アパート経営の年収、儲かる人と儲からない人では黒字化まで年数が数年変わる|条件を解説

埼玉県川口市(郊外)在住の50代・男性(2026年5月・イエウール土地活用へのご相談より)
「相続した土地にアパートを建てれば年収が数百万円増えると聞きました。ただ、調べるほど『やめたほうがいい』という話ばかり出てきます。自分の土地だと本当に儲かるのか、何年で元が取れるのかを知りたいです。」
親から引き継いだ土地や、住まなくなった実家の土地。「アパートを建てれば毎年いくらの年収になるのか」を調べているうちに、「アパート経営はやめたほうがいい」「儲からない」という記事にたどり着いて、手が止まってしまった方は多いのではないでしょうか。
不安になるのは当然です。アパート経営の年収は、同じ8,000万円の建物を建てても、自己資金・空室率・金利の3つが少し違うだけで大きく変わります。イエウール土地活用の試算では、同じ自己資金2割・同じ建築費で比べても、投じた自己資金を回収して黒字化するまでの年数が、条件次第で約6年と約12年に分かれます。「儲かるかどうか」は、アパート経営という手段そのものではなく、あなたの土地と資金の条件が決めています。
この記事では、アパート経営の年収の相場と内訳、融資割合別の手取りシミュレーションに加えて、儲かる条件・儲からない条件の切り分けと、黒字化までの目安年数までを整理します。イエウール土地活用は特定のハウスメーカーに建ててもらうための会社ではなく、複数の会社・複数の活用方法を横に並べて比べていただくためのサービスです。だからこそ「この条件ならアパート経営はおすすめしません」とも書けます。読み終えたときに、ご自身がどちら側に近いかに加えて、自己資金をいくら用意するか・戸数をいくつにするかの2つを、数字で決められる状態を目指してください。
この記事の結論(5行)
- 統計上の平均年収は540万円。ただしローン返済中の1棟目で手元に残るのは年100〜300万円台が中心。
- 分かれ目は立地ではなく、自己資金・空室率の前提・修繕積立の3つ。
- 同じ8,000万円の建物でも、黒字化までは約6年と約12年に分かれる(実績では+2〜3年)。
- 着工前なら、自己資金の額と戸数の2つでこの年数を動かせる。建てた後では動かせない。
- アパート経営を第一希望として相談された方のうち、実際にアパート経営を選んだのは42%。残る58%は他の活用や売却を選んでいる。
アパート経営の年収が儲かる水準になるかを先にセルフチェックする
相場や内訳を読む前に、まずご自身の条件を確認しておくと、この先の数字の見え方が変わります。以下は、イエウール土地活用の相談記録のうち、開始から5年以上が経過して収支が想定どおりに推移しているケースに共通していた10項目です。当てはまるものを数えてください。なお、これは入力・自動計算を行う診断ツールではなく、ご自身で確認していただくための静的なチェックリストです。
- 建築費の2割以上を自己資金で用意できる
頭金と諸経費を借入に含めずに払える状態か - 空室率10%で試算しても年間の手取りが黒字になる
満室想定でしか収支が合わないなら該当しない - 最寄り駅まで徒歩15分圏、または1戸1台の駐車場を確保できる
車社会のエリアでは駐車場の有無が入居率を左右する - 土地の所在する市区町村の人口・世帯数が横ばい以上である
世帯数は自治体の統計ページで確認できる - 10〜15年後の大規模修繕費を別に積み立てられる
1戸あたり50〜80万円が目安 - 金利が3%まで上がっても返済を続けられる
変動金利で借りる場合は必ず確認する - 家賃を年0.5〜1%下げても20年目の手取りがプラスになる
新築時の家賃が続く前提で考えていないか - 土地の相続・名義の問題が解決している
共有名義のままだと融資も建築も進まない - アパート以外の活用方法・売却の概算も一度は比べた
比べていない場合、判断材料が1つしかない - 10年以上、売却や自己利用の予定がない
途中売却は建物が残っている分だけ難しくなる
当てはまった数によって、この後に重点的に読むべき章が変わります。該当数が少ない方ほど、後半の「他の選択肢との比較」まで読む価値があります。なお、この区切りには根拠があります。イエウール土地活用の相談記録のうち、着工から5年が経過したオーナー約530件を追跡したところ、着工前の時点でこの10項目に8つ以上該当していた方は、5年目時点で当初計画どおりの手取りを維持できている割合が最も高くなっていました。逆に4個以下だった方は、5年以内に計画の見直しや売却の相談に至るケースが目立ちます。
▼チェック該当数別・アパート経営の黒字化の見通し
| 該当数 | いまの状態 | この記事で重点的に読む章 |
|---|---|---|
| 8〜10個 | 儲かる条件に近い | シミュレーションの章で規模を詰める |
| 5〜7個 | 条件次第で分かれる | 儲からない条件のうち、どれを潰せるかを確認する |
| 4個以下 | 儲からない条件に近い | 他の土地活用・売却との比較まで読む |
4個以下でも、アパート経営が絶対にできないという意味ではありません。ただし、当てはまらない項目を放置したまま進めると、黒字化までの年数が延びます。実際、相談に来られる時点でこの見通しを持てている方は多くありません。
該当数が4個以下でも、当てはまらなかった項目を着工前に1つずつ潰していけば、黒字化までの年数は縮められます。ただし「どの項目を、いくらかけて潰せるのか」は、あなたの土地に対して各社が出す建築費と想定家賃を並べて初めて分かります。この記事を読み終えたあと、複数社のプランを無料で取り寄せて、儲かる条件を満たせるかを確認するところまで進めてください。
アパート経営の相談時点で、自分の土地の黒字化年数の見当がついていたか
※対象:直近2年間にイエウール土地活用へアパート経営を第一希望としてご相談いただいた方のうち、相談時ヒアリングに回答のあった約2,400件。回答の内訳は「まったく見当がつかない」47%、「なんとなく分かる」33%、「おおよそ計算した」14%、「詳細に試算済み」6%。
【調査結果】相談者の約8割は、黒字化までの年数を把握しないまま検討を始めている
イエウール土地活用の相談記録約2,400件を分析したところ、具体的な年数を持たずに検討を進めている方が全体の8割に達しました。つまり、この記事を読んでいる時点で年数の見当がつかなくても、それが普通の状態です。ただし年数を持たないまま提案書を比べると、月々の返済額の安さで選んでしまいがちになります。逆に言えば、この記事を読み終えた時点であなたは「黒字化年数を基準に提案書を比べられる」上位2割の側に入ります。年数という物差しを1つ持つだけで、選ぶ提案が変わります。
※直近2年間にイエウール土地活用へアパート経営を第一希望としてご相談いただいた方のうち、相談時ヒアリングに回答のあった約2,400件を集計。回答の内訳は「まったく見当がつかない」47%、「なんとなく分かる」33%、「おおよそ計算した」14%、「詳細に試算済み」6%。
担当者
8割の方が年数を持たないまま検討されています。この差はどこから生まれるのでしょうか。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「20年以上、444件の案件を見てきましたが、年数の見当がつかない理由はほぼ1つです。建築会社の提案書に載るのが『満室時の年間収入』と『月々の返済額』だけで、自己資金をいつ回収できるかが書かれていないためです。実際の現場では、提案書を開く前に紙に3つだけ書いてもらいます。①用意できる自己資金、②その地域の空室率、③金利が3%になったときの返済額です。この3つが埋まれば、黒字化年数はその場で概算できます。」
アパート経営の平均年収の相場と、実際の手取りの分布を確認する
先に結論をお伝えすると、ローン返済中の1棟目で現実的に手元に残る年間の手取りは、100〜300万円台が中心です。統計上の平均540万円との差がどこから生まれるのかを、順に確認していきます。
国税庁の調査によると、不動産所得者の平均年収は540万円です。年々増加する傾向にあり、令和元年から令和3年にかけて約20万円上昇しています。
▼不動産所得者の平均年収の推移
| 年度 | 平均年収 |
|---|---|
| 令和3年 | 540万円 |
| 令和2年 | 540万円 |
| 令和元年 | 約520万円 |
| 平成30年 | 約518万円 |
「家賃収入だけで生活できるか」という観点で見ると、月45万円は生活費としては十分に見えます。ただし、これは税引前かつ複数棟保有者を含む平均です。イエウール土地活用の相談記録では、アパート1棟の手取りで生活費のすべてを賄えている方はごく限られており、多くは給与や年金に上乗せする副収入として運用しています。1棟目の位置づけは「生活費の柱」ではなく「収入源の分散」と考えておくと、判断を誤りにくくなります。
数字で確認しておきます。家賃収入だけで生活するには、生活費を月30万円とすると年360万円の手取りが必要です。後述するシミュレーションでは、自己資金2割・標準的な条件の1棟で年間手取りは約299万円です。つまり1棟では届かず、家賃収入だけで暮らすには「返済を終えた物件を持つ」か「2棟目以降を持つ」かのどちらかが必要になります。イエウール土地活用に相談された方のなかでも、家賃収入のみで生活費を賄えているのはごく一部で、その多くは複数棟を所有し、かつ1棟目の返済を終えた方です。
出典:国税庁「令和3年度 申告所得税標本調査結果」。同調査では、不動産所得者の36.6%が年収500〜1,000万円の層に分布しています。年収540万円は月額に直すと45万円で、そこから所得税・住民税が引かれます。
この540万円という数字は、そのまま「アパート1棟を持つと得られる年収」ではありません。国税庁の統計は不動産所得全般を対象としており、複数棟のオーナーや、テナントビル・駐車場の所有者も含まれます。実態としては、アパート1棟のみを所有する方の手取りは、この平均を大きく下回るケースが中心です。
アパートを1棟以上所有する相談者のアパート経営による年間手取り所得の分布
※対象:直近2年間にイエウール土地活用へご相談いただいた方のうち、すでにアパートを1棟以上所有し確定申告を行っている約1,100件。回答の内訳は「100〜300万円未満」34%、「100万円未満」31%、「300〜500万円未満」21%、「500万円以上」14%。外れ値(上位・下位5%)は除外。
【調査結果】アパート1棟の手取りは、約65%が年間300万円未満
イエウール土地活用の相談記録のうち、すでにアパートを所有し確定申告を行っている約1,100件を分析したところ、年間の手取り所得が300万円未満の方が全体の3分の2を占めました。国税庁の平均540万円に届く層は少数派で、1棟だけを保有する方に限るとこの傾向はさらに強まります。平均値ではなく、この分布のどこに自分が入るかで判断してください。
※直近2年間にイエウール土地活用へご相談いただいた方のうち、すでにアパートを1棟以上所有し確定申告を行っている約1,100件を集計。回答の内訳は「100〜300万円未満」34%、「100万円未満」31%、「300〜500万円未満」21%、「500万円以上」14%。年収・自己資金・エリア・物件条件の各データから算出し、外れ値(上位・下位5%)は除外しています。
担当者
平均540万円と、実際の分布のあいだにこれだけ差が出るのはなぜでしょうか。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「差が生まれる最大の理由は、統計の平均が『返済を終えた物件』を含んでいることです。ローンが残っている築10年以内の1棟目は、家賃収入の3割から4割が返済に消えます。444件を見てきた実感として、平均年収の話が出たら必ず『それは返済後の数字ですか』と確認するようお伝えしています。目安として、返済中の1棟目で手取り300万円を超えるには、表面利回り8%以上か、自己資金2割以上のどちらかが必要になります。」
アパート経営の年収をつくる5つの収入
アパート経営の収入は家賃だけではありません。家賃以外の収入をどこまで設計できるかで、年間の総収入は数十万円単位で変わります。まず5つの収入源と相場を確認してください。
▼アパート経営の5つの収入と相場の目安
| 収入 | 相場の目安 | 安定性・注意点 |
|---|---|---|
| 家賃収入 | 東京23区内6〜9万円/都下3〜7万円(1戸あたり月額) | 総収入の9割以上を占める。入居率がそのまま年収に直結する |
| 共益費・管理費 | 家賃の5〜10%程度 | 共用部の電気代・清掃費に充てるため、実質的な利益は残りにくい |
| 駐車場の賃料 | 東京で月2〜3万円/台 | 郊外・地方では入居の必須条件になり、家賃より入居率への影響が大きい |
| 礼金 | 家賃の0〜1カ月分 | 入居時のみ。礼金ゼロが増えており、収入として当て込めない地域が多い |
| 更新料 | 家賃の0〜1カ月分(2年ごと) | 関西など、慣習として更新料を取らない地域がある |
注目すべきは、家賃以外の4つを合計しても総収入に占める割合は限られるという点です。多くの提案書では、この家賃以外の収入がやや多めに見積もられています。この見積もりの差が、提案書の年収額を実態より高く見せる最初の要因です。実際のオーナーの収入構成を見ておくと、提案書のどの数字を割り引いて読むべきかが判断できます。
アパート経営の年間総収入に占める家賃以外の収入(共益費・駐車場・礼金・更新料)の割合
※対象:アパート経営中のオーナーのうち、イエウール土地活用の相談時に直近1年間の収支明細をご提示いただいた約780件(直近2年間)。回答の内訳は「5%未満」48%、「5〜10%未満」29%、「10〜15%未満」15%、「15%以上」8%。
【調査結果】家賃以外の収入は、実態では総収入の5%未満が最多
イエウール土地活用に提示された収支明細約780件を分析したところ、家賃以外の収入は総収入の5%未満にとどまるケースが最も多いという結果でした。10%以上を確保できているのは4件に1件以下で、その大半は駐車場を有料で満車運用できているケースです。提案書に礼金・更新料が大きく計上されている場合は、根拠を確認してください。
※対象:アパート経営中のオーナーのうち、イエウール土地活用の相談時に直近1年間の収支明細をご提示いただいた約780件(直近2年間)。回答の内訳は「5%未満」48%、「5〜10%未満」29%、「10〜15%未満」15%、「15%以上」8%。
担当者
提案書では駐車場や礼金も収入に入っていましたが、実態とは差があるのですね。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「その差は、駐車場を『家賃の上乗せ』と捉えるか『入居条件』と捉えるかの違いから生まれます。郊外や地方では、駐車場付きでなければそもそも入居が決まりません。つまり駐車場代は追加収入ではなく、家賃を成立させるための必要条件です。私はまず、駐車場代を収入欄から一度外して収支が成り立つかを見てもらいます。それで赤字になる計画は、駐車場が埋まらなかった瞬間に崩れます。」
アパート経営の年収から差し引かれる6つの支出
年収を左右するのは収入より支出です。アパート経営では家賃収入の2割前後が経費として出ていき、そこにローン返済が加わります。どの項目がいくらかかるのかを押さえてください。
▼アパート経営の6つの支出と目安
| 支出 | 目安 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| ローンの返済費 | 家賃収入の30〜40% | 金利が1%上がると年間返済額は約1割増える |
| アパートの管理費 | 家賃の5%程度 | 管理会社によって業務範囲が違い、同じ5%でも中身が異なる |
| 建物の修繕費 | 10〜15年に1度の大規模修繕で1戸あたり50〜80万円 | 毎年の積立をしていないと、借入で賄うことになる |
| 不動産仲介手数料 | 家賃の0.5カ月分(法定上限) | 広告料(AD)として別途1カ月分を求められる地域がある |
| 税金 | 固定資産税・都市計画税・所得税・住民税 | 所得が増えるほど税率が上がり、手取りの伸びは鈍る |
| 広告費・宣伝費 | 空室1戸につき家賃1〜2カ月分 | 空室が長引くエリアほど、この費用が常態化する |
この6つのうち、実際に想定を超えやすいのはどれなのか。オーナーへの調査結果を見てください。
アパート経営で想定より支出が増えた項目のうち、最も影響が大きかったもの
※調査会社を通じたインターネットアンケート。対象:アパート経営歴3年以上の個人オーナー358人、2026年5月実施。回答の内訳は「建物の修繕費」38%、「管理費・原状回復費」27%、「税金(固定資産税等)」21%、「ローン金利の上昇」14%。
【調査結果】想定を超えた支出の1位は「建物の修繕費」で38%
調査会社を通じてアパート経営歴3年以上のオーナー358人に聞いたところ、想定を超えた支出の1位は建物の修繕費でした。金額が大きく、かつ発生時期が読みにくい支出ほど収支計画から漏れやすいことが分かります。逆に言えば、修繕費を最初から計画に入れておくだけで、想定外の4割近くを潰せます。
※調査会社を通じたインターネットアンケート。対象:アパート経営歴3年以上の個人オーナー358人、2026年5月実施。回答の内訳は「建物の修繕費」38%、「管理費・原状回復費」27%、「税金(固定資産税等)」21%、「ローン金利の上昇」14%。「経営歴3年以上かつ想定超過を経験した方」という条件は該当者が限られ、イエウールの相談記録のみでは十分なサンプル数を確保できないため、外部調査で補完しています。
担当者
修繕費が1位というのは意外です。建物が新しいうちは関係ないと思っていました。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「新築でも、退去のたびに発生する原状回復と、10年目前後の外壁・屋根の工事は避けられません。木造アパートで1戸あたり50万円から80万円、8戸なら400万円から640万円が一度に必要になります。長年の実務で行き着いた目安が、家賃収入の5%から7%を修繕積立として毎月別口座に移すという方法です。8戸で家賃月64万円なら、月3万円から4万円です。この積立を収支計画に最初から組み込んでおけば、10年目に借入を増やさずに済みます。」
詳しい費用の内訳はアパート経営の費用・収支に関する記事一覧から確認できます。また、支出のうち最も地域差が大きいのは、家賃水準に対する管理費・広告費の比率です。都道府県別のアパート経営の費用・家賃相場から、お住まいの地域の相場を確認しておいてください。

アパート経営の年収シミュレーション|融資割合別に手取りまで試算する
ここまでの収入と支出を、実際の数字に当てはめます。以下は、都市近郊で木造アパート1棟を新築した場合を想定した試算です。
▼アパート経営のシミュレーション条件
| 物件価格 | 8,000万円(購入総額8,560万円/諸経費7%を含む) |
| 想定家賃 | 1室80,000円/月 × 10部屋 |
| ローン | 30年・固定金利2.0% |
前提として、土地はすでに所有している状態を想定しています。物件価格8,000万円は土地代を含まず、建物本体工事費と付帯工事費(外構・給排水など、建物本体以外にかかる工事費)の合計です。土地から購入する場合は、この金額に土地代が上乗せされます。購入総額8,560万円との差額560万円は、登記費用・不動産取得税・火災保険料・融資手数料などの諸経費です。頭金を入れない場合でも、この560万円は現金で用意する必要があります。つまりアパート経営の初期費用として最低限必要な現金は、建築費の7%前後だと考えてください。自己資金2割を入れる場合は、頭金1,600万円と合わせて2,160万円が必要になります。
この条件での年間の数字は次のとおりです。年間家賃収入960万円から、家賃の17%にあたる年間諸経費163万2,000円と、年間ローン返済額354万8,000円を引くと、年間の収益は442万円となります。実質利回り(管理費・税金・空室分などの経費を引いた後の実際の手取り収益率)は9.3%です。これは「(年間家賃収入960万円 − 年間諸経費163万2,000円)÷ 購入総額8,560万円」で算出しています。
ただし、この442万円は満室・税引前の数字です。実際に手元に残る金額を知るには、空室率と税金を織り込む必要があります。融資割合別に、両方を並べたものが下表です。
▼融資割合別・アパート経営の年収(満室想定・税引前)
| 融資割合 | 自己資金 (頭金+諸経費) | 年間の収益 (満室想定・税引前) |
|---|---|---|
| 10割(頭金0円) | 560万円 | 442万円 |
| 9割 | 1,360万円 | 477万5,000円 |
| 8割 | 2,160万円 | 513万円 |
| 7割 | 2,960万円 | 548万5,000円 |
この表に「空室率を織り込んだ手取り」と「黒字化までの年数」を加えた拡張版は、黒字化までの年数の章で扱います。なお建築費の水準は構造によって変わり、坪単価の目安は木造で90万円台、軽量鉄骨で130万円前後、重量鉄骨で150万円前後です。同じ延べ床面積でも、木造と重量鉄骨では総額で3割以上の差が生まれます。
関連して「アパート経営で年収1,000万円」を目標に掲げる方も多いのですが、8,000万円のアパート1棟で手取り1,000万円に届くことはありません。満室・税引前でも最大548万5,000円、空室率10%と税金を織り込んだ手取りでは最大でも約327万円です。手取り1,000万円に到達するには、同じ条件のアパートを3棟前後保有するか、返済を終えた物件を持つ必要があります。1棟目の目標は年収1,000万円ではなく、「空室率15%・金利3%でも黒字を維持できる状態」に置いてください。2棟目以降は、1棟目の収支が安定してからの検討になります。
頭金0円のケースで比べると、満室想定の442万円に対し、空室率10%と修繕積立・税金を織り込んだ手取りは約242万円まで下がります。その差は200万円です。この差が最初から見えているかどうかは、試算時にどの空室率を置いたかで決まります。
アパート経営の収支を自分で試算した際に前提として置いた空室率
※対象:イエウール土地活用の相談時に、ご自身で作成した収支試算をご提示いただいた約640件(直近2年間)。回答の内訳は「5%以下」44%、「6〜10%」31%、「11〜15%」17%、「16%以上」8%。
【調査結果】自分で試算した方の44%が、空室率5%以下(ほぼ満室)を前提にしている
イエウール土地活用の相談時に持参された収支試算約640件を分析したところ、ほぼ満室に近い前提で計算している方が最も多いという結果でした。総務省の住宅・土地統計調査では賃貸用住宅の空き家率が全国平均で2割前後とされており(稼働中物件の空室率とは別の指標ですが、供給過多の目安になります)、5%以下という前提はかなり強気です。試算の精度は、この1つの前提でほぼ決まります。
※対象:イエウール土地活用の相談時に、ご自身で作成した収支試算をご提示いただいた約640件(直近2年間)。回答の内訳は「5%以下」44%、「6〜10%」31%、「11〜15%」17%、「16%以上」8%。
担当者
私も満室で計算していました。どのくらいの空室率で見ておけばよいのでしょうか。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「空室率は全国一律の数字では意味がありません。目安として、私は3つの数字を確認してから決めます。①その市区町村の世帯数が5年前と比べて増えているか、②同じ間取りの募集戸数が徒歩10分圏に何戸あるか、③駅から徒歩何分か。世帯数が減少していて、競合が20戸以上あるなら15%で試算します。世帯数が増加していて競合が少なければ5%でも構いません。この3つは、賃貸ポータルサイトと自治体の統計ページで30分あれば調べられます。」
ここまでで、アパート経営の年収がどう決まるかは見えてきました。次に必要なのは、ご自身の条件が「儲かる側」と「儲からない側」のどちらに寄っているのかという判断です。

アパート経営の年収は儲かる条件・儲からない条件で分かれる
先に「成功率はどのくらいか」という疑問に触れておきます。アパート経営の成功率を示す公的な統計は存在しません。代わりに自社のデータでお答えします。イエウール土地活用の相談記録のうち、着工から5年が経過したオーナー約530件を追跡したところ(前章のセルフチェックの根拠と同一の母集団です)、5年目時点で当初計画どおりの手取りを維持できていたのは61%でした。約4割は、どこかの時点で計画とのずれが生じています。さらに、維持できなかった方の原因を外部調査(アパート経営歴5年以上の個人オーナー412人)で確認すると、その87%は自己資金・空室率・修繕費という着工前に調整できる3項目に集中していました。つまり成功率は運ではなく、着工前に何を決めたかで大きく動きます。「儲かる人/儲からない人」という表現は、実際には「この3項目を詰めた人/詰めなかった人」の違いです。
「アパート経営は儲かる」「儲からない」という情報がどちらも出てくるのは、どちらも正しいからです。同じ8,000万円の建物でも、条件が違えば手取りは242万円にも327万円にもなります。ここでは、シミュレーションの前提条件と接続する形で、どちらに当てはまるかを切り分けます。
アパート経営の年収が儲かる条件に当てはまるケース
儲かる条件は「立地が良い」といった漠然としたものではありません。前章のシミュレーションのどの数字を、どちらに動かせるかという話です。以下の5つは、すべて収支計算の項目に直結します。なお、この5条件は冒頭のセルフチェック10項目のうち、収支計算に直接効く項目を金額と数値で掘り下げたものです。セルフチェックで該当しなかった項目がここに出てきた場合は、その項目が黒字化年数を延ばす原因になっていると考えてください。
- 自己資金を建築費の2割以上用意できる
借入が8,000万円から6,400万円に下がると、年間返済は354万8,000円から283万8,000円へ71万円減ります。返済比率(家賃収入に占める返済額の割合)を50%以下に抑えられます - 空室率10%で試算しても年間の手取りが黒字を保てる
満室でしか黒字にならない計画は、1戸空いた時点で赤字に転じます。10%は10戸のうち1戸が年間を通じて空く水準です - 徒歩15分圏に駅がある、または1戸1台の駐車場を確保できる
どちらかを満たせば、家賃を相場より下げずに募集できます。土地の条件を変えることはできませんが、駐車場の台数は建物の配置計画で調整できます - 大規模修繕費を毎年積み立てられる
家賃収入の5〜7%(8戸・月64万円なら月3万円から4万円)を別口座に移せる余力があるか。これがあれば10年目に借入を増やさずに済みます - 家賃を年0.5〜1%下げても20年目の手取りがプラスになる
木造アパートの家賃は築20年で新築時の8割前後まで下がるのが一般的です。その水準で計算しても黒字なら、途中の判断に余裕が生まれます
この5つのうち、ご自身の努力で動かせるのは1・2・4です。土地の条件は変えられませんが、自己資金の額、試算の前提、積立の有無は今から決められます。逆に言えば、これらを詰めずに建てた場合、土地の条件が良くても手取りは伸びません。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「儲かっているオーナーに共通するのは、建築会社を決める前に自分の合格ラインを紙に書いていることです。私が相談を受ける際は、『空室率15%・金利3%でも手取りが150万円残る計画だけを検討する』というように、数字で足切り基準を先に決めてもらいます。基準を先に決めておくと、提案書を並べたときに検討すべき案が2つか3つに絞れます。基準がないまま5社の提案を見ると、月々の返済額の安さだけで選んでしまいがちです。」

アパート経営の年収が儲からない条件に当てはまるケース
一方、以下に2つ以上当てはまる場合は、黒字化までの年数が大きく延びます。いずれも前章の「支出」セクションで挙げた項目が想定より膨らむパターンです。
- 頭金ゼロで、諸経費も借入に含める:返済比率が60%を超え、空室が2戸出た時点で手元の現金が減り始めます
- 満室想定でしか収支が合わない:家賃を1戸でも下げると計画が崩れ、値下げか空室かの二択になります
- 単身者の需要が読めないエリアで1Kを大量に作る:世帯数が減っている市区町村で戸数を増やすと、募集のたびに広告費が発生します
- 修繕費を建築費の見積もりに含めていない:10年目の外壁・屋根工事で400万円以上が一度に必要になり、追加の借入を検討することになります
- サブリースの保証賃料が下がる前提を織り込んでいない:保証賃料は通常2年から10年ごとに見直され、下がることを前提に計算していないと収支が逆転します
当てはまった項目があっても、着工前であれば対処できます。順番に手を打ってください。
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1 自己資金を2割まで積み増すか、建物の規模を下げる現金を増やせない場合は、10戸を8戸に減らして建築費そのものを下げる方法があります。戸数を2割減らせば借入も2割減り、返済比率は同じ効果で下がります。
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2 空室率15%・金利3%で計算し直す提案書の数字をそのまま受け取らず、2つの前提だけ差し替えて再計算を依頼します。この2条件で手取りがマイナスになる計画は、着工前に見直す必要があります。
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3 アパート以外の活用方法の概算も並べて比べる同じ土地で駐車場や戸建賃貸にした場合の収支を1枚だけ用意します。比較対象があると、アパート経営が本当に最適かを数字で確認できます。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「儲からない条件の中で、後から取り返しがつかないのは戸数の決定です。建ててしまえば戸数は変えられません。戸数を決める前に必ず行うのが、徒歩10分圏で同じ間取りの募集がいま何戸出ているかを一緒に数える作業です。20戸以上出ているのに10戸を追加するなら、家賃を相場より5%下げる前提で再計算するようお伝えしています。この一手間で、着工後に『思っていたより埋まらない』となる確率がかなり下がります。」
実際にどの条件でつまずいたのか、個別の失敗事例は別記事にまとめています。自分と近い条件のケースがないかを確認しておくと、対策の優先順位が決めやすくなります。


では、儲かる条件と儲からない条件のうち、実際に収支を悪化させているのはどれなのでしょうか。すでに経営しているオーナーへの調査結果を見てください。
アパート経営の収支が想定を下回った最大の要因
※調査会社を通じたインターネットアンケート。対象:アパート経営歴5年以上で、収支が当初想定を下回った経験のある個人オーナー412人、2026年5月実施。回答の内訳は「自己資金が少なく返済比率が高かった」36%、「想定より空室率が高かった」29%、「修繕費が想定を上回った」22%、「その他」13%。
【調査結果】収支が想定を下回った最大の要因は「自己資金の少なさによる返済比率の高さ」で36%
調査会社を通じてアパート経営歴5年以上のオーナー412人に聞いたところ、収支が想定を下回った最大の要因は立地や建物の仕様ではなく、資金計画でした。返済比率・空室率・修繕費という3項目だけで原因の87%を占めます。この3項目はいずれも上に挙げた儲かる条件の1・2・4に対応しており、着工前であればすべて自分で調整できます。
※調査会社を通じたインターネットアンケート。対象:アパート経営歴5年以上で、収支が当初想定を下回った経験のある個人オーナー412人、2026年5月実施。回答の内訳は「自己資金が少なく返済比率が高かった」36%、「想定より空室率が高かった」29%、「修繕費が想定を上回った」22%、「その他」13%。「経営歴5年以上かつ収支が想定を下回った」という条件は該当者が少なく、イエウールの相談記録のみでは十分なサンプル数を確保できないため、外部調査で補完しています。
担当者
立地よりも資金計画のほうが影響が大きいというのは驚きです。この差はどこから来るのでしょうか。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「立地の良し悪しは家賃の水準に影響しますが、返済比率は手元に残る現金そのものを決めるからです。都心の好立地でも、返済比率が65%あれば空室2戸で現金が回らなくなります。逆に地方でも返済比率が45%なら、空室が3戸出ても持ちこたえます。長年見てきて確信しているのは、賃貸経営で最初に破綻するのは収益性ではなく資金繰りだという点です。立地は変えられませんが、返済比率は建てる前なら自分で決められます。」
担当者
返済比率を下げるには、具体的にどうすればよいのでしょうか。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「方法は3つあり、私は効果の大きい順にお伝えしています。第1に自己資金の積み増しです。目安として建築費の2割、8,000万円なら1,600万円を入れると返済比率は10ポイント前後下がります。第2に戸数を減らすことです。10戸を8戸にすれば建築費が2割下がり、自己資金を増やさなくても同じ効果が出ます。第3に返済期間の延長です。ただしこれは総返済額が増えるため、退職までの年数と相談して最後に検討します。実際の相談では、第1と第2を組み合わせる方が最も多いです。」
このアドバイスのとおりに自己資金と戸数を調整し、返済比率を下げた方の事例を紹介します。着工前のどの段階で、何を変えたのかに注目してください。
※本事例は、2026年6月時点でイエウール土地活用を通じて土地活用を検討・着工されたご成約者様を対象に、運営事務局がメールにてアンケートを実施し、ご回答いただいた内容をもとに作成しています。費用・収益・返済比率などの数値はご本人の回答に基づいており、個人が特定できないよう氏名・住所等の詳細は非公開としています。
この事例から読み取れるのは、戸数を減らしたことで収入も減った一方、悪条件での手取りが約107万円増えたという点です。規模の大きさと儲かりやすさは一致しません。
まとめ:アパート経営が儲かるかどうかの判断基準
- 自己資金2割以上を用意でき、空室率10%でも黒字を保てる方は → 儲かる条件に近い
- 頭金ゼロ・満室想定でしか黒字にならない方は → 儲からない条件に近い。戸数を減らすか、自己資金を積み増す
- 土地の世帯数が減少しており、対策後も悪条件で赤字になる方は → 他の土地活用・売却も含めて比較する
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アパート経営の年収が黒字化するまで何年かかるか
ここでいう黒字化とは、投じた自己資金(頭金+諸経費)を、毎年の手取りの積み上げで回収し終える時点を指します。損益分岐点(建築費や維持費を回収でき、収支がプラスに転じるタイミング)と言い換えても構いません。前章のシミュレーション表に、この年数を加えたものが下表です。
まず、前章の融資割合別の表に「空室率10%を織り込んだ手取り」と「自己資金の回収年数」を加えた拡張版を見てください。
▼融資割合別・アパート経営の手取りと自己資金の回収年数(拡張版)
※各行で自己資金額が異なるため、右端の回収年数は行同士を単純比較できません
| 融資割合 | 自己資金 (頭金+諸経費) | 年間の収益 (満室想定・税引前) | 年間の手取り (空室率10%・修繕積立込み・税引後) | 投じた自己資金の 回収年数 ※安全性の指標ではない |
|---|---|---|---|---|
| 10割(頭金0円) | 560万円 | 442万円 | 約242万円 | 約2〜3年 |
| 9割 | 1,360万円 | 477万5,000円 | 約270万円 | 約5年 |
| 8割 | 2,160万円 | 513万円 | 約299万円 | 約7年 |
| 7割 | 2,960万円 | 548万5,000円 | 約327万円 | 約9年 |
一般には「自己資金を多く入れるほど早く儲かる」と思われがちですが、回収年数だけを見ると逆に出ます。頭金0円は回収額が560万円しかないため約2〜3年、自己資金2,960万円のケースは約9年です。ここが多くの提案書で誤解を生む点で、回収年数が短いことは儲かることを意味しません。頭金0円の年間手取り242万円は7割融資の327万円より85万円少なく、空室や金利上昇を吸収する余力もその分小さくなります。だからこそ、この記事では前章で頭金ゼロを「儲からない条件」に分類しています。
では、儲かるかどうかを年数で判断するには何を見ればよいのか。答えは、自己資金の額を固定したうえで、空室率・金利・修繕への備えという運用条件だけを動かして比べることです。同じ2,160万円を投じた3つのケースを並べます。
目安となる合格ラインは11年以内です。木造の法定耐用年数(税務上、建物の価値がゼロになるまでの年数)は22年で、その半分にあたります。この線を引く理由は2つあります。第1に、減価償却が終わる22年目以降は経費計上できる額が一気に減り、同じ家賃収入でも課税所得が跳ね上がって手取りが細るためです。第2に、10〜15年目の大規模修繕と重なると、回収が終わる前にまとまった支出が発生するためです。減価償却が効いているうちに回収を終えるという考え方が、11年という線の根拠です。
▼条件別・アパート経営の黒字化までの目安年数(自己資金2割・投下額2,160万円で固定。儲かるかどうかはこの表で判断する)
| 条件 | 空室率 | 借入金利 | 修繕への備え | 年間の手取り | 黒字化までの 目安年数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 空室・金利・修繕が 良い方に振れた場合 | 5% | 1.8% | 年60万円を積立 | 約337万円 | 約6年 |
| 標準的な条件 | 10% | 2.0% | 年60万円を積立 | 約299万円 | 約7年 |
| 空室・金利・修繕が 悪い方に振れた場合 | 18% | 3.0% | 積立なし・実費年110万円 | 約176万円 | 約12年 |
試算ロジック:物件価格8,000万円・自己資金1,600万円+諸経費560万円=投下額2,160万円、満室想定家賃960万円/年、返済期間30年で共通。各条件の空室率を適用した家賃収入から、運営諸経費(家賃収入の17%)・修繕費・ローン返済額を控除し、残額に所得税・住民税を概算20%として乗じた金額を年間の手取りとしています。黒字化年数は投下額2,160万円をこの手取りで除して算出。
良い方に振れた場合の約6年と、悪い方に振れた場合の約12年で、差は約6年です。自己資金・土地・建築費をすべて同じにしても、空室率・金利・修繕への備えという3つの運用条件だけでこれだけ開きます。なお、この表は自己資金2割を前提にしています。頭金ゼロの場合は毎年の手取りがさらに小さくなるため、悪い方に振れたときの年数は12年よりも延びます。11年以内という合格ラインに照らすと、儲からない条件のケースは減価償却が効いているうちに回収を終えられず、22年目以降の税負担増を回収前に迎えることになります。これが「儲かる人と儲からない人」の実質的な分かれ目です。
※上記は市況(2026年時点)を反映したシミュレーションです。実際の建築費は前面道路の幅員、地盤改良工事の有無、解体工事の有無、建材・設備のグレード等により大きく変動します。想定家賃収入は新築時の水準であり、将来の家賃下落は反映していません。
この試算値は、実際に経営しているオーナーの実感とどの程度合っているのでしょうか。
アパート経営で投じた自己資金を回収し黒字化したと実感した年数
※調査会社を通じたインターネットアンケート。対象:アパート経営歴10年以上で、自己資金を回収済みと回答した個人オーナー286人、2026年5月実施。回答の内訳は「11〜15年」34%、「16〜20年」28%、「6〜10年」23%、「21年以上」15%。
【調査結果】黒字化を実感した年数は「11〜15年」が34%で最多。10年以内は23%にとどまる
調査会社を通じてアパート経営歴10年以上のオーナー286人に聞いたところ、黒字化を実感した年数は11年以上に集中し、10年以内で回収できた方は4人に1人以下でした。試算上の6〜9年より実績が長くなる主因は、途中で発生した修繕費と家賃下落です。試算値をそのまま信じず、2〜3年の上振れを見込んでおいてください。なお、イエウール土地活用は建てる前の検討段階のご相談が中心のため、経営歴10年以上の実績データについては外部調査で補完しています。
※調査会社を通じたインターネットアンケート。対象:アパート経営歴10年以上で、自己資金を回収済みと回答した個人オーナー286人、2026年5月実施。回答の内訳は「11〜15年」34%、「16〜20年」28%、「6〜10年」23%、「21年以上」15%。「経営歴10年以上かつ自己資金を回収済み」という条件は該当者が限られ、イエウールの相談記録のみでは十分なサンプル数を確保できないため、外部調査で補完しています。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「実績の大半が11年を超えているなら、11年以内という合格ラインは非現実的では」と感じた方もいると思います。ただ、この調査で11年を超えた方の多くは、家賃下落と修繕積立を初年度の計算に入れずに建てています。逆に言えば、年0.5〜1%の家賃下落・家賃収入の5〜7%の修繕積立・地域相応の空室率という3条件を最初から織り込んだうえで11年以内に収まる計画を選べば、この分布とは別の着地になります。11年という線は、実績の平均値ではなく、着工前に選べる計画の合格ラインとして使ってください。すでに建ってしまった物件の実績値と、これから選べる計画の基準値は別物です。
では結局、自分は何年で見ておけばよいのか。試算値に実績の上振れ分(2〜3年)を足した年数を、実際に見込むべき年数として使ってください。先ほどの条件別の試算を、この換算で置き換えると次のようになります。
▼試算値と、実際に見込むべき年数の対応(自己資金2,160万円で固定)
| 条件 | 試算上の 黒字化年数 | 実績で見込むべき年数 (試算+2〜3年) | 11年以内という 合格ラインの判定 |
|---|---|---|---|
| 良い方に振れた場合 (空室率5%・金利1.8%) | 約6年 | 約8〜9年 | 合格 |
| 標準的な条件 (空室率10%・金利2.0%) | 約7年 | 約9〜10年 | 合格 |
| 悪い方に振れた場合 (空室率18%・金利3.0%) | 約12年 | 約14〜15年 | 不合格 |
担当者
試算では6〜9年ですが、実際は11年以上かかった方が半数近くいるのですね。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「試算と実績のあいだに数年のずれが出るのは、家賃下落と修繕を初年度の計算に入れていないからです。木造アパートの家賃は、築10年で新築時の9割前後、築20年で8割前後まで下がるのが一般的です。年間家賃960万円なら、10年目には約96万円減ります。ここに10年目の外壁・屋根工事が重なると、その年の手取りはほぼゼロになります。長年見てきた実感として、試算値に2年から3年を足した年数が現実の着地点になります。」
担当者
試算の段階で、そのずれを織り込む方法はありますか。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「私は3つの数字を最初から計算に入れてもらいます。第1に家賃下落率、年0.5%から1%です。第2に修繕積立、家賃収入の5%から7%です。第3に空室率、地域の状況に応じて5%から15%です。この3つを入れた表を作り、11年目までに投下額を回収できるかを見ます。回収できないなら、自己資金を積み増すか戸数を減らすかの判断を着工前に行います。目安として、この3条件込みで年間手取り200万円を確保できる計画であれば、実績でも大きく崩れることはありません。」
この3つの数字を試算に入れ直した結果、着工前に計画を変更した方の事例です。数字を入れ替えたことで何が見えたのかに注目してください。
※本事例は、2026年6月時点でイエウール土地活用を通じて土地活用を検討・着工されたご成約者様を対象に、運営事務局がメールにてアンケートを実施し、ご回答いただいた内容をもとに作成しています。費用・収益・年数などの数値はご本人の回答に基づいており、個人が特定できないよう氏名・住所等の詳細は非公開としています。
この事例から読み取れるのは、構造の変更と自己資金の積み増しを組み合わせると、黒字化年数を5年短縮できる場合があるという点です。1社の提案だけでは、木造に変えた場合の数字は出てきません。11年以内に収まる計画が存在するのかどうかは、木造・軽量鉄骨それぞれの見積もりを並べて初めて確定します。この事例の方も、複数社に出し直したことで5年縮めています。まだ1社しか見ていない段階であれば、複数社のプランを取り寄せて比べるところから始めてください。
なお、黒字化年数の計算に大きく影響する減価償却と税金の詳しい仕組みは、別記事で解説しています。


アパート経営で手取りの年収を増やす4つのコツ
すでに経営している方、これから始める方のどちらにも共通して効果があるのは、次の4つです。
▼アパート経営で手取りを増やす4つの方法
| 方法 | 期待できる効果 | 実行のタイミング |
|---|---|---|
| 長期で需要が期待できるアパートを建てる | 空室率を5〜10ポイント下げられる | 着工前のみ |
| 適切な節税対策を実施する | 青色申告特別控除で最大65万円の所得控除 | いつでも(開業から2カ月以内の届出が必要) |
| アパートの敷地内で新たな事業を始める | 自動販売機1台で年3〜6万円、宅配ボックスは1戸あたり月500〜1,000円の家賃上乗せが目安 | いつでも(電源・設置スペースが確保できれば着工後でも可) |
| 経営するアパートの数を増やす | 収入源の分散でリスクを抑えられる(1棟の空室が全体に与える影響が小さくなる) | 1棟目の空室率が2年連続10%以下で推移し、修繕積立を取り崩さずに返済できている状態が目安 |
このうち、敷地内での新規事業は年収への影響が数万円規模にとどまります。土地に余裕がある場合の選択肢としては有効ですが、儲かるかどうかの判断を左右する要素ではありません。土地全体の使い方から考え直す場合は、他の活用方法と並べて検討したほうが効果は大きくなります。
この4つのうち、着工前に手を打っておくべきものはどれなのか。黒字化までの年数を1年でも縮めるために着工前に打てる手は、建てる会社を選ぶこと以外にもあります。すでに経営しているオーナーに、着工前に戻れるなら何を変えたいかを聞きました。これから始める方こそ、先回りして押さえておきたい内容です。
アパート経営の手取りを増やすために着工前に決めておけばよかったと感じたこと
※調査会社を通じたインターネットアンケート。対象:アパート経営歴5年以上の個人オーナー297人、2026年5月実施。回答の内訳は「管理会社を複数社で比較」33%、「修繕積立を計画に組み込む」27%、「税務の準備を開業前に行う」22%、「その他」18%。
【調査結果】着工前に戻れるなら「管理会社を複数社で比較したかった」が33%で最多
調査会社を通じてアパート経営歴5年以上のオーナー297人に聞いたところ、最も多かった後悔は「管理会社を複数社で比較しなかったこと」でした。上位3つはいずれも、着工前なら追加費用ゼロで実行できる項目です。逆に言えば、着工後に手取りを増やす手段は限られます。着工後の後悔はイエウールの相談記録では追えないため、この設問は外部調査で補完しています。いま検討段階にいる方には、この3つを先に済ませる価値があります。とくに管理会社の比較は、年20〜40万円の差になることが珍しくありません。10年で200〜400万円、黒字化までの年数に換算すると約1年分に相当します。着工前の数時間で、黒字化を1年早められる計算です。
※調査会社を通じたインターネットアンケート。対象:アパート経営歴5年以上の個人オーナー297人、2026年5月実施。回答の内訳は「管理会社を複数社で比較」33%、「修繕積立を計画に組み込む」27%、「税務の準備を開業前に行う」22%、「その他」18%。「経営歴5年以上で着工時の判断を振り返れる方」という条件は該当者が限られ、イエウールの相談記録のみでは十分なサンプル数を確保できないため、外部調査で補完しています。
担当者
管理会社の比較が1位なのですね。建築会社が紹介してくれる会社に任せるものだと思っていました。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「建築会社の系列管理会社にそのまま任せると、比較する機会が一度もないまま契約が続きます。手数料の率は5%前後で大きく変わりませんが、その5%に含まれる業務範囲は会社ごとにまったく違います。入居者募集の広告費を別途請求する会社と、手数料に含める会社があります。原状回復も、系列業者に固定する会社と相見積もりを取る会社では2割以上の差が出ます。着工前の段階で管理会社を3社に絞り、『広告料は別途か』『原状回復は相見積もりか』の2点だけを聞いてください。この2問で、年間20万円から40万円の差が見えてきます。」
アパート経営のメリットとリスクを中立的に比較する
アパート経営のメリットとリスクは、多くのサイトで解説されています。ただし、その多くはアパートを建てる会社が書いたものです。イエウール土地活用は特定のハウスメーカーや特定の活用方法に誘導する立場ではなく、複数の会社・複数の活用方法を横に並べて比べていただくためのサービスです。だからこそ「この条件ならアパート経営はおすすめしません」とも書けます。その前提で、アパート経営が向かない場合の代替案まで含めて読み進めてください。
アパート経営のメリット
アパート経営の主なメリットは3つです。いずれも、他の土地活用と比べたときにどう位置づけられるかまで見ておく必要があります。
▼アパート経営のメリットと、他の土地活用との比較
| メリット | 内容 | 他の土地活用と比べた位置づけ |
|---|---|---|
| 長期的で安定した収入 | 入居者がいる限り毎月の家賃が入る | 駐車場より収入は大きいが、初期投資も大きい |
| 節税効果が高い | 土地の固定資産税が最大6分の1に軽減され、相続税評価額も下がる | 建物を建てる活用方法の中で効果が最も大きい部類 |
| 生命保険の代わりになる | 団体信用生命保険により、契約者に万一のことがあれば残債が消える | 借入を伴う活用方法のみのメリット。駐車場・貸地にはない |
節税効果については、住宅用地の特例により固定資産税の課税標準額が小規模住宅用地で6分の1になります。駐車場や資材置き場のままでは、この軽減は受けられません。ただし、節税額だけを目的にアパートを建てると、空室が出た時点で節税額を超える赤字が発生します。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「メリットの中で最も誤解されやすいのが節税です。節税を理由に挙げる方には、まず現在の固定資産税額と、アパートを建てた場合の軽減後の額を並べて書き出してもらいます。年間の軽減額が30万円なのに、空室2戸で年60万円の減収が出るなら、節税は理由になりません。目安として、節税額が年間の想定手取りの2割を超える場合にのみ、判断材料の一つとして扱うようお伝えしています。」
アパート経営のリスク
リスクは3つあり、いずれも「儲からない条件」と直結しています。どの状況で発生するのかを具体的に押さえてください。
- 空室が発生するリスク:10戸中2戸が年間を通じて空くと、年間家賃は960万円から768万円へ192万円減ります。返済比率が60%を超えている場合、この時点で手元の現金が減り始めます
- 追加の費用が発生するリスク:10〜15年に1度の大規模修繕で1戸あたり50〜80万円、8戸なら400万〜640万円が一度に必要になります。金利が1%上がれば年間返済額は約1割増えます
- 売却できないリスク:入居者がいる状態の物件は、買主が投資家に限られます。土地だけを売る場合と比べて買い手が減り、価格も下がります
3つ目の売却できないリスクは、他の土地活用と比べたときに最も差が出る部分です。駐車場であれば契約を解約して1〜2カ月で更地に戻せますが、アパートは入居者がいる限り取り壊せません。対策は着工前に打っておく必要があります。
-
1 空室2戸でも黒字になる返済比率まで借入を下げる返済比率50%以下が目安です。自己資金を積み増すか戸数を減らすかで調整します。
-
2 修繕費を家賃収入の5〜7%で毎月別口座に積み立てる8戸・月64万円なら月3万〜4万円です。10年で400万〜500万円が貯まり、大規模修繕を借入なしで実施できます。
-
3 着工前に、更地のまま売った場合の価格を確認しておくアパートを建てると土地だけの売却はできなくなります。建てる前に、売却した場合の手取りを1度だけ把握しておくと、後の判断が変わります。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「対策の3つ目を実行する方はごく少数ですが、後から効いてくるのはここです。着工前に更地での売却価格を1度だけ調べておく。これを私はすべての相談者にお願いしています。仮に土地が5,000万円で売れると分かっていれば、アパートを建てて20年で回収する計画と、いま5,000万円を受け取る選択肢を同じ土俵で比べられます。比べた上でアパートを選んだ方は、その後に空室が出ても判断がぶれません。」
アパート経営の年収が儲からなそうな条件では他の土地活用・売却も比較すべき理由
ここまで読んで「自分は儲からない条件に近いかもしれない」と感じた方に、最も伝えたい章です。理由は単純で、アパート経営は土地活用の選択肢の1つに過ぎず、同じ土地でも他の方法のほうが手取りが大きくなるケースがあるからです。ハウスメーカーの記事にこの選択肢が出てこないのは、その会社がアパートを建てる会社だからです。
ここで、イエウールが他の土地活用ポータルと異なる点を1つだけお伝えします。イエウールは土地活用のプラン比較だけでなく、不動産の一括査定サービスも同じ運営元で提供しています。そのため「アパートを建てた場合の各社プラン」と「いま売却した場合の査定額」を、別々のサイトに登録し直すことなく同じ窓口で並べられます。土地活用の専門サイトは売却額を出せず、売却の専門サイトは活用プランを出せません。建てるか売るかで迷っている段階の方にとって、この2つを同じ土俵で比べられることが最大の判断材料になります。
もう1つ、提携している会社の顔ぶれにも違いがあります。イエウール土地活用が提携するのは、アパート・マンションを建てる会社だけではありません。駐車場・戸建賃貸・トランクルーム・太陽光など、アパート以外の活用を専門とする会社も含まれています。実際、アパート経営を第一希望としてご相談いただいた方に対して、アパート以外の活用プランを提示した件数は直近2年間で約1,800件にのぼります。アパートを建てる会社しか紹介できないサービスでは、この提案は物理的に出てきません。さらにイエウールは不動産売却・リフォームの領域も同じグループで運営しているため、建てた後の大規模修繕や、10年後・20年後の出口(売却)まで同じ窓口で相談できます。だからこそ、この記事では「アパート経営はおすすめしません」という結論もお出しできます。
実際、アパート経営を検討して相談に来られた方の中には、査定額を見て初めて「この土地は活用より売却のほうが手取りが大きい」と気づく方がいます。逆に、査定額が想定より低かったことで活用に踏み切る方もいます。どちらの結論であっても、比べていない状態で決めるより後悔が残りません。
主な代替案は3つあります。世帯数が減少しているエリアや、初期投資を抑えたい場合に検討する価値があります。
- 駐車場・コインパーキング:初期投資が数十万円から数百万円で済み、需要がなくなれば1〜2カ月で撤退できます。収入はアパートより小さいものの、借入を伴わないため赤字になりにくい方法です
- 戸建賃貸:1棟あたりの投資額が小さく、ファミリー層の需要が残っているエリアでは長期入居が期待できます。将来的に売却する際、実需の買主にも売れる点がアパートとの大きな違いです
- 売却:管理の手間と将来のリスクを手放し、現金化できます。土地の維持費(固定資産税)が毎年出ていく状態を止められる点も含めて比較対象になります
個別の事情がある場合は、判断の順序が変わります。土地が共有名義の場合は、建築にも融資にも共有者全員の同意が必要になるため、名義の整理が先です。相続対策が主目的の場合は、アパートを建てなくても土地の一部を貸地にする方法で評価額を下げられるケースがあります。土地が50坪未満の場合は、建築基準法の制限で戸数を確保しづらく、駐車場や戸建賃貸のほうが手取りで上回ることが多くなります。いずれも、アパート経営を前提にする前に確認しておく項目です。
それぞれの詳しい収益性・向き不向きは、比較記事で確認してください。

では、アパート経営を第一希望として相談に来られた方は、最終的に何を選んでいるのでしょうか。イエウール土地活用の相談記録から集計しました。
アパート経営を第一希望として相談された方が最終的に選んだ活用方法
※対象:直近2年間にイエウール土地活用へアパート経営を第一希望としてご相談いただいた約6,800件のうち、活用方法が確定した約3,100件を集計。内訳は「アパート・マンション経営」42%、「駐車場・コインパーキング」23%、「戸建賃貸など他の建物活用」19%、「売却・当面は保留」16%。
【調査結果】アパート経営を希望して相談した方の58%が、最終的に別の選択肢を選んでいる
イエウール土地活用の相談記録のうち、アパート経営を第一希望として相談し活用方法が確定した約3,100件を分析したところ、第一希望のまま進んだ方は半数に届きませんでした。残る6割近くは駐車場・戸建賃貸・売却など別の方法を選んでいます。これは1社のプランだけを見ていたら決して分からない事実です。
※直近2年間にイエウール土地活用へアパート経営を第一希望としてご相談いただいた約6,800件のうち、活用方法が確定した約3,100件を集計。内訳は「アパート・マンション経営」42%、「駐車場・コインパーキング」23%、「戸建賃貸など他の建物活用」19%、「売却・当面は保留」16%。
担当者
6割近い方が、当初の希望とは違う方法を選ばれているのですね。この差はどこから生まれるのでしょうか。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「アパート経営を希望して来られる方の多くは、相続税対策か安定収入のどちらかを目的にしています。ところが目的を突き詰めると、アパートでなくても達成できる場合がかなりあります。たとえば相続税評価額を下げたいだけなら、土地の一部を貸地にする方法でも効果が出ます。安定収入が目的で、かつ世帯数が減っているエリアなら、初期投資の小さい駐車場のほうが手取りの合計額で上回ることもあります。手段から入ると選択肢が1つしか見えませんが、目的から入ると3つか4つに増えます。」
担当者
目的から考え直すには、具体的に何から始めればよいのでしょうか。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「私は紙に3行だけ書いてもらいます。1行目は『この土地で達成したいこと』を1つだけ。2行目は『いつまでに』。3行目は『いくらまでなら初期投資できるか』です。この3行が決まると、選択肢は自動的に絞られます。たとえば『10年後の相続に備えたい・初期投資は1,000万円まで』なら、8,000万円のアパートは候補から外れます。この3行を持たずに複数社の提案を見ると、一番きれいな提案書を選んでしまいます。」
この3行を先に書き出したことで、アパート経営以外の方法にたどり着いた方の事例です。当初の希望と最終判断の違いに注目してください。
※本事例は、2026年6月時点でイエウール土地活用を通じて土地活用を検討・開始されたご成約者様を対象に、運営事務局がメールにてアンケートを実施し、ご回答いただいた内容をもとに作成しています。費用・収益などの数値はご本人の回答に基づいており、個人が特定できないよう氏名・住所等の詳細は非公開としています。
この事例から読み取れるのは、収入の絶対額が小さい方法でも、借入がなければ手取りで上回る場合があるという点です。アパート経営が向かない土地は確かに存在します。
とはいえ、「自分の土地は本当に向いていないのか」を判断するのは難しいものです。相談者の本音に近い質問を専門家にぶつけました。
正直に言うと、うちの土地は駅から遠くて世帯数も減っています。専門家から見て、このような条件でアパート経営を考えるのは無謀でしょうか。はっきり言ってほしいです。
無謀かどうかは条件だけでは判断できません。判断するために2つ伺わせてください。1つは、その土地の周辺に大学・工場・病院などの通勤通学先があるかどうか。もう1つは、ご自身が用意できる自己資金の額です。この2つで結論がかなり変わります。
大学はありませんが、車で15分のところに工場団地があります。自己資金は退職金から1,500万円までなら出せます。土地は420㎡です。
その条件なら、無謀とは言えません。工場団地が近いなら単身者の需要が読めます。ただし1Kを大量に作るのではなく、駐車場を1戸2台確保できる2DK中心の構成にしてください。420㎡なら6戸が上限です。建築費は木造で4,800万円前後、自己資金1,500万円を入れれば借入は3,300万円、返済比率は40%を切ります。空室率18%でも年間手取りは150万円前後が残る計算です。
1Kではなく2DKで6戸ですか。戸数を増やす前提で考えていました。
戸数を増やすほど儲かるという発想が、地方で最も危険です。工場勤務の方は車が必須なので、駐車場が1戸1台しかない物件は選ばれません。同じ420㎡なら、10戸で駐車場10台より、6戸で駐車場12台のほうが入居率は高くなります。私はこれを『台数優先の設計』と呼んでお伝えしています。駅近であれば1戸1台で足りますが、車がなければ生活できない地域では1戸2台が基準になります。実際、この考え方に切り替えて満室が続いている物件を何件も見てきました。
戸数を減らして駐車場を増やすという発想はまったくありませんでした。1,500万円を入れれば返済比率も4割を切ると分かって、検討を進める気持ちになりました。まずは6戸のプランで複数社に見積もりを取ってみます。
担当者
「戸数を減らす提案は聞いたことがない」というお声を、地方の土地をお持ちの方から本当によくいただきます。
まとめ:アパート経営と他の選択肢の選び分け
- 世帯数が横ばい以上、自己資金2割を用意できる方は → アパート経営
- 初期投資を抑えたい、将来の撤退のしやすさを重視する方は → 駐車場
- ファミリー需要が残り、将来の売却も視野に入れる方は → 戸建賃貸
- 管理の手間とリスクを手放したい方は → 売却も比較対象に入れる
- いずれも判断がつかない場合は → 複数社の提案を並べて数字で比べる
アパート経営の年収に関するよくある質問
Q1. アパート経営の年収はいくらですか?
国税庁「令和3年度 申告所得税標本調査結果」によると、不動産所得者の平均年収は540万円です。ただしこの統計は不動産所得全般を対象としており、複数棟のオーナーやテナントビルの所有者も含まれます。イエウール土地活用の相談記録約1,100件では、アパートを所有する方の年間手取り所得は300万円未満が65%を占めました。返済中の1棟目に限れば、平均540万円より低い水準になるのが実態です。
Q2. アパート経営が儲かる条件・儲からない条件はどう見分けますか?
収支計算の3つの前提を確認すれば見分けられます。次の項目のうち、上から2つ以上を満たせるかどうかが分かれ目です。
- 自己資金:建築費の2割以上を用意できるか。返済比率を50%以下に抑えられるかが基準です
- 空室率:空室率10%で試算しても年間の手取りが黒字になるか。満室想定でしか黒字にならない計画は儲からない条件に該当します
- 修繕への備え:家賃収入の5〜7%を毎年積み立てられるか。10年目の大規模修繕を借入なしで賄えるかが分かれ目です
アパート経営歴5年以上のオーナー412人への調査でも、収支が想定を下回った最大の要因は「自己資金が少なく返済比率が高かった」が36%で最多でした。立地よりも資金計画の影響が大きいと言えます。
Q3. アパート経営は何年で黒字になりますか?
物件価格8,000万円・自己資金2割の条件で試算すると、儲かる条件をすべて満たす場合は約6年、儲からない条件に当てはまる場合は約12年です。ここでの黒字化とは、投じた自己資金を毎年の手取りの積み上げで回収し終える時点を指します。実際にアパート経営歴10年以上のオーナー286人に聞いた調査では、黒字化を実感した年数は「11〜15年」が34%で最多、10年以内は23%にとどまりました。試算値より2〜3年長くなる主因は、家賃下落と修繕費です。木造の法定耐用年数22年の半分にあたる11年以内に回収できる計画かどうかを、着工前の判断基準にしてください。
Q4. アパート経営はやめたほうがいい人の特徴はありますか?
次の3つがすべて当てはまる場合は、アパート経営以外の選択肢を先に比較することをおすすめします。①頭金ゼロで諸経費も借入に含める予定である、②土地の所在する市区町村の世帯数が減少している、③10年以内に売却や自己利用の可能性がある。イエウール土地活用にアパート経営を第一希望として相談された方のうち、実際にアパート・マンション経営を選んだのは42%で、残る58%は駐車場・戸建賃貸・売却など別の方法を選んでいます。アパート経営が向かない土地は確かに存在するため、やめたほうがいいと感じた場合は、同じ土地での他の活用方法の概算も並べて比較してください。
アパート経営の収支を把握して年収を増やしていこう
アパート経営の年収は、国税庁の統計では平均540万円です。ただし実態としては、返済中の1棟目で年間手取り300万円未満というケースが3分の2を占めます。この差を生んでいるのは立地の良し悪しではなく、自己資金・空室率の前提・修繕への備えという3つの条件です。
同じ物件価格8,000万円でも、儲かる条件をすべて満たせば黒字化は約6年、儲からない条件に当てはまれば約12年と、約6年の差が生まれます。着工前であれば、自己資金の積み増しと戸数の調整でこの年数は動かせます。逆に建ててしまえば戸数も構造も変えられません。判断が必要なのは今の段階です。
そして、アパート経営が唯一の答えではありません。イエウール土地活用に相談された方のうち、最終的にアパート・マンション経営を選んだのは42%です。複数の会社・複数の活用方法を並べて数字で比べたうえで選んだ方は、その後に空室が出ても判断がぶれません。次のステップとして、まずご自身の土地で各社がどんなプランを出すのかを確認してみてください。
\最適な土地活用プランって?/
土地からお探しの方は、まずはご希望のエリア、または現住所をご入力いただければ、最適なプランをご紹介します。
本記事の情報は2026年7月時点のものです。掲載しているシミュレーションは一定の前提条件に基づく試算であり、実際の収支を保証するものではありません。投資判断は、複数社の提案と税理士・金融機関への確認を経たうえで行ってください。
