより売ったほうがよいのでしょうか。

専門家
専門家

空室率3割は、たしかに軽視できない水準です。ただ、それだけで即売却と判断するのは早いです。最寄り駅からの距離や設備の古さが原因で、立地そのものが直せない場合を除けば、リフォームによる差別化で改善する余地があります。私が同じような相談を受けた際は、まず大規模なリフォーム費用をかける前に、水回り設備の更新など優先度の高い箇所から着手し、それでも改善が見えない場合に売却も選択肢に入れる、という順序をお勧めしています。いきなり大きな投資判断をする必要はありません。

相談者
相談者

いきなり売却を決めなくてもよいと分かって安心しました。まずは水回りの見直しから相談してみます。

日々のご相談でも「空室率が高い=即売却」と思い込んでいる方が多いのですが、実際には立地要因か設備要因かで打ち手がまったく違います。焦って結論を出す前に、原因の切り分けから始めることをおすすめします。

実際に、判断早見表と同じような考え方で継続を選んだ方と、売却を選んだ方、それぞれの事例を見てみましょう。

体験談①|継続を選択|埼玉県川越市(郊外)・40代・男性

【相続発生時の状況】母が経営していた木造アパート(6戸・築18年)を、弟と2人で相続。団信により残債は完済され、負債のない状態で相続できた。空室率は約1割で、母の代から大きな修繕はしていなかった。

【抱えていた不安】本業が忙しく、自分にアパート経営ができるのか自信がなかった。「負債はないが、このまま放置すれば築20年を超えて空室が増えるのでは」という漠然とした不安があり、弟からは「いっそ売却して楽になったほうがいいのでは」と提案されていた。継続か売却か、判断材料がないまま話だけが平行線になっていた。

【判断のプロセス】感覚的に議論しても平行線になると考え、まず複数の土地活用会社に「このまま何もしなかった場合」と「修繕した場合」それぞれの今後10年の収支シミュレーションを依頼。3社に相談したところ、うち2社が「外壁・共用部の改修だけで空室率が改善する見込みが高い」という見立てで一致し、費用も200万円台後半で大きな差はなかった。弟にもこの資料を共有したところ、「負債がない状態からさらに大きな借金をするわけではない」という点に納得し、継続の方針で合意できた。

結果
複数社のプランを比較した結果、外壁と共用部の改修プランを採用し、家賃を維持したまま安定経営を継続している。「感覚だけで『続ける・売る』を決めていたら、弟との意見の対立が長引いていたと思う。数字と複数社の見立てが揃ったことで、納得して同じ方向を向けた」と振り返っている。
体験談②|売却を選択|和歌山県田辺市(地方都市)・50代・女性

【相続発生時の状況】夫が経営していた木造アパート(10戸・築32年)を相続。ローン残債は約2,200万円残っており、空室率は約4割まで悪化していた。夫は生前「そのうち建て替えるから」と話していたが、具体的な計画は何も残されていなかった。

【抱えていた不安】「夫の意向を汲んで建て替えるべきなのか、それとも自分の代で区切りをつけて売却すべきなのか」という迷いが最も大きかった。加えて、築32年・空室率4割という状態で本当に買い手がつくのか、ローン残債2,200万円を売却額で完済できるのか、という現実的な不安もあった。年金生活で新たな借入をすることへの抵抗感も強かった。

【判断のプロセス】建て替えを前提にハウスメーカー1社に相談したところ、新築プランとして5,000万円規模の借入を提案されたが、年金生活の身でこの規模の借入をする不安の方が大きく、その場では決められなかった。その後、イエウール土地活用で複数社に相談し、修繕による延命案・建て替え案に加えて、売却査定も同時に依頼。売却額の目安がローン残債を上回る見込みであることが分かり、初めて「売らない前提」で凝り固まっていた考えを見直すきっかけになった。最終的に、大規模修繕・建て替えの費用と手間を天秤にかけ、オーナーチェンジ物件としての売却を選んだ。

結果
売却額でローン残債を完済し、手元にまとまった資金を残すことができた。「夫の遺志だからと建て替え一本で考えていたら、新たな借金を背負うところだった。売却という選択肢を並べて比較できたことで、自分の生活に合った決断ができた」と話している。

2つの事例から読み取れるのは、団信の有無・空室率・築年数という同じ4項目を確認しても、状況によって結論がまったく逆になるという点です。だからこそ、自分のケースを早見表に当てはめて確認する作業を省略しないことが大切です。

※インタビュー実施時期 / 2026年5月〜6月・対象ユーザー層 / アパートローンを相続した一般の個人オーナー様・接点獲得方法 / 当メディア独自のアンケート調査およびオーナーコミュニティを通じた一般公募により、利害関係のない第三者のオーナー様と直接接点を構築・取材方法 / Web会議システムを用いた編集部による約40〜60分間の1対1オンライン口頭インタビュー

早見表に当てはめてみて、「継続向き」に近いと感じた方は複数の土地活用会社のプランを比較することから、「売却検討向き」に近いと感じた方はまず売却額の目安を知ることから始めるとよいでしょう。どちらの結論に近いかによって、次に確認すべき情報は変わります。以下の2つから、ご自身の状況に近い方を選んでください。

ここで「ローンが残っている状態でも、本当に売却できるのか」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。本調査で「売却した」と回答した41人(前述の37%)に絞って確認したところ、売却の意思決定をした時点でローンが完済されていなかった方は63%にのぼりました。多くの場合、売却額でローン残債を完済し、残った金額を相続人で分けるという形で決着しており、ローンが残っていること自体が売却の障害にはなっていません。ただし、売却額がローン残債を下回る場合は、その差額を自己資金で補う必要があるため、売却額の目安を早めに確認しておくことが重要です。

活用・売却を含めた土地・アパートの使い道全般をどこに相談すればよいか迷う場合は、土地活用の相談先もあわせてご覧ください。

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アパートローン相続でよくある質問

❓ よくある疑問

Q. 団信に加入していない場合、アパートローンはどうなりますか?

団信が付いていない場合、ローンの残債は消えず、そのまま相続財産(マイナスの財産)として相続人に引き継がれます。相続人が名義変更(債務引受)の審査を受け、承認されればそのままローンの返済を引き継ぐことになります。審査に通らない場合は、借り換えや売却なども含めて検討する必要があります。まずは金融機関に団信の加入状況を照会するところから始めましょう。

❓ よくある疑問

Q. 連帯保証人になっていない相続人にも、ローンの返済義務はありますか?

連帯保証人としての義務は、その契約に自らサインした本人にのみ生じます。あなたが連帯保証人になっていなければ、保証人としての返済義務を負うことはありません。ただし、ローン本体(相続財産としての債務)は法定相続分に応じて相続人全員が引き継ぐため、連帯保証の有無とは別に、相続分に応じた返済義務が生じる点には注意が必要です。

❓ よくある疑問

Q. 連帯保証人としての債務は、相続人全員でどのように分担されますか?

連帯保証人ご本人が亡くなった場合、その保証債務は法定相続分に応じて分割され、各相続人に引き継がれます。たとえば配偶者と子2人が相続人の場合、配偶者が2分の1、子はそれぞれ4分の1ずつを負担する形です。残債1,000万円であれば、配偶者500万円、子は250万円ずつが目安になります。ただし、これはあくまで一般的な目安であり、実際の負担割合は遺産分割協議の内容によって変わる場合があるため、正確な金額は司法書士や弁護士に確認することをおすすめします。

❓ よくある疑問

Q. 相続人の中に海外在住者がいる場合、名義変更はどう進めればいいですか?

海外在住の相続人がいる場合でも、名義変更(債務引受)の流れ自体は基本的に変わりません。ただし、日本国内に住民票がないため「印鑑証明書」を用意できず、代わりに現地の日本大使館・領事館で発行する「サイン証明(署名証明)」を取得する必要があるなど、書類の準備に通常より時間がかかる点に注意が必要です。金融機関や司法書士に、海外在住の相続人がいる旨を早めに伝え、必要書類を確認しておくと手続きが滞りにくくなります。

まとめ|アパートローン相続は「放棄すれば終わり」ではない

アパートローンは、亡くなった方のマイナスの財産として、原則どおり相続の対象になります。団信に加入していればローンは完済されますが、加入していなければ相続人がそのまま引き継ぐことになります。そして、最も誤解されやすいのが、相続放棄をしても連帯保証人としての義務は消えないという点です。まずはこの前提を正しく押さえたうえで、名義変更の手続きを進める必要があります。

そのうえで最も重要なのは、手続きを終えたその先にある「経営を続けるべきか、売却すべきか」という判断です。団信の有無・連帯保証人の有無・空室率・築年数という4つの視点で自分のケースを早見表に当てはめれば、迷ったまま立ち止まる必要はありません。

今日お伝えした内容をまとめると、①ローンは原則相続対象、②団信の有無を最初に確認、③相続放棄しても連帯保証人の義務は残る、④名義変更は収支を整えてから審査に臨む、⑤続けるか売るかは早見表で判断、の5点です。まずはご自身の状況を、早見表に当てはめて確認してみてください。

不安なまま先延ばしにするよりも、今の状況を整理して、複数の選択肢を比較することが、後悔しない判断につながります。まだ早見表で自分のケースを確認していない方は、続けるか売るか判断する早見表から始めてみましょう。すでに確認した方は、判定結果に合わせて次の一歩に進んでください。

\ この記事の編集者 /

イエウール土地活用編集部

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