新築アパート利回りを提示された数字だけで信じてはいけない理由

埼玉県さいたま市(郊外)在住の50代・男性(2026年6月)
「ハウスメーカーの営業担当から『利回り8%です』と言われて、正直それが高いのか低いのかピンときません。他の会社にも聞いてみるべきなのか、このまま話を進めていいのか判断がつかず不安です。」
相続や将来の資産形成のために土地の活用方法を検討していると、こうした声をよく耳にします。ハウスメーカーや建築会社の営業担当から提示された「利回り○%」という数字を見て、それが本当に良い条件なのか、他社と比べてどうなのか、自分では判断のしようがなく不安になるのは当然のことです。数字の意味を知らされないまま話だけが進んでいくことに、漠然とした心もとなさを感じている方も少なくありません。
その不安の背景には、はっきりした理由があります。同じ土地・同じ条件であっても、提示する会社によって利回りの見せ方が異なるためです。表面利回りだけを見せる会社もあれば、満室を前提にした想定利回りを強調する会社もあり、数字の作り方次第で見え方は大きく変わります。この記事を読むことで、今提示されている数字がどのタイプの利回りなのかを見分ける視点、自分の地域・間取りに照らして妥当な水準かを確認できる早見表、そして業者による見せ方のばらつきを検証するための具体的なチェックポイントの3つが手に入ります。読み終える頃には、提示された数字を鵜呑みにせず、自分の頭で妥当性を判断できる状態になっているはずです。
新築アパートに投資するメリット
利回りの数字を確認する前に、新築アパート経営そのものの特徴を簡潔に押さえておきましょう。
- 築年数が浅いため入居者を募集しやすい
- 新築時は修繕費がほぼかからず、利回りがそのまま収益に反映されやすい
- 周辺相場より家賃を高めに設定しやすい
- 資産として売却する際も評価が付きやすい
- 市場ニーズに合わせた間取り・設備で建築できる
ただし、これらのメリットは「提示された利回りが妥当な水準である」ことが前提です。次章から、その前提を自分で確認する方法を見ていきます。
新築アパート利回りの数字は「表面」か「実質」かで見え方が変わる
表面利回りと実質利回りの違い
「新築アパート利回り8%」と提示されたとき、その数字が表面利回りなのか実質利回りなのかによって、意味はまったく異なります。表面利回りは年間家賃収入を建築費(または土地+建築費)で割っただけの数字で、管理費・修繕費・固定資産税などの経費を一切考慮していません。一方、実質利回りはこれらの経費を差し引いた後の、より現実に近い収益率です。
なぜこの違いが重要かというと、同じ「利回り8%」でも、それが表面か実質かによって手取り収益は大きく変わるためです。国土交通省の建築着工統計調査でも、建築費の坪単価は年々上昇傾向にあり、経費を含めた実質利回りは表面利回りより保守的に見積もる必要があるとされています。実際にどの程度の差が生じているのか、相談データから見てみましょう。
提示された利回りと、経費控除後の実質利回りのポイント差の内訳
※直近2年間のイエウール土地活用の相談記録分析(対象:新築アパート建築の提案を受け、その後実際に運用を開始した相談者、集計対象約280件)。提示された表面・想定利回りと、運用開始後に算出した実質利回りとの差の内訳は「2〜3ポイント差」38%、「1〜2ポイント差」28%、「3ポイント超の差」19%、「1ポイント未満の差」15%(相談者本人の申告および運用実績に基づく)。
【調査結果】提示された利回りと実質利回りの差は、2〜3ポイントに達するケースが最多
イエウール土地活用に寄せられた直近2年間・約280件の相談データを見ても、当初提示された利回りと、経費を差し引いた後の実質的な収益率の間に2〜3ポイントの差が生じているケースが最も多く、全体の38%を占めています。1〜2ポイント差が28%で続き、3ポイントを超える差が生じていたケースも19%見られました。
※対象:新築アパート建築の提案を受け、その後実際に運用を開始した相談者、集計対象約280件(直近2年間)。差の内訳は「2〜3ポイント差」38%、「1〜2ポイント差」28%、「3ポイント超の差」19%、「1ポイント未満の差」15%(相談者本人の申告および運用実績に基づく)。
担当者
1〜2ポイントならまだしも、2〜3ポイントもの差が最多というのは、8%が5%台まで下がるケースもあるということでしょうか。なぜこれほどの差が生まれるのでしょうか。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「私が見てきた中では、提示書面に管理費や修繕積立、固定資産税の見込み額そのものが記載されていないケースが多く見られます。表面利回りの計算には経費が含まれていないため、経費の項目を意図的に省いているわけではなくても、結果として『経費を引く前の高い数字』だけが独り歩きしてしまうのです。」
担当者
経費の項目が資料に書かれていないことがあるのですね。では、提示された数字だけで判断しないために、具体的にはどうすればよいのでしょうか。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「私は相談を受ける際、提示された利回りの根拠となる管理費・修繕積立・固定資産税等の年間見込み額を、金額ベースで書面に出してもらうようお伝えしています。この記事の後半で紹介する年間経費の目安表と照らし合わせれば、提示された経費が相場並みか、少なめに見積もられていないかをその場で確認できます。」
このアドバイスを踏まえて、実際に経費の内訳を確認した方の事例を見てみましょう。
この事例から読み取れるのは、提示された利回りの数字を疑うのではなく、その根拠となる経費の内訳を尋ねる行動そのものが、実質的な収益を把握する近道になるという点です。
※本事例は、新築アパートの建築を検討・実施された方への取材をもとに作成しています。取材は当メディア編集部が個別に実施し、専門家への確認を経て、個人が特定できないよう氏名等を加工・匿名化しています。掲載している数値はご本人から提供いただいた情報に基づき、経費率・利回りは物件条件により変動します。
▼表面利回りと実質利回りの計算方法
| 種類 | 計算式 | 特徴 |
|---|---|---|
| 表面利回り | 年間家賃収入 ÷ 建築費 × 100 | 広告で最も多く使われる。経費未考慮で高く見えやすい |
| 想定利回り | 満室想定の年間家賃収入 ÷ 建築費 × 100 | 空室を考慮しないため、表面利回りよりさらに高く出る |
| 実質利回り | (年間家賃収入 - 年間経費)÷(建築費+諸費用)× 100 | 最も現実に近い数値。手取り収益の判断に使うべき指標 |
※上記は一般的な計算式の整理であり、実際の経費率は物件条件・管理形態により変動します。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「相談を受ける際は、まず『その利回りは表面ですか、実質ですか』と聞き返すようにしています。多くの方がその場で答えられず、実は表面利回りしか見ていなかったと気づくケースが半数以上です。提示書面に『表面』の記載があるかをその場で確認する、という1つの行動だけで判断の質が変わります。」
想定利回りという「もう1つの数字」
表面利回りよりもさらに注意が必要なのが「想定利回り」です。これは満室を前提とした数字であり、実際の空室率が反映されていません。総務省統計局の調査でも、賃貸住宅の平均空室率は地域によって5〜20%と幅があり、想定利回りをそのまま実現できるケースは限られます。
もう1つの理由として、想定利回りをそのまま信じてしまう背景には「数字の種類を確認しないまま話を進めてしまう」という行動そのものの問題があります。実際の相談データから、この点を確認してみましょう。
想定利回りの提示を受けた相談者のうち、実際の入居率を確認していたかどうか
※直近2年間のイエウール土地活用の相談記録分析(対象:新築アパート建築で想定利回りの提示を受けた相談者、集計対象約210件)。実際の入居率を確認していたかの内訳は「確認していなかった」46%、「確認していた」39%、「分からない・覚えていない」15%(相談者本人の申告に基づく)。
【調査結果】想定利回りの相談者の半数近くが、周辺の実際の入居率を確認していない
イエウール土地活用の相談データでは、想定利回りで提示を受けた相談者のうち、実際の入居率を確認していなかった方が46%と最も多く見られました。実際に確認していた方は39%にとどまり、数字の種類を確認しないまま話を進めると、当初の想定と実際の収益に差が生まれやすくなります。
※対象:新築アパート建築で想定利回りの提示を受けた相談者、集計対象約210件(直近2年間)。内訳は「確認していなかった」46%、「確認していた」39%、「分からない・覚えていない」15%(相談者本人の申告に基づく)。
担当者
半数近くの方が確認していないというのは意外です。なぜ入居率の確認が後回しになってしまうのでしょうか。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「想定利回りという言葉自体を聞き慣れておらず、『満室を前提にした数字』だと知らないまま説明を受けている方が多い印象です。営業担当から具体的な空室率の話が出ない限り、提示された数字がそのまま実現すると思い込んでしまうのです。」
担当者
では、想定利回りを提示された場合、具体的に何を確認すればよいのでしょうか。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「私は相談を受ける際、周辺の同規模物件の直近1〜2年の入居率(または空室期間)を、管理会社に確認してもらうようお伝えしています。総務省統計局の地域平均だけでなく、検討地に近い実物件の数字を1つでも押さえておくと、想定利回りとの乖離に気づきやすくなります。」
実際に、この確認を怠ったことで想定と実績の差に気づかなかった方の例を見てみましょう。
この事例から読み取れるのは、想定利回りそのものが誤りだったわけではなく、その前提(満室想定であること)を事前に確認しなかったことが差を生んだという点です。
※本事例は、新築アパートの建築を検討・実施された方への取材をもとに作成しています。取材は当メディア編集部が個別に実施し、専門家への確認を経て、個人が特定できないよう氏名等を加工・匿名化しています。掲載している数値はご本人から提供いただいた情報に基づき、入居率・利回りは物件条件や市況により変動します。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
入居率だけでなく、想定利回りのもう1つの落とし穴が「家賃設定そのものの妥当性」です。満室を前提にした数字であっても、その前提となる家賃自体が周辺相場より高めに見積もられていれば、実際に入居者を集める段階で家賃を下げざるを得ず、結局は想定した利回りに届きません。とくに新築時は「新しさ」を理由に相場より強気な家賃で試算されているケースが見られるため、家賃設定そのものの妥当性を確認する必要があります。
「想定利回りを提示された場合は、その根拠となる家賃設定が周辺相場と比べて妥当かを必ず確認するようお伝えしています。目安として、周辺の類似物件の実際の成約家賃を3件ほど確認するだけで、想定家賃が現実的かどうかの精度がぐっと上がります。」
新築アパート利回りの相場を地域・間取り別に確認する(早見表)
都道府県別の利回り早見表
新築アパートの利回りは、全国一律ではなくエリアによって水準が異なります。地価の高いエリアほど建築費(総投資額)に占める土地の比率が高くなり、表面利回りは低く出やすい一方、家賃相場が高いエリアでは収益額そのものは大きくなる傾向があります。
▼都道府県別・新築アパート実質利回りの目安(2DK想定・経費控除後)
| エリア | 実質利回り目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 東京都 | 3.2〜4.0% | 地価が高く利回りは低め。家賃水準は全国最高クラス |
| 神奈川県・埼玉県・千葉県 | 3.5〜4.6% | 都心通勤圏として安定した需要が見込める |
| 大阪府・愛知県 | 3.8〜5.0% | 地方主要都市の中でも家賃・利回りのバランスが良い |
| 地方中核都市(仙台・福岡など) | 4.5〜6.0% | 建築費に対し利回りが出やすいが、人口動態の確認が必須 |
| 郊外・地方都市 | 4.8〜7.0% | 数値上の利回りは高いが、空室リスクも相応に高い |
出典:国土交通省「建築着工統計調査 住宅着工統計」のエリア別構成比をもとに、2026年の全国平均水準へ換算した上で、後述の年間経費目安を反映してイエウール編集部が作成。実際の利回りは個別物件の立地条件・建築プランにより変動します。
この早見表の数字が、長期的に見てどの程度の余裕を持てる水準なのかを、実際の相談データから確認してみましょう。
【調査結果】実質利回り3%未満のプランは、半数以上が赤字転落を経験
イエウール土地活用の相談データからは、契約時の実質利回りが3%未満だったプランのうち54%が、金利上昇や空室が重なった際に赤字転落を経験していました。一方、実質利回りで5%以上を確保できたプランについては、同様の局面でも長期的な収支に余裕を持って進めているケースが多いという傾向が見られます。理想ラインを5%、最低ラインを3%の目安として、上記の早見表の数字がどちらに近いかを確認しておくとよいでしょう。
※対象:契約時の実質利回りが3%未満だったと申告したプランのオーナー、集計対象約90件(直近2年間)。内訳は「赤字転落を経験した」54%、「黒字は維持できた」31%、「特に問題は生じていない」15%(相談者本人の申告に基づく)。
担当者
半数以上が赤字転落というのは厳しい数字ですね。実質利回りがわずか数ポイント違うだけで、なぜここまで結果が分かれるのでしょうか。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「実質利回りが低いプランは、そもそも金利上昇や空室が重なった際の収支の『のりしろ』が薄いのです。3%程度しか余裕がないと、金利が1%上がる、あるいは1〜2部屋の空室が数ヶ月続くだけで、返済額が家賃収入を上回ってしまいます。5%以上の水準があれば、同じ局面でも赤字に転落するまでの猶予が生まれます。」
担当者
では、契約前にこの「のりしろ」の薄さに気づくには、具体的に何を確認しておけばよいのでしょうか。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「私は相談を受ける際、金利が1〜2%上昇した場合の返済額と、空室率が今の相場(周辺の平均空室率)まで悪化した場合の家賃収入を、それぞれ試算してもらうようお伝えしています。この2つを同時に試算した上で実質利回りが3%を下回るようであれば、契約前に見直しを検討すべきサインだと考えています。」
実際に、実質利回りの「のりしろ」の薄さが赤字転落につながった例を見てみましょう。
この事例から読み取れるのは、実質利回りの水準そのものが、金利上昇や空室といった不測の事態への「耐性」を左右するという点です。数字を見るだけでなく、その数字がどの程度の余裕を持っているかまで確認しておくことが重要です。
※本事例は、新築アパートの建築を検討・実施された方への取材をもとに作成しています。取材は当メディア編集部が個別に実施し、専門家への確認を経て、個人が特定できないよう氏名等を加工・匿名化しています。掲載している数値はご本人から提供いただいた情報に基づき、金利・空室率・利回りは市況や物件条件により変動します。
間取り別の利回り早見表
先ほどのエリア別早見表は、いずれも「2DK想定」の実質利回りでした。自分の間取りが2DKと違う場合は、この間取り別早見表を使ってエリア別の数字を上下に補正します。やり方はシンプルで、①エリア別早見表で自分の土地があるエリアの実質利回り水準(2DK基準)を確認し、②下の間取り別早見表で自分の間取りが2DK基準からどれだけ上下するかを確認し、③その差分をエリア別の数字に足し引きするだけです。例えば「地方中核都市・1K」で検討している場合は、エリア別早見表の実質4.5〜6.0%(2DK基準)に、下の間取り別早見表の1Kの調整幅「+0.3〜0.5pt」を足して、実質4.8〜6.5%程度を目安として考えます。逆に「地方中核都市・2LDK」であれば、同じ4.5〜6.0%から「−0.3〜0.5pt」を引いて、実質4.0〜5.5%程度が目安になります。
▼間取り別・実質利回りの調整幅の目安(2DK基準からの補正)
| 間取り | 2DK基準からの調整幅 | 特徴 |
|---|---|---|
| 1K・1R(単身向け) | 2DK比 +0.3〜0.5pt | 戸数を確保しやすく、実質利回りはやや高めに出やすい |
| 1DK・2DK | 基準(±0pt) | エリア別早見表の数字をそのまま目安として使う |
| 2LDK以上(ファミリー向け) | 2DK比 −0.3〜0.5pt | 家賃単価は高いが、空室が出た際の収益への影響が大きく、やや低めに出やすい |
※上記はエリア別早見表(2DK想定・経費控除後)を基準に、間取りによる収益性の傾向を反映した補正幅の目安であり、実際の数値は建築プラン・入居率により変動します。より詳しい計算方法はアパート経営の利回りの計算方法で解説しています。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「単身向けの利回りが高く見えても、その地域の単身者向け需要が今後も続くかは別問題です。目安として、周辺の1K・1R物件の平均空室期間を確認し、2ヶ月以上空室が続く物件が多いエリアでは、早見表で算出した実質利回りをさらに1〜2ポイント割り引いて考えるようお伝えしています。」
\最適な土地活用プランって?/
土地からお探しの方は、まずはご希望のエリア、または現住所をご入力いただければ、最適なプランをご紹介します。
新築アパート利回りが業者によって数%変わる3つのチェックポイント
相場を把握した上で、なぜ同じ土地・同じ条件でも業者によって提示される利回りが数%変わるのかを見ていきます。この差を理解しないまま1社の提示だけで判断すると、後から「思っていた収益と違った」という事態になりかねません。
同じ土地条件でも、A社は空室率を考慮した数字、B社は満室想定の数字を「利回り」として出すことがあり、それだけで数字が2〜3ポイント変わることがあります。
正直に言うと、営業担当に「この数字は満室想定ですか」と聞くのは気が引けるのですが、聞かないと失礼にあたりますか。
まったく失礼ではありません。むしろ確認しない方がリスクです。私が相談を受ける際は、「この利回りの計算に空室率と修繕費は含まれていますか」という一言をそのまま使うようお伝えしています。誠実な会社であればすぐに明確な回答が返ってきます。
明確に答えてくれない場合は、その会社を避けた方がいいということですか。
断定はできませんが、注意信号にはなります。私は相談者の方に、1社だけでなく複数社に同じ質問をぶつけ、回答の一貫性を比較するようお伝えしています。答え方の差そのものが、その会社の説明姿勢を映す材料になります。
「一貫性がある・ない」というのが、具体的にどんな状態を指すのか、もう少し詳しく知りたいです。
具体的には、複数社に同じ条件・同じ質問(空室率と修繕費は含まれているか等)を伝え、その回答を比べてみてください。一貫性がある会社は、聞くたびに前提条件(空室率○%、修繕費年間○万円など)を同じ数字で説明でき、口頭の説明と資料に書かれた数字も一致します。逆に一貫性がない会社は、聞くタイミングや担当者によって前提条件の数字が変わる、資料と口頭説明の数字が食い違う、『だいたい』『目安として』とだけ答えて具体的な数字を出さない、といった対応が目立ちます。前者であれば根拠を持って説明している可能性が高く、後者が続くようであれば注意信号として受け止めてよいでしょう。
なるほど、1社だけで判断せず同じ質問を複数社にぶつけてみるのですね。次に営業担当と話すときは、その一言を必ず確認してみます。
担当者
日々のご相談でも「他社の利回りと数字が全然違って戸惑っている」というお声を本当によくいただきます。実際にお話をお伺いすると、比較の前提条件がそろっていなかったというケースが多い印象です。
新築アパート提案時に業者から最初に提示された利回りの種類
※直近2年間のイエウール土地活用の相談記録分析(対象:新築アパート建築の提案を受けた相談者、集計対象約340件)。最初に提示された利回りの種類の内訳は「表面利回りのみ」58%、「表面と実質の両方を提示」24%、「想定利回りのみ」12%、「その他・不明」6%(相談者本人の申告に基づく)。
【調査結果】提示される利回りの半数以上が「表面利回りのみ」
イエウール土地活用の相談データでは、新築アパート提案時に業者から最初に提示された利回りのうち58%が「表面利回りのみ」で、表面と実質の両方を提示していたケースは24%にとどまりました。想定利回りのみの提示も12%見られ、実質利回りまで含めて説明を受けていた相談者は少数派であることがわかります。
※対象:新築アパート建築の提案を受けた相談者、集計対象約340件(直近2年間)。内訳は「表面利回りのみ」58%、「表面と実質の両方を提示」24%、「想定利回りのみ」12%、「その他・不明」6%(相談者本人の申告に基づく)。
担当者
半数以上が表面利回りのみというのは驚きです。実質利回りまで教えてもらえない場合、自分で概算する方法はあるのでしょうか。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「表面・想定利回りしか提示されない場合でも、年間経費がどの程度かかるかの目安さえ押さえておけば、実質利回りのおおよその水準は自分で概算できます。私は相談者の方に、エリアと間取りから年間経費の目安を確認した上で、提示された利回りにその分を割り引いて考えるようお伝えしています。」
▼新築アパートの年間経費目安(年間家賃収入に対する割合、エリア・間取り別)
| エリア | 間取り傾向 | 管理委託費 | 修繕積立金 | 固定資産税・都市計画税等 | 空室損失の目安 | 年間経費合計の目安 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 都心(東京都等) | 単身向け中心 | 5% | 3% | 8〜10% | 3〜5% | 約19〜23% |
| 都心近郊(神奈川・大阪等) | 単身〜ファミリー混在 | 5% | 3〜4% | 6〜8% | 4〜6% | 約18〜23% |
| 地方中核都市 | 単身〜ファミリー混在 | 5% | 3〜4% | 4〜6% | 6〜8% | 約18〜23% |
| 郊外・地方都市 | ファミリー向け中心 | 5% | 4% | 3〜5% | 8〜12% | 約20〜26% |
※年間家賃収入に対する割合の目安。単身向け中心のエリアは空室損失が比較的低めに、ファミリー向け中心のエリアは固定資産税等の負担割合が下がる一方で空室損失が高めに出る傾向があります。表面・想定利回りにこの経費合計の目安を掛け合わせて差し引けば、実質利回りのおおよその水準を概算できます。実際の経費は物件の管理形態・築年数により変動するため、詳しい計算方法はアパート経営の利回りの計算方法で解説しています。
この経費目安を踏まえて、実際に自分で概算し直した方の事例を見てみましょう。
この事例から読み取れるのは、業者から実質利回りの提示がなくても、エリア・間取りに応じた経費目安さえ押さえておけば、自分自身で妥当性を検証できるという点です。だからこそ、次の3つのチェックポイントを事前に確認しておくことが重要です。
※本事例は、新築アパートの建築を検討・実施された方への取材をもとに作成しています。取材は当メディア編集部が個別に実施し、専門家への確認を経て、個人が特定できないよう氏名等を加工・匿名化しています。掲載している数値はご本人から提供いただいた情報に基づき、経費率・利回りは物件条件により変動します。
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1 表面か実質かを確認する提示された利回りが経費を差し引く前の数字か後の数字かを、その場で書面に明記してもらいましょう。
-
2 空室率を織り込んでいるかを確認する満室想定(想定利回り)なのか、周辺の実際の空室率を反映した数字なのかを確認しましょう。
-
3 修繕費を考慮しているかを確認する新築時は修繕費がかからないため、経年後の修繕積立を織り込んだ数字かどうかで長期の見え方が変わります。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「この3点は、私が相談を受ける際に必ず最初にお伝えしている質問です。1社だけに聞いて終わらせず、複数社に同じ3つの質問をぶつけて回答を横に並べてみると、どの会社が誠実に説明しているかが自然と見えてきます。」
\最適な土地活用プランって?/
土地からお探しの方は、まずはご希望のエリア、または現住所をご入力いただければ、最適なプランをご紹介します。
新築アパート利回りを正しく判断できたら、複数プランで比較する
ここまで、利回りの数字の種類を見分ける方法と、業者による見せ方のばらつきを確認するチェックポイントを解説してきました。表面利回りだけを見て判断すると、実際の収益と大きく乖離するリスクがあります。逆に、正しい確認方法さえ押さえておけば、提示された数字を過度に恐れる必要はありません。
イエウール土地活用は、特定の1社の営業ではなく、複数のハウスメーカー・建築会社のプランを横断的に比較できるポータルです。土地活用だけでなく、売却との比較も含めて中立的な立場から相談いただけます。今回確認した3つのチェックポイントを踏まえた上で、まずは複数社の提案を横並びで確認してみましょう。
\最適な土地活用プランって?/
土地からお探しの方は、まずはご希望のエリア、または現住所をご入力いただければ、最適なプランをご紹介します。
新築アパート利回りに関するよくある質問
Q1. 新築アパートの利回りはどのくらいですか?
エリアや間取りによって差がありますが、経費控除後の実質利回りで3.0〜7.5%程度が目安です。都心部は3%台、郊外・地方都市は6〜7%台になるケースが多く見られます。ただし、業者から提示される表面利回り・想定利回りは経費や空室率が反映されていないため、この目安より2〜3ポイント高く見えるケースが多い点に注意が必要です。詳しくは本文の地域別・間取り別早見表をご確認ください。
Q2. 新築アパートの利回りは何によって変わりますか?
主にエリア(地価・家賃相場)、間取り、建築費、管理費・修繕費などの経費、空室率によって変わります。加えて、業者が提示する数字が表面利回りか実質利回りかによっても見え方が大きく変わるため、本文で紹介した3つのチェックポイントを確認することが重要です。