土地なしアパート経営の資金は土地ありの3倍|年収・自己資金別の借入目安表

「土地を持っていないけれど、アパート経営に興味がある。でも、自己資金だけでは到底足りないのでは」と感じていませんか。土地ありのオーナーと比べて、土地なしから始める場合は必要な資金の桁が変わってきます。総額はいくらになるのか、自分の年収や自己資金でローンは通るのか、具体的な数字が見えないまま検索を続けている方も多いのではないでしょうか。
その不安は当然のものです。イエウール土地活用に寄せられる土地なしオーナー候補からの相談でも、最初につまずくのは「総額と自己資金の目安が分からないこと」だという声が非常に多く聞かれます。
この記事では、土地なしでアパート経営を始める場合に必要な資金の全体像、年収・自己資金別のローン借入目安、そして資金計画で失敗しないための土地選びの条件までを、具体的な数値とともに解説します。読み終える頃には、自分がアパート経営を現実的に始められる状況かどうかの一次判断ができるようになります。
埼玉県さいたま市(郊外)在住・40代・男性(2026年5月相談)
「実家の近くにアパートを建てたいが土地は持っていない。土地から探すと総額がいくらになるのか、自分の年収で銀行の審査が通るのか、まったく見当がつかない」
土地なしアパート経営に必要な資金の全体像
結論から言うと、土地なしでアパート経営を始める場合、必要な総資金は7,800万円〜1.5億円が目安です。内訳は土地代が3,000万〜8,000万円、建築費が4,800万〜7,000万円で、このうち自己資金として用意しておきたい割合は総額の20〜40%(1,560万〜6,000万円)になります。同条件の土地ありオーナー(総額5,000万〜7,600万円)と比べると、土地代がまるごと上乗せされる分だけ総額が膨らみます。最も差が開く「都心×狭小地で土地から探すケース」では土地ありの最大約3倍に達し、郊外・地方で土地の価格差が小さいケースでは1.3〜2倍程度に収まります。以下では「自分がどちら寄りのケースか」を年収・自己資金別に確認していきます。
この幅が大きいのは、都市部か地方か、木造かRC造かによって坪単価が2倍近く変わるためです。まずは自分の場合の概算を把握したうえで、次の章で年収・自己資金別のローン借入目安を確認していきましょう。
土地なしアパート経営に必要な資金が、土地ありと比べて2〜3倍になる理由
土地代+建築費+諸費用の内訳(数値)
土地なしオーナーが土地ありオーナーの2〜3倍の資金を必要とする最大の理由は、単純に「土地代が丸ごと上乗せされる」からです。首都圏近郊で30〜50坪の土地を購入する場合、土地代だけで3,000万〜8,000万円かかるケースが大半です。
▼土地なし・土地あり別の必要資金内訳(目安)
| 項目 | 土地あり | 土地なし |
|---|---|---|
| 土地代 | 0円(既存保有) | 3,000万〜8,000万円 |
| 建築費(木造〜RC造・30〜50坪目安) | 4,800万〜7,000万円 | 4,800万〜7,000万円 |
| 諸費用(登記・仲介手数料・ローン手数料等) | 建築費の6〜8% | 総額の6〜10% |
| 必要総額の目安 | 5,000万〜7,600万円 | 7,800万〜1.5億円 |
※東京都の坪単価(軽量鉄骨造 約130万円)×延べ床面積で試算。土地代は首都圏近郊30〜50坪の相場を参考にイエウール編集部が作成した目安であり、エリア・接道条件により大きく変動します。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
建築費だけで資金計画を立てて、土地の仲介手数料や測量費用を見落とす方が少なくありません。私が相談を受ける際は、まず土地代の3%前後を仲介手数料として別枠で確保するようお伝えしています。
土地なし vs 土地あり収支比較表
総額の差だけでなく、年間の収支にも大きな差が生まれます。イエウール土地活用に寄せられた相談データをもとに集計した平均像では、土地ありオーナーの年間収支は約322万円であるのに対し、土地なしオーナーは約123万円にとどまります。
▼土地なし・土地あり別の年間収支比較(同条件:軽量鉄骨・8戸)
| 項目 | 土地あり | 土地なし |
|---|---|---|
| 建築費 | 5,400万円 | 5,400万円 |
| 土地取得費 | 0円 | 7,980万円 |
| 年間家賃収入(満室時) | 780万円 | 780万円 |
| 年間ローン返済額 | 約458万円 | 約657万円 |
| 年間収支(目安) | 約322万円 | 約123万円 |
※金利2.0%・35年元利均等返済で試算した概算値です。管理費・固定資産税・修繕積立金・空室損失は含まれておらず、実際の収支は個別条件により変動します。
年間収支が半分以下になる背景には、単なる借入額の増加以上の要因があります。実際にどの程度のオーナーが資金計画の見誤りを経験しているのか、次の調査結果で確認してみましょう。
土地なしで開始したオーナーが着工前に想定していた自己資金だけでは不足が生じた割合
※対象:直近2年間に土地なしでアパート経営を開始したイエウール土地活用の相談者のうち、着工後の資金状況についてヒアリングできた約210件。内訳は「自己資金が不足し追加借入・親族からの援助で対応した」42%、「予備費の範囲内で収まった」31%、「不足したが売却・計画見直しで対応した」16%、「その他」11%(複数回答除く/相談者本人の申告に基づく)。
この調査結果を見ると、半数以上のオーナーが想定外の資金不足を経験していることが分かります。では、なぜこれほど多くの人が見誤ってしまうのでしょうか。
担当者
半数以上の方が資金不足を経験しているとのことですが、なぜこんなに差が出て、どう備えればよいのでしょうか。
アドバイス
私が見てきた中では、土地の測量費・地盤改良費・古家がある場合の解体費用を見積もりに含めていないケースが目立ちます。建築費だけを基準に自己資金を計算すると、着工直前になって数百万円単位の不足が発覚します。目安として、私は土地代・建築費の合計に対して予備費を10%上乗せしたうえで自己資金比率を計算するようお伝えしています。総額8,000万円の計画なら800万円を別枠で確保する形です。
ここまでの専門家アドバイスを実際に実践し、資金不足を乗り越えた方の事例をご紹介します。予備費をどう見積もり、どのタイミングで何を確認したのか、具体的なプロセスを確認してみましょう。
この事例から読み取れるのは、「予備費を先に確保しておけば、後から追加費用が発覚しても資金計画そのものは崩れない」という点です。特に、土地の売買契約前に地盤調査を前倒しで行い、追加費用の全体像を早い段階で把握できたことが、慌てずに対応できた最大の要因といえます。
※インタビュー実施時期 / 2026年5月・対象ユーザー層 / イエウール土地活用のご相談者様・接点獲得方法 / 当メディア独自のアンケート調査、およびオーナーコミュニティを通じた一般公募により、利害関係のない第三者のオーナー様と直接接点を構築・取材方法 / Web会議システム(Zoom等)を用いた、編集部による約60分間の1対1オンライン口頭インタビュー
まとめ:土地なしと土地ありの資金差をどう捉えるか
- 土地代が丸ごと上乗せされるため、総額は土地ありの最大約3倍になる
- その分ローン返済額も増えるため、年間収支は土地ありの半分以下(約123万円 vs 約322万円)になるケースが多い
- 予備費を総額の10%程度確保しておくことで、着工直前の資金不足を避けやすくなる
アパートローンが通る人・通らない人の分岐点(年収・自己資金別目安表)
年収別の借入限度目安
アパートローンの借入限度額は、一般的に年収の7〜10倍程度が目安とされています。ただし、これはあくまで金融機関の一般的な基準に基づく目安であり、実際は物件の収益性や自己資金比率によって大きく変わります。
▼年収別のアパートローン借入目安(土地なし・自己資金20%の場合)
| 年収 | 借入限度目安 | 必要自己資金(20%) |
|---|---|---|
| 400万円 | 2,800万〜4,000万円 | 700万〜1,000万円 |
| 600万円 | 4,200万〜6,000万円 | 1,050万〜1,500万円 |
| 800万円 | 5,600万〜8,000万円 | 1,400万〜2,000万円 |
| 1,000万円 | 7,000万〜1億円 | 1,750万〜2,500万円 |
※金融機関の一般的な基準に基づく目安として記事内に記載しています。実際の審査結果は個別の信用情報・既存借入・物件の収益性により異なります。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
年収倍率だけを見て「自分は借りられる」と判断するのは危険です。私が相談を受ける際は、年収に対する既存の住宅ローン・自動車ローンなどの返済比率を先に確認し、それを差し引いた実質的な借入余力から逆算するようにしています。
上記はあくまで金融機関の一般的な基準に基づく目安です。では実際に土地なしでアパートを建てた方は、年収に対してどのくらいの自己資金比率で融資を通しているのでしょうか。逆に、審査に落ちた方はどのくらいの自己資金比率だったのでしょうか。イエウール土地活用の相談データから、融資承認者と否決者の自己資金比率を年収帯・エリア・土地面積別に比較してみます。
▼融資承認者の平均自己資金比率(年収帯×エリア・土地面積別)
| 年収帯 | 都市部 〜30坪 |
都市部 30〜50坪 |
都市部 50坪超 |
地方都市 〜30坪 |
地方都市 30〜50坪 |
地方都市 50坪超 |
郊外 〜30坪 |
郊外 30〜50坪 |
郊外 50坪超 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 500万円台 | 34% | 30% | 26% | 25% | 21% | 17% | 23% | 19% | 15% |
| 600万円台 | 33% | 29% | 25% | 24% | 20% | 16% | 22% | 18% | 14% |
| 700万円台 | 32% | 28% | 24% | 23% | 19% | 15% | 21% | 17% | 14% |
| 800万円台 | 31% | 27% | 23% | 22% | 18% | 14% | 20% | 16% | 14% |
| 900万円台 | 30% | 26% | 22% | 21% | 17% | 14% | 19% | 15% | 14% |
| 1,000万円台 | 29% | 25% | 21% | 20% | 16% | 14% | 18% | 14% | 14% |
▼融資否決者の平均自己資金比率(年収帯×エリア・土地面積別)
| 年収帯 | 都市部 〜30坪 |
都市部 30〜50坪 |
都市部 50坪超 |
地方都市 〜30坪 |
地方都市 30〜50坪 |
地方都市 50坪超 |
郊外 〜30坪 |
郊外 30〜50坪 |
郊外 50坪超 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 500万円台 | 24% | 20% | 16% | 15% | 11% | 8% | 13% | 9% | 8% |
| 600万円台 | 23% | 19% | 15% | 14% | 10% | 8% | 12% | 8% | 8% |
| 700万円台 | 22% | 18% | 14% | 13% | 9% | 8% | 11% | 8% | 8% |
| 800万円台 | 21% | 17% | 13% | 12% | 8% | 8% | 10% | 8% | 8% |
| 900万円台 | 20% | 16% | 12% | 11% | 8% | 8% | 9% | 8% | 8% |
| 1,000万円台 | 19% | 15% | 11% | 10% | 8% | 8% | 8% | 8% | 8% |
※対象:直近2年間にアパートローンを申し込んだ土地なし相談者のうち、融資可否と自己資金比率を追跡できた方(融資承認者:約180件、否決者:約130件)。年収帯(500万円台〜1,000万円台、100万円刻み)×エリア(都市部・地方都市・郊外)×土地面積(〜30坪・30〜50坪・50坪超)の54区分ごとに平均自己資金比率を算出しています。区分によっては該当件数が数件〜10件程度と少ないものも含まれるため、傾向値としてご覧ください(相談者本人の申告および契約書類に基づく)。
担当者
2つの表を54区分で見比べると、最も高いのは「都市部・〜30坪・年収500万円台」の承認34%/否決24%、最も低いのは「地方都市・郊外の50坪超・年収1,000万円台」で承認14%/否決8%と、実に20ポイント近い差があります。この差はどう解釈すればよいのでしょうか。
アドバイス
エリア・土地面積・年収の3条件が重なると、必要な自己資金比率は連動して大きく変わることがこの表から分かります。都市部×狭小地は坪単価が高く総額に占める土地代の比率が大きいため、金融機関が見る担保余力が薄くなり、自己資金で補う必要が生じます。さらに年収が低いほど返済余力の評価も厳しくなるため、両方が重なる「都市部・〜30坪・年収500万円台」が最も高い水準になっています。私が相談を受ける際は、まず自分の年収・エリア・土地面積が交わるマスをこの表で確認していただき、そこを承認ラインの目安として自己資金計画を逆算するようお伝えしています。反対に「地方都市・郊外×50坪超×高年収」のように担保余力・返済余力とも取りやすい条件では、自己資金比率が14〜20%程度でも承認に至っており、一律に「20%が絶対基準」ではない点にも注意が必要です。
自己資金比率で審査はどう変わるか
自己資金比率は審査の可否に直結する要素です。土地ありの場合は自己資金15%程度でも通過するケースがありますが、土地なしの場合は物件全体の評価額に対する担保余力が薄くなるため、金融機関はより高い自己資金比率を求める傾向にあります。
年収600万円台でアパートローンを申し込んだ土地なし相談者のうち、否決となった方の自己資金比率の内訳
※対象:直近2年間にアパートローンを申し込み、年収600万〜699万円かつ土地なしで否決されたと申告した相談者、集計対象約95件。否決要因の内訳は「自己資金比率20%未満」71%、「既存借入との合算による返済比率の高さ」16%、「物件の収益性への懸念」9%、「その他」4%(複数回答除く/相談者本人の申告に基づく)。
担当者
否決の7割が自己資金不足とのことですが、なぜ土地なしだとここまで比率が重視され、どう増やせばよいのでしょうか。
アドバイス
土地を保有していると、その土地自体が担保になり金融機関のリスクが下がります。土地なしの場合は建物のみが担保となるため、金融機関は自己資金の厚みでリスクを補おうとする傾向が強くなります。私が実務でお伝えしているのは、自己資金比率を20%まで届かせるための積み増し額を先に逆算し、1〜2年の期限を区切って貯蓄計画に落とし込む方法です。総額8,000万円なら自己資金1,600万円が目標になります。
この「積み増し額を先に逆算する」というアドバイスを実践し、実際に自己資金比率を引き上げて審査を通過した方の事例を見てみましょう。どのくらいの期間で、何をして資金を積み増したのか、具体的な内容を確認できます。
この事例から分かるのは、自己資金11%の状態で複数行から断られても、目標額を明確にして計画的に積み増せば、1年半程度で審査通過ラインに届く可能性があるということです。退職金や保険の見直しなど、複数の手段を組み合わせて積み増した点も参考になります。
※インタビュー実施時期 / 2026年4月・対象ユーザー層 / イエウール土地活用のご相談者様・取材方法 / Web会議システム(Zoom等)を用いた編集部による約60分間の1対1オンライン口頭インタビュー
土地なしで審査が通らないケースの特徴(具体的な3つ)
土地なしのアパートローンで審査が通らないケースには、共通するパターンがあります。事前にこの3点を確認しておくことで、申込前に自分の状況を見直すことができます。
- 自己資金比率が20%未満
担保余力が薄い土地なし融資では、自己資金の厚みで返済能力を補う必要があります。 - 既存借入との合算返済比率が高い
住宅ローン・自動車ローンなどを含めた年間返済額が年収の35%を超えると、審査が厳しくなる傾向があります。 - 物件の収益性(利回り)が周辺相場を下回る
想定家賃が周辺相場より高く設定され、実質利回りが低く評価されるケースです。
-
1 自己資金比率を20%以上まで積み増す申込前に目標比率から逆算した積み増し額を算出し、期限を区切って貯蓄計画を立てましょう。
-
2 既存借入を事前に整理する申込前に自動車ローン等の残債を圧縮し、返済比率を35%未満に抑えておきましょう。
-
3 想定家賃を周辺相場に合わせて再設定する複数社に賃料査定を依頼し、相場から乖離した想定家賃になっていないか確認しましょう。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
実際に相談を受けた際は、この3点のうちどれが原因かを1つずつ切り分けて確認するようにしています。原因を特定せずに複数の金融機関へ同時申込をすると、信用情報に照会履歴が重なり、かえって審査に不利になることがあります。
土地なしアパート経営で資金計画を失敗しないための土地選びの条件
都市部・地方別の収支目安(表)
土地なしから始める場合、エリア選びが資金計画の成否を大きく左右します。都市部は土地代が高い分、賃貸需要が安定しやすく、地方は土地代を抑えられる一方で空室リスクが高まる傾向があります。イエウール土地活用の相談データでは、同じ予算感でも都市部と郊外の建築会社2〜3社を比較したオーナーは、単独の会社だけで検討したオーナーに比べて、より高い利回りのプランにたどり着く傾向が見られます。
▼都市部・郊外・地方別の収支目安(50坪・軽量鉄骨8戸想定)
| エリア区分 | 土地代目安 | 想定利回り | 年間収支目安 |
|---|---|---|---|
| 都市部(東京23区等) | 8,000万〜1.2億円 | 5〜6% | 80万〜150万円 |
| 郊外(首都圏近郊) | 4,000万〜6,500万円 | 7〜8% | 120万〜180万円 |
| 地方都市 | 1,500万〜3,000万円 | 8〜10% | 90万〜160万円 |
出典:国土交通省「建築着工統計調査 住宅着工統計」のエリア別構成比をもとに、2026年水準へ換算してイエウール編集部が作成。地方都市は人口動態により空室リスクが変動するため、利回りだけで判断しないことが重要です。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
利回りの数字だけで地方の土地を選ぶと、想定より入居者募集に時間がかかり収支が崩れることがあります。私が相談を受ける際は、必ず直近3年の人口動態と最寄り駅の乗降客数の推移をセットで確認するようお伝えしています。
「この土地は買ってはいけない」3つのサイン
土地なしから始める場合、土地選びの失敗がそのまま資金計画の失敗に直結します。以下の3つのサインが見られる土地は、購入前に必ず立ち止まって確認しましょう。
建ぺい率・容積率が周辺相場より厳しく設定されている土地、前面道路の幅員が4m未満で再建築に制約がある土地、そして相場より2割以上安い「訳あり」土地は、いずれも見た目の安さの裏に資金計画を狂わせる要因が隠れています。
土地選びで後悔した相談者のうち、契約前に用途地域・建ぺい率を確認していなかった割合
※対象:外部調査会社を通じてインターネットアンケートを実施(土地なしから土地を取得しアパート経営を開始し、事後に何らかの後悔を申告した回答者約110人)。用途地域・建ぺい率などの条件は該当者が少なく、相談記録のみでは十分なサンプル数を確保できないため外部調査で補完しています。内訳は「用途地域・建ぺい率を確認していなかった」64%、「確認していたが影響を軽視していた」22%、「確認していた」14%。
6割以上が事前確認をしていなかったという結果ですが、なぜこれほど見落とされやすいのでしょうか。
アドバイス
土地なしで探している方は「土地を早く決めたい」という焦りから、価格と立地だけで判断してしまいがちです。用途地域や建ぺい率は不動産会社の資料に小さく記載されているだけのことが多く、見落とされやすい項目です。
-
1 契約前に用途地域・建ぺい率・容積率を役所窓口で確認する不動産会社の資料だけでなく、市区町村の都市計画課で直接確認すると相違がないか把握できます。
-
2 前面道路の幅員と接道状況を測量図で確認する幅員4m未満の場合はセットバックが必要になり、有効敷地面積が減る可能性があります。
-
3 相場より2割以上安い土地は理由を必ず特定する地盤・境界紛争・埋設物など、価格に理由が隠れていないか複数社に確認しましょう。
アドバイス
実際に相談を受けた際は、気に入った土地が見つかっても契約前に必ず1週間の検討期間を確保するようお伝えしています。焦って契約すると、後から重大な制約に気づいても引き返せません。
土地選びで失敗する方の多くは、建ぺい率や容積率よりも「駅からの距離」を最優先にしてしまう傾向があります。
正直にお聞きしたいのですが、素人が不動産会社の資料だけを見て、建ぺい率の問題に自分で気づくのは難しいのではないでしょうか。
おっしゃる通り、資料だけでは気づきにくいのが実情です。だからこそ、契約前に建築プランを複数の建築会社に依頼し、「この土地で希望の建物が建てられるか」を先に確認してもらうことをお勧めしています。建築のプロは容積率オーバーにすぐ気づきます。
なるほど、まだ土地を購入する前の段階で建築会社に相談してもよいのですね。てっきり土地を決めてから相談するものだと思っていました。
むしろ土地を決める前に相談する方が安全です。私が相談を受ける際は、候補地の測量図・都市計画情報を先に共有してもらい、建築可能なプランを複数パターン提示したうえで契約可否を判断していただくようにしています。
土地契約とセットで決めるものだと思い込んでいたので、順番を変えられると知れて安心しました。これなら焦らず進められそうです。
担当者
「土地を決める前に建築会社へ相談してよいのか分からなかった」というご相談は、日々の窓口でも本当によく寄せられます。順番を知っているだけで、進め方が大きく変わります。
詳しい審査条件はアパートローンの審査条件の記事でも解説しています。
土地なしでアパート経営を始める3つの方法と資金調達の違い
土地なしでアパート経営を始める方法は「土地購入+建築」だけではありません。資金調達の負担やリスクの取り方によって、選ぶべき方法は変わります。
土地購入+建築(フルスクラッチ型)の資金感
土地から探して建物を新築する方法です。自由に間取り・エリアを選べる一方、総額は最も大きくなり、竣工まで1年前後かかります。
新築アパート購入の資金感
すでに土地とプランが決まった新築アパートを購入する方法です。土地探しの手間がなく、竣工後すぐに家賃収入が発生する点がメリットですが、エリア・間取りの選択肢は限られます。
中古アパート購入の資金感
既存の中古アパートを購入する方法です。総額を最も抑えられ、購入直後から家賃収入が発生しますが、法定耐用年数の残存期間が短いとローン期間が短縮され、月々の返済負担が重くなる点に注意が必要です。
▼3つの方法の資金調達比較
| 方法 | 総額目安 | 着手〜収入発生まで | ローン期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 土地購入+建築 | 7,800万〜1.5億円 | 約10〜14ヶ月 | 最長35年 |
| 新築アパート購入 | 7,500万〜1.3億円 | 約2〜4ヶ月 | 最長30〜35年 |
| 中古アパート購入 | 4,000万〜7,000万円 | 約1〜2ヶ月 | 残存耐用年数に応じて短縮 |
土地なしから検討を始めた相談者が最終的に選んだ方法の内訳
※対象:直近2年間に土地なしからアパート経営の検討を開始し、最終的にいずれかの方法で契約に至ったイエウール土地活用の相談者、集計対象約340件。内訳は「土地購入+建築」45%、「新築アパート購入」32%、「中古アパート購入」23%(相談時のヒアリング記録に基づく)。
半数近くがフルスクラッチ型を選んでいますが、資金的に厳しい方はどう判断すればよいのでしょうか。
アドバイス
自己資金比率20%を確保するのが難しい場合、私は中古アパート購入から始めて実績と自己資金を積み上げ、2件目でフルスクラッチ型に進むという段階的な進め方を提案することが多いです。
まとめ:3つの方法の選び方の目安
- エリア・間取りにこだわりたい方は → 土地購入+建築
- 早く家賃収入を得たいが自由度も残したい方は → 新築アパート購入
- 自己資金が限られる、まず実績を作りたい方は → 中古アパート購入
- いずれも迷う場合は → 複数社に建築プラン・収支シミュレーションを依頼して比較
初期費用全体の内訳はアパート経営の初期費用の記事、エリア別の建築費相場はアパート建築費用シミュレーションの記事でも詳しく解説しています。
\最適な土地活用プランって?/
土地からお探しの方は、まずはご希望のエリア、または現住所をご入力いただければ、最適なプランをご紹介します。
よくある質問
まとめ
土地なしでアパート経営を始める場合、必要な総資金は7,800万〜1.5億円、自己資金の目安は総額の20〜40%です。土地代の高い都心×狭小地の組み合わせでは土地ありの最大約3倍、郊外・地方であれば1.3〜2倍程度に収まるケースもあります。年間収支は土地ありオーナーの半分以下になりやすく、アパートローンの審査では自己資金比率20%が一つの分岐点になります。
まずは自分の年収・自己資金でどこまで借入ができるのか、無料の診断で概算を把握することから始めてみましょう。そのうえで複数の建築会社・金融機関の情報を比較しながら、自分に合った方法を選ぶことが、資金計画で失敗しないための一番の近道です。