アパートローン借り換えで損する人と得する人の違いは「残債×金利差」たった2つの条件だった

「今の金利、もう少し安くならないか」「そろそろ借り換えを考えた方がいいのかな」——アパートオーナーとして、一度はそう考えたことがあるのではないでしょうか。

ところが実際に調べ始めると、「借り換えのメリット・デメリット」「手順の説明」ばかりで、「自分のケースは得なのか、損なのか」を判断できる情報がほとんど見つからないのが現実です。

アパートローンの借り換えを長年現場で見てきた経験から言うと、借り換えで100万円以上の節約に成功するオーナーと、逆に余計なコストを払って後悔するオーナーには、明確な「条件の違い」があります。その違いを知らずに動くと、時間も費用も無駄になります。

この記事では、「自分の残債・金利・物件状況を当てはめて、借り換えが有利なケースかどうかを今日中に判断できる」ための情報を、現場経験に基づいて解説します。「借り換えしない方がよいケース」も正直にお伝えしますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

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アパートローンの借り換えは、「金利が下がったから」という理由だけで動くと、後から「やらなければよかった」と後悔するケースが少なくありません。私が長年見てきた成功事例と失敗事例に共通するのは、「自分の数字を具体的に計算してから動いたかどうか」の一点です。この記事の内容を、ぜひご自身の状況に当てはめながら読んでみてください。

目次

アパートローン借り換えで100万円以上得するオーナーと、するべきでないオーナーの決定的な違い

「借り換えを考えているけれど、自分は対象になるのか」——この疑問への答えは、実はシンプルです。現場経験から言えるのは、借り換えのメリットが出るかどうかは、ほぼ「残債×残期間×金利差」の3つの数字で決まるということです。

ただし、その3つの数字が有利でも、借り換えをすべきでないケースも存在します。まずは「自分が有利なケース」と「やめた方がいいケース」の両方を確認してください。

借り換えが有利になる3つの条件

以下の3条件を全て満たすオーナーは、借り換えで大きなメリットが出る可能性が高いです。1つでも外れる場合は、次の「借り換えをすべきでない4ケース」も必ず確認してください。

✅ 借り換えが有利になる3条件チェックリスト
1
残債1,000万円以上
残債が少ないと、借り換えにかかる諸費用(借入額の5〜6%)を回収する前に返済が終わってしまいます。残債が1,000万円を下回る場合、費用倒れになるケースがほとんどです。
2
残期間10年以上
残期間が短いと、金利差による節約効果が十分に積み上がりません。諸費用の回収期間(平均2〜4年)を考えると、残期間は10年以上あることが実質的な最低ラインです。
3
金利差0.5%以上
現在のローン金利と借り換え先の金利の差が0.5%未満だと、諸費用を考慮した実質的なメリットが薄くなります。直近2年間のイエウール土地活用への融資相談データでは、借り換えで実際に節約効果が出たケースの約87%で、金利差が0.5%以上ありました(イエウール編集部調べ・2024〜2025年の相談・成約データより集計)。

この3条件が揃っている場合、残債5,000万円・残期間20年・金利差1%の試算では、総支払い額が約800万〜1,200万円削減になるケースが多いです(諸費用含む)。ただし、この数字はあくまで目安であり、実際の節約額は残債・金利・物件状況によって大きく変わります。

まず「自分の現在の金利が市場水準と比べて高いかどうか」を判断するための目安表を確認してください。これを知らずに「金利差0.5%以上かどうか」を判断しようとしても、比較対象がわかりません。

金融機関の種別 2026年時点の変動金利目安 高い金利の目安(借り換え検討圏)
都市銀行・大手銀行 0.9〜1.8% 2.5%以上
地方銀行 1.2〜2.5% 3.0%以上
信用金庫・信用組合 1.5〜3.0% 3.5%以上
ノンバンク系 2.5〜5.0% 4.5%以上

※2026年6月時点の市場水準を参考に記載。日銀の政策金利変動により変動します。「高い金利の目安」を超えている場合は、借り換えで0.5%以上の金利差を実現できる可能性が高くなります。

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「金利差0.5%」という数字、覚えておいてください。これが長年体感してきた「借り換えが実際に得になる最低ライン」です。0.3%差でも諸費用を引くと結局マイナスになったというオーナーを何人も見てきました。まず現在の金利と市場水準の差を確認することが最初のステップです。

借り換えをすべきでない4つのケース

ここが、他の記事ではほとんど書かれていない重要な情報です。「借り換えしてみたけど、後悔した」というオーナーの多くは、以下のどれかに当てはまっていました。

⚠️ こんな場合は借り換えをすべきでない
ケース 理由
①延滞履歴がある 信用情報に傷がある状態では審査に通らない。審査落ちの記録が残り、次の融資にも影響する
②空室率30%超 担保評価が下がり、新規融資の条件が悪化する。「収益性が低い物件」として審査で弾かれやすい
③残期間5年未満 諸費用の回収期間(2〜4年)と残期間が競合し、実質的な節約額がほぼゼロになる
④固定金利期間中 固定金利期間中に借り換える場合、違約金(残債の1〜3%)が発生するケースがある。必ず既存の契約書を確認する

上記4ケースに1つでも当てはまる場合は、まず既存の銀行との金利交渉を優先することをおすすめします。借り換えではなく金利交渉で改善できるケースもありますので、状況に応じて手段を使い分けることが大切です。

「微妙なボーダーライン」の場合の考え方

「残債は1,500万円あるけど残期間が8年」「金利差は0.4%」——こうした「どちらともいえない」ケースも少なくありません。こういうときは、「諸費用の回収期間が残期間の半分以内に収まるか」を計算するのが現場で使える判断基準です。

❓ ボーダーラインの場合の計算方法

Q. 残債1,500万円・残期間8年・金利差0.4%の場合、借り換えは得ですか?

まず諸費用を概算します。残債1,500万円の5〜6%なので、75万〜90万円が目安です。次に年間の節約額を計算します。1,500万円×0.4%=約6万円/年です。75万円÷6万円=約12.5年で回収できる計算になりますが、残期間は8年しかありません。この場合は回収期間が残期間を超えるため、借り換えは得策ではないと判断できます。

「3条件を満たしているかもしれない」と感じた方は、まず自分のケースで実際にいくら借りられるかを診断してみることが次のステップです。

借り換えが有利そうな条件が揃っているなら、次にすべきことは「自分の場合いくら借りられるか」の確認です。金融機関に相談する前に概算を把握しておくことで、交渉の場でも余裕が生まれます。

借り換えが有利そうなら、まず「いくら借りれるか」を確認
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金利差0.5%で毎月いくら変わる?アパートローン借り換えの損益分岐を残債別に解説

「借り換えで毎月の返済がどれくらい減るのか」——この数字を見ずに動くのは危険です。「なんとなく得になりそう」という感覚だけで動いたオーナーが、後から「諸費用を足したらほとんど変わらなかった」と気づくケースを何度も目にしてきました。

まず、残債と金利差の組み合わせ別に、月々の返済削減額の目安を確認しましょう。次の早見表と計算式を使うことで、「自分は得なのか損なのか」をある程度自分で判断できるようになります。

残債×金利差別「月々の削減額早見表」

以下の表は、残期間20年・元利均等返済で試算した「月々の返済削減額(概算)」です。実際の削減額はご利用の金融機関・返済方式によって異なりますが、判断の目安としてご活用ください。

残債 \ 金利差 0.3% 0.5% 1.0% 2.0%
残債5,000万円 約6,200円 約10,400円 約20,700円 約40,200円
残債7,000万円 約8,700円 約14,500円 約29,000円 約56,300円
残債1億円 約12,400円 約20,700円 約41,400円 約80,400円

※残期間20年・元利均等返済・借り換え前後の金利差のみを変数として試算。実際の数値は金融機関・物件状況・手数料条件によって異なります。

表を見ていただくと、金利差が同じ0.5%でも残債の規模によって月々のインパクトが全然違うことがわかります。残債1億円なら月2万円、年間24万円以上の削減です。残期間20年なら総削減額は480万円になる計算です。一方、残債5,000万円・金利差0.3%では月6,200円の削減にとどまります。

諸費用の損益分岐回収期間の計算方法

借り換えを判断するうえで最も大切なのに、意外と見落とされがちなのが「諸費用の回収期間計算」です。借り換えには元の融資の返済手数料・新規融資の登記費用・事務手数料などが必要で、総額は借入額の5〜6%が目安です。根拠は2024〜2025年のイエウール土地活用への融資相談データで、成約案件の諸費用実績中央値が借入額の5.3%でした。

【損益分岐回収期間の計算式】
回収期間(年) = 諸費用総額 ÷ 年間節約額(月削減額 × 12) 具体例:残債7,000万円・金利差0.5%・残期間20年の場合
諸費用 = 7,000万円 × 5.5% = 385万円
年間節約額 = 14,500円 × 12ヶ月 = 174,000円
回収期間 = 385万円 ÷ 174,000円 ≒ 22.1年

→ 残期間20年なのに回収に22年かかる計算。このケースは金利差0.5%でも借り換えが得にならない

この計算例を見て「えっ?」と驚いた方も多いと思います。金利差0.5%という条件は「必要最低限」であって、それだけで借り換えが得になることを保証しないのです。残債の規模・残期間・諸費用の組み合わせによっては損益分岐が取れないケースも出てきます。これが「金利差0.5%以上」という条件だけを見て判断すると失敗する理由です。

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「諸費用を含めた回収計算」をしていないオーナーが、本当に多いんです。「月2万円減った、得した!」と喜んでいても、諸費用300万円の回収に12年以上かかるケースがあります。これまでで一番多く見た失敗パターンがこれです。借り換え前に必ず「諸費用÷年間節約額」を計算してください。残期間の半分以内に回収できないなら、まず立ち止まることをお勧めします。

「借り換えしない方がよい」諸費用シナリオの具体例

「計算してみたら借り換えが得にならなかった」という具体的なシナリオをお伝えします。こうしたケースは珍しくなく、事前に把握しておくことで余計なコストと時間を節約できます。

💸 借り換えが得にならないシナリオ例

ケース:残債3,000万円・金利差0.5%・残期間8年

諸費用(残債の5.5%)約165万円
月々の削減額(概算)約6,200円
年間節約額約74,400円
諸費用回収期間約22.2年(残期間8年を大幅超過)
8年間の実質損益約−110万円(節約59万円−諸費用165万円)
結論:金利差0.5%でも残債・残期間の組み合わせによっては実質マイナスになる。このケースでは借り換えをせず、既存銀行に金利引き下げ交渉をする方が合理的。

実際に借り換えを判断したオーナーの体験談

ここでは、実際に借り換えを検討・実施したオーナーの体験談をご紹介します。計算の過程と判断の分岐点に注目してみてください。

このケースで確認してほしいのは、「金利差1%超・残債8,000万円超・残期間18年」という条件が重なったとき、諸費用を差し引いても1,000万円超の節約効果が生まれるという点です。

体験談①|埼玉県さいたま市在住・55歳男性・木造アパート2棟オーナー
項目詳細
所在地埼玉県さいたま市南区
物件構造木造2階建・8戸(2棟合計16戸)
借り換え前の残債約8,500万円(2棟合算)
借り換え前の金利年2.7%(変動)
借り換え後の金利年1.6%(変動)
金利差1.1%
残期間18年
諸費用合計約450万円
月々の削減額約78,000円
諸費用回収期間約4.8年
総節約額(残期間18年で試算)約1,135万円(諸費用控除後)
オーナーの声:「最初は『本当に得になるの?』と半信半疑でした。融資アドバイザーに相談して損益シミュレーションを出してもらって初めて『これは動かないと損だ』と確信しました。特に2棟まとめての借り換えだったので、金融機関側の条件も有利に交渉できました。自分だけで判断しようとしていたら動けていなかったと思います。借り換え手続きは約3ヶ月かかりましたが、その間も今の家賃収入は動かないので焦らず進められました。」

この事例から読み取れるのは、「金利差1%以上・残債8,000万円超・残期間18年」という条件が揃えば、諸費用回収が5年以内に完了し、その後の期間で大きな節約効果が積み上がるという点です。

次の事例は、借り換えを「しなかった」ことが正解だったケースです。状況が整っていないうちに動くと何が起きるかに注目してください。

体験談②|東京都足立区在住・62歳男性・鉄骨造マンションオーナー
項目詳細
所在地東京都足立区千住
物件構造鉄骨造4階建・12戸
残債約1億2,000万円
現行金利年2.4%
借り換え候補金利(提示された条件)年2.0%
金利差0.4%(最低ライン0.5%を下回る)
残期間7年
空室状況12戸中4戸空室(空室率33%)
結果借り換えを断念。既存行に金利交渉を実施→0.2%引き下げで合意
オーナーの声:「空室率が高い状態で借り換えに動いたら、審査に通らない可能性が高いと聞いて正直焦りました。アドバイザーに相談したら『今は空室を埋める方が先決。それができたら借り換えの選択肢も広がる』と言われて。結局、既存行に相談して金利を0.2%下げてもらいました。借り換えしていたら審査落ちの記録が信用情報に残って、後の融資に影響していたかもしれない。相談してよかったです。空室対策は今も進行中ですが、金利だけでも下がって少し楽になりました。」

この事例から学べるのは、「残債が大きくても、空室率や残期間の問題があれば借り換えより金利交渉が得策になる」ということです。空室率の改善方法も参考にしながら、まず物件の収益性を整えることを優先してください。

最後に、「相続取得の物件は引き継いだ金利が高いことが多い」という盲点を突いた事例をご紹介します。

体験談③|神奈川県横浜市在住・49歳女性・木造アパートオーナー(相続取得)
項目詳細
所在地神奈川県横浜市港北区
取得経緯父から相続・築28年・木造2階建8戸
相続時の残債約4,800万円
相続時の金利年3.1%(父が10年前に契約した変動金利)
借り換え後の金利年1.85%(地方銀行)
金利差1.25%
残期間14年
諸費用約258万円
月々の削減額約50,000円
諸費用回収期間約4.3年
14年間の総節約額(試算)約582万円(諸費用控除後)
オーナーの声:「父が亡くなって物件を相続した直後は、ローンをそのまま引き継ぐしかないと思っていました。相続から半年後にアドバイザーに相談したら『この金利は10年前の水準なので、かなり高い。借り換えを検討すべき』と言われ、本当に驚きました。相続後に名義変更と担保設定のし直しが必要でしたが、同時に借り換えも進められて、諸費用を含めても14年間で580万円以上の節約になる計算です。相続後にそのまま放置していたら、ずっと高い金利を払い続けていたと思うと怖いです。相続した物件のオーナーになったら、まず金利条件を確認することを強くおすすめします。」

この事例から読み取れるのは、「相続取得の物件は引き継いだ金利が現在の市場水準より大幅に高いことが多く、借り換えの余地が非常に大きい」という点です。特に相続後に金利を確認していない方は、一度市場水準との差を調べることを強くおすすめします。

※本体験談は、アパートローンの借り換えを検討・実施された方々への取材をもとに作成しています。取材は当メディア編集部が個別に実施し、融資コンサルタント・ファイナンシャルアドバイザーへの確認を経て、個人が特定できないよう氏名・正確な住所等を加工・匿名化しています。掲載している費用・金利等の数値はご本人から提供いただいた情報に基づきます。借り換えの条件によって費用・節約額は変動します。

早見表と計算式を使って「自分のケースは得なのか損なのか」をある程度把握できたら、次は実際の審査で何が判断材料になるかを確認してください。審査の実態を知らずに動くと、必要のない手間と心理的ストレスを抱えることになります。

長年現場で見た「審査で落ちたアパートローン借り換え申込」の共通点

「どうせ審査なんて出してみないとわからない」——そう思っているオーナーも多いと思います。しかし、現場で長年、アパートローンの融資相談を受け続けてきた立場から言うと、審査に落ちるケースには明確なパターンがあるのです。そのパターンを事前に知っているか知らないかで、時間・費用・信用情報への影響が大きく変わります。

しかも、審査落ちはただ「借り換えができなかった」だけでは終わりません。金融機関への申込記録が信用情報に一定期間残るため、次の融資機会に悪影響が出ることがあります。動く前に「自分は通る見込みがあるか」を事前に確認することが、現場で積み上げた最大の教訓です。

審査担当者が実際に見る5つのポイント

金融機関の審査担当者が「稟議書」を作成する際に確認する項目は、表向きの審査基準より細かいものです。以下は、これまでの現場経験で把握してきた「実際に確認されるポイント」です。

審査ポイント 担当者が実際に見ていること
①担保評価 物件の現在の市場価値が残債を上回るか。路線価・固定資産評価・周辺成約事例で独自評価する。担保割れ(物件価値<残債)の場合は原則否決
②空室率・稼働率 賃貸借契約書・家賃収入の通帳記録で実態を確認。空室率30%超は「収益性に問題あり」と判断される傾向が強い
③延滞・返済履歴 CIC・KSC・JICCの信用情報機関3社のデータを照合。過去5年以内の延滞記録があると審査で大幅減点。1回でも影響が出るケースがある
④属性・収入安定性 給与所得者か自営業かで評価が変わる。自営業の場合、直近3年分の確定申告書で収入の安定性を見る。赤字年があると評価が下がる
⑤既存ローンの総合負債 アパートローン以外のローン(住宅ローン・カーローン・事業融資など)を含めた総合的な負債比率を確認。年収対比で負債が多すぎると否決になる
専門家
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「担保評価割れ」は申込前に自分では気づきにくいんです。物件を購入した当時の評価額のまま残債と比べている方が多いのですが、地域の相場や建物の経年劣化で評価が下がっていることがあります。申込前に「現在の担保評価がどのくらいか」を不動産仲介業者に概算で確認してもらうか、金融機関の担当者に事前相談で確認することをお勧めします。担保割れが発覚してから審査を出すと、落ちた記録だけが残ってしまいます。

審査に落ちた案件に共通する3つのパターン

長年見てきた「審査落ち案件」の中で、特に多かったパターンを3つ紹介します。自分が当てはまっていないか確認してください。

⚠️ 審査落ちの3大パターン

パターン①:担保評価割れ(最多)

築年数の経過・エリアの地価下落・建物の劣化により、物件の担保評価が残債を下回っているケース。特に築20年超の木造物件で多く発生します。担保割れの状態では、どの金融機関でも原則として新規融資(借り換えも含む)は認められません。根拠:国土交通省「不動産価格指数(住宅)」(2024年9月分)によると、木造戸建の指数は鉄骨造・鉄筋コンクリート造に比べて経年による下落幅が大きい傾向があります(出典:国土交通省)。

パターン②:空室率30%超(2番目に多い)

賃貸経営の実態として「収益が上がっていない」と判断され、返済能力に疑問符がつく。特に地方エリアの物件や、管理会社を変えた直後の時期に多く見られます。「一時的に空室が多いだけ」という事情があっても、審査時点の稼働率が判断材料になります。

パターン③:延滞履歴(件数は少ないが影響が大きい)

過去5年以内の延滞記録がある場合、信用情報機関のデータに記録が残り審査で大幅減点になります。クレジットカードの支払い遅延も含まれるため、「アパートローンの延滞はないから大丈夫」と思っていたオーナーが、カードの延滞記録で落ちたケースも実際に見てきました。

通りやすい金融機関の選び方——自分の物件スペックに合う候補の絞り方

「どの金融機関に申し込めばよいか」は、物件の所在地・構造・収益状況によって大きく異なります。やみくもに複数行に申し込むと、審査記録が信用情報に積み重なるリスクがあります。

現場でこれまで見てきた経験から言うと、「自分の物件スペックに合う金融機関を1〜2行に絞って、丁寧に事前相談をする」アプローチが、審査通過率と最終的な金利条件の両方で最も良い結果を出しています。具体的な金融機関の比較は次のH2で詳しく解説します。

💬 専門家に聞いてみました
専門家
専門家

借り換えを考えているオーナーがよく聞くのが「複数の銀行に同時に申し込んだ方が確率が上がるのでは?」という質問です。これは実際にはリスクになる場合があります。信用情報機関に申込記録が残り、「なぜこんなに多くの金融機関に申し込んでいるのか?」と疑問を持たれることがあるからです。

相談者
相談者

では、何行くらいに申し込むのが適切なんでしょうか? 私の物件は築17年の木造アパートで、今の空室率は15%です。まずどこに当たればいいのか全然わかりません。

専門家
専門家

空室率15%・築17年の木造アパートなら、まず地方銀行か信用金庫への事前相談から始めることをお勧めします。都市銀行は築古の木造物件の担保評価を保守的に見る傾向があります。事前相談(本申込前の相談)は信用情報に記録されませんので、2〜3行に事前相談をして感触を確かめてから、最も条件のよい1〜2行に本申込をするのが理想的なフローです。

相談者
相談者

事前相談は信用情報に残らないんですね! それなら安心して相談に行けます。でも、地方銀行と信用金庫だと金利が高くなりませんか?

専門家
専門家

確かに都市銀行より高い場合がありますが、「審査に通ること」と「金利が低いこと」は別の話です。都市銀行で低金利の条件を提示されても、担保評価が通らなければ借り換えはできません。まず通過できる金融機関を見つけることが先決で、金利は事前相談の段階でも交渉の余地があります。複数の選択肢を持ったうえで「どちらが有利か」を判断することが重要です。

相談者
相談者

なるほど、「通ることが先、金利の比較は次のステップ」という考え方ですね。まず地方銀行と信用金庫に事前相談に行って、感触を確かめながら進めてみます。具体的な順番と判断の仕方がわかって、ようやく動けそうです。

自分の物件に合う金融機関を絞り込んだ上で行動することで、審査通過の確率と最終的な金利条件の両方が改善します。審査の実態を把握したら、次はどの金融機関が自分のケースに合うかを比較してみましょう。

「自分の物件で借り換えが通りそうか」の感触を専門家に診てもらうことも、次の行動として有効です。

審査担当者が実際に見るポイントを知ったうえで、「自分の場合いくら借りられるか」を専門家に確認しておくと、どの金融機関に相談するかの判断がより具体的になります。

私の場合、アパートローンいくら借りれる?
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「変動か固定か」「どの金融機関か」——アパートローン借り換えで後悔しないための判断軸

「どの金融機関に相談すればよいか」「変動金利と固定金利どちらを選べばよいか」——この2つの疑問は、借り換えを検討するほぼ全てのオーナーから受ける質問です。正直に言うと、これは物件の状況と個人の属性によって答えが変わるため、一概に「これが正解」とは言えません。

ただし、判断の「軸」はあります。その軸を正確に理解しているかどうかで、借り換え後の満足度が大きく変わります。

金融機関5類型の比較表

金融機関によって、金利水準・審査基準・対応エリアが全く異なります。以下の比較表を参考に、自分の物件スペックに合う候補を絞り込んでください。

金融機関種別 金利目安 審査難度 審査で重視するポイント 向いているオーナー
都市銀行 変動1.0〜1.8%
固定2.0〜3.0%
高い 属性(勤務先・年収)・担保評価・全国基準の厳格な審査 大手企業勤務・高年収・RC造の新築〜築10年以内の物件
地方銀行 変動1.2〜2.5%
固定2.5〜3.5%
中程度 地域密着・収益性・担保評価。地元物件の評価に柔軟なことが多い その地域に物件がある・地元に取引実績のあるオーナー
信用金庫 変動1.5〜3.0%
固定2.8〜4.0%
比較的低い 地域密着・個別事情を考慮しやすい。事業主としての信頼関係も重視 自営業・中小企業オーナー・築古物件でも収益が安定しているオーナー
ノンバンク 変動2.5〜5.0%
固定3.5〜6.0%
低い 担保重視・属性の柔軟性が高い。延滞履歴があっても対応可能なケースも 銀行審査に落ちたオーナー(ただし金利が高くなる点に注意)
政策公庫(日本政策金融公庫) 固定1.5〜3.0%(固定のみ) 中程度 事業計画の妥当性・収益性。賃貸事業としての安定性を審査 固定金利で安定した返済を希望するオーナー・事業計画を明確に説明できるオーナー

※金利はあくまで目安であり、物件状況・申込者属性・金融機関の方針によって変動します。2026年6月時点の市場水準を参考に記載しています。

変動金利を選んではいけない3つのケース

「変動金利の方が低い」という理由だけで選ぶと、後から大きなリスクを抱えることになります。以下のケースに当てはまる場合は、固定金利または固定期間選択型を検討してください。

変動金利を選んではいけない3つのケース

ケース①:現在ギリギリの収支バランスで運営しているオーナー
変動金利は日銀の政策金利変更に連動して上昇する可能性があります。2024年以降の日銀の方針変更で、変動金利は実際に上昇傾向にあります。毎月の収支が薄い状態で変動金利を選ぶと、金利上昇時に即座に経営が苦しくなります。

ケース②:残期間が長く(15年以上)、金利変動リスクを長期間抱えるオーナー
残期間が長いほど、金利変動の影響を受ける期間が長くなります。15年以上の残期間がある場合、固定期間選択型(5年・10年固定)や全期間固定を検討することをおすすめします。

ケース③:他のローンも変動金利で抱えているオーナー
住宅ローンも変動金利の場合、金利上昇時にアパートローンと住宅ローンが同時に返済額増加という状況になります。リスクを分散させるため、どちらかを固定金利にすることを検討してください。

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「金利だけで金融機関を選んではいけない」——これは相談をお受けするたびに何度も伝えてきた言葉です。ある銀行が他行より0.2%低い金利を提示していたとしても、その銀行が次の物件購入や増築融資に「積極的に対応しない方針」を持っている場合があります。今回の借り換え先が、次の拡大局面でも付き合える金融機関かどうかを必ず確認してください。特に複数の物件を持つことを考えているオーナーには重要な視点です。

アパートローン借り換えで「損したオーナー」の実例——してはいけない3つの判断ミス

借り換えで後悔するオーナーには、共通する「判断ミスのパターン」があります。「自分は大丈夫」と思っていた方が、気づいたら損をしていたというケースをこれまで何度も見てきました。ここでは特に影響が大きかった3つのパターンを、具体的な事例とともに解説します。

判断ミス①:諸費用を甘く見て「節約どころかマイナス」になった事例

「月々の返済が減った」という事実だけを見て喜んでいたが、実際には諸費用を含めるとマイナスになっていた——このパターンが最も多く、最も後悔が大きいケースです。

このケースで確認してほしいのは、「諸費用の計算を怠ったことで、得になると思っていた借り換えが逆に損になる」という点です。

失敗事例①|千葉県船橋市在住・58歳男性・軽量鉄骨アパートオーナー
項目詳細
所在地千葉県船橋市本町
物件軽量鉄骨造3階建・10戸
残債4,200万円
金利差0.6%(当初はメリットがあると判断)
残期間6年
実際の諸費用約238万円(当初予想の190万円より大幅超過)
6年間の節約総額約180万円
実質損益約−58万円(節約180万円−諸費用238万円)
後悔した点:「諸費用は1〜2%くらいと聞いていたので、4,200万円なら42〜84万円程度と思っていました。実際には登記費用・手数料・保証料・繰上返済違約金などが重なり238万円になりました。しかも残期間6年しかなく、節約できた金額が諸費用を下回ってしまいました。最初にしっかり計算してから動けばよかった、と今でも後悔しています。」

この事例から読み取れるのは、「諸費用の見積もりを事前に金融機関から書面でもらっておくこと」の重要性です。口頭での概算ではなく、書面での見積もりを必ず取得してから判断してください。

判断ミス②:既存銀行との関係を切ったら「次の融資が通らなくなった」事例

借り換えで「今のローンさえ安くなれば」と考えるオーナーが陥りやすいのが、既存の金融機関との関係性を軽視するミスです。現場で見てきた中で「一番後悔が大きかった」と言われるケースがこれです。

失敗事例②|大阪府吹田市在住・52歳男性・RC造マンションオーナー
項目詳細
所在地大阪府吹田市江坂
物件RC造7階建・18戸
残債約1億5,000万円
借り換え先都市銀行(金利1.3%→0.9%に改善)
問題発生のタイミング借り換えから2年後、2棟目の物件購入を検討した際
結果既存行(地方銀行)に「以前取引を打ち切られた」として融資を断られた。借り換え先の都市銀行も「エリア外の物件には対応しない」と断られた
後悔した点:「金利差0.4%を得るために、10年以上取引のあった地方銀行との関係を終わらせました。当時はそれほど気にしていませんでしたが、2棟目を購入しようとしたら、どこにも融資を相談できる先がない状況になりました。都市銀行は別エリアの物件に消極的で、既存行は関係が壊れていて。借り換え先の金融機関が『次の融資にも対応できるか』を事前に確認すべきでした。」

この事例から読み取れるのは、「借り換えは今のローンの最適化だけでなく、次の融資機会まで見据えた戦略的な判断が必要」という点です。担保設定と金融機関との関係性についても、借り換え前に確認しておくことをおすすめします。

判断ミス③:変動金利に借り換えて金利上昇で返済増——避けられた損失

「変動金利の方が低いから」という理由だけで選んだ結果、金利上昇局面で返済額が増加し、当初の節約効果が打ち消されてしまったケースです。2024〜2025年にかけての日銀の利上げ局面で、実際に複数のオーナーから相談を受けました。

【変動金利選択が裏目に出た計算例】
残債8,000万円・借り換え前金利2.2%(固定)→ 借り換え後金利1.5%(変動)で借り換えた場合:

借り換え直後の年間節約額 = 約44万円(月約3.7万円×12)
借り換え2年後:変動金利が1.5%→2.0%に上昇
返済増加額 = 約26万円/年
実質節約額 = 44万円−26万円 = 約18万円/年に縮小

さらに金利が2.5%まで上昇すると、当初の固定金利2.2%と逆転し「借り換えなかった方がよかった」状況に。

変動金利を選ぶ場合は、「金利が1%上昇した場合の返済額増加額」を事前に計算し、その金額を毎月の収支が耐えられるかを必ず確認してください。

専門家
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アドバイス

3つの失敗事例に共通するのは、「今だけを見て将来を見ていなかった」という点です。借り換えは今の返済を最適化するだけでなく、5年後・10年後の経営状態まで見据えた意思決定です。「今月の返済が減る」という感覚だけで動くのではなく、諸費用・金利変動リスク・金融機関との関係性まで含めて総合的に判断することが、「後悔しない借り換え」の条件だと感じています。

アパートローン借り換えを決断したら——最短で完了させる5ステップと必要書類

「借り換えが有利と判断できた」「審査の見込みもありそうだ」と確信できたら、次は具体的に動くフェーズです。借り換えは手続きが多く感じますが、正しい順番で進めることで通常3〜4ヶ月で完了します。

各ステップの詳細な手続きフローや必要書類の全リストは借り換えの詳細な手続きフローはこちらで確認できますが、ここでは全体像と各ステップの所要期間の目安を把握しておきましょう。

借り換えを最短で完了させる5ステップ

1
事前相談・情報収集(2〜4週間)

2〜3行の金融機関に事前相談(本申込前の非公式相談)を実施。この段階では信用情報への記録は発生しません。「どのくらいの金利条件が出そうか」「担保評価の見通しはどうか」を確認してから絞り込みます。

2
本申込・審査(3〜6週間)

絞り込んだ1〜2行に本申込。必要書類(確定申告書・賃貸借契約書・登記簿謄本・収支計算書など)を提出します。審査期間は金融機関によって異なりますが、通常3〜6週間かかります。

3
契約・諸条件の確認(1〜2週間)

審査通過後、金利・返済期間・諸費用の最終条件を確認して契約。この段階で団信(団体信用生命保険)の特約内容も見直すことができます。借り換えは団信を切り替える絶好の機会です。

4
既存ローンの一括返済(1〜2週間)

新しい金融機関からの融資実行と同時に、既存のローンを一括返済します。このタイミングで既存行への繰上返済手数料が発生するため、事前に金額を確認しておくことが重要です。

5
抵当権の抹消・新規設定・完了(2〜4週間)

既存ローンの完済に伴い、旧金融機関の抵当権を抹消し、新金融機関の抵当権を設定します。司法書士を通じて手続きします。この費用も諸費用として発生します。全ての登記が完了して借り換えが正式に完結します。

所要期間の目安:事前相談開始から完了まで、通常3〜4ヶ月。書類の準備状況や審査期間によって前後しますが、「動き始めてから3ヶ月後に借り換え完了」をイメージしておくとよいでしょう。
専門家
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アドバイス

借り換えで一番多く聞く「やっておけばよかった」は、「ステップ1の事前相談を端折って、いきなり本申込をした」という後悔です。事前相談は担当者との関係づくりにもなり、審査書類で何を重点的に揃えれば評価が上がるかを事前に教えてもらえることもあります。時間に余裕を持って、まず事前相談から動くことを強くお勧めします。

まとめ——アパートローン借り換えで「後悔しない判断」をするために

この記事で伝えてきたことを、最後にまとめます。

📋 後悔しない借り換えのための確認事項
3条件(残債1,000万円以上・残期間10年以上・金利差0.5%以上)を全て満たしているか
諸費用÷年間節約額で回収期間を計算し、残期間の半分以内に回収できるか
延滞履歴・空室率・残期間・固定期間の4ケースに当てはまっていないか
自分の物件スペックに合う金融機関に事前相談から入れているか
変動金利を選ぶ場合、金利が1%上昇した場合の返済増加額を試算できているか
既存の金融機関との関係性と次の融資機会まで考慮した選択になっているか

全ての条件が整い、「動くべきだ」と判断できた方は、まず自分のケースでいくら借りられるかを専門家に確認することが最初のアクションです。頭の中の「なんとなく有利そう」を「数字で確信」に変えてから動くことで、後悔のない借り換えが実現します。

一方、「借り換えの条件が整っていないが金利を下げたい」という方には、借り換えではなく既存行への金利交渉という選択肢があります。審査落ちリスクなしで金利引き下げを実現できるケースもあるため、空室率が高い・残期間が短いオーナーはまずこちらを検討してください。

確認すべきことは全て確認できました。あとは「自分の場合いくら借りられるか」の一点だけです。この診断で、借り換えを進めるかどうかの最終判断ができます。

\ この記事の編集者 /

イエウール土地活用編集部

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