アパートローン借り換えで損する人と得する人の違いは「残債×金利差」たった2つの条件だった

埼玉県さいたま市(郊外)在住・50代・男性(2026年6月)
「金利は下がってきているらしいけど、うちのアパートローンも借り換えた方がいいのか正直わからない。諸費用がかかると聞いたし、審査に落ちたら記録が残るとも聞くので、やみくもに動くのは怖い。」
「今の金利、もう少し安くならないか」「そろそろ借り換えを考えた方がいいのかな」——アパートオーナーとして、一度はそう考えたことがあるのではないでしょうか。
ところが実際に調べ始めると、「借り換えのメリット・デメリット」「手順の説明」ばかりで、「自分のケースは得なのか、損なのか」を判断できる情報がほとんど見つからないのが現実です。住宅ローンで購入した物件をアパートローンに借り換えたい方、三井住友銀行など特定の金融機関での借り換え条件を比較したい方も、同じ壁にぶつかっているはずです。
アパートローンの借り換えを30年以上現場で見てきた経験から言うと、借り換えで100万円以上の節約に成功するオーナーと、逆に余計なコストを払って後悔するオーナーには、明確な「条件の違い」があります。その違いを知らずに動くと、時間も費用も無駄になります。
この記事では、「自分の残債・金利・物件状況を当てはめて、借り換えが有利なケースかどうかを今日中に判断できる」ための情報を、現場経験に基づいて解説します。「借り換えしない方がよいケース」も正直にお伝えしますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「アパートローンの借り換えは、『金利が下がったから』という理由だけで動くと、後から『やらなければよかった』と後悔するケースが少なくありません。私が見てきた成功事例と失敗事例に共通するのは、『自分の数字を具体的に計算してから動いたかどうか』の一点です。この記事の内容を、ぜひご自身の状況に当てはめながら読んでみてください。」
アパートローン借り換えで100万円以上得するオーナーと、するべきでないオーナーの決定的な違い
「借り換えを考えているけれど、自分は対象になるのか」——この疑問への答えは、実はシンプルです。現場経験から言えるのは、借り換えのメリットが出るかどうかは、ほぼ「残債×残期間×金利差」の3つの数字で決まるということです。
ただし、その3つの数字が有利でも、借り換えをすべきでないケースも存在します。まずは「自分が有利なケース」と「やめた方がいいケース」の両方を確認してください。
借り換えが有利になる3つの条件
以下の3条件を全て満たすオーナーは、借り換えで大きなメリットが出る可能性が高いです。1つでも外れる場合は、次の「借り換えをすべきでない4ケース」も必ず確認してください。
この3条件が揃っている場合、残債5,000万円・残期間20年・金利差1%の試算では、総支払い額が約800万〜1,200万円削減になるケースが多いです(諸費用含む)。ただし、この数字はあくまで目安であり、実際の節約額は残債・金利・物件状況によって大きく変わります。
「金利差0.5%以上」という数字がなぜ基準になるのか、実際の相談データの内訳を見てみましょう。
借り換えで節約効果が出たケースの、借り換え前後の金利差分布
※直近2年間(2024〜2025年)のイエウール土地活用への融資相談・成約データのうち、借り換え後に実際の節約効果が確認できたケース(集計対象約340件)を分析。金利差の内訳は「0.5%以上」87%、「0.3〜0.5%未満」9%、「0.3%未満」4%(イエウール編集部調べ)。
【調査結果】直近2年間のイエウール土地活用への融資相談データを分析したところ、借り換え後に実際の節約効果が確認できたケース(集計対象約340件)のうち、約87%が金利差0.5%以上の条件でした。一方、金利差0.3〜0.5%未満でも節約効果が出たケースが9%、0.3%未満でも4%存在します。
※対象:直近2年間(2024〜2025年)にイエウール土地活用へ相談し、借り換えを実施したオーナーのうち、借り換え後の返済額減少を確認できたケース(集計対象約340件)。金利差の内訳は「0.5%以上」87%、「0.3〜0.5%未満」9%、「0.3%未満」4%。0.5%未満でも節約が出た13%のケースは、残債規模が大きい・諸費用が相場より低く抑えられたなど、他の条件が良好だったケースが中心(イエウール編集部調べ)。
担当者
0.5%未満でも節約できた13%の方は、いったい何が違ったのでしょうか。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「金利差だけで見ると条件を満たしていないように見えても、残債の規模が大きければ、同じ0.3%の差でも削減額そのものは大きくなります。もう一つは諸費用です。相見積もりを取って諸費用を借入額の4%台まで抑えられたケースは、金利差が0.4%でも十分に得になっていました。金利差はあくまで入り口の目安であり、実際は『金利差×残債』と『諸費用の大きさ』の掛け算で決まるとお考えください。」
担当者
具体的には、金利差が0.5%に届かない場合、何を確認すればよいのでしょうか。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「私が相談を受ける際は、まず残債1,000万円あたりの年間節約額を計算し、それが諸費用の見積もり額の10%を超えるかどうかを確認しています。超えていれば残期間10年でも十分に回収できる計算になるためです。あわせて、相見積もりで諸費用を借入額の5%台に収められないか、複数行に事前相談して比較することを具体的にお勧めしています。」
※本体験談は、アパートローンの借り換えを検討・実施された方への取材をもとに作成しています。取材は当メディア編集部が個別に実施し、個人が特定できないよう氏名・正確な住所等を加工・匿名化しています。掲載している費用・金利等の数値はご本人から提供いただいた情報に基づきます。
まず「自分の現在の金利が市場水準と比べて高いかどうか」を判断するための目安表を確認してください。これを知らずに「金利差0.5%以上かどうか」を判断しようとしても、比較対象がわかりません。
| 金融機関の種別 | 2026年時点の変動金利目安 | 高い金利の目安(借り換え検討圏) |
|---|---|---|
| 都市銀行・大手銀行 | 0.9〜1.8% | 2.5%以上 |
| 地方銀行 | 1.2〜2.5% | 3.0%以上 |
| 信用金庫・信用組合 | 1.5〜3.0% | 3.5%以上 |
| ノンバンク系 | 2.5〜5.0% | 4.5%以上 |
※2026年6月時点の市場水準を参考に記載。日銀の政策金利変動により変動します。「高い金利の目安」を超えている場合は、借り換えで0.5%以上の金利差を実現できる可能性が高くなります。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「『金利差0.5%』という数字、覚えておいてください。これが現場で体感してきた『借り換えが実際に得になる最低ライン』です。0.3%差でも諸費用を引くと結局マイナスになったというオーナーを何人も見てきました。まず現在の金利と市場水準の差を確認することが最初のステップです。」
借り換えをすべきでない4つのケース
ここが、他の記事ではほとんど書かれていない重要な情報です。「借り換えしてみたけど、後悔した」というオーナーの多くは、以下のどれかに当てはまっていました。
| ケース | 理由 |
|---|---|
| ①延滞履歴がある | 信用情報に傷がある状態では審査に通らない。審査落ちの記録が残り、次の融資にも影響する |
| ②空室率30%超 | 担保評価が下がり、新規融資の条件が悪化する。「収益性が低い物件」として審査で弾かれやすい |
| ③残期間5年未満 | 諸費用の回収期間(2〜4年)と残期間が競合し、実質的な節約額がほぼゼロになる |
| ④固定金利期間中 | 固定金利期間中に借り換える場合、違約金(残債の1〜3%)が発生するケースがある。必ず既存の契約書を確認する |
上記4ケースに1つでも当てはまる場合は、まず既存の銀行との金利交渉を優先することをおすすめします。借り換えではなく金利交渉で改善できるケースもありますので、状況に応じて手段を使い分けることが大切です。
「微妙なボーダーライン」の場合の考え方
「残債は1,500万円あるけど残期間が8年」「金利差は0.4%」——こうした「どちらともいえない」ケースも少なくありません。こういうときは、「諸費用の回収期間が残期間の半分以内に収まるか」を計算するのが現場で使える判断基準です。
「3条件を満たしているかもしれない」と感じた方は、まず自分のケースで実際にいくら借りられるかを診断してみることが次のステップです。
金利差0.5%で毎月いくら変わる?アパートローン借り換えの損益分岐を残債別に解説
「借り換えで毎月の返済がどれくらい減るのか」——この数字を見ずに動くのは危険です。「なんとなく得になりそう」という感覚だけで動いたオーナーが、後から「諸費用を足したらほとんど変わらなかった」と気づくケースを何度も目にしてきました。
まず、残債と金利差の組み合わせ別に、月々の返済削減額の目安を確認しましょう。次の早見表と計算式を使うことで、「自分は得なのか損なのか」をある程度自分で判断できるようになります。
残債×金利差別「月々の削減額早見表」
以下の表は、残期間20年・元利均等返済で試算した「月々の返済削減額(概算)」です。実際の削減額はご利用の金融機関・返済方式によって異なりますが、判断の目安としてご活用ください。
| 残債 \ 金利差 | 0.3% | 0.5% | 1.0% | 2.0% |
|---|---|---|---|---|
| 残債5,000万円 | 約6,200円 | 約10,400円 | 約20,700円 | 約40,200円 |
| 残債7,000万円 | 約8,700円 | 約14,500円 | 約29,000円 | 約56,300円 |
| 残債1億円 | 約12,400円 | 約20,700円 | 約41,400円 | 約80,400円 |
※残期間20年・元利均等返済・借り換え前後の金利差のみを変数として試算。実際の数値は金融機関・物件状況・手数料条件によって異なります。
表を見ていただくと、金利差が同じ0.5%でも残債の規模によって月々のインパクトが全然違うことがわかります。残債1億円なら月2万円、年間24万円以上の削減です。残期間20年なら総削減額は480万円になる計算です。一方、残債5,000万円・金利差0.3%では月6,200円の削減にとどまります。
諸費用の損益分岐回収期間の計算方法
借り換えを判断するうえで最も大切なのに、意外と見落とされがちなのが「諸費用の回収期間計算」です。借り換えには元の融資の返済手数料・新規融資の登記費用・事務手数料などが必要で、総額は借入額の5〜6%が目安です。根拠は2024〜2025年のイエウール土地活用への融資相談データで、成約案件の諸費用実績中央値が借入額の5.3%でした。
回収期間(年) = 諸費用総額 ÷ 年間節約額(月削減額 × 12) 具体例:残債7,000万円・金利差0.5%・残期間20年の場合
諸費用 = 7,000万円 × 5.5% = 385万円
年間節約額 = 14,500円 × 12ヶ月 = 174,000円
回収期間 = 385万円 ÷ 174,000円 ≒ 22.1年
→ 残期間20年なのに回収に22年かかる計算。このケースは金利差0.5%でも借り換えが得にならない
この計算例を見て「えっ?」と驚いた方も多いと思います。金利差0.5%という条件は「必要最低限」であって、それだけで借り換えが得になることを保証しないのです。残債の規模・残期間・諸費用の組み合わせによっては損益分岐が取れないケースも出てきます。これが「金利差0.5%以上」という条件だけを見て判断すると失敗する理由です。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「『諸費用を含めた回収計算』をしていないオーナーが、本当に多いんです。『月2万円減った、得した!』と喜んでいても、諸費用300万円の回収に12年以上かかるケースがあります。現場で一番多く見た失敗パターンがこれです。借り換え前に必ず『諸費用÷年間節約額』を計算してください。残期間の半分以内に回収できないなら、まず立ち止まることをお勧めします。」
「借り換えしない方がよい」諸費用シナリオの具体例
「計算してみたら借り換えが得にならなかった」という具体的なシナリオをお伝えします。こうしたケースは珍しくなく、事前に把握しておくことで余計なコストと時間を節約できます。
実際に借り換えを判断したオーナーの体験談
ここでは、実際に借り換えを検討・実施したオーナーの体験談をご紹介します。計算の過程と判断の分岐点に注目してみてください。
このケースで確認してほしいのは、「金利差1%超・残債8,000万円超・残期間18年」という条件が重なったとき、諸費用を差し引いても1,000万円超の節約効果が生まれるという点です。
この事例から読み取れるのは、「金利差1%以上・残債8,000万円超・残期間18年」という条件が揃えば、諸費用回収が5年以内に完了し、その後の期間で大きな節約効果が積み上がるという点です。
次の事例は、借り換えを「しなかった」ことが正解だったケースです。状況が整っていないうちに動くと何が起きるかに注目してください。
この事例から学べるのは、「残債が大きくても、空室率や残期間の問題があれば借り換えより金利交渉が得策になる」ということです。空室率の改善方法も参考にしながら、まず物件の収益性を整えることを優先してください。
最後に、「相続取得の物件は引き継いだ金利が高いことが多い」という盲点を突いた事例をご紹介します。
この事例から読み取れるのは、「相続取得の物件は引き継いだ金利が現在の市場水準より大幅に高いことが多く、借り換えの余地が非常に大きい」という点です。特に相続後に金利を確認していない方は、一度市場水準との差を調べることを強くおすすめします。
※本体験談は、アパートローンの借り換えを検討・実施された方々への取材をもとに作成しています。取材は当メディア編集部が個別に実施し、融資コンサルタント・ファイナンシャルアドバイザーへの確認を経て、個人が特定できないよう氏名・正確な住所等を加工・匿名化しています。掲載している費用・金利等の数値はご本人から提供いただいた情報に基づきます。借り換えの条件によって費用・節約額は変動します。
早見表と計算式を使って「自分のケースは得なのか損なのか」をある程度把握できたら、次は実際の審査で何が判断材料になるかを確認してください。審査の実態を知らずに動くと、必要のない手間と心理的ストレスを抱えることになります。
30年現場で見た「審査で落ちたアパートローン借り換え申込」の共通点
「どうせ審査なんて出してみないとわからない」——そう思っているオーナーも多いと思います。しかし、現場で30年間、アパートローンの融資相談を受け続けてきた立場から言うと、審査に落ちるケースには明確なパターンがあるのです。そのパターンを事前に知っているか知らないかで、時間・費用・信用情報への影響が大きく変わります。
しかも、審査落ちはただ「借り換えができなかった」だけでは終わりません。金融機関への申込記録が信用情報に一定期間残るため、次の融資機会に悪影響が出ることがあります。動く前に「自分は通る見込みがあるか」を事前に確認することが、現場で積み上げた最大の教訓です。
審査担当者が実際に見る5つのポイント
金融機関の審査担当者が「稟議書」を作成する際に確認する項目は、表向きの審査基準より細かいものです。以下は、30年間の現場経験で把握してきた「実際に確認されるポイント」です。
| 審査ポイント | 担当者が実際に見ていること |
|---|---|
| ①担保評価 | 物件の現在の市場価値が残債を上回るか。路線価・固定資産評価・周辺成約事例で独自評価する。担保割れ(物件価値<残債)の場合は原則否決 |
| ②空室率・稼働率 | 賃貸借契約書・家賃収入の通帳記録で実態を確認。空室率30%超は「収益性に問題あり」と判断される傾向が強い |
| ③延滞・返済履歴 | CIC・KSC・JICCの信用情報機関3社のデータを照合。過去5年以内の延滞記録があると審査で大幅減点。1回でも影響が出るケースがある |
| ④属性・収入安定性 | 給与所得者か自営業かで評価が変わる。自営業の場合、直近3年分の確定申告書で収入の安定性を見る。赤字年があると評価が下がる |
| ⑤既存ローンの総合負債 | アパートローン以外のローン(住宅ローン・カーローン・事業融資など)を含めた総合的な負債比率を確認。年収対比で負債が多すぎると否決になる |
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「『担保評価割れ』は申込前に自分では気づきにくいんです。物件を購入した当時の評価額のまま残債と比べている方が多いのですが、地域の相場や建物の経年劣化で評価が下がっていることがあります。申込前に『現在の担保評価がどのくらいか』を不動産仲介業者に概算で確認してもらうか、金融機関の担当者に事前相談で確認することをお勧めします。担保割れが発覚してから審査を出すと、落ちた記録だけが残ってしまいます。」
審査に落ちた案件に共通する3つのパターン
30年間で見てきた「審査落ち案件」の中で、特に多かったパターンを3つ紹介します。自分が当てはまっていないか確認してください。
パターン①:担保評価割れ(最多)
築年数の経過・エリアの地価下落・建物の劣化により、物件の担保評価が残債を下回っているケース。特に築20年超の木造物件で多く発生します。担保割れの状態では、どの金融機関でも原則として新規融資(借り換えも含む)は認められません。根拠:国土交通省「不動産価格指数(住宅)」(2024年9月分)によると、木造戸建の指数は鉄骨造・鉄筋コンクリート造に比べて経年による下落幅が大きい傾向があります(出典:国土交通省)。
パターン②:空室率30%超(2番目に多い)
賃貸経営の実態として「収益が上がっていない」と判断され、返済能力に疑問符がつく。特に地方エリアの物件や、管理会社を変えた直後の時期に多く見られます。「一時的に空室が多いだけ」という事情があっても、審査時点の稼働率が判断材料になります。
パターン③:延滞履歴(件数は少ないが影響が大きい)
過去5年以内の延滞記録がある場合、信用情報機関のデータに記録が残り審査で大幅減点になります。クレジットカードの支払い遅延も含まれるため、「アパートローンの延滞はないから大丈夫」と思っていたオーナーが、カードの延滞記録で落ちたケースも実際に見てきました。
通りやすい金融機関の選び方——自分の物件スペックに合う候補の絞り方
「どの金融機関に申し込めばよいか」は、物件の所在地・構造・収益状況によって大きく異なります。やみくもに複数行に申し込むと、審査記録が信用情報に積み重なるリスクがあります。
現場で30年間見てきた経験から言うと、「自分の物件スペックに合う金融機関を1〜2行に絞って、丁寧に事前相談をする」アプローチが、審査通過率と最終的な金利条件の両方で最も良い結果を出しています。具体的な金融機関の比較は次のH2で詳しく解説します。
借り換えを考えているオーナーがよく聞くのが「複数の銀行に同時に申し込んだ方が確率が上がるのでは?」という質問です。これは実際にはリスクになる場合があります。信用情報機関に申込記録が残り、「なぜこんなに多くの金融機関に申し込んでいるのか?」と疑問を持たれることがあるからです。
では、何行くらいに申し込むのが適切なんでしょうか? 私の物件は築17年の木造アパートで、今の空室率は15%です。まずどこに当たればいいのか全然わかりません。
空室率15%・築17年の木造アパートなら、まず地方銀行か信用金庫への事前相談から始めることをお勧めします。都市銀行は築古の木造物件の担保評価を保守的に見る傾向があります。事前相談(本申込前の相談)は信用情報に記録されませんので、2〜3行に事前相談をして感触を確かめてから、最も条件のよい1〜2行に本申込をするのが理想的なフローです。
事前相談は信用情報に残らないんですね! それなら安心して相談に行けます。でも、地方銀行と信用金庫だと金利が高くなりませんか?
確かに都市銀行より高い場合がありますが、「審査に通ること」と「金利が低いこと」は別の話です。都市銀行で低金利の条件を提示されても、担保評価が通らなければ借り換えはできません。まず通過できる金融機関を見つけることが先決で、金利は事前相談の段階でも交渉の余地があります。複数の選択肢を持ったうえで「どちらが有利か」を判断することが重要です。
なるほど、「通ることが先、金利の比較は次のステップ」という考え方ですね。まず地方銀行と信用金庫に事前相談に行って、感触を確かめながら進めてみます。具体的な順番と判断の仕方がわかって、ようやく動けそうです。
担当者
「何行に申し込めばよいか」というご相談は、窓口でも日々多く寄せられています。申込先を絞り込めず時間だけが過ぎてしまう方が多い印象です。
自分の物件に合う金融機関を絞り込んだ上で行動することで、審査通過の確率と最終的な金利条件の両方が改善します。審査の実態を把握したら、多くの方が気になるのが「自分と同じような属性・物件の人は、実際いくら借り換えられているのか」という点です。
「変動か固定か」「どの金融機関か」——アパートローン借り換えで後悔しないための判断軸
「どの金融機関に相談すればよいか」「変動金利と固定金利どちらを選べばよいか」——この2つの疑問は、借り換えを検討するほぼ全てのオーナーから受ける質問です。正直に言うと、これは物件の状況と個人の属性によって答えが変わるため、一概に「これが正解」とは言えません。
ただし、判断の「軸」はあります。その軸を正確に理解しているかどうかで、借り換え後の満足度が大きく変わります。
金融機関5類型の比較表
金融機関によって、金利水準・審査基準・対応エリアが全く異なります。以下の比較表を参考に、自分の物件スペックに合う候補を絞り込んでください。
| 金融機関種別 | 金利目安 | 審査難度 | 審査で重視するポイント | 向いているオーナー |
|---|---|---|---|---|
| 都市銀行 | 変動1.0〜1.8% 固定2.0〜3.0% |
高い | 属性(勤務先・年収)・担保評価・全国基準の厳格な審査 | 大手企業勤務・高年収・RC造の新築〜築10年以内の物件 |
| 地方銀行 | 変動1.2〜2.5% 固定2.5〜3.5% |
中程度 | 地域密着・収益性・担保評価。地元物件の評価に柔軟なことが多い | その地域に物件がある・地元に取引実績のあるオーナー |
| 信用金庫 | 変動1.5〜3.0% 固定2.8〜4.0% |
比較的低い | 地域密着・個別事情を考慮しやすい。事業主としての信頼関係も重視 | 自営業・中小企業オーナー・築古物件でも収益が安定しているオーナー |
| ノンバンク | 変動2.5〜5.0% 固定3.5〜6.0% |
低い | 担保重視・属性の柔軟性が高い。延滞履歴があっても対応可能なケースも | 銀行審査に落ちたオーナー(ただし金利が高くなる点に注意) |
| 政策公庫(日本政策金融公庫) | 固定1.5〜3.0%(固定のみ) | 中程度 | 事業計画の妥当性・収益性。賃貸事業としての安定性を審査 | 固定金利で安定した返済を希望するオーナー・事業計画を明確に説明できるオーナー |
※金利はあくまで目安であり、物件状況・申込者属性・金融機関の方針によって変動します。2026年6月時点の市場水準を参考に記載しています。
【金利水準ランキング】金融機関タイプ別の金利傾向
ここまでの比較表を、変動金利の低い順にランキング形式で整理し直します。ただし「金利が低い=自分にとって最適」ではない点に注意してください。審査難度・対応エリア・次の融資への対応力もあわせて確認する必要があります。
三井住友銀行など都市銀行での借り換え審査の傾向
三井住友銀行など、特定の金融機関名で調べているオーナーも多いと思います。個別の確定金利をこの記事で断定することはできませんが、現場経験から言える傾向をお伝えします。三井住友銀行をはじめとする都市銀行は、全国統一基準での審査を行うため、地域を問わず一定水準の担保評価・属性基準をクリアする必要があります。一方で、地域限定の優遇金利キャンペーンや、給与振込・資産運用との取引実績による金利優遇が用意されていることもあり、既に取引がある場合は借り換え時にも有利に働くことがあります。都市銀行での借り換えを検討する場合は、まず既存の取引実績(給与振込・預金残高など)があるかを確認したうえで、事前相談に臨むことをおすすめします。
アパートローン借り換え 金利一覧表(金融機関タイプ別)
各金融機関タイプに借り換えた場合の金利が気になっている方向けに、変動・固定それぞれの金利目安を一覧表として再掲します。
| 金融機関タイプ | 変動金利目安 | 固定金利目安 |
|---|---|---|
| 都市銀行 | 1.0〜1.8% | 2.0〜3.0% |
| 地方銀行 | 1.2〜2.5% | 2.5〜3.5% |
| 信用金庫 | 1.5〜3.0% | 2.8〜4.0% |
| 政策公庫 | —(固定のみ) | 1.5〜3.0% |
| ノンバンク | 2.5〜5.0% | 3.5〜6.0% |
※2026年6月時点の市場水準の目安です。個別の金融機関・審査結果によって実際の金利は変動します。「不動産投資ローン」として提供されている商品も、アパートローンとほぼ同様の水準・審査傾向です。
変動金利を選んではいけない3つのケース
「変動金利の方が低い」という理由だけで選ぶと、後から大きなリスクを抱えることになります。以下のケースに当てはまる場合は、固定金利または固定期間選択型を検討してください。
ケース①:現在ギリギリの収支バランスで運営しているオーナー
変動金利は日銀の政策金利変更に連動して上昇する可能性があります。2024年以降の日銀の方針変更で、変動金利は実際に上昇傾向にあります。毎月の収支が薄い状態で変動金利を選ぶと、金利上昇時に即座に経営が苦しくなります。
ケース②:残期間が長く(15年以上)、金利変動リスクを長期間抱えるオーナー
残期間が長いほど、金利変動の影響を受ける期間が長くなります。15年以上の残期間がある場合、固定期間選択型(5年・10年固定)や全期間固定を検討することをおすすめします。
ケース③:他のローンも変動金利で抱えているオーナー
住宅ローンも変動金利の場合、金利上昇時にアパートローンと住宅ローンが同時に返済額増加という状況になります。リスクを分散させるため、どちらかを固定金利にすることを検討してください。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「『金利だけで金融機関を選んではいけない』——これは現場で何度も伝えてきた言葉です。ある銀行が他行より0.2%低い金利を提示していたとしても、その銀行が次の物件購入や増築融資に『積極的に対応しない方針』を持っている場合があります。今回の借り換え先が、次の拡大局面でも付き合える金融機関かどうかを必ず確認してください。特に複数の物件を持つことを考えているオーナーには重要な視点です。」
アパートローン借り換えで「損したオーナー」の実例——してはいけない3つの判断ミス
借り換えで後悔するオーナーには、共通する「判断ミスのパターン」があります。「自分は大丈夫」と思っていた方が、気づいたら損をしていたというケースを30年間で何度も見てきました。ここでは特に影響が大きかった3つのパターンを、具体的な事例とともに解説します。
判断ミス①:諸費用を甘く見て「節約どころかマイナス」になった事例
「月々の返済が減った」という事実だけを見て喜んでいたが、実際には諸費用を含めるとマイナスになっていた——このパターンが最も多く、最も後悔が大きいケースです。
このケースで確認してほしいのは、「諸費用の計算を怠ったことで、得になると思っていた借り換えが逆に損になる」という点です。
この事例から読み取れるのは、「諸費用の見積もりを事前に金融機関から書面でもらっておくこと」の重要性です。口頭での概算ではなく、書面での見積もりを必ず取得してから判断してください。
判断ミス②:既存銀行との関係を切ったら「次の融資が通らなくなった」事例
借り換えで「今のローンさえ安くなれば」と考えるオーナーが陥りやすいのが、既存の金融機関との関係性を軽視するミスです。現場で見てきた中で「一番後悔が大きかった」と言われるケースがこれです。
この事例から読み取れるのは、「借り換えは今のローンの最適化だけでなく、次の融資機会まで見据えた戦略的な判断が必要」という点です。担保設定と金融機関との関係性についても、借り換え前に確認しておくことをおすすめします。
判断ミス③:変動金利に借り換えて金利上昇で返済増——避けられた損失
「変動金利の方が低いから」という理由だけで選んだ結果、金利上昇局面で返済額が増加し、当初の節約効果が打ち消されてしまったケースです。2024〜2025年にかけての日銀の利上げ局面で、実際に複数のオーナーから相談を受けました。
残債8,000万円・借り換え前金利2.2%(固定)→ 借り換え後金利1.5%(変動)で借り換えた場合:
借り換え直後の年間節約額 = 約44万円(月約3.7万円×12)
借り換え2年後:変動金利が1.5%→2.0%に上昇
返済増加額 = 約26万円/年
実質節約額 = 44万円−26万円 = 約18万円/年に縮小
さらに金利が2.5%まで上昇すると、当初の固定金利2.2%と逆転し「借り換えなかった方がよかった」状況に。
変動金利を選ぶ場合は、「金利が1%上昇した場合の返済額増加額」を事前に計算し、その金額を毎月の収支が耐えられるかを必ず確認してください。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「3つの失敗事例に共通するのは、『今だけを見て将来を見ていなかった』という点です。借り換えは今の返済を最適化するだけでなく、5年後・10年後の経営状態まで見据えた意思決定です。『今月の返済が減る』という感覚だけで動くのではなく、諸費用・金利変動リスク・金融機関との関係性まで含めて総合的に判断することが、『後悔しない借り換え』の条件だと感じています。」
アパートローン借り換えを決断したら——最短で完了させる5ステップと必要書類
「借り換えが有利と判断できた」「審査の見込みもありそうだ」と確信できたら、次は具体的に動くフェーズです。借り換えは手続きが多く感じますが、正しい順番で進めることで通常3〜4ヶ月で完了します。
各ステップの詳細な手続きフローや必要書類の全リストは借り換えの詳細な手続きフローはこちらで確認できますが、ここでは全体像と各ステップの所要期間の目安を把握しておきましょう。
借り換えを最短で完了させる5ステップ
2〜3行の金融機関に事前相談(本申込前の非公式相談)を実施。この段階では信用情報への記録は発生しません。「どのくらいの金利条件が出そうか」「担保評価の見通しはどうか」を確認してから絞り込みます。
絞り込んだ1〜2行に本申込。必要書類(確定申告書・賃貸借契約書・登記簿謄本・収支計算書など)を提出します。審査期間は金融機関によって異なりますが、通常3〜6週間かかります。
審査通過後、金利・返済期間・諸費用の最終条件を確認して契約。この段階で団信(団体信用生命保険)の特約内容も見直すことができます。借り換えは団信を切り替える絶好の機会です。
新しい金融機関からの融資実行と同時に、既存のローンを一括返済します。このタイミングで既存行への繰上返済手数料が発生するため、事前に金額を確認しておくことが重要です。
既存ローンの完済に伴い、旧金融機関の抵当権を抹消し、新金融機関の抵当権を設定します。司法書士を通じて手続きします。この費用も諸費用として発生します。全ての登記が完了して借り換えが正式に完結します。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「借り換えで一番多く聞く『やっておけばよかった』は、『ステップ1の事前相談を端折って、いきなり本申込をした』という後悔です。事前相談は担当者との関係づくりにもなり、審査書類で何を重点的に揃えれば評価が上がるかを事前に教えてもらえることもあります。時間に余裕を持って、まず事前相談から動くことを強くお勧めします。」
「住宅ローンからアパートローンへの借り換え」は可能?併用ローンの借り換え条件
ここまでは「アパートローン→アパートローン」の借り換えを前提に解説してきましたが、「もともと住宅ローンで購入した物件を、賃貸に出すことになった」「住宅ローンのままアパート経営を始めてしまった」というオーナーからのご相談も少なくありません。この場合、通常のアパートローン借り換えとは異なる注意点があります。
住宅ローンからアパートローンへ借り換えられる条件
住宅ローンは「自己居住用」であることが融資の前提条件です。物件を賃貸に出している、または出す予定がある場合、本来は住宅ローンからアパートローン(または賃貸経営用ローン)への借り換えが必要になります。以下の条件に該当する場合は、早めに借り換えを検討してください。
住宅ローン契約では「自己居住用であること」が条件になっているため、転勤・相続・住み替えなどの事情で賃貸に出す場合、金融機関に届け出ずに賃貸を続けると契約違反(金利優遇の取り消し、一括返済請求)のリスクがあります。賃貸に出す予定が決まった時点で、早めに金融機関に相談し、アパートローンへの借り換えを検討することが重要です。
住宅ローンからアパートローンへの借り換えが可能かどうかは、通常の借り換え条件(残債・残期間・金利差)に加えて、以下の点が審査で確認されます。
| 確認項目 | 通常の借り換えとの違い |
|---|---|
| 賃貸としての収益性 | 住宅ローンには収益性の審査がないが、アパートローンでは家賃収入・空室率など事業性の審査が新たに必要になる |
| 物件の用途変更手続き | 自己居住用から賃貸用への用途変更に伴い、登記上の扱いや火災保険の見直しが必要になる場合がある |
| 金利水準 | 住宅ローンより金利が上がるケースが一般的(住宅ローンは0.3〜1.0%台、アパートローンは1.0%台以上が目安) |
通常の借り換えとの審査基準の違い
住宅ローンからの借り換えでは、「これから賃貸経営を始める」段階のケースも多く、実績となる収益データがまだ存在しないことがあります。この場合、金融機関は近隣の家賃相場・想定稼働率をもとに事業計画書を審査するため、通常のアパートローン借り換え(既存の収益実績が審査対象)よりも、事業計画の説得力が重視される傾向があります。
まとめ——アパートローン借り換えで「後悔しない判断」をするために
この記事で伝えてきたことを、最後にまとめます。
全ての条件が整い、「動くべきだ」と判断できた方は、まず自分のケースでいくら借りられるかを専門家に確認することが最初のアクションです。頭の中の「なんとなく有利そう」を「数字で確信」に変えてから動くことで、後悔のない借り換えが実現します。
一方、「借り換えの条件が整っていないが金利を下げたい」という方には、借り換えではなく既存行への金利交渉という選択肢があります。審査落ちリスクなしで金利引き下げを実現できるケースもあるため、空室率が高い・残期間が短いオーナーはまずこちらを検討してください。
ここまでの内容で「自分は借り換えを進めるべき」と判断できた方は、次は具体的な選択肢の比較です。1つの金融機関・1つのプランだけで決めず、複数の選択肢を比較したうえで最終判断することをおすすめします。
\最適な土地活用プランって?/
土地からお探しの方は、まずはご希望のエリア、または現住所をご入力いただければ、最適なプランをご紹介します。