アパートローン借り換えシミュレーションで分かった、金利差0.5%が生む100万円超の差

「金利が上がってきたと聞いて、今のアパートローンのままでいいのか不安になりました。借り換えでどれくらい返済額が変わるのか、まず自分の場合の目安を知りたいです」
神奈川県横浜市(郊外)在住の50代・男性(2026年6月)
すでにアパートローンを組んでいて、金利上昇のニュースや返済額の増加をきっかけに「借り換えたほうがいいのだろうか」と感じ始めた方へ向けて、この記事を書いています。借り換えの是非は、実は「残債の額」「金利差」「残返済年数」という3つの条件だけでおおよその見立てがつきます。とはいえ、一般的な目安だけでは「自分の場合は本当にそうなのか」「自分と似た属性の人は実際どうだったのか」までは分かりません。
この記事では、残債×金利差別の削減額早見表と、借り換えで得する人・損する人の判断基準に加えて、イエウール土地活用に寄せられた累計約500件の借り換え相談の実績データをもとに、「自分と似た属性の人が実際にどのくらい借り換えできているか」まで踏み込んで解説します。読み終えるころには、自分のケースでの削減額の目安と、その目安がどの程度現実的かの裏付けを持てる状態になります。
まずは次の早見表で、自分の残債・金利差に近いケースの削減額目安を確認してください。早見表だけでは分からない「自分の物件で実際にどのくらい収益性が変わるか」は、後述する判断基準を踏まえたうえで、複数社の収益プラン比較で確認できます。
なお、アパートローンそのものの基本的な仕組みや審査基準について未確認の方は、アパートローンの基本的な仕組みと審査基準はこちらを先にご覧いただくと、この先の内容がより理解しやすくなります。
アパートローン借り換えシミュレーションで分かる、残債×金利差別の削減額早見表
「アパートローン借り換えシミュレーション」と検索する方の多くが最初に知りたいのは、自分の残債と金利差から見て、借り換えでどのくらい返済額が変わるのかという具体的な数字です。ここでは残債規模と金利差の組み合わせ別に、月々の削減額と総削減額の目安をまとめました。
▼残債×金利差別・借り換え削減額早見表(残返済年数20年で試算)
| 残債規模 | 金利差0.3% | 金利差0.5% | 金利差1.0% |
|---|---|---|---|
| 1,000万円 | 総額約17万円減 | 総額約29万円減 | 総額約58万円減 |
| 3,000万円 | 総額約52万円減 | 総額約87万円減 | 総額約174万円減 |
| 5,000万円 | 総額約87万円減 | 総額約145万円減 | 総額約289万円減 |
| 1億円 | 総額約174万円減 | 総額約289万円減 | 総額約578万円減 |
担当者
残債3,000万円台・金利差0.5%前後のご相談が最も多いのですが、実際の削減額は金融機関ごとに差が出やすいポイントでもあります。
ここで注意したいのは、同じ残債・同じ金利差でも、借り換え先の金融機関によって適用される金利や諸費用の水準が異なるという点です。イエウール土地活用の相談窓口では、同じ条件で複数の金融機関に相談された結果、提示される金利に0.2〜0.4%程度の差が生まれたという声を、相談者ご本人から後日ヒアリングする中でよく耳にします。1つの金融機関の提示条件だけを見て判断すると、この早見表よりも実際の削減額が小さくなってしまう可能性があるということです。
また、金融機関にはそれぞれ得意な融資条件・苦手な物件タイプがあり、都市銀行・地方銀行・信用金庫・ノンバンクといったタイプごとに金利の傾向も変わります。個別の金融機関タイプ別の金利相場を詳しく比較したい方は、金融機関タイプ別の金利相場の詳細はこちらで確認できます。
イエウール土地活用の相談実績を横断的に見ると、同じ残債3,000万円台の相談者でも、都市部の物件と地方都市の物件とでは、借り換え時に提示される金利の傾向にも差が出やすい点が分かっています。担保評価がつきやすい都市部の物件は相対的に低い金利を引き出しやすく、地方の物件は入居率や物件の維持状態がより重視される傾向があります。これは特定の1社の窓口だけを見ていては気づきにくく、複数のエリアのオーナー様から、それぞれが相談した金融機関の状況を横断的にヒアリングしているポータルだからこそ見えてくる傾向です。
まとめ:早見表の数字はあくまで目安
- 残債規模と金利差が大きいほど削減額は大きくなる(1億円×金利差1.0%で総額約578万円減という試算も)
- 同じ条件でも金融機関によって実際の削減額は変わる可能性がある
- 正確な数字は、次の判断基準を踏まえたうえで自分の条件で確認する必要がある
なお、タイトルにある「金利差0.5%が生む100万円超の差」は、残債5,000万円以上・金利差0.5%以上のケースの試算(総額約145万円減)に相当します。相談件数が最も多い残債3,000万円台のケースでは、金利差0.5%での総削減額は約87万円が目安です。残債規模によって削減額は大きく変わるため、まずは上記早見表で自分の残債に近い行を確認してください。
アパートローン借り換えで損する人・得する人の分かれ目(判断基準・損益分岐)
早見表で削減額の目安が分かっても、「自分は本当に借り換えるべきなのか」までは判断できません。借り換えの是非は、複雑な計算をしなくても、残債の規模・金利差・残返済年数という3つの軸で大まかな見立てがつきます。
「金利差が0.1〜0.2%程度なら借り換えるメリットは小さい」と考えている方が多いのですが、残債規模が大きい場合はこの前提が逆転します。残債5,000万円以上であれば、金利差0.3%でも総額80万円超の削減になり得るため、「小さな金利差だから見送る」という判断は、残債規模によっては早計になりやすい典型的な誤解です。
判断は次の3軸で行います。
- 残債規模
残債が大きいほど、わずかな金利差でも総額の削減効果は大きくなります。目安として残債3,000万円を超える場合は、金利差0.3%以上でも検討価値があります。 - 金利差
金利差が0.5%以上あれば、諸費用を差し引いても得になるケースが多い水準です。金利差0.3%未満の場合は、残債規模と残返済年数を踏まえて個別に判断する必要があります。 - 残返済年数
残り年数が短いと、金利差による削減効果を回収しきれないうちに完済してしまう可能性があるため、目安として残り10年以上ある場合に借り換えメリットが出やすくなります。
この3軸だけで判断が完結するわけではありませんが、「自分はまず検討する価値があるかどうか」の一次スクリーニングとしては十分に機能します。イエウール土地活用の相談実績を見ると、この3軸のスクリーニングで「検討価値あり」と判定された相談者のうち、実際に借り換えの具体的な検討(金融機関への相談)まで進んだ方は約6割にのぼります。逆に3軸のいずれも満たさない相談者では、その割合は2割程度にとどまっており、この一次スクリーニングが実際の行動を左右する目安として機能していることが分かります。一方、残債3,000万円未満かつ金利差0.3%未満の相談者では、諸費用を踏まえたうえで借り換えを見送った割合が約7割にのぼります。「小さな金利差だから諦める」のではなく、まず早見表とこの3軸で検討価値があるかどうかを確認することが重要です。既存記事で解説している借り換えの詳しい判断ロジック・手続きの流れを詳しく知りたい方は、借り換えの手続きの流れと必要書類の詳細はこちらも参考にしてください。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「相談を受ける際は、残債規模・金利差・残返済年数の3つを紙に書き出してもらうところから始めます。目安として、残債3,000万円以上かつ金利差0.3%以上、残り10年以上のいずれかを満たす場合は、諸費用を含めた具体的な試算に進むようお伝えしています。」
判断基準は分かっても、「自分の物件で実際にどのくらい収益性が変わるのか」はここまでの解説だけでは分かりません。物件の家賃収入や修繕計画によって、保有を続けた場合・リフォームした場合の収支は大きく変わるためです。次のステップとして、複数の土地活用会社・建築会社から、保有継続・リフォームを踏まえた収益プラン(家賃収入・修繕計画を反映した収支シミュレーション)を取り寄せ、横並びで比較することをおすすめします。1社だけの試算では見えなかった収支の差が、比較して初めて分かることも少なくありません。
アパートローン借り換えで自分と似たオーナーはいくら借りられているか(自社相談実績データ)
早見表の削減額や判断基準は、あくまで一般化された計算上の目安です。ここで多くの方が気になるのは、「この数字は本当に現実的なのか」「自分と同じような残債・金利差の人は、実際にどのくらい借り換えできているのか」という点ではないでしょうか。イエウール土地活用には、アパートローンの借り換えに関する相談が累計約500件寄せられています。ここでは、その相談実績データをもとに、残債×金利差のパターン別に借り換え実現状況をお伝えします。
※イエウール土地活用の累計相談実績のうち、アパートローンの借り換えに関する相談約500件を対象に集計しています。残債規模・金利差・借り換え結果の各データから割合を算出しており、外れ値(上位・下位5%)は除外しています。
▼パターン①|残債1,000万円台×金利差0.3%前後
【調査結果】残債1,000万円台・金利差0.3%前後の相談者48件における借り換え結果
■想定通り成立 38% ■条件変更で成立 26% ■見送り 29% ■その他 7%
残債1,000万円台・金利差0.3%前後で借り換えを検討した相談者のうち、早見表どおりの金利差0.3%前後で成立した方が38%、金利差0.1〜0.2%程度に縮小しつつも成立した方が26%という結果でした。一方で、諸費用を差し引くとメリットが小さいと判断して見送った方が29%と、他の残債規模に比べてやや高めの水準になっています。
※対象:残債1,000万円台・金利差0.3%前後で借り換えを検討したと申告した相談者48件(相談者本人の申告に基づく)。内訳は「早見表の削減額とほぼ一致する条件で成立」38%、「条件を下方修正して成立(金利差0.1〜0.2%程度への縮小など)」26%、「見送り」29%、「その他」7%。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「残債が小さいケースは、金融機関にとって融資額が小さく手数料収入も限られるため、そもそも積極的に動いてもらいにくい面があります。残存耐用年数や入居実績の資料を整えたうえで、同時期に複数の金融機関へ相談することが特に重要になります。」
実際にこのパターンに近い条件で、事前準備によって成立まで進んだ方の事例を見てみましょう。この事例で確認してほしいのは、残債が小さい場合でも準備次第で早見表どおりの条件を引き出せるという点です。
この事例から読み取れるのは、残債が小さくても、資料の準備と複数社への同時相談があれば、早見表どおりの条件を引き出せる可能性があるということです。
▼パターン②|残債3,000万円台×金利差0.5%以上
残債3,000万円台・金利差0.5%以上に該当した相談者95件の借り換え結果の内訳
※対象:残債3,000万円台・金利差0.5%以上に該当すると申告した借り換え相談者95件(相談者本人の申告に基づく)。内訳は「早見表の削減額とほぼ一致する条件で借り換え成立」42%、「当初想定より条件を下方修正して借り換え成立(金利差0.2〜0.3%程度への縮小や諸費用の増加など)」31%、「借り換えを見送った」18%、「その他(審査中・転居等の事情による中断など)」9%。
【調査結果】残債3,000万円台・金利差0.5%以上の相談者95件における借り換え結果
イエウール土地活用の相談記録を分析したところ、この条件に該当する相談者のうち、早見表とほぼ一致する条件で借り換えが成立した方が42%、当初の想定より条件を下げて成立した方が31%という結果でした。つまり7割以上の方が、多少の条件変更はあるにせよ実際に借り換えを実現できているということです。
担当者
31%の方が条件を下げて成立している点が気になりますが、この差はどこから生まれているのでしょうか。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「条件が下がる主な原因は、既存の入居率と築年数です。金融機関は借り換え審査の際、現在の収益力を改めて評価し直すため、当初のローンを組んだ時点より入居率が下がっていたり、築年数が経過して修繕リスクが高いと判断されたりすると、想定していた金利まで下がらないケースが出てきます。」
担当者
では、入居率や築年数の懸念がある場合、相談者はどう備えればよいのでしょうか。具体的に伺えますか。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「私が相談を受ける際は、申し込みの3〜6カ月前から入居率を90%以上まで引き上げる、あるいは直近の修繕履歴を資料として整理しておくことをお伝えしています。入居率が低い場合は、家賃を一時的に見直してでも埋めたほうが、結果的に金利面で有利になることが多いです。」
この事例で確認してほしいのは、事前準備の有無が実際の借り換え条件をどう左右したかという点です。
この事例から読み取れるのは、入居率と修繕履歴の見せ方次第で、同じ残債・同じ物件でも借り換え条件が変わり得るということです。
ここまでの内容を実際の相談現場でどう伝えているか、相談者とのやり取りを見てみましょう。
正直に言うと、うちは築22年で入居率も85%くらいなんです。こういう条件だと、やっぱり金利差0.5%は厳しいでしょうか。
築22年・入居率85%だけで諦める必要はありません。ただ具体的な見立てをお伝えするには、残債と現在の家賃収入の水準も伺えますか。
残債は3,400万円で、家賃収入は年間260万円くらいです。
その条件であれば、入居率を88〜90%まで引き上げられれば金利差0.4%前後は狙える水準です。空室2室のうち1室でも埋められれば数値上は達成できますので、まず募集条件の見直しから始めることをおすすめします。
築年数だけで諦めなくてよいと分かって安心しました。まず空室を1室埋めることから始めてみます。
担当者
「築年数が経っているから借り換えは無理だと思っていた」というご相談は日々多く寄せられますが、実際には入居率の改善余地を確認しただけで前向きな結果になった方を何人も見てきました。
▼パターン③|残債5,000万円台×金利差1.0%前後
【調査結果】残債5,000万円台・金利差1.0%前後の相談者42件における借り換え結果
■想定通り成立 52% ■条件変更で成立 22% ■見送り 19% ■その他 7%
残債5,000万円台・金利差1.0%前後の相談者では、早見表どおりの条件で成立した方が52%と、他の残債規模より高い割合になっています。残債が大きいほど金融機関にとっても融資の収益性が高いため、好条件を引き出しやすい傾向がうかがえます。
※対象:残債5,000万円台・金利差1.0%前後で借り換えを検討したと申告した相談者42件(相談者本人の申告に基づく)。内訳は「早見表の削減額とほぼ一致する条件で成立」52%、「条件を下方修正して成立(金利差0.6〜0.8%程度への縮小など)」22%、「見送り」19%、「その他」7%。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「残債が大きい案件は、担保評価と収益性さえ問題なければ、金融機関同士の金利競争が働きやすくなります。複数行に同時に見積もりを取ることで、この競争を意図的に引き出すことができます。」
このパターンに該当する事例を見てみましょう。この事例で確認してほしいのは、複数行を競わせることで早見表どおりの条件を実現できたという点です。
この事例から読み取れるのは、残債が大きいケースほど、複数行を同時に競わせる交渉が効果を発揮しやすいということです。
▼パターン④|残債1億円×金利差1.0%前後
【調査結果】残債1億円前後・金利差1.0%前後の相談者18件における借り換え結果
■想定通り成立 39% ■条件変更で成立 33% ■見送り 22% ■その他 6%
残債1億円規模になると、審査の慎重さが増すため、当初想定より金利差が縮小して成立した方が33%と他の残債規模より高くなっています。それでも約7割の方が条件変更を含めて借り換えを実現しています。
※対象:残債1億円前後・金利差1.0%前後で借り換えを検討したと申告した相談者18件(相談者本人の申告に基づく)。内訳は「早見表の削減額とほぼ一致する条件で成立」39%、「条件を下方修正して成立(金利差0.5〜0.7%程度への縮小など)」33%、「見送り」22%、「その他」6%。件数が少ないため、他のパターンに比べて割合の変動幅が大きい点にご留意ください。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「借入規模が大きい案件は、担保の見直しや連帯保証人の追加を求められることもあります。1棟だけでなく、保有物件全体の収益力を示す資料を用意しておくと、交渉の材料になります。」
このパターンに該当する事例を見てみましょう。この事例で確認してほしいのは、規模が大きい借り換えでは条件が下がることも珍しくないという現実的な水準感です。
この事例から読み取れるのは、借入規模が大きい場合は早見表どおりの数字にならないこともあるものの、事前の資料整理次第で十分なメリットを確保できるということです。
まとめ:実績データから見える借り換えの現実
- 残債規模が大きいほど、早見表どおりの条件で成立する割合が高くなる傾向がある(残債5,000万円台で52%、残債1,000万円台で38%)
- 条件が下がる主因は入居率・築年数・担保評価であり、事前の準備で改善余地がある
- 残債1億円規模でも約7割が条件変更を含めて借り換えを実現しており、規模の大きさだけで諦める必要はない
自分と似た属性の人が実際どのくらい借り換えできているかが分かると、次に気になるのは「自分自身は具体的にいくらまで借りられそうか」という点だと思います。
アパートローン借り換えシミュレーションだけでは見落としがちな諸費用と損益分岐
削減額の目安と、その現実性の裏付けが取れても、諸費用を考慮せずに判断すると「思ったほど得しなかった」という結果になりかねません。借り換えには手数料や登記費用などの諸費用が発生し、これを削減額と突き合わせて初めて、本当に得かどうかが判断できます。
▼借り換えにかかる諸費用の目安(残債3,000万円台のケース)
| 費用項目 | 目安金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 抵当権抹消費用 | 1〜2万円程度 | 既存ローンの抵当権を外す費用 |
| 抵当権設定費用(登録免許税含む) | 残債の0.4%程度 | 新しいローンの担保設定にかかる費用。諸費用の中で最も大きい |
| 事務手数料 | 数万円〜借入額の2%程度 | 金融機関により定額型・定率型に分かれる |
| 司法書士報酬 | 5〜10万円程度 | 登記手続きの代行費用 |
| 印紙税 | 契約金額に応じて数万円〜 | 金銭消費貸借契約書に貼付 |
残債3,000万円・金利差0.5%のケースでは、総削減額の目安が約87万円である一方、諸費用の合計はおおむね30万〜50万円程度に収まることが多く、差し引いても40万円前後のメリットが残る計算になります。ただし残債規模が小さい場合や、金利差が0.2〜0.3%程度にとどまる場合は、諸費用と削減額がほぼ相殺され、損益分岐点ぎりぎりになるケースも見られます。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「私が試算をお伝えする際は、削減額から諸費用を差し引いた『純メリット額』を必ず提示し、それを残返済年数で割った『年間換算の実質メリット』まで示すようにしています。金利差0.2%台の場合はこの実質メリットが年数万円にとどまることもあるため、手続きの手間と見合うかどうかも合わせて判断材料にしていただいています。」
諸費用を踏まえた損益分岐の考え方を理解したうえで、手続きの具体的な流れや必要書類を知りたい方は、借り換えの手続きの流れと必要書類の詳細はこちらで確認できます。
イエウール土地活用の相談実績データからは、諸費用の内訳のうち「事務手数料」が定額型か定率型かで、相談者が最終的に選ぶ金融機関の傾向が分かれることも見えています。残債が大きい相談者ほど定額型の金融機関を比較検討する割合が高く、残債が小さい相談者は定率型でも総額が小さく収まる金融機関を選ぶ傾向にあります。1社の提示条件だけでは「自分にとって定額型と定率型のどちらが有利か」を比較しようがないため、複数社の見積もりを並べて確認することが欠かせません。イエウール土地活用の相談実績では、諸費用を含めた「純メリット額」を試算せずに借り換えを決めてしまい、想定より手取りの削減効果が小さかったと後から相談された方が、見送り理由全体の一定数を占めています。諸費用を差し引いた実質メリットを事前に確認することが、後悔しない借り換えの分かれ目です。
アパートローンの借り換えは1社だけで判断すると損をする理由
1社の提示条件だけで判断するリスク
ここまでの早見表・判断基準・実績データを踏まえても、最後に見落としやすいのが「どこに相談するか」という点です。1つの金融機関の窓口だけで話を進めてしまうと、その金融機関の基準でしか可否・条件を判断できず、より有利な条件を見逃してしまう可能性があります。
アドバイス
石川 龍明(アパートメントクリエーター・賃貸経営リスクコンサルタント)
「私が相談者にお伝えしているのは、最低でも2〜3社に同時期に相談し、同じ資料一式(返済予定表・入居状況・修繕履歴)を提出して条件を横並びで比較する、というやり方です。1社ずつ順番に相談すると、比較する頃には最初の提示条件の有効期限が切れていることもあるため、同時進行が基本です。」
複数社を比較した相談者の傾向
イエウール土地活用では金融機関の紹介・あっせんは行っていませんが、相談者の方から経過をお伺いする中で、複数の金融機関にご自身で相談された方の多くが、最初の1社の提示条件よりも有利な条件を引き出せていたという声をよく耳にします。
また、借り換えを検討する背景には「このままアパート経営を続けるか」「売却したほうがよいか」「リフォームで賃料を上げたほうがよいか」という周辺の意思決定が関わっているケースも少なくありません。イエウール土地活用の相談実績を見ると、借り換え相談者のうち一定数が、同時期に「保有を続けるべきか」「売却したほうが手残りが多いのではないか」という相談も併せて寄せていることが分かっています。Speeeグループには土地活用に加えて売却・リフォームの領域を扱うサービスがあり、借り換え単体の損得だけでなく、保有継続・売却・リフォームという周辺の選択肢まで含めて中立的に比較検討できる点は、借り換え専業の金融比較サイトにはない視点です。借り換え以外に「売却したほうが手残りが多いのではないか」「リフォームで賃料を上げたほうがよいのではないか」と迷っている方も、同じ窓口で土地活用会社・建築会社の収益プランを比較しながら、あわせて検討いただけます。
「借り換えの相談は1社に絞ったほうが手間が少ない」と考えがちですが、実際には複数社に同時に相談したほうが、結果的に手続きの往復回数が減るケースが多く見られます。1社ずつ順番に相談すると、条件に納得できず再度別の金融機関を探す手間が発生し、かえって時間がかかることが少なくないためです。
まとめ:借り換え先を検討するときの判断基準
- スピード重視で今すぐ確実に進めたい方は → 現在の取引金融機関に借り換え条件を打診しつつ、他社にも同時相談
- できるだけ有利な条件を引き出したい方は → 最低2〜3社に同時期に相談し、同じ資料で横並び比較
- 借り換え以外の選択肢も含めて迷っている方は → 保有継続・売却・リフォームも含めた中立的な相談窓口を活用
ここまでの内容を踏まえると、借り換えの判断は「早見表で目安を知り」「判断基準で見立てをつけ」「実績データで現実性を確認し」「複数の金融機関に自ら相談する」という一連の流れで進めるのが最も後悔の少ない進め方だといえます。なお、イエウール土地活用が提供できるのは借り換え自体のプランではなく、土地活用会社・建築会社による保有継続・リフォーム・売却を踏まえた収益プラン(家賃収入・修繕計画を反映した収支シミュレーション)のご案内です。借り換えを機に「このまま保有を続けるべきか」「リフォームで賃料を上げたほうがよいか」「売却したほうが手残りが多いのではないか」まで含めて検討したい方は、複数社から収益プランを取り寄せ、比較検討したうえで、ご自身が金融機関に相談する際の判断材料としても活用いただけます。
よくある質問
Q1. 元利均等返済と元金均等返済、借り換え時はどちらを選べばよいですか?
元利均等返済は毎月の返済額が一定で資金計画が立てやすく、元金均等返済は当初の返済額が大きい分、総返済額を抑えやすいという特徴があります。借り換え時にどちらを選ぶべきかは、残返済年数やキャッシュフローの状況によって異なります。返済方式の違いを詳しく知りたい方は、アパートローンシミュレーションの返済方式についてはこちらで解説しています。
Q2. 借り換えの審査には、どのくらい時間がかかりますか?
金融機関や物件の状況によって幅がありますが、イエウール土地活用の借り換え相談者約500件のデータでは、申し込みから融資実行まで平均で約1.5カ月、修繕履歴等の書類がすぐ揃っていた相談者では1カ月弱で完了したケースが多く見られます。複数社に同時相談する場合は、必要書類を早めに揃えておくとスムーズに進みます。具体的な手続きの流れは借り換えの手続きの流れと必要書類の詳細はこちらをご覧ください。
Q3. 入居率が低い場合、借り換えはあきらめたほうがよいですか?
入居率が低いこと自体は借り換えの障壁になり得ますが、あきらめる前に改善できる余地があるかを確認する価値があります。本文の実績データでも紹介したとおり、事前に入居率を引き上げる、修繕履歴を整理するといった準備によって条件が改善したケースが多く見られます。
Q4. 借り換えを見送った相談者には、どのような理由が多いですか?
本文の実績データでは、残債3,000万円台・金利差0.5%以上の相談者95件のうち18%、残債1,000万円台・金利差0.3%前後の相談者48件のうち29%が借り換えを見送っています。見送りの理由として多いのは、諸費用を差し引いた実質メリットが小さいと判断した場合や、直近数年以内に完済予定で残返済年数が短い場合です。「金利差があるから必ず得」とは限らないため、諸費用と残返済年数を踏まえた損益分岐の考え方(本文H2「見落としがちな諸費用と損益分岐」参照)で確認することをおすすめします。
まとめ:次にやるべきこと
- 残債×金利差の早見表で、自分に近いケースの削減額の目安を確認する
- 残債規模・金利差・残返済年数の3つで、借り換え検討の価値があるかを見立てる
- 自分と似た属性の実績データで、目安の現実性と改善余地を確認する
- 諸費用を差し引いた実質メリットを把握する
- 1社に絞らず複数の金融機関に自ら相談し、保有継続・リフォーム・売却も含めた収益プランを複数社から受け取って比較する