アパート経営の成功率は76%?現役オーナー調査×3つの視点で徹底解説

埼玉県さいたま市(郊外)在住・50代男性
「親から引き継いだ土地にアパートを建てようか迷っています。失敗して借金を抱えている人の話も聞くので、実際にどれくらいの人が成功しているのか知りたいです」
「アパート経営の成功率は何%か」を調べると、サイトによって70%・80%・97%など答えがバラバラで、結局どれを信じればいいのかわからなくなった方も多いはずです。
アパート経営の成功率に統一基準はありません。「満足度」で測れば76%、「ローン破綻していないか」で測れば97%、「節税・土地活用が目的」ならほぼ全員が成功とみなせます。自分が何を「成功」の基準にするかで、見るべき数字が変わります。
この記事では、当社が現役大家さん101人に実施した独自調査の結果をもとに、なぜ成功率の数字がこれほど分かれるのかを解説します。加えて、成功と失敗を分ける3つの要因や、よくある失敗パターンについても紹介しますので、ご自身の判断基準を決める材料としてお役立てください。
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アパート経営「成功率」は、測り方で60〜97%まで変わる
「結局、成功率は何%なの?」という疑問に対する答えを、代表的な4つの視点の数字で一覧にしました。それぞれどんな基準で測った数字かを以下で確認してください。
▼「アパート経営の成功率」4つの視点別の数字一覧
| 視点 | 数字 | 何を測った数字か |
|---|---|---|
| ①満足度(当社調査) | 76% | オーナー本人の主観的な満足度 |
| ②銀行データ(返済継続率) | 約97% | ローンの返済が滞っていない割合 |
| ③想定入居率(事業計画の前提) | 約81% | 建築会社が収支計画で使う想定入居率 |
| ④目的別ハードル(土地活用・節税目的) | ほぼ100% | 遊休地の活用という目的を達成できた割合 |
出典:①イエウール土地活用が実施した独自アンケート調査(対象:現在もアパート経営を行っている方101名/調査期間:2022年1月25日〜2月3日)/②独立行政法人住宅金融支援機構「統合報告書2024」資料編(住宅ローン全体の集計、アパートローン限定の公表データなし)/③総務省統計局「住宅・土地統計調査」の空室率データをもとにイエウール編集部が入居率に換算/④イエウール土地活用編集部による分類(遊休地活用を目的とした場合の達成可否を整理)。調査年・対象・算出方法が異なるため、数値は単純比較できません。
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アパート経営成功率の中身 ー なぜ4つの数字で差が出るのか
先ほどの一覧表だけでは、「結局どの数字を信じればいいのか」までは判断できません。4つの数字がそれぞれ何を測っていて、自分にとってどう使えるのかを順番に見ていきましょう。
①満足度76%|「主観」で測った数字
当社が101人のオーナーに行った独自調査では、満足度76%という結果でした。ただし、この数字はあくまで本人の「主観的な満足度」を測ったものです。
満足度ベースの数字には、実際の収支とは関係なく評価が決まるという特徴があります。多少の持ち出しがあっても「土地を活用できた満足感」で「満足」と答える方もいますし、収支がプラスでも「思ったより手間がかかる」という理由で「不満」と答える方もいます。
つまり満足度76%という数字だけでは、「経営として黒字かどうか」までは判断できません。「自分は収支よりも手間や満足感を重視する」という方にとっては参考になりますが、収支で判断したい方は次の銀行データを見たほうが実態に近づきます。
※RC系建築・経営コンサルティング歴20年以上・累計440件以上の案件支援
「満足度が高くても、実際の収支を数字で確認していないオーナーは少なくありません。
感覚的に『うまくいっている』と思っていても、毎月の収支を細かく見ると、わずかな持ち出しが続いているケースもあります。逆に収支が安定していても、管理の手間を感じて『不満』と答える方もいます。
満足度に関わらず、年に1回は収支を数字で見直す習慣をつけることをおすすめします。」

②銀行データ97%|「破綻していない」だけの数字
もう少し客観的な数字として、ローンの返済状況から見る視点があります。住宅金融支援機構の発表によると、2024年度のリスク管理債権(返済が滞っている債権)の割合は約3.05%でした。
▼ローンのリスク管理債権の割合(2024年度)
| 区分 | 割合 |
|---|---|
| リスク管理債権(返済が滞っている債権) | 3.05% |
| 正常に返済が継続できている債権 | 約97% |
出典:独立行政法人住宅金融支援機構「統合報告書2024」資料編をもとに作成。本データは住宅ローン全体の集計であり、アパートローンに限定した公表データは確認できていません。
裏を返せば、97%は「返済を続けられている」だけを意味する数字です。生活費を切り詰めたり、自己資金から毎月の不足分を補填したりしながら返済を続けているケースも、この97%に含まれます。「破綻していない」と「経営が順調」はまったく別の話です。
そのとおりです。家賃収入だけで返済をまかなえているか、それとも生活費から補填しているかは、返済状況のデータだけでは見えません。この差を自分で確認するには、年に一度収支を数字で見直すことが欠かせません。
※RC系建築・経営コンサルティング歴20年以上・累計440件以上の案件支援
「返済が続いている事実だけで、経営が順調だと判断するのは危険です。
相談の中には、生活費を切り詰めながら返済だけは続けているケースも少なくありません。返済状況だけを見ても、この実態までは見えてきません。
家賃収入だけで返済と生活費の両方をまかなえているかを、ご自身の収支表で必ず確認してください。」

③入居率81%|「空室前提の事業計画」の数字
建築会社の提案書でよく目にする「想定入居率」にも、似たような注意が必要です。総務省統計局「住宅・土地統計調査」によると、全国の賃貸住宅の空室率は18.8%、入居率にすると約81%です。
出典:総務省統計局「住宅・土地統計調査」の空室率データをもとにイエウール編集部が入居率に換算。調査年・建物の構造・地域によって数値は異なります。
想定入居率とは、建築会社が収支計画を作るときに使う「平均してこれくらいは空室になる」という前提の数字です。多くの提案書では、この全国平均に近い数字(80〜85%程度)が使われています。この数字を知っておくと、提案書の前提が極端に楽観的かどうかを判断する目安になります。
つまり81%という数字は、「成功しているかどうか」を示す指標ではなく、最初から空室を一定数織り込んだ計画の前提にすぎません。自分の建物の実際の入居率がこれより低ければ、計画から外れているということです。提案書の入居率が95%以上になっている場合は、根拠データを確認したほうがよいでしょう。
※RC系建築・経営コンサルティング歴20年以上・累計440件以上の案件支援
「提案書の想定入居率は、必ず前提条件とセットで確認してください。
全国平均に近い数字を使っている提案は、立地や築年数による差を反映していない場合があります。近隣の実際の稼働状況と比べて、楽観的すぎないかを確認することが大切です。
提案書の想定入居率と、近隣の実際の入居率データを必ず突き合わせて確認しましょう。」

④結局、成功率はあなたの目的のハードル次第
ここまで3つの視点を見てきました。満足度・返済状況・想定入居率のどれを使うかで、成功率の見え方は変わります。数字そのものよりも、自分が何を「成功」とするかを先に決めることが重要です。
遊休地の活用や相続税対策が主な目的であれば、建物を建てて一定の収入が入ること自体が目的を達成している状態です。多少の空室や赤字があっても、更地のまま固定資産税を払い続けるよりは目的を果たせているといえます。一方、家賃収入を生活の主な収入源にしたい場合は、ハードルが大きく上がります。ローンの返済・修繕費・税金をすべて支払ったうえで、生活費として使える金額が確保できているかまで求められるためです。
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「専業収入を目指す方ほど、1社だけの収支計画で判断するのは危険です。
建築会社によって想定する入居率や修繕費の見積もりに差があり、同じ土地でも収支計画の数字は大きく変わります。複数社を比較することで、現実的な収支の幅が見えてきます。
最低でも2〜3社の収支計画を取得し、前提条件をそろえて比較してください。」
- 土地活用・節税が目的の方
建物を建てて遊休地の課題が解消できれば、多くの場合で目的を達成できます。 - 老後の収入の補填が目的の方
本業収入と合わせて無理のない範囲で持ち出しがない状態を目指せれば十分です。 - 専業収入が目的の方
生活費まで確保できる収支計画が必要なため、複数社のプランを比較して精度を上げることが欠かせません。


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当社調査101人の詳細|アパート経営に「不満24%」の理由
ここまで「満足度76%」という数字を入口として使ってきましたが、残りの「不満24%」の中身を分解すると、成功率を上げるための具体的なヒントが見えてきます。当社調査の詳細データから確認していきましょう。
不満24%のうち、深刻なのはわずか2%
当社では、現在もアパート経営を行っている方101人を対象に独自調査を実施しました。調査期間は2022年1月25日から2月3日です。経営の満足度を聞いたところ、「満足している」「まあまあ満足している」と回答した人は全体の76%でした。

▼アパート経営オーナー101人の満足度(4段階の回答内訳)
| 回答 | 割合 |
|---|---|
| 満足している/まあまあ満足している | 76% |
| 少し不満である | 22% |
| 不満である | 2% |
出典:イエウール土地活用が実施した独自アンケート調査(対象:現在もアパート経営を行っている方101名/調査期間:2022年1月25日〜2月3日)をもとに作成。「少し不満である」の割合は、不満合計24%から「不満である」2%を差し引いてイエウール編集部が算出。
「4人に1人が不満」と聞くと深刻な失敗を想像しがちですが、実態はやや異なります。本当に「不満である」と答えた人はわずか2%で、残りの大半は「少し不満」という緩やかな評価です。4段階評価では、空室が数か月続いた程度でも「少し不満」に丸めて回答する人が多いためです。
では、その「少し不満」を含めた24%の人は、具体的に何に不満を感じているのでしょうか。複数回答で理由を聞いたところ、以下の2つが上位に並びました。
▼アパート経営に不満を持っている理由(複数回答・回答数)

| 不満の理由(上位2項目) | 回答数 |
|---|---|
| 空室が埋まらないから | 18 |
| 修繕費が高額になったから | 15 |
出典:イエウール土地活用が実施した独自アンケート調査(対象:現在もアパート経営を行っている方101名/調査期間:2022年1月25日〜2月3日)より、不満理由(複数回答)の回答数上位2項目を抽出して作成。
半分正解です。この2つの不満は「経営の腕前」よりも「管理体制の選び方」に左右されやすいことがわかっています。次の項目で、管理体制と満足度の関係を詳しく見ていきましょう。


管理体制が満足度を分ける|自己管理68% vs 管理委託80%
「満足度」と「管理体制」の2つの質問をクロス集計(2つの回答を組み合わせて傾向を見る集計方法)しました。その結果、管理体制によって満足度に明確な差が出ました。
▼管理体制別の満足度(自己管理 vs 管理委託)
| 管理体制 | 満足していると回答した割合 |
|---|---|
| 自己管理 | 68% |
| 管理委託 | 80% |
出典:イエウール土地活用が実施した独自アンケート調査(対象:現在もアパート経営を行っている方101名/調査期間:2022年1月25日〜2月3日)の「満足度」と「管理体制」のクロス集計結果をもとに作成。
自己管理でも満足度68%と、決して低い数字ではありません。日常的に時間を確保できるかどうかが、自己管理と管理委託のどちらが向いているかを分ける最大の基準になります。管理委託費は家賃の5%程度が目安で、自己管理ならこの費用を抑えて手取りを増やせます。
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「管理委託費を惜しんで自己管理を選ぶと、空室対応の遅れが家賃収入の損失につながるケースが目立ちます。
入居者からのクレームや退去連絡への対応が1日遅れるだけで、次の入居者募集の出だしも遅れ、空室期間がさらに伸びてしまうためです。
管理会社を選ぶときは、委託費の安さだけでなく空室対応のスピードを必ず確認してください。」
- 自己管理が向いている人
入居者対応や修繕の手配に日常的に時間を割ける方。管理委託費を抑えて手取りを増やせます。 - 管理委託が向いている人
本業や家事と兼業していて、空室・クレーム対応にすぐ動けない方。対応の遅れによる空室長期化を防げます。

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アパート経営成功率を左右する3要因|立地だけは取り返しがつかない
アパート経営の結果を左右する要因は、立地・資金・管理の3つに整理できます。ただし、この3つは同じ重みではありません。なぜ立地だけが特別なのか、順番に見ていきましょう。
立地条件|唯一、後から修正できない要因
資金計画はやり直しがききますし、管理会社は契約を見直せます。しかし、建物を建てたあとに立地条件そのものを変えることはできません。まずは、立地条件がどれくらい結果に影響するのかを見ていきます。
▼エリア特性別の入居率(2023年度・全国)
| 区分 | 入居率 |
|---|---|
| 首都圏 | 96.6% |
| 関西圏 | 96.6% |
| その他のエリア | 92.6% |
| 全国平均 | 95.8% |
出典:公益財団法人日本賃貸住宅管理協会「日管協短観」2023年度データをもとに作成。首都圏は東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県、関西圏は大阪府・京都府・奈良県・滋賀県・和歌山県・兵庫県を指す。
差が生まれる理由は、単身者・ファミリー世帯の人口動態や、最寄り駅からの距離、周辺の競合物件数などにあります。立地条件によって、入居を希望する人の絶対数そのものが変わるためです。
金額にすると、見え方が変わります。たとえば年間家賃収入300万円の物件であれば、入居率に4ポイントの差があるだけで、年間約12万円、20年間では240万円程度の差になる計算です。
※上記は入居率の差をもとにした簡易計算の一例です。実際の収益は建物規模・家賃水準・空室期間の長さなどにより異なります。
どれだけ空室対策を頑張っても、立地条件が生み出す需要の絶対数までは変えられません。空室対策は、あくまで「その立地で実現可能な範囲の入居率」に近づけるための手段です。自分の土地の立地条件を正しく把握し、現実的な収支計画を立てることが先決になります。
※RC系建築・経営コンサルティング歴20年以上・累計440件以上の案件支援
「立地条件は、契約してから『気づいた』では遅すぎます。建築前に、周辺の賃貸需要を必ず確認してください。
同じ予算をかけても、需要の少ないエリアでは入居率が上がりきらないことがあります。設備や賃料を工夫する前に、まず需要そのものがどの程度あるかを把握する必要があります。
近隣の競合物件の稼働状況を、建築会社の提案と合わせて確認してください。」

資金計画|立地の弱さを補う唯一の手段
立地条件そのものは変えられませんが、資金計画には調整の余地があります。立地にやや不安がある場合、自己資金をどう準備するかが結果を分けます。
自己資金は、一般的に初期費用の10%が最低ラインとされています。立地条件に不安がある場合は、30%程度を目安にすると安心です。
※自己資金比率の目安は金融機関や物件条件によって異なります。具体的な数値は複数の金融機関・建築会社に確認することをおすすめします。
自己資金を増やす理由は、借入額を減らして毎月の返済額を下げるためです。返済額が下がれば、空室や家賃下落が起きても収支がマイナスになるまでの余裕が大きくなります。
半分正解です。資金計画は「収支が崩れるまでの時間を伸ばす」手段であり、需要そのものを増やすことはできません。立地条件が厳しいエリアでは、自己資金を厚くしても、長期的な入居率の低さは変わらないままです。
※RC系建築・経営コンサルティング歴20年以上・累計440件以上の案件支援
「自己資金を厚くする目的は、『耐える時間を作ること』だと理解してください。
自己資金が少ないまま立地条件の厳しい土地で経営を始めると、数か月の空室で資金が尽きてしまうことがあります。自己資金は、その間の生活と返済を支える緩衝材の役割を果たします。
立地に不安がある場合は、最低でも半年分の返済額を自己資金として確保してください。」
- 補える部分
一時的な空室・家賃下落への耐性。悪い時期を乗り切るための時間を作れます。 - 補えない部分
立地条件そのものが生み出す需要の絶対数や、長期的な入居率の底上げはできません。


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管理会社選定|経営開始後も見直せる調整弁
立地は固定、資金計画は契約前にしか調整できませんが、管理会社は経営を始めたあとも見直せる唯一の要因です。先ほどの調査データでも、管理委託のオーナーは自己管理より満足度が12ポイント高い結果でした。
ここで重要なのは、「管理委託に変えれば終わり」ではないという点です。管理会社の質によって対応スピードは大きく変わるため、契約後も定期的に実績を見直す姿勢が成功率を左右します。
▼アパート経営に満足している人が実践しているリスク対策
| 対策の内容 | 実践している割合 |
|---|---|
| 信頼できる管理会社に依頼している | 89% |
| 管理会社と定期的に連絡をとっている | 87% |
出典:イエウール土地活用が実施した独自アンケート調査(対象:現在もアパート経営を行っている方101名/調査期間:2022年1月25日〜2月3日)の「満足度」と「実践しているリスク対策」のクロス集計結果をもとに作成。
管理会社に求められる役割は、空室対応だけではありません。経営に満足している人の83%は、火災や地震などの災害リスクをあらかじめ認識していました。災害発生時の対応力も、管理会社を選ぶ基準のひとつになります。
出典:イエウール土地活用が実施した独自アンケート調査(対象:現在もアパート経営を行っている方101名/調査期間:2022年1月25日〜2月3日)の「満足度」と「事前に認識していたリスク」のクロス集計結果をもとに作成。
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「管理会社は、一度契約したら変えられないものではありません。
空室対応のスピードや連絡のしやすさに不満がある場合、管理委託契約を見直すことができます。立地や資金計画と違い、経営を始めたあとからでも改善できる唯一の要因です。
半年〜1年に一度は、管理会社の対応実績を振り返る機会を作ってください。」
- 信頼できる実績があるか 満足度の高いオーナーの89%が重視しているポイントです。
- 定期的に連絡を取り合えるか 満足度の高いオーナーの87%が実践している対策です。
- 緊急時の対応体制があるか 災害など想定外の事態にも対応できるかを確認します。

アパート経営の5つの判断ミスに共通する、たった1つの原因
ここまで立地・資金・管理という3つの要因を見てきました。実際に経営でつまずく人にも、共通するパターンがあります。一見ばらばらに見える5つの失敗には、たった1つの共通点があります。
計画段階の3つの判断ミス(節税目的・鵜呑み・資金不足)
まずは、建築を決める前の「計画段階」でつまずきやすい3つの失敗パターンを見ていきます。
失敗①|節税目的だけで始めてしまう
相続税対策や節税効果だけを目的にして、収益性をほとんど検討せず建築を決めてしまうパターンです。税理士や建築会社から「とりあえず建てれば節税になる」と勧められ、収支計画を自分で検証しないまま契約に進んでしまいます。
節税効果以上の持ち出しが発生すると、本来「資産を守るための対策」だったはずが、逆に資産を減らす結果になってしまいます。節税効果と収益性は、必ずセットで確認する必要があります。
失敗②|業者のシミュレーションを鵜呑みにする
提案された収支シミュレーションを、前提条件を確認せずそのまま信じてしまうパターンです。シミュレーションには、想定入居率や家賃の前提が必ず存在します。
その前提を確認しないまま契約すると、実態とのズレに気づくのは経営を始めたあとになってしまいます。複数社のシミュレーションを比較し、前提条件をそろえて検証することが欠かせません。
失敗③|自己資金不足・過大な借入
自己資金の目安を下回ったまま契約してしまうパターンです。自己資金が少ないと、借入額が増えて毎月の返済額が上がり、空室や家賃下落の影響をそのまま受けてしまいます。
自己資金の比率は、契約前に必ず確認すべき項目です。不足していると感じたら、建築規模や予算そのものを見直す判断が必要になります。
計画段階の3つの判断ミスへの対策
- 節税効果と収益性を分けて確認する
節税のシミュレーションと、空室・修繕費を加味した収支シミュレーションを別々に出してもらい、両方がプラスかを確認します。 - 複数社の収支シミュレーションを比較する
最低2〜3社から、想定入居率・家賃の前提をそろえた収支計画書を取得します。 - 自己資金比率を契約前に再確認する
初期費用の20〜30%を目安に、不足していれば建築規模・予算自体を見直します。
※RC系建築・経営コンサルティング歴20年以上・累計440件以上の案件支援
「節税や業者の提案を、そのまま信じて契約するのは避けてください。
収支シミュレーションは、提案する側に都合のいい前提で作られていることがあります。自分で数字を検証しないまま進めると、契約後に前提とのズレに気づくことになります。
収支シミュレーションと自己資金計画は、契約前に必ず自分の手で再計算してください。」
契約段階の2つの判断ミス(サブリース理解不足・需要調査不足)
続いて、契約や現地調査の段階でつまずきやすい2つの失敗パターンです。
失敗④|サブリース契約の理解不足
サブリースには、相場賃料より受取額が下がる仕組みがあります。この仕組みを理解せずに契約し、想定よりも家賃保証額が低いことに後から気づくケースがあります。
契約書の賃料改定条項・免責期間・解約条件を確認せずに契約すると、数年後に借上げ賃料が下がるタイミングで想定外の収支悪化を招きます。契約前に書面で必ず確認しておきましょう。
失敗⑤|立地・賃貸需要の調査不足
立地条件は、後から変えられません。それにもかかわらず、周辺の賃貸需要を調査せずに建築を進めてしまうケースがあります。
近隣の競合物件の稼働状況や、単身者・ファミリー世帯どちらの需要が強いエリアかを確認しないまま間取りを決めると、完成後に需要とのズレが判明することになります。建築前の調査が欠かせません。
契約段階の2つの判断ミスへの対策
- サブリース契約書の重要条項を必ず確認する
賃料改定条項・免責期間・解約条件の3点を書面で確認します。 - 建築前に周辺の賃貸需要を自分でも確認する
競合物件の稼働状況、単身・ファミリーどちらの需要が強いかを調査会社の提案と合わせて確認します。
※RC系建築・経営コンサルティング歴20年以上・累計440件以上の案件支援
「サブリース契約と立地調査は、契約前にしか確認できない項目です。
サブリースの賃料改定条項や、周辺の賃貸需要は、契約後に『知らなかった』と言っても変更できません。建築会社や仲介会社の説明だけでなく、契約書と現地の状況を自分の目で確認することが欠かせません。
契約書の重要条項と現地の賃貸需要は、契約前に必ず自分で確認してください。」

5つの失敗は、起きる場面も内容も異なります。しかし共通しているのは、数字や契約条件を自分で確認せず、誰かの説明をそのまま受け入れてしまったという点です。
- 収支シミュレーションは複数社で比較する
1社だけの数字をそのまま信じないことが第一歩です。 - 契約書の重要条件は自分で読んで確認する
賃料改定条項・免責期間・解約条件は必ず書面で確認します。 - 現地の賃貸需要は自分の目で確認する
近隣の競合物件・稼働状況を建築前に把握しておきます。
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「黒字化」と「本当の成功」は別のタイミングで訪れる
「アパート経営はいつ黒字になるのか」は、誰もが気になるポイントです。実は「黒字化」という言葉には、意味の異なる2つの段階があります。順番に見ていきましょう。
フローの黒字化(10〜15年が目安)
「アパート経営の黒字化」には、実は2つの意味があります。「毎年の収支がプラスかどうか」と「初期費用を回収できたかどうか」では、答えるべき年数がまったく違います。
▼「黒字化」の2つの意味
| 区分 | 意味 | 目安 |
|---|---|---|
| 単年度の黒字 | 家賃収入から経費・ローン返済を引いて、手元に残るお金がプラスの状態 | 新築なら初年度から達成しやすい |
| 累積の黒字 | 建築費・諸費用などの初期投資を、運営で得た利益の合計が上回った状態 | 一般的に10〜15年が目安 |
「黒字化までの目安は10年前後」という言葉の多くは、この累積の黒字を指しています。ただし、この10年間は何もせずに過ごせるわけではありません。
▼木造10戸の修繕時期・費用イメージ(戸あたり)
| 経過年数 | 内訳 | 修繕費の目安 |
|---|---|---|
| 5〜10年 | 塗装(ベランダ・階段・廊下)・室内整備・排水管 | 約9万円 |
| 11〜15年 | 塗装(屋根・外壁含む)・給湯器等・排水管 | 約64万円 |
出典:国土交通省「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」を参考にイエウール編集部が作成。
半分正解です。11〜15年目に大きな修繕費がやってくるタイミングを乗り越えられて、ようやく累積の黒字に近づきます。ただし、この時点ではまだローンが残っているケースがほとんどです。本当の意味での安定は、もう少し先にあります。

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ストック形成|ローン完済後に訪れる本当の安定
累積の黒字を達成しても、多くの場合はまだローンの残債が残っています。本当の意味で安定した資産形成といえるのは、もう一段先のタイミングです。
アパートローンは一般的に20〜30年程度で設定されます。ローンを完済すると、支出は維持管理費などのランニングコストのみになり、収益性が大きく向上します。
ここまでの章で見てきた「成功」の基準(満足度・銀行データ・入居率)は、いずれもこの完済前の段階を前提にしていました。ローン完済後に資産として残る建物と土地こそが、長期的な視点での「本当の成功」にあたります。
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「黒字化のニュースを聞いても、単年度の黒字か、累積の黒字かを必ず確認してください。
『初年度から黒字化』という言葉だけを聞いて安心してしまうケースがありますが、それは単年度の話です。初期費用を回収できるのはその先になります。返済が終わるまでは、空室や家賃下落の影響を受けやすい状態が続くという点も忘れないでください。
収支計画書には、単年度収支と累積収支の両方を必ず記載してもらうようにしてください。」
- フローの黒字化(10〜15年目安)
毎年の収支・初期費用の回収という、経営の入り口の基準です。 - ストック形成(ローン完済後)
維持管理費のみで運営できる、資産として安定したゴールの基準です。
今日から始められる、アパート経営の成功率を上げる3つの行動
ここまでの内容を踏まえて、実際に何をすればいいのかを整理します。結論を先に言うと、経営を始める前にやるべきことのほうが、始めたあとにやるべきことより多いです。
開始前にやるべきこと|立地調査・自己資金準備
建築前にやるべきことは、いずれも契約してしまったあとでは変更できない項目です。ここまでの章で見てきた内容を、行動レベルで整理します。
- 立地・賃貸需要を確認する
近隣の競合物件の稼働状況や、単身者・ファミリーどちらの需要が強いかを把握します。 - 自己資金を準備する
最低でも初期費用の10%、立地に不安がある場合は30%程度を目安にします。 - 複数社のシミュレーションを比較する
想定入居率・建築費・利回りの前提条件をそろえて検証します。

※RC系建築・経営コンサルティング歴20年以上・累計440件以上の案件支援
「開始前の準備は、後からやり直せない項目ばかりです。
立地条件の確認や自己資金の準備は、契約してしまった後では変更できません。建築会社との打ち合わせが進む前に、自分の中で基準を決めておくことが重要です。
契約前のチェックリストは、必ず複数の建築会社のプランと合わせて確認してください。」
開始後にやるべきこと|定期的な計画見直し・管理会社の見直し
経営を始めたあとにやるべきことは、開始前ほど多くありません。ただし、「放置」が最大のリスクになる点には注意が必要です。
- 年に1回、収支を見直す
満足度に関わらず、数字で経営状態を確認する習慣をつけます。 - 管理会社の対応実績を確認する
空室対応のスピードや連絡のしやすさを、半年〜1年に一度振り返ります。 - 修繕費の積立状況を確認する
11〜15年目の大きな修繕に向けて、積立が計画通り進んでいるかを確認します。

※RC系建築・経営コンサルティング歴20年以上・累計440件以上の案件支援
「経営を始めたあとも、『放置』が一番のリスクです。
収支の見直しや管理会社とのやり取りを怠ると、小さな違和感が大きな問題に発展してから気づくことになります。
年に1回、収支と管理体制を振り返るタイミングを決めておきましょう。」
複数プランの比較が「答え合わせ」になる理由
ここまでお伝えしてきた「確認すべきこと」は、1社の説明だけでは、それが適正かどうか判断できません。複数社のプランを比較することで初めて、答え合わせができます。
たとえば、A社の想定入居率が90%、B社が80%だった場合、どちらが自分の土地の実態に近いかを比べて初めて気づけます。1社だけのプランでは、その数字が高いのか低いのかすら判断できません。
- 想定入居率・利回りの前提が妥当か
複数社の数字を並べて初めて、楽観的すぎないかが見えてきます。 - 自己資金30%で足りるか
建築費の見積もりによって、必要な自己資金額も変わります。 - 管理会社の対応実績は信頼できるか
提案内容と合わせて、管理体制への姿勢も比較できます。

※RC系建築・経営コンサルティング歴20年以上・累計440件以上の案件支援
「ここまでお伝えしてきたことは、結局すべて『比較する』という1つの行動に集約されます。
想定入居率や自己資金比率、管理会社の対応実績は、1社の説明だけでは適正かどうか判断できません。複数社を比較することで初めて、自分の土地にとっての現実的な基準が見えてきます。
まずは複数社の収支プランを取得し、ここまでの内容と照らし合わせて確認してみてください。」
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アパート経営成功率のよくある質問(FAQ)
Q1. アパート経営の成功率は本当に7割もあるの?
当社が101人のオーナーに行った独自調査では、満足度76%という結果でした。ただし「7割」という数字は、満足度・銀行データ・入居率など、何を基準にするかで60〜97%まで変わります。複数の視点を知っておくと、数字に振り回されずに判断できます。

Q2. 失敗する人の割合はどのくらい?
当社調査で「不満」と回答した人は24%でした。しかし、本当に深刻な不満を抱えている人は2%にとどまり、残りの大半は「少し不満」という程度です。「失敗」の基準も、何を失敗とするかによって変わります。

Q3. 何年で黒字化する?
毎年の収支がプラスになる「単年度の黒字」は、新築であれば初年度から達成しやすいです。一方、初期費用を回収する「累積の黒字」は、一般的に10〜15年が目安とされています。ローンを完済し、維持管理費のみで運営できる状態は、さらに先にあります。

Q4. サブリースは成功率を下げる?
サブリースという契約形態そのものが成功率を下げるわけではありません。ただし、借上げ賃料は相場の85〜89%程度が目安で、賃料改定条項や免責期間を理解せずに契約すると、想定外の収支悪化につながることがあります。契約内容を正しく理解することが重要です。

Q5. 管理会社はどう選べばいい?
当社調査で、満足度の高いオーナーが実践していた対策は次の3点です。
- 信頼できる実績があるか:満足度の高いオーナーの89%が重視しているポイントです。
- 定期的に連絡を取り合えるか:満足度の高いオーナーの87%が実践している対策です。
- 緊急時の対応体制があるか:災害など想定外の事態にも対応できるかを確認します。

まとめ|成功率は「基準次第」、だからこそ自分の基準を先に決める
「アパート経営の成功率は何%か」という問いに、ひとつの正解はありません。満足度・銀行データ・入居率のどれを基準にするかで、数字の見え方は変わります。
立地条件は後から変えられず、資金と管理でどこまで補えるかが結果を分けます。実際につまずく人に共通していたのは、数字や契約条件を自分で確認せず、誰かの説明をそのまま受け入れてしまったことでした。そして、黒字化と「本当の成功」は、別のタイミングで訪れます。
だからこそ、行動を始める前に自分なりの「成功の基準」を決めておくことが、何よりの近道になります。
- 成功率は測り方次第で60〜97%まで変わる
満足度・銀行データ・入居率では見え方がまったく異なります。 - 不満24%の大半は深刻な失敗ではない
本当に不満な人はわずか2%でした。 - 立地・資金・管理は対等ではない
立地だけは後から修正できません。 - 5つの失敗の共通点は「判断を委ねたこと」
数字と契約条件は自分で確認することが防止策です。 - 黒字化とストック形成は別のタイミング
10〜15年での黒字化と、ローン完済後の安定は別の基準です。
ここまでの内容を、ご自身の土地に当てはめて確認する一番の方法は、複数の建築会社から収支プランを取得して比較することです。想定入居率や利回りの前提、必要な自己資金額が、自分の土地でどうなるのかが具体的に見えてきます。
補足|調査要件と結果の概要
| 対象者 | 現在もアパート経営を行っている方 |
|---|---|
| 調査人数 | 101名 |
| 実施期間 | 2022年1月25日~2月3日 |
調査項目
- 1. 所有する土地は何㎡でしたか︖(単位︓坪/㎡)
- 2. お持ちのアパートの構造を教えてください
- 3. 現在のアパートの規模(間取り)で最も近いものを選択してください
- 4. お持ちのアパートから最寄りの鉄道駅まで徒歩何分かかるか教えてください
- 5. アパートの管理体制について教えてください
- 6. アパートを建てる際、建築費はいくらかかりましたか?
- 7. 投資資金はどのように用意しましたか?
- 8. ご自身のアパート経営には満足していますか?
- 9. 質問8で「満足している」「まあまあ満足している」と回答された方へその理由を教えてください
- 10. 質問8で「不満である」「少し不満である」と回答した方へその理由を教えてください
- 11. アパート経営を家族や友人に勧めたいと思いますか?
- 12. アパート経営にはどんなリスクがあると知っていましたか?
- 13. 現在、もしものリスクに備えて具体的にどんな対策を行っていますか?
- 14. あなたの性別を教えてください
- 15. あなたの年代を教えてください








