8000万円の建築費の場合どんなアパートが建つ?収益性も紹介します

埼玉県さいたま市(郊外)在住の50代・女性
「親から引き継いだ土地でアパート経営を考えていますが、大手ハウスメーカーの見積もりが8000万円近くになり驚いています。この金額は高いのか、それとも普通の相場なのか、まず知りたいです。」
アパート建築費として8000万円という見積もりを提示されると、「この金額は適正なのか」「本当にその予算で収益が出るのか」と不安になりますよね。特に土地活用が初めての方にとって、8000万円という金額の妥当性を自分だけで判断するのは簡単ではありません。
本記事では、実際にアパート建築費が7,000万円台〜8,000万円台だった実例80件のデータをもとに、8000万円で建てられる規模の目安・収益シミュレーション・予算内で収益性を高めるポイントまで、順を追って解説します。読み終える頃には、ご自身の土地で8000万円という予算が妥当かどうかを、具体的な数字で判断できる状態になります。
【シミュレーター設置】私のアパート建築費は?
アパート建築費8000万円は高い?全国相場と比べて検証
建築費8000万円は全国平均とほぼ同水準
まず結論からお伝えすると、アパート建築費8000万円は、極端に高い金額でも安すぎる金額でもありません。構造によっては十分な戸数を確保できる、平均的な予算規模です。
▼構造別の坪単価相場(全国平均)
| 構造 | 坪単価の目安 |
|---|---|
| 木造 | 約74万円〜85万円 |
| 軽量鉄骨造 | 約90万円〜110万円 |
| 重量鉄骨造 | 約110万円〜130万円 |
| 鉄筋コンクリート造(RC造) | 約123万円〜155万円 |
出典:国土交通省「建築着工統計調査」(2025年)の構造別工事費予定額をもとに、坪単価水準へ換算してイエウール編集部が作成。地域・仕様グレードによって数値は変動するため、目安としてご参照ください。
坪単価がわかっても「では自分の土地でどのくらいの規模が建つのか」がわからなければ、8000万円という予算を判断材料にできません。次の項で、坪数・構造ごとに建てられる規模の目安を確認していきましょう。
坪数・構造別に見る、8000万円で建てられる規模の目安
坪単価に延床面積を掛け合わせると、建築費のおおよその総額が試算できます。8000万円の予算で確保できる延床面積の目安は、構造によって以下のように変わります。
▼建築費8000万円の場合に確保できる延床面積の目安(構造別・総額に対する付帯工事費込み概算)
| 構造 | 坪単価目安 | 確保できる延床面積の目安 |
|---|---|---|
| 木造 | 約80万円 | 約77坪 |
| 軽量鉄骨造 | 約100万円 | 約62坪 |
| 重量鉄骨造 | 約120万円 | 約51坪 |
| RC造 | 約140万円 | 約44坪 |
※建築費総額を延べ床面積の坪単価(付帯工事費込み)で除した簡易計算です。建ぺい率・容積率・前面道路の幅員・地盤改良の有無などにより実際に建てられる規模は変動します。
延べ床面積とは、建物の各階の床面積をすべて合計した面積のことです。土地の坪数そのものではなく、階数を増やすほど延べ床面積は広くなります。
そのため、土地が狭くても階数を増やすことで戸数を確保できる点が、次の章の実例からもわかります。
※宅地建物取引士・早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了・年間30回以上の講演実績
「坪単価だけを見て構造を決めると、後で融資条件で不利になることがあります。
構造によって法定耐用年数が異なり、それに応じて金融機関が組める融資期間の上限も変わるためです。坪単価の安さだけで木造を選ぶと、月々の返済額がかえって重くなるケースがあります。
建築会社から見積もりを取る際は、坪単価と合わせて融資期間のシミュレーションも必ず確認してください。」

【実例80件データ】建築費8000万円で建ったアパートの具体的な仕様
▼建築費8000万円前後の実例比較(80件のデータから抽出した代表例)
| 事例① | 事例② | 事例③ | |
|---|---|---|---|
| 土地面積 | 50坪 | 80坪 | 100坪 |
| 構造 | 鉄骨造 | 鉄筋コンクリート造 | 鉄筋コンクリート造 |
| 階数 | 3階建て | 2階建て | 2階建て×2棟 |
| 戸数 | 9戸 | 12戸 | 8戸(4戸×2棟) |
| 建築費 | 7,900万円 | 7,000万円 | 7,900万円 |
直近2年間にイエウール土地活用で建築プランの見積もりを取得した方のうち、建築費7,000万円台〜8,000万円台でアパートを建築した80件の実例を集計したデータです。
事例①:50坪の土地に建てた3階建て・9戸のアパート
1つ目は、50坪という比較的コンパクトな土地に、鉄骨造3階建て・9戸のアパートを建てた40代・女性の事例です。建築費は7,900万円でした。共用部分を最小限にして各部屋を広く確保し、採光と通風を優先した間取りにしたことがポイントです。
50坪という土地面積だけを見ると戸数は少なく感じるかもしれませんが、階数を1つ増やすだけで戸数は大きく変わります。階数を増やすほど延べ床面積が広がり、同じ土地面積でも確保できる戸数が増えるためです。
ただし、戸数を増やしても空室が目立てば収益性は上がりません。周辺の競合物件を調査せずに戸数だけを優先すると、想定より入居率が下がり、月々の手取りが数万円単位で減ることもあります。事前に周辺エリアの競合物件の設備・家賃水準を確認したうえで、戸数と設備投資のバランスを決めることが重要です。
※宅地建物取引士・早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了・年間30回以上の講演実績
「階数を増やす判断は、戸数だけでなく法的な制約とセットで検討する必要があります。
3階建て以上になると、エリアによっては斜線制限や日影規制の対象となり、想定した戸数を確保できないケースがあります。設計段階でこれらの制限に抵触しないかを必ず確認してください。
複数の建築会社に同じ条件でプランを依頼し、戸数・間取りの違いを比較することをおすすめします。」
事例②:80坪の土地に建てた2階建て・12戸のアパート
2つ目は、80坪の土地に鉄筋コンクリート造2階建て・12戸のアパートを建てた30代・男性の事例です。建築費は7,000万円でした。この方はコスト削減よりも快適性を優先し、防音性の高い壁や建築材質にこだわった点が特徴です。
戸数が12戸と多いことから、収益性に加えて相続税対策としての効果も期待できます。相続税の評価額を算出する際、賃貸物件は賃貸割合が大きいほど評価額が下がるため、戸数が多いほど節税効果が高まりやすい傾向があるためです。
そうとは限りません。実際に入居している状態でなければ賃貸割合としてカウントされないため、戸数を増やしても空室が多いままでは節税効果は限定的です。戸数と入居率をセットで確保できる計画かどうかを確認する必要があります。
※宅地建物取引士・早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了・年間30回以上の講演実績
「相続税対策を目的にアパートを建てる場合、戸数の多さだけで判断するのは危険です。
市場全体で見ても、単身向け・ファミリー向けなど需要の変化は数年単位で起こります。戸数を増やす前に、周辺エリアの世帯構成の推移を確認しておくことが重要です。
相続税対策と収益性の両方を満たすには、需要が安定しているエリアかどうかをまず調べてください。」
事例③:100坪の土地に2棟建てたアパート
3つ目は、100坪の土地に鉄筋コンクリート造2階建てのアパートを2棟(1棟あたり4戸)建てた50代・男性の事例です。建築費は7,900万円でした。100坪ほどの広さがあれば、複数棟に分けて建築・経営することも可能という点が特徴的な事例です。
複数棟にする最大のメリットは、リスクを分散できる点にあります。設備やターゲット層が異なる建物を2棟建てることで、1棟の入居率が思わしくなくても、もう1棟でカバーできる可能性が高まるためです。
- 空室リスクの分散
1棟の稼働が落ちても、もう1棟の収益でカバーできる可能性がある - ターゲット層の分散
棟ごとに設備・間取りを変え、単身者向け・ファミリー向けなど異なる層を取り込める - 自宅併用も選択肢に
1棟を自宅、もう1棟を賃貸住宅とすれば、維持管理の手間を抑えつつ土地を活用できる
※宅地建物取引士・早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了・年間30回以上の講演実績
「複数棟経営は分散効果がある一方、管理コストが単純に2倍になる点は見落とされがちです。
建物が2棟になれば、外壁・設備の修繕サイクルもそれぞれ発生するため、長期の収支計画は棟ごとに立てる必要があります。1棟で管理会社を分けるかどうかも事前に検討してください。
複数棟にする場合は、修繕費・管理費を棟別に試算したうえで最終判断することをおすすめします。」

建築費8000万円のアパートで得られる収益性はどのくらいか
想定利回り・表面利回り・実質利回りの違いと落とし穴
アパート経営の収益性は利回りで確認しますが、利回りには3種類あり、どれを見るかで数字が大きく変わります。
▼利回り3種類の計算式と特徴
| 利回りの種類 | 計算式 |
|---|---|
| 想定利回り | 満室時の年間家賃収入 ÷ 建築費 × 100 |
| 表面利回り | 年間家賃収入 ÷ 建築費 × 100 |
| 実質利回り | (年間家賃収入-経費)÷(建築費+諸費用)× 100 |
※建築プランの資料に記載される利回りは、想定利回りで計算されているケースが多い数値です。
想定利回り・表面利回りは経費を含まないため、実際の収益性より高く表示されます。建築時の諸費用(100万円〜)や維持管理費、ローン返済を考慮すると、実質利回りは想定利回りより1〜3ポイント程度低くなるのが一般的です。プランを比較する際は、想定利回りをそのまま鵜呑みにせず、必ず実質利回りベースで比較してください。
次の項で、実例①の条件をもとに実際の収支をシミュレーションしてみましょう。
事例①をもとにした収益シミュレーション
先ほど紹介した事例①(50坪・鉄骨造3階建て・9戸・建築費7,900万円)の条件をもとに、収益シミュレーションを行います。
▼シミュレーション条件
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 家賃 | 7万円/戸 |
| 空室率 | 10% |
| 自己資金 | 790万円(建築費の1割) |
| 諸経費率 | 15% |
| 借入期間 | 25年 |
| 金利 | 2% |
▼シミュレーション結果
| 項目 | 金額・数値 |
|---|---|
| 月々の返済額 | 約30万円 |
| 年間支出(諸経費込み) | 約550万円 |
| 手取り/年 | 約205万円 |
| 表面利回り | 9.6% |
| 実質利回り | 7.2% |
※家賃・空室率・金利など上記条件を用いた簡易計算(計算式:年間家賃収入÷建築費×100など)です。実際の収支は建築会社の見積もり内容・エリアの家賃相場・借入条件により異なるため、目安としてご参照ください。
表面利回り9.6%に対して実質利回りは7.2%と、2.4ポイントの差が生まれています。アパート経営では、実質利回り5%以上を確保できているかどうかが、収益性を判断する一つの目安になります。
- プラン比較の出発点として使う
複数の建築会社から出てきた想定利回りを、この実質利回りの水準と比べて経費・諸費用が正しく織り込まれているかを確認する - 自分の土地の条件に置き換えて再計算する
家賃相場・空室率はエリアによって異なるため、必ず自分の土地の家賃相場に置き換えて試算し直す - 断定材料としては使わない
この数値は一例であり、自分の物件の実質利回りが保証されるわけではない点に注意する
※宅地建物取引士・早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了・年間30回以上の講演実績
「利回りの数字だけを見て契約を決めるのは避けてください。
金利や家賃は市況によって数年単位で変動するため、シミュレーション時点の数字がそのまま続く保証はありません。家賃が1割下がっても実質利回りがプラスを維持できるかを必ず確認してください。
複数社に同じ条件でシミュレーションを依頼し、前提条件の違いを比較することをおすすめします。」

建築費8000万円の予算で収益性を高める4つのポイント
8000万円は決して小さな投資額ではないため、失敗を避けるための確認ポイントを押さえておきましょう。
地域ニーズと競合物件を調査し差別化する
アパート経営における最大のリスクは空室リスクです。建築予定地の周辺にどのようなニーズがあるかを事前に把握しておくことで、このリスクを大きく減らせます。
たとえば、セキュリティ設備や駐車場への需要が高いエリアであれば、これらを備えたアパートにすることで入居率を高めやすくなります。近くに競合物件が複数ある場合は、その設備・家賃水準を調べたうえで、間取りや設備を工夫することが重要です。
※宅地建物取引士・早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了・年間30回以上の講演実績
「エリアのニーズは数年単位で変化することを前提に計画してください。
今は単身者向けの需要が高いエリアでも、周辺の開発状況によって数年後にファミリー層の流入が増えることがあります。直近だけでなく、周辺の開発計画も合わせて確認してください。
自治体の都市計画情報や人口動態のデータを、建築会社の担当者と一緒に確認することをおすすめします。」
自己資金比率と収支計画をあらかじめ固める
アパート建築には多額の資金が必要になるため、建築費に対して少なくとも1割、できれば3割以上の自己資金を用意しておくことをおすすめします。
アパートローンは自己資金なしのフルローンで組むことも可能ですが、不確実性の高いアパート経営では収支計画の見直しを迫られる場面も少なくありません。ある程度の自己資金を用意しておくことで、金利上昇や空室率の悪化にも対応しやすくなります。
- 自己資金1割程度
最低限のラインとして融資審査は通りやすいが、金利上昇時の余力は小さい - 自己資金2割程度
月々の返済負担を抑えつつ、ある程度の空室にも耐えられる水準 - 自己資金3割以上
より高い利回りを目指しやすく、収支計画の見直しにも余裕を持って対応できる
※宅地建物取引士・早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了・年間30回以上の講演実績
「自己資金の水準は、金利が今後上昇する可能性も踏まえて決めてください。
フルローンで組んだ場合、金利が1%上昇するだけで月々の返済額が数万円単位で増えることがあります。金利上昇シナリオも含めた収支計画を、契約前に必ず確認してください。
建築会社に金利上昇シミュレーションを依頼し、返済額の変化を数値で把握しておきましょう。」
複数の建築プランを必ず比較検討する
アパート建築の多くはハウスメーカーや工務店と契約を結びますが、建築会社によって提案されるプラン内容や建築費の内訳には大きな差があります。
特に建築費用の内訳は会社ごとに異なるため、契約前にどのような費用が別途かかるのかを明確にしておくことが重要です。建築費・収支計画・アフターサービスまで含めて比較することで、8000万円という予算に見合ったプランかどうかを判断できます。
※宅地建物取引士・早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了・年間30回以上の講演実績
「1社だけの見積もりで判断すると、建築費の適正さを客観的に確認できません。
同じ土地・同じ戸数の条件でも、会社によって坪単価の考え方や付帯工事費の範囲が異なります。最低でも2〜3社に同一条件で見積もりを依頼してください。
建築費・利回り・アフターサービスの3点を横並びで比較し、総合的に判断することをおすすめします。」


まとめ:建築費8000万円のアパートで後悔しないための次の一歩
アパート建築費8000万円は、鉄骨造やRC造で2〜3階建てのアパートが建てられる、平均的な予算規模です。土地の広さや構造次第では十分な戸数を確保できるため、収益性・相続税対策の両面で期待が持てます。
ただし、8000万円という金額そのものよりも、その予算で自分の土地・エリアに合ったプランになっているかが、収益を左右する本質的なポイントです。
- 自分の土地の坪数で確保できる戸数を確認する
本記事の坪数別データをもとに、まずは自分の土地でどの程度の規模が建てられるか概算を把握する - 実質利回りベースで収支を試算してもらう
想定利回りではなく、経費・諸費用を含めた実質利回りでシミュレーションを依頼する - 複数の建築会社に同一条件で見積もりを依頼する
建築費・利回り・アフターサービスを横並びで比較したうえで判断する
