60坪の土地にかかるアパート建築費の相場は?建築事例や高収益を上げるコツも紹介

「60坪の土地を持っているけれど、アパートを建てるといくらかかるんだろう」
神奈川県横浜市在住(郊外)・50代・男性
「親から相続した60坪の土地をそのままにしていますが、固定資産税だけがかかり続けています。アパートを建てれば収入になるとは聞くものの、建築費がどれくらいかかるのか、そもそも60坪でどんな規模の建物が建つのかが分からず、一歩を踏み出せずにいます」
60坪の土地は、部屋数6〜10戸クラスのアパートを建てられる規模で、条件によっては3階建ても可能です。ただし「坪単価×延べ床面積」だけで建築費を判断すると、実際の見積もりとの差に戸惑うケースが少なくありません。
この記事では、60坪の土地にかかるアパート建築費を構造別に整理したうえで、その数字が実際の見積もりとどう対応するのか、建築規制の確認ポイント、収益性を高めるための工夫までを解説します。読み終える頃には、自分の土地でアパート経営が現実的な選択肢かどうかを判断できる状態を目指します。
【シミュレーター設置】私の60坪の建築費は?
60坪の土地にかかるアパート建築費【構造別】
構造別の建築費目安と坪単価
60坪の土地いっぱいに2階建てのアパートを建てる場合、構造ごとの建築費目安は以下の通りです(指定建ぺい率60%で試算)。
▼構造別の建築費・坪単価目安(60坪・2階建ての場合)
| 建物の構造 | 建築費の目安 | 坪単価 |
|---|---|---|
| 木造(W造) | 5,328万円〜7,560万円 | 74万〜105万円 |
| 軽量鉄骨造(S造) | 5,760万円〜7,560万円 | 80万〜105万円 |
| 重量鉄骨造(S造) | 6,480万円〜8,640万円 | 90万〜120万円 |
| 鉄筋コンクリート造(RC造) | 6,840万円〜9,000万円 | 95万〜125万円 |
| 鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) | 7,920万円〜1億80万円 | 110万〜140万円 |
| コンクリートブロック造(CB造) | 5,760万円〜7,200万円 | 80万〜100万円 |
※直近2年間におけるイエウール土地活用の累計1.4万人の見積もり・建築実例をもとに集計した統計データです。指定建ぺい率60%・延べ床面積は「坪単価×延べ床面積」の本体工事費ベースで試算しており、実際の建築費は前面道路の幅員・地盤改良工事の有無・建材グレード等により変動します。
3階建ての場合の目安は、木造で7,992万円〜、鉄骨造で8,640万円〜、鉄筋コンクリート造で1億260万円〜です。本体工事費以外にも、駐車場や塀の設置にかかる付帯工事費(本体工事費の20%程度)、諸費用(同10%程度)がかかるため、総額は上記の坪単価×延べ床面積から算出した金額の1.3倍ほどを見込んでおく必要があります。
坪単価だけで見れば木造が有利ですが、法定耐用年数(税務上、建物の価値がゼロになるまでの年数)は木造22年に対し、RC造は47年と2倍以上の差があります。耐用年数はローンの融資期間の目安にもなるため、月々の返済額や長期の収支計画に直結する要素です。次の項目で、この価格差が生まれる背景を確認しておきましょう。
坪単価に差が生まれる理由
「同じ60坪の土地なのに、構造によってなぜ数千万円もの差が出るのか」と疑問に思う方も多いはずです。坪単価の差は、主に建材のコスト・工期の長さ・法定耐用年数の3点から生まれています。
- 建材コストの違い
鉄骨・コンクリートは木材よりも材料費が高く、耐火性能を確保する分だけ建材のグレードも上がります - 工期の長さ
RC造は型枠を組んでコンクリートを打設・養生する工程が加わるため、木造より工期が長く、人件費もかさみます - 法定耐用年数の長さ
耐用年数が長い構造ほど「長期間使える建物」としての価値が上乗せされ、坪単価に反映されます
賃貸アパートでは、初期費用を抑えやすい木造・軽量鉄骨造が選ばれる傾向にあります。ただし、耐用年数が短い構造は融資期間も短くなりやすく、月々の返済額が増えて収支を圧迫するケースがある点には注意が必要です。
この建築費相場を、見積もりとどう照らし合わせればいい?
ここまでの相場は「本体工事費ベースの試算値」です。この数字だけを鵜呑みにして資金計画を立てることはできません。付帯工事費・諸費用の割合は建築会社によって大きく異なり、同じ延べ床面積でも数百万円単位の差が生まれるためです。
- 見積もりの適正チェックに使う
提示された坪単価が上記の相場レンジから大きく外れていないかを確認する材料にする - 総額の概算に使う
「坪単価×延べ床面積×1.3倍」で、付帯工事費・諸費用を含めた総額の目安をつかむ - 複数社の比較材料として使う
1社だけの提示額と比べるのではなく、複数社の見積もりの中でこの相場がどの位置にあるかを確認する
建築費が10坪単位で変わる相場は、以下の記事も参考にしてください。


※宅地建物取引士・早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了
「坪単価の相場は、あくまで複数社の見積もりを比較するための基準線として使うものです。
建築会社ごとに含まれる工事範囲が異なるため、同じ総額でも「付帯工事費まで含むか」「解体工事費は別か」で実質的な負担は変わってきます。坪単価の安さだけで1社に決めるのは避けたほうがよいでしょう。
まずは2〜3社に同じ条件で見積もりを依頼し、内訳の項目を横並びで比較することから始めてみてください。」
60坪以外の坪数別の建築費は、以下の記事一覧からご確認いただけます。
▼坪数別のアパート建築費の記事一覧
建築費の総額をイメージできたところで、実際に他のオーナーがどのようなアパートを建てているのか、事例を見ていきましょう。「自分の土地なら何ができるか」の判断材料になります。
アパートの規模を決める建築規制
60坪の土地でも、建築規制によって建てられる規模は変わります。希望する広さのアパートが建てられないケースもあるため、事前に自分の土地の条件を確認しておくことが重要です。
建ぺい率・容積率
建ぺい率は敷地面積に対する建築面積の割合、容積率は敷地面積に対する延べ床面積の割合を指します。たとえば60坪の土地で指定建ぺい率が60%なら建坪の上限は36坪、容積率200%なら延べ床面積の上限は120坪です。
指定建ぺい率は30〜80%、指定容積率は50〜500%の範囲で自治体・用途地域ごとに定められています。
※宅地建物取引士・早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了
「建ぺい率・容積率は建築会社に相談する前に自分で確認しておくべき数字です。
この数値を把握しないまま相談すると、建築会社の提案が本当に土地の条件を最大限活かしたプランなのか判断できません。
自治体HPで用途地域を調べたうえで問い合わせると、話がスムーズに進みます。」
接道義務
接道義務とは、建築物の敷地が幅員4m以上の道路に2m(ないし3m)以上接していなければならないという規則です。
用途地域
用途地域とは、都市計画法により13種類の区分ごとに建築可能な建物が定められた地域区分です。アパートは、工業専用地域を除くすべての用途地域で建築できます。先述の建ぺい率・容積率も、この用途地域ごとに定められています。
用途地域は先述の用途地域マップや自治体の都市計画課で確認できます。建ぺい率・容積率・接道義務の3点を先に把握しておくと、建築会社との打ち合わせが具体的になり、プラン提示までの期間も短縮できます。
60坪の土地でのアパート建築事例
60坪の土地に実際どのようなアパートが建てられるのか、2つの事例からイメージをつかんでおきましょう。
木造3階建て・12部屋の建築事例
埼玉県在住・50代・男性
- 建築費:約4,000万円
- 構造・階数:木造3階建て
- 部屋数:12部屋
- 目的:相続税対策
- こだわり:土地を所有していなかったため、できるだけ安い土地を購入して初期費用を抑えた
この事例のように部屋数を増やして賃料単価を積み上げることができれば、60坪でも収益性の高いアパート経営が可能です。木造・3階建てで坪単価を抑えつつ部屋数を確保する構成は、初期費用を抑えたいオーナーに向いた選択肢といえます。
ペット共生型アパートの建築事例
▼神奈川県・木造2×4工法での建築事例
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| エリア | 神奈川県 |
| 土地面積 | 181.81㎡(約60坪) |
| 延べ床面積 | 295.5㎡ |
| 工法 | 木造2×4工法 |
建物老朽化と空室による家賃収入への不安を抱えていたオーナーが、将来の事業承継も見据えて建て替えた事例です。居室ドアにペット用の出入り口を設け、壁面をキャットウォールにも使える棚にするなど、「ペット共生型」を取り入れることで、周辺物件との差別化を図りました。
出典:大東建託株式会社の土地活用事例をもとにイエウール編集部が作成。
高収益のアパートを建築するコツ
自己資金比率をあげる
アパート建築ではローンを組むのが一般的ですが、借入額が増えるほど収支計画への影響も大きくなります。自己資金の目安は建築費の1割以上とされていますが、可能であれば3割以上準備しておくと、余裕をもった返済計画を組みやすくなります。
初期費用をすべてローンでまかなう「フルローン」は、借入額が増える分だけ月々の返済負担も重くなり、家賃下落時に赤字へ転落するリスクが高まります。建築前に、自己資金をどこまで用意できるかを確認しておくことが重要です。
ニーズを汲んだ間取り・設備投資をする
アパートの競争力は間取りや設備によって大きく変わります。近年はリモートワークの普及により、共働き世帯でもそれぞれ仕事に集中できるスペースへの需要が高まっています。繁華街など人通りの多い立地では、オートロック付き物件の人気も高い傾向にあります。
求められる設備は、周辺の入居者層や物件の立地条件によって変わります。事前に周辺エリアの賃貸ニーズを調べたうえで、建築会社の担当者と間取り・設備を詰めていくことが、空室リスクを抑える近道です。
建築会社・管理会社は比較検討する
どの建築会社と契約するかは、アパート経営の収益性を大きく左右します。建築費・提案プラン・収支プランは会社ごとに異なるため、必ず複数社に相談し比較検討することが重要です。
管理会社選びも同様です。清掃対応や入居者対応の質は入居率に直結するため、管理費の安さだけで選ばず、過去の管理実績をもとに判断するようにしましょう。

※宅地建物取引士・早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了
「アパート経営の収益性を決めるのは、建築費の安さだけではありません。自己資金比率・間取りの需要適合性・管理体制の3点が揃って初めて安定した経営になります。
1社だけの提案を見て判断すると、他社ならもっと良い条件が出せたかもしれない、という機会損失に気づけません。
最低でも2〜3社の収支プランを並べて比較することをおすすめします。」
アパート建築以外の土地活用方法
建築費を考慮した結果、アパート経営に踏み切れないという方には、他の土地活用法も選択肢になります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自分の目的に合った方法を選ぶことが大切です。
初期費用を抑えたい場合
アパート・マンション経営は初期費用の負担が大きく、回収までに数十年かかることもあります。リスクを抑えたい場合は、以下のような初期費用を抑えられる活用法も検討できます。
- 月極駐車場経営
初期費用が少なく、こまめな修繕も不要 - コインパーキング経営
手間をかけずに運用でき、収益性にも期待できる - トランクルーム経営(屋外型)
コンテナ設置のみで済み、初期費用を抑えやすい - 資材置き場・貸農園
整地費用も借主が負担するケースが多く、事前コストがほぼかからない
税金対策をしたい場合
60坪の土地でも、所有しているだけで固定資産税・都市計画税がかかります。節税を重視する場合は、アパート・マンション経営や戸建賃貸経営が選択肢です。
家賃収入の大きさよりも節税効果と初期費用リスクの両立を重視するなら、戸建賃貸経営も選択肢になります。60坪は集合住宅にはやや小さめですが、戸建賃貸であれば十分な広さの物件を建てられます。
収益性を重視したい場合
節税効果や初期費用の少なさよりも収益性を重視する場合は、小規模店舗経営(美容院やコンビニなどへのテナント賃貸)が選択肢です。収益性の高いテナントが入居すれば集客効果が期待でき、空室リスクも軽減できます。
一方で、テナントの売り上げが思わしくない場合は早期に撤退されるリスクもあります。周辺に飲食店が多いなど、テナント需要がすでに見込める立地条件かどうかを、事前に確認しておくことが重要です。
まとめ|60坪の土地でアパート経営を検討するなら
60坪の土地に2階建てアパートを建てる場合の建築費目安は、木造で5,328万円〜7,560万円、鉄骨造で5,760万円〜8,640万円、鉄筋コンクリート造で6,840万円〜9,000万円です。この数字はあくまで複数社を比較するための基準線であり、実際の総額は建築会社ごとの工事範囲・条件によって変わります。
不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンといわれますが、リスクがゼロになるわけではありません。今日からできる確認から、順番に進めていきましょう。
- 1. 自分の土地の建ぺい率・容積率を調べる
用途地域マップまたは自治体HPで、建てられる建物の上限規模を確認する - 2. 複数社の建築費見積もりを取り寄せる
坪単価だけでなく、付帯工事費・諸費用まで含めた総額で比較する - 3. 自己資金として用意できる割合を確認する
建築費の1〜3割を目安に、資金計画の余裕度を把握する
建ぺい率の確認も見積もりの比較も、一つひとつ自分で進めるのは大変な作業です。
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